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MacIIcx,リムーバブルHDD,AtariSTACY他(月刊ASCII 1989年9月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

PRODUCT SHOWCASE 他の記事をスクラップする。

Macintosh II cxの写真をスクラップする。Appleはスタイリッシュで写真を見ているだけで楽しい。
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分解写真があるのが面白い。
モニタが高い。21インチが39万9000円。

リムーバブルHDD
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CADDIEはカートリッジが透明なのが珍しい。

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POKEDYは裸族のお立ち台に似ている。クレードルスタイルの元祖とあるが、元祖じゃないから。元祖は34年前に存在している。

私はリムーバブルHDDケースとしてOwltechのガチャポンダイレクトを愛用している。
過去の記事を再掲する。


MARSHAL MAL352U3RS3 で飛んだHDDのデータ再構築(2)
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左から
Owltechのガチャポンダイレクト。これは何個も買ってそれぞれの機体に装着している。ガチャポンダイレクトはキーを回すとロックされ、給電される。キーを解除すると電源が入らないためHDDを装着したまま運用できる。1機体に何個もガチャポンダイレクトを装着して、必要なHDDだけを給電して使うという技が使える。

GroovyのHDD DOOR。ガチャポンダイレクトが無くなったのでこれを買った。ガチャポンダイレクトと違って、装着すると電源が入ってしまう。ロックを外すと扉が飛び出てHDDが外れてしまうのでガチャポンダイレクトのような運用はできない。

GroovyのHDD USBは裸のHDDを外付けUSBのHDDとして使える。SATAケーブル、電源ケーブルとACアダプタが付いている。電源ケーブルとACアダプタのみを使い、SATAケーブルを機体から引き回すと内蔵HDDと同様に使える。ガチャポンダイレクトが足りないときにSATAのHDDとして利用できて有用だった。

AV WORKSHOPにAtariのSTACYという面白いマシンがあったのでこれも写真をスクラップする。
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MS-DOSユーザーズ・ワークベンチからすらそうじ氏の漫画をスクラップする。
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ラップトップ,PC-9801lX5C,DynaBook他(月刊ASCII 1989年9月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号の「特集 生まれ変わるラップトップコンピュータ」をスクラップする。
生まれ変わるとはカラー化と超軽量化だ。34年前のことだからこんなものだ。
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最初は概説的な記事だった。当時の状況が良く分かる。
ACT.1
小さくなければラップトップではない

昨年10月にアメリカで発表された日電のUltraLiteは,本体重量を2kgに抑えた本格的なブックサイズの携帯型16bitコンピュータである(写真1).

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 UltraLiteは,発表とほぼ同時に「フォーチュン」誌の“年間ベストヒット商品”に選ばれている。過去この栄誉に輝いたパーソナルコンピュータには,'83年のIBM PC jr,Lisa,'84年にはIBM PC/ATとMacintoshがそろって,そして,'86年のCOMPAQのDeskPro386がある.いずれも,市場を騒がせ,影響を与えた商品が名を連ねる.それほどに,このUltraLiteに寄せるユーザーの期待が大きかったということだ.
 UltraLiteの特徴は,名前が示すとおりのギリギリまで肉を落とした軽さとコンパクトさである.
 本体サイズは,298.5(W)×210.8(D)×35.6(H)mm,重量2kgと本当のA4判プックサイズのマシンといえる.また,フロッピーディスクドライブを持たず,ICカードによる外部メモリROMカードによってLotus1-2-3,Wordperfect,XywriteIII,Microsoft Worksなどが提供されるという点も注目された.
 ラップトップコンピュータの意味は、ご存じのように「膝の上に乗せて使える」コンピュータということである.しかし,実のところ、従来のマシンには6kgを超えるものも少なくなかった.というよりも,それがほとんどだったのだ。
 PC-98シリーズでいえば,軽いマシンの1つとしてPC-98LTがあるが,それでも3.9kgである.日電によれば,人間が持って歩ける重量は「1貫目」であろうという設定で作られたとのことだが,実際にPC-98LTを手で持って歩くのには骨が折れる.
 持って歩けるマシンといえば,かつてTandyから発売されていたTRS-80Model 100(PC-8201と同等のハードウェア)が重宝されていた.携帯して使えるサイズと重量の目安として引き合いに出されることもあるのだが,重量は1.8kgである.PC-98LTとTRS-80の間には,かなりの隔たりがあるといわざるをえない.
 TRS-80は,ワープロ,通信ソフト,BASICなどを内蔵した8bitマシンである。これでも実用的には,ある程度の仕事ができるはずだが,オフィスや自宅でIBM PCなどのデスクトップマシンを使っているのなら,同じ環境を持って出たいというのが人情だろう.
 UltraLiteは,このTRS-80に迫る重量を実現した,はじめての16bitマシンである.携帯して歩ける,あの快適な日々よもう1度というわけだ.

NECはなぜ日本版のUltraLiteを出さなかったのか。PC-98LTは除くのマシンでかつ重かった。これでは魅力がなかった。PC-9801との互換性を捨てたのならUltraLite並みのマシンを出さねばならなかった。
ACT.2
軽量ラップトップの2つの顔

 UltraLite以前にも,アメリカ市場では軽いマシンはあった.東芝のT1000(写真2)である.このマシンは,同社のTシリーズ(国内のJ-3100シリーズ)の末っ子的存在であり,フロッピーディスクドライブを1台内蔵しながらも,重量は2.9kgだ.TRS-80の1.5倍強の重量だが,それでも、従来のラップトップのことを考えれば画期的だった。

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 編集部を訪れた1人のアメリカ人が,鞄からT1000を取り出して見せてくれたことがある。彼は,「キャンディキャンディ」がフランスで作られていると信じて疑わないフランスの子供たちのように,得意気にT1000のことを我々に説明してくれるのだった。東芝が日本のメーカーであることを知らないはずはないのだが,なるほど魅力的なマシンである。
 しかし,UltraLiteの登場が持つ意味は,これとは別のものと見たほうがよいだろう.
 UltraLiteは,T1000よりも軽く,CPUパワーもあるが,それよりもむしろ,フロッピーディスクを本体に持たない,内部,外部メモリともにシリコンで固めた,フルシリコンのコンピュータであるという点だ.
 ICカードは,フロッピーとは比較にならないほど高価である.おまけに,この種のマシンでは,ハードRAMのバックアップ時間を長くすることやモデムを必須としているなどの点もあり,本体価格も高くなっているようだ(もちろん,それを抜きにしても価格の高い安いはある).しかし,それは現在のラップトップ環境にヒットした,新しいマシンの分野を切り開くものとして評価されたのではなかろうか。つまり,ラップトップコンピュータのユーザーが,この数年間に蓄積したノウハウや考え方の1つのスタイルを反映したものといえる。具体的にいえば,などである(図1略).
 もともと,携帯型,可搬型のコンピュータは,ポータブルターミナルの進化したものとして捉えることもできる。ネットワークへのアクセスもあるが,オフィスや自宅のデスクトップと何らかのデータの交換をする形になる.
 もちろん、出先で複数のフロッピーを入れ替えたいようなユーザーには,T1000のほうが好ましい。おまけに,T1000の場合,約800ドルという低価格で入手可能であり、その意味でも気軽に持ち歩ける.UltraLiteのほうは、使い慣れた3~4本のアプリケーションだけを出歩いて使うユーザーに向いていることになる.すでにデスクトップがあって,パーソナルコンピュータを使った自分の仕事のスタイルができあがっている人のためのものだ。
 ところで,ご存じのように日本でも,ちょうどT1000,UltraLiteに相当するマシンが発売された.東芝のJ-3100SSとセイコーエプソンのPC-286NOTEexecutiveである。前者は,T1000と同様の低価格,軽量マシン(ただし,内容は大幅にスープアップされており,エントリマシンとしても勧められる内容となっている)であり,後者は,9月中旬の発売予定だが,UltraLiteの98互換版をねらたマシンに仕上がるようだ.この2機種については,この後のページで詳しく紹介する.

T1000の日本版ともいえるJ-3100SSのユーザだった私は、アメリカ人の気持ちがよく分かる。DynaBookは鞄に入れて常に持ち歩きたくなるマシンだった。
ACT.3
デスクトップ環境をラップトップ型で

 小さくなければラップトップではないとはいうものの、現状では6kg~9kgという重量級のラップトップも,依然として人気がある.これらは,ラップトップというよりも,ラップトップとデスクトップの中間のトランスポータブル(可搬型)マシンとして受け入れられているわけだ。携帯して歩くというほどではないが,会社の中で自分の机から会議室へ,書斎から居間へ運ぶという程度の可搬性だ.
 このクラスのマシンになると,デスクトップマシンにできるだけ近い機能を期待したくなる。たとえば,
・ハードディスクの内蔵
・操作性(テンキーの装備など)
・拡張性(拡張スロットなど)
・カラー表示
などだ.
 このうち,ハードディスクは重量6kgを超えるマシンでは,ほとんどが内蔵可能か内蔵モデルを有するようになってきた(PC-9801LVは例外である)。また,操作性の点でもテンキーパッドがオプションで装着できるなどの配慮がなされている.
 拡張性については,デスクトップ用の拡張ボードを使用できるラップトップが登場してきており,人気を集めている現在、この種のマシンとしては,セイコーエプソンのPC-286/386LS,東芝のJ-3100GX,三洋のMBC-17LTJなどがある.サードパーティのものも含めた豊富なボード類がそのまま利用できるのは大きなメリットだ。
 これらは,いずれもラップトップとしては,超重量級である.普段は,デスクトップのつもりで使っていて,いざとなったら折り畳んだり,移動したりできるといったところだ。その意味では,省スペース,低消費電力の新しいスタイルのデスクトップと呼ぶこともできるものだ.
 これらのラップトップなら、普通の事務机で十分だが,デスクトップでは机の上をパソコンに占領されてしまう。また,視覚的な圧迫感もかなり違う。キーボード部分も含めた占有面積でいうと,ラップトップはデスクトップの約75%(PC-9801RXが2052cm,PC-286VFが2095cmに対して,PC-286LSは1529cm),消費電力は,ディスプレイも含めたデスクトップに対して約30%(PC-9801RX2が60W,PC-286VF-STDが35W,ディスプレイが約60Wに対して,PC-286LS-STDは30W)ほどだ.
 拡張性については,マイクロシステムズ(株)のTheBookが,重量2.5kgとブックサイズながらアプリケーションユニットに各種オプションを装着できる(写真3).100%ではないがJ-3100シリーズ互換機能を有する点でも面白い設定となっている.


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 UltraLiteと同じ時期にアメリカ市場で話題となったCOMPAQ SLT/286(写真4)も,なかなか興味深い内容のマシンである.

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 名前のとおり80C286(12MHz)を搭載し,20,または40Mbytes(平均アクセス時間29ms)のハードディスクを内蔵しながら3時間のバッテリ駆動が可能だ。しかも,折り畳めば34.3(W)×21.6(D)x10.5(H)mmとランチボックスサイズ,重量6.3kgとなっている。国産の80286搭載のラップトップが,いずれもバッテリ駆動ができず,しかも大きいことを考えるとなかなか魅力的なマシンといえる.
 そして,このマシンにはデスクトップ拡張ベースと呼ばれるオプションが用意されているのだ。これは、名前のとおりラップトップの基地ともいえる設定のもので,SLT/286をデスクトップ拡張べースに乗せることで,拡張スロットを備えた通常のデスクトップとして機能するようになる.
 さて,デスクトップに近い環境を実現するという意味では,カラー表示が期待されている.そして,カラー液晶ディスプレイを搭載したラップトップがいよいよ登場してきた.これは,現在のラップトップや可搬型マシンのみならず,デスクトップの領域をも含めたコンピュータやターミナルの形を一変させるものとなるだろう.カラー液晶ディスプレイについては,この後のPC-9801LX5Cの項にゆずるとしよう.

自分の事務机の上にパソコンを置けるようになるまではまだまだ先のことだった。職場にはパソコンラック又はデスクがありパソコンを使うときは事務机を離れて作業していた。また、電話が来ると机に戻らなければならず、電話が長くなる時はパソコンの使用待ちをしている人にパソコンを譲るために、ファイルを保存してから電話に戻るということもあった。今のようにパソコンがペンと紙のようになったのはいつからだったか。
ACT.4
ポケットに入る超軽量超小型マシン

 ラットップコンピュータは,ハイグレードなトランスポータブルから,現在のラップトップの後継ともいえるミッドレンジのマシン,そして,携帯できるものにもいくつかのタイプが出てくるようだ(図2略)。普及型のマシンは,ノート型ワープロに近い設定のものも登場してくるかもしれない.実際のところ,割り切った使い方をするならば、通信機能付きやMS-DOSへのファイル出力機能を持ったノート型ワープロは,パーソナルコンピュータユーザーのサブマシンとしても使えるものとなっている.
 さて,そのように多極化してきたラップトップコンピュータだが,「膝の上」のコンピュータから,「掌」のコンピュータが見え隠れし始めているようだ。この春から夏にかけて話題にのぼってきたもの,に,ラップトップよりもさらに小さいポケットコンピュータがある.
 それは,ポケットコンピュータといっても従来からあるいわゆるポケコンとは一線を画するものだ。後で紹介するAtario PortfolioやPoqet Computer社のTHE POQET PCといったポケットサイズのIBM PC互換マシンである.文字どおり大きめのポケットに入るサイズで,重量は500g前後とブックサイズのラップトップの比ではないコンパクトさなのである.
 これらは,集積化技術や実装技術,低消費電力関係の技術によるものだが,UltraLiteなどのラップトップマシンとの差異は,外部インターフェイスをさらに絞ってある点だろう.Portfolioを例にあげれば,オプションのハードと組み合わせることで,初めて通信が使用可能になる.プリント出力もオプションのハードと組み合わせて,はじめて行なえるというものだ。つまり、パーソナルコンピュータの心臓部と表示まわりだけを持ったマシンである.
 アメリカでは,シャープの電子手帳WizardやWordFinder Software社のPocket WordFinder(三洋の電辞林のようにパーソナルコンピュータ上のソフトウェアを専用ハードにした)が登場しているほか,Appleが,近く独仏語辞書付きの電子手帳を扱うとの説もある。Portfolioなども,電子手帳的な色合いが濃く、標準で簡単なエディタや表計算ソフトのほかに,住所録やスケジューラをROMで搭載している。これらデスクアクセサリ(?)ソフトと,IBMPC用の好みのソフトをインストールして使おうという環境だ。
 Poqet PCは,一説にはTexas Instru-mentsの単語学習機「Speak&Spell」の開発スタッフによるものといわれ,なんと乾電池で100時間の動作が可能であるという.Portfolioが40桁×8行しか表示できないのに対して,標準的な80桁×25行表示するスクリーンを持つ。なお、このPoqet Computer社には,富士通が46%を出資しているという.


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 電子手帳のようなものには興味がなかった。あくまでもパソコン並みの端末が欲しかった。それにつけても今のスマホは凄いというか凄すぎる端末だとこの記事をスクラップして再認識した。

日電のPC-9801LX5C
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大きいし、74万8000円は高い。
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日本電気パーソナルコンピュータ販売推進本部長の高山 由 氏のインタビュー記事をスクラップする。日電が考えていたことが分かるかもしれない。
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98シリーズ販売の陣頭指揮にあたる高山氏に,ラップトップの今後についてうかがった.
高山 現在,LT,LV,LX,LSの4つのモデルがありますが,合計で98シリーズ全体の13%弱といったところです。今までの経過を見ると,最初に出したLTが一番出てまして、現在の主力はLXですね.特にLX5,ハードディスク付きが多い.
 据え置き型というのは,人間が動いてパソコンの前に来て使うものですが,ふつう人は,日常的に動きながらも情報を処理する。活動の中でパソコンが使える環境というのが重要になる.そういう路線で軽量化を考えたのが,LTでした.当時の技術レベルだったら、あのへんが一番の軽量化だったわけです。
 その後、東芝さんがアメリカで,据え置きでの利用を主体とするラップトップという形で製品を出された.持ち歩くというより、むしろ省スペース,省エネマシンですね。アメリカでそれなりの位置を取り、日本でも話題になり、ああいうものがラップトップの主流みたいになった.
 しかし,私は,LTを最初に出したときから,LTの比率はパソコン全体のせいぜい10%から15%ぐらい、業界全体でも20%はいかないと言っていたんですよ.なぜかというと,98の世界で一番大事だったのは、「日本語」と「カラー」「フロッピ-」です.この3つの機能性をソフトメーカーさんが,うまく盛り込んでくれたんです.ところが,これまでのラップトップには「カラー」という要素が抜けているんです。 ―― それでは,これからはどういう方向に進むのですか
高山 1つは「カラー化」で,もう1つは手帳サイズも含めた「超軽量化」です. 最終的には,カラーで軽量化できればいいんですけどまだ技術的な問題があります。
 液晶がCRTの価格帯と同じになれば,現在のデスクトップの領域を凌駕するぐらいに普及すると思います.カラー液晶の美しさや鮮明度は,CRTと同等かそれ以上のものが出ています.あとは表示スピードですね.CRTと同等の性能になれば,省スペースと省エネの面でデスクトップよりも優れたものになります。
―― 現行の形のラップトップは無くなると?
高山 今のモノクロのラップトップは,先ほども言ったように,われわれが築いてきたデスクトップ環境の「カラー」の部分が欠けているわけですから,マイナス方向なんですよね。
 だから,当面は「カラー化」と「軽量化」の2方向に加えて,0.5だけ現在のラップトップが残るでしょう.そして,0.5の部分は,0.4,0.3と,だんだん小さくなります。カラーラップトップを安い値段で出せるのは数年先でしょうし,超軽量といっても,それなりの機能制限が出るでしょうから、従来型のラップトップも当分残ると思います。
 それぞれの方向性,すなわち今のラップトップを継承したものもやりますし、カラー化ももちろんやるし,超軽量化もやります.ただ,今の形態のラップトップは,われわれが築いたパソコンの利用環境から見ると、我慢して使っていただいていると思うんです。だから,カラー化への期待,超軽量化の期待が大きい.じゃあ待とうかという人が多いのではないでしょうか.
―― 手帳サイズの98もありうるのですか?
高山 今の、いわゆる電子手帳は,シャープさんやカシオさんが頑張っていらして売れていますが,電子手帳に直接データを入力するのは、手で書くよりも大変ですよ。紙の手帳を電子化するより、むしろ98と融合させる方向のほうがおもしろいですね。
 もちろん、電子手帳の研究はしております.うちがやるとしたら,98との連動が重要だと思っています.デスクトップ,携帯用ラップトップ,電子手帳タイプをれぞれどういう役割を持たせるか.そのへんを勉強しながら,パソコンビジネスのプラットホームの一つの展開として研究しています。
 たとえば,パーソナルデータベース。機動性を持ったデータベースですね.いうのは,情報があり余っていますから,デスクトップやラップトップで収集・整理して,電子手帳で持ち歩くとかね。入力機能としての電子手帳は難しいと思います。
―― カラーは近いのでしょうか
高山 ええ.ただ,あくまでも1番バッターっていう意味での出し方ですから,据え置き型と完全に代わるような機能までは持っていません。いずれはそうなっていくだろうと思いますが.
 でも,省スペース,低消費電力というのは大きな魅力だと思います.インテリジェントビルなんかができますと,今のデスクトップ型というのは大変なんですよ.たとえば,このビル,ワンフロアにパソコン何台置けます?30台置いたら電源がパンクですよ.
 低消費電力というのは重要なことだと思うんですよ.じゃあ,モノクロだけでいいかというと,それでは利用環境の後退です.だから,カラー化と低消費電力は重要だと思うんです.
―― 超軽量マシンはいつごろでしょう
高山 ブックサイズは,これは東芝さんも出したし,エプソンさんも出したのでうちも早く出さなきゃいけないでしょう。しかし、重要なのは価格です。
 ブックサイズのパソコンはワープロ感覚ですから,単にハードを出せばいいというものではない.私どもは、いつもソフトメーカーさんとの関係を考えています。
 ハードとソフトの価格バランス,全体としての値頃感なども、実際にマーケットを開拓していく上では非常に重要だと思っています。98の世界はソフトメーカーさんと一緒に築いてきたものですから,そのあたりを十分に考えて,製品を出していこうと思っています。

あまり有用なことは話してなかった。職場環境の未来のことについても普通の発言だった。

DynaBookは私が発売日に購入して使いこんだマシンだった。私の使用体験による考えとどう違うのか記事をスクラップする。
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 ラップトップユーザが思わず「待ってました」と声を出しそうなニューマシンが登場した。ラップトップで独自の地位を築く東芝のブック型コンピュータ,J-3100SSである。J-3100シリーズは,80386,80286CPUを搭載したハイグレードなマシンを中心に,企業ユーザーに人気が高いが,今回のSSは,16bitとしては破格の19万8000円という低価格であり,個人ユーザーをも狙った戦略的なマシンだ。
ラップトップユーザーではない私たちが「待ってました」というマシンだった。私は、Vzエディタを入れパソコン通信とjgawkを入れて使っていた。データを整形し、文字修飾して印字するときはMAXLINKを使ってPC-9801を使いDynabookを外部記憶装置として使っていた。知人は、一太郎を入れてスタンドアローンとして使っていた。
A4ファイルサイズ約2.7kg
 J-3100SSは,フロッピーディスクドライブを内蔵するものとしては,国内では,最初のブック型コンピュータである(写真1).
 本体サイズは,「A4ファイルサイズ」と表現されており,310(W)×254(D)×44(H)mm,A4判よりも奥行きが40mm程度長い.普通の靴なら,たいていスッポ入ってしまう大きさだ。厚さは,本号の厚さが約16mmであるから,これを2.75冊分の厚さということになる.これで,おおよその大きさがイメージできるだろう.従来のJ-3100シリーズ中の最下位モデルであるJ-3100SLよりも,2まわり以上小さく,まさにブック型コンピュータといった印象だ.
 ラップトップマシンとして気になる重量は,約2.7kgである.いわゆるノートワープロのカテゴリに入れてもよい範囲ではなかろうか。同社のノートワープロJW90Bは,313(W)×225(D)×40(H)mm,2.3kgだ。これでフロッピードライブが1台内蔵されており,エントリマシンとしても使える内容となっているというのだから、画期的といって差し支えないだろう.
 画期的といえば,20万円を切る低価格を実現している点も,まさに画期的というべきである.価格でもノートワープロの仲間入りをしそうだが,中身は,J-3100シリーズそのものである.J-3100シリーズは、もともと,同社が海外で発売しているIBM PC互換マシン(Tシリーズ)をベースに、独自に日本語モードを追加したものであるため,IBM PC用の豊富なソフトウェアも使える(別売の英語版MS-DOSが必要)
 日本語モード用のソフトウェアは,16/32bitでトップシェアのPC-9801シリーズほどの豊富さはないものの,一太郎,Lotus1-2-3,TheCARD,MIFESなどがインプリメントされている。ソフトウェア,ハードウェアに何があるかは,ショップで配布されている小冊子「ソフトウェア/ハードウェアダイジェスト」を見てみるのもよいだろう.また,J-3100SSの発売とほぼ同時に(株)クレオから、ワープロ,表計算,カード型データベース,通信,そしてスケジューラなどのデスクアクセサリを統合化したBUSICOMPOが発売された.4万円という低価格ながら,機能は充実しており,まさにJ-3100SSのためのソフトウェアといった感じだ(写真2).


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重量2.7kgだが予約購入特典のショルダーバッグにもなるズック製(?)の鞄に入れて移動する分には全く不満はなかった。また、定価が19万8000円はモニタ付きパソコンとしてはとにかく安かった。
モデム内蔵可能バッテリで2.5時間駆動
 J-3100SSは,CPUに80C86(9.57MHz),メインメモリは1.5Mbytesを標準装備する.このうち,MS-DOSのシステム領域となる640Kbytesを除いた空間は,ハードRAMと呼ばれる領域になり,ハードディスク的な使い方が可能になっている.
 表示部は,バックライトつきのSTN液晶で,青地に白文字の表示となる(反転も可能)薄暗い電車の中や、深夜のバス停など,ところかまわず引っ張り出せるはずだ。当然のことながらバッテリ駆動が可能で,バックライトにもかかわらず,動作時間は2.5時間(FDD10%使用時)となっている.
 キーレイアウトはほかのJ-3100シリーズとまったく同じで,ファンクションキーがスペースの都合で小さくなっている.薄い割にキータッチは配慮されている.
 背面には,RS-232C,外部FDD/プリンタ共用端子,拡張コネクタがある。拡張コネクタの形状や規格はほかのJ-3100シリーズと同等だが,本体内にカードを装着するスペースがないため,本体背面に端子が出ている(写真3).J-3100用の拡張カードなどを接続する場合は,本体から飛び出した形になるようだ。また,モデムを内蔵した場合のためのモジュラジャック用の穴がある。2400bpsのモデムが10月に発売予定とされている.モデム組み込み時のバッテリ駆動時間も気になるところだが,現在のところ明らかになっていない.


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私はバッテリの持ちを長くするためモデムは内蔵させなかった。乾電池で動くモバイルモデムを使っていた。バッテリは予備を買って2個持ちで使っていた。
知人は外付けの5インチFDDを買ってPC-9801へデータを持って行った。
 レジューム機能は素晴らしかった。それがなければ捨てていた。FDDからDOSを起動するともう起動ディスクは要らない、データ保存用のFDに入れ替えて使っていた。ハードRAMにはよく使うユーティリティソフトを置いていた。そうするとスィッチオンですぐに使える状態になり便利だった。
「バッテリがフル充電の状態で約1週間,ローバッテリの状態からは約12時間で消えてしまう。これは、いささか短いのではなかろうか。」とあるが何を言っているのか。ローバッテリになったら充電しろ。ああ、もしかするとニッカド電池のメモリ効果を心配しているのか?それならそう書けよと思う。
1週間実際に使ってみた
 システムには,日本語MS-DOS Ver.3.1,および日本語入力フロントプロセッサのATOKが標準で添付される.ATOK7の辞書はROM化されており,単独でDドライブを構成している.変換速度は,フロッピーディスクに辞書がある場合とは比べものにならないほど速い。なお,学習結果やユーザー登録語は,ファイルに記録される.
 J-3100用に現在販売されている一太郎は,Ver.3であるため,ATOK7では動作しない.そのため,J-3100SSのシステムディスクには,標準で“7TO5","5TO7"というコマンドが用意されており,これによってATOK7の辞書を使いながら一太郎を利用することもできるようになる.また,一太郎Ver.4の発売も予定されている.
 辞書がATOK7用であるのは,ほかの日本語入力フロントプロセッサを利用しているユーザーには,少々残念である。ROM辞書をVJE-βなどで利用できるようにするコマンドなども用意してほしいところだ。
 さて,約1週間にわたって,実際に触り,家と会社の間を往復してみた.使い心地は,J-3100SLに近いが,やはりサイズが小さく,軽い点が大きく印象を変える.約2.7kgという重量は,普段から携帯して歩くというほどの軽さではないが、必要だというときに,とくに意気込むことなく持って出かけられる.ちょっと分厚い資料でも持ったといった感じだ。 プログラムの実行速度は,V30(10MHz)よりも多少遅い程度の数値となるはずである.J-3100用の一太郎は,80286のJ-3100GTでもけっしてビキビ動くとはいえなかった.それが,80C86のSSになって,さぞのんびりしたスピードになるだろうと思って使ってみると,意外やあまり変わらない感触で使うことができた.これは,J-3100の日本語BIOSの特性によるものだろうか.
 MIFES Ver.4.0も使ってみた.カーソルの移動や画面スクロールは,PC-9801シリーズよりもかなり遅い。キーリピートなどの問題もあるが,標準の状態では3倍ほど遅い.ただし,これはクリティカルなホワイトスクロールや稲妻のようなカーソルのフットワークを期待するからであって,むしろPC-9801だけが特殊な文化を持っているというべきなのである.
 普段,80286や80386のマシンを使っているユーザーには、もたつく感触はあるが,ハードRAMを有効に使えば,そのもたつき感はかなり解消されるだろう.何といっても,パーソナルコンピュータならではのデータ処理機能や日本語環境を気軽に持って歩けるということを考えれば,スピードはそれほど気にならないはずだ。バランスの取れた,大きさと重さ,性能,価格.従来のパーソナルコンピュータのイメージを大きく変える1台であることは間違いない.

書いてある通り、遅くて使えないという感想にはならなかった。不思議な感覚だった。まあ、カラーじゃないしな当然かということもあったと思う。大体職場ではまだPC-9801VMが現役だった。
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コンピュータ営業推進部部長の伊藤 修 氏のインタビュー記事をスクラップする。
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31階にJ-3100関連のチームが集結するという,浜松町駅前にそびえる東芝ビルを訪ねた.
伊藤 J-3100を発売したのは1986年の10月ですが,この前年の暮れに,ヨーロッパでT1100というのを出したのが,その原型です.ラップトップという言葉は,翌年に出したT3100がイギリスなどで,そういう呼ばれ方をしたのが最初ではないでしょうか.Lotus1-2-3が動いて,ハードディスクも内蔵できるクラスのポータブルマシンを指したようです.
―― 現在の出荷台数はどれくらいですか.
伊藤 国内、国外合わせて,9月で100万台を超えます.
―― 今回のSSは,Jシリーズの中ではどのような位置付けで,また,どういう市場を狙って設計されたのでしょうか.
伊藤 この製品はラップトップの一部ではありますけれどもラップトップのコンセプトを拡張することで,新しいマーケットを同じくらいの規模で作れると思っています。台数ベースでいえば,単価が安いですからけた違いに伸びるのではないでしょうか.我々は,市場を作ることを常に心がけて今までやってきまして,この新しいブックコンピュータというマーケットも,自社製品がどうというより,どう大きくするかということを相当程度意識してやってきています.SSはまったく新しい,つまりポータビリティを最優先に,同時に個人ユースを狙って作っています。ユーザー層でいうと,ビジネスマンだけではなくて,ビジネスマンでもまだパソコンをあまり使えない人、あるいはたまに触っている人、会社にはあるけど自分では持っていない人.自分で買うほどそんなに必要ではないけれど本当はあったら便利だなと思っているような、そういう個人ですね.
 でも,小さかろう,安かろう.機能が低かろうというのでは,これは絶対受け入れられないということで,J-3100シリーズ互換にして,ソフトも使えるし、ビジネスユースに実用になる.PC/XTなど海外のソフトもちゃんと使えるとい うものにしました。

―― 値段もかなり衝撃的ではないでしょうか.
伊藤 ポータビリティと機能が揃っても.個人で買えるプライスでないとやっぱりだめだという認識がありました。これはいろいろな調査をしましてやっぱり20万を切るというのがマジックナンバーであるという結論になります。この機能なら25万30万で十分であるという意見も当然ありましたが.そうではなくて,つまり、価格もマシンのコンセプトの一部分なんです.
―― SSが狙っている市場というのは,いわゆるパーソナルワープロを使っていて、物足りなくなってきたユーザーを吸い上げようというのでは.
伊藤 それはあまり意識していません。パソコンユーザーはワープロユーザーとは違うと思いますし、パソコンユーザーのニーズを追究した結果がこれであると考えて作りました。
―― ラップトップでは、現在日本電気のUltraLiteのような,小型化をつきつめる方向と、カラー化という流れがあると思うのですが,これらについての東芝のラップトップの方向はどうでしょうか.
伊藤 世界的な視点から見て、事実上の標準というのは3.5インチFDD内蔵のIBM PCだと思います。我々は市場が望むものを提供するというのが基本的な立場ですから、別のメディアを使えばもっと小さくできるからといって,それを今すぐ作ろうとは考えません.カラー化については,すでに3種類試作機を出しています。製品化については価格と品質の釣り合いもありますし、もう少し市場の動向を見ながら考えたいと思っています。
―― どうも有難うございました.
インタビュアーがちょっとピンボケしている。一般ユーザのことを知らない。ワープロユーザのことを知らない。デスクトップを置換するラップトップが欲しいのではなく、一部機能が低くても持ち運べるパソコン、移動先で使える端末が欲しかった。だからDynabookを望んでいた。インタビューを読んで19万8000円という価格はチャレンジングな価格だったんだということを思い出した。25万円ならダイナブックは買わなかった。

単語テーブルにダイナブックのことが書かれていたのでここにスクラップする。
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【ダイナブック】

 東芝から発売されたJ-3100SSには,「Dynabook」という愛称が付けられています.このDynabookという言葉,もとはといえば,現在AppleにいるAlan Kayという人が,10年以上前の論文で用いたものです。こういうふうにいうと,何やらとても難しいもののように思われるかもしれませんが,少しだけ詳しく,その由来を見てみることにしましょう。というのは,このDynabookという言葉には,「理想のパーソナルコンピュータはどうあるべきか」という意味が込められているからです.
 Alan Kayは,1966年,ユタ大学の大学院でFLEXというシステムのプロジェクトに参加しました.FLEXは,米国国防総省のARPA(Advanced Research Projects Agency)の資金援助を受けて開発が進められていたシステムで,視覚や聴覚で得ることができるもの,文章化された記録,絵やアニメーション,音楽などを自由に操作できることを目的としたものでした.
 当時のコンピュータの利用環境は,大型のコンピュータを何人もの人でタイムシェアリング(時間を細かく割って,見かけ上,複数の人がそれぞれコンピュータを占有する方式)して使うことが主流となっていましたが,このシステムは,各人が個人用の強力なコンピュータを持つことを目的としていました。これを説明するのに,「パーソナルコンピュータ」という言葉が初めて使われたのだといわれています.
 その後,彼は,XeroxのPalo Alto研究所というところに移り,FLEXの思想をさらに進めたシステムの開発に携わりました.それは,子供から大人まで誰もが使える,人間が知的な活動を行なうための器ともいうべきもの(Personal Dynamic Media)としてデザインされたものです.やがて,それをノート程度の大きさで実現することが,これに携わる人達の夢となりました。これを,Alan Kayは,「Dyanbook」と名付けたのです.
 Altoというコンピュータがこのプロジェクトで開発されました。彼らは,Altoを,「interim Dyanbook」(暫定的 なDynabook)と呼んでいます。
 この間の経緯は,彼の論文「Personal Dynamic Media」(Alan Kay and Adele Goldberg,IEEE Computer,March 1977)で詳しく紹介されています.
 XeroxのAltoは,高解像度のグラフィックスやポインティングデバイス,音楽の演奏機能などを備えていましたが,当時の価格で3万2000ドルと高価であったこともあり,2000台あまりしか出荷されませんでした.しかし,その後,Xeroxは,Altoの流れを汲む商用機Starを開発しました。この思想は,Appleに移り、Lisaを経て現在のMacintoshに受け継がれています。
 Macintoshに限らず,Altoのシステム環境は,現在のパーソナルコンピュータに多くのものを示しています。オブジェクト指向のプログラミング環境として注目されているSmalltalkも,Dynabookと人間の間の溝を埋めるツールとして開発されたものです.
 このように見てくると,「Dynabook」という言葉の前提として「Personal Dynamic Media」という考え方があり,それは,単に小さいノート程度のサイズのコンピュータを指すのではなく,記号や文字,あるいは絵や音などの情報を自由に扱う,ひいては人間の知識や情緒的な活動を増幅するソフトウェアをも含めたシステム全体を指すものであることが分かると思います.
 暫定的なDynabookから10年以上たち、WIMP(ウィンドウ,アイコン,マウス,ポインタ)を使ったGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)や,アニメーションや音楽を扱うことも一般的になってきました.しかし,Dynabookが目指すところのPersonal Dynamic Mediaにまでは,少し距離があるといわざるをえないでしょう.
 ところで,東芝のJ-3100SS以外にもDynabookという名前を冠せたマシンが,アメリカで発表されました。会社名もズバリ「Dynabook Technologies社」から発売された「Dynabook286」です.名前のとおり80286(16MHz)を搭載しており,本体がいくつものユニットに分かれるというユニークな構成を持ったマシンです。本体にバッテリユニットと液晶ディスプレイを装着した標準的な構成で,重量約6.3kg,本体だけなら2.9kgになるとのことです。
 「Dynabook」は,パーソナルコンピュータの理想的を描いた1つの姿であり,今後ますます話題にのぼることが多くなるかもしれませんね。


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ダイナブックを使っているというのが嬉しかった。J-3100SSじゃ嬉しくない。この記事を読んでマシン名の由来がアラン・ケイのダイナブックだというのが分かりウキウキした。

エプソンのPC286NOTEexective
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スペック的には妥当なんだろうが458,000円は高すぎる。この性能でデスクトップより高いのはないわ。
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セイコーエプソン電子機器事業部副事業本部長の内藤 興人 氏のインタビュー記事をスクラップする。
PC-286シリーズを技術面で育ててきた氏にNOTEを含めた今後をうかがった.
―― PC-286L以降,発表会などではっきりとラップトップを中心にした軽薄短小路線を追求していきたいということをおっしゃってますが.
内藤 いまラップトップとしてLEとLSを出していますけど,LSが予想以上に大きいウエイトを占めています。デスクトップと同じように使えるというラインナップですね.デスクトップの場合ですと,私どもはプロユースのPC-386,PC-286Xといった機種,それからVシリーズ,あるいは3.5インチのUシリーズといった形でラインナップを作っています。それで,ラップトップの場合には,まずポータブルとしてLSを強化しようというイメージがありました。これが,予想どおり,あるいは予想以上に反響が大きい.LSは,ポータブルといっても拡張ボードを2枚まで使用できますから,デスクトップの代替として使うことができるわけです。
―― LEとLS,それにNOTEが加わったことになりますが.
内藤 ラップトップでは、先行して出したという経緯もありますから、そのラインナップを強化することが,われわれの重要な戦略の1つになっています。LSの中でもバリエーションを増やすということが,すでに進行中といった段階です.デスクトップと同じように使えるマシンというのはとくに日本のようにオフィスのスペースが狭いところでは,今後もさらに強化していくことになるでしょうね。そういった中には,カラー化も当然入ってきます。
―― J-3100SSのようなもの,3.5インチFDDがついて,一回り大きいんだけどぐっと安いというようなマンンも欲しいという声も強いと思うのですが.
内藤 当然,私どもにも,東芝さんのような携帯で98のソフトがそのまま走るマシンを作ってくださいという声はすぐあがってくるでしょうね。それに対して私どもは「いやもちろんそういうことは考えています」という話しかいまはできませんけど.
 ただ,J-3100SSの場合は,IBM PC/XT互換ですから,ハードウェア的には98で言えばPC-98LTなんですよ.LTは,23万8000円ですよね.あのクラスのものが,薄型になったということなんです.XTの場合ですとVRAMにしても32Kbytesですから.だからそれができないとかそういうことはないですけれど、要するに事情が異なるわけです。

―― J-3100SSとNOTEでは,目指しているものも違うと思いますが.
内藤 大きさ,重さもありますが、私どものものは本当に使えるソフトをバンドリングしていますからね。普通に使われる用途ならそれで十分,新たな投資をしなくてもできるようになっています。その意味でも.いままでにまったくなかった環境を提供しています。東芝さんの場合は,従来のラップトップにより近いですよね。それと、ワープロユーザーなどのマーケットを喚起するかもしれませんが.
 デスクトップと同じように使えるポータブル,そして,ヘビーユースのACコードのないところでも使える,あるいは停電対策,異常対策になるようなLEの延長のものや、NOTEのようなトゥルーラップトップですね.全体としては3系統に分かれてくるでしょう。ですからLEタイプ,LSタイプ,それからNOTEの範疇に属するもの。そういったものが,それぞれ技術の進化とともに中身も進化していくことになると思います。

とにかく価格が全てだったと思う。

まとめ部分をスクラップする。
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超軽量マシンの技術動向
 パーソナルコンピュータという言葉が初めて使われたのは,1968年のことだという。パーソナルコンピュータは,誰でもが使え、持って歩けるものと考えられ(377ページ「単語テーブル」参照(前記ダイナブックのスクラップ))。その意味で,持って歩くことのできないデスクトップマシンは,まだ未完成品であると見ることもできる.
 ラップトップ,拡張性や表示機能が制限される.それをカバーしようという方向が,PC-9801LX5Cによるカラー化や,PC-286/386LSによる拡張スロットの装備であるわけだ.しかし,別の部分,ポータビリティを高めることで,デスクトップとは違った形で理想のパーソナルコンピュータに近付けることもできるのではなかろうか.
 ラップトップマシン本来の方向である,小型軽量化の技術動向について見ていくことにしよう.
 外部記憶装置の小型化,あるいはICカードの採用などを別にすれば,まずあげられるのは,カスタムゲートアレイなどによる実装デバイス数の低減だ.最近のマシンでは,これは常識化してきているわけだが,ラップトップではさらに集積化をすすめる必要がある。従来のパーソナルコンピュータは,CPUとメモリを中心に,論理素子と周辺I/Oデバイス(プリンタ用の8255,シリアルI/O用の8250や8251など)を組み合わせて基板を構成していた.しかし,最近のラップトップでは,CPUやメモリを見つけることはできても個々のI/Oデバイスを発見することは難しい。1円切手程度の大きさの黒いゲートアレイと,それを4分の1に分割した程度の大きさのメモリがいくつか見られるだけである。これらのデバイスは表面実装パッケージといわれており、従来のDIP(デュアルインラインパッケージ)に対して実装面積と高さの上でかなりの小型化が達成されている.
 さらに,ポケットコンピュータのクラスでは,シリコンチップのまま基板に接着し,その段階でチップ間のボンディング(シリコン上の端子と金属の足の間を金属の線で接続する)を行なうものも出てきている。つまり、通常のICでは個別のチップ単位で,リード(ICの足)とチップ間のボンディグを行ない,その後セラミックやプラスチックで被う(モールドする)。そして、個々のデバイス間の電気的な接続は基板に実装した後にパターンを介して行なわれる.それが,この手法では,チップ間の電気的な接続を基板を介さずに行なうものであり、基板上でパターンの占める面積が不要になる.
 携帯型コンピュータでは,低消費電力も大きなテーマとなる.内部回路の消費電力を抑えるための手段として,Poqet Computer社のTHE POQET PCでは,画期的な技術が採用されているという.それは,BIOS化されているソフトウェアによるダイナミックな電源制御によるものである.THE POQET PCでは周辺装置とのインターフェイス用デバイスはCPUと密に結合したゲートアレイによって実現されている.アプリケーションがキーボードの入力待ちになると,その時点でのCPUのコンテキストが保存される.そして、実際にキーボードとのインターフェイスを制御するゲートアレイは,CPUその他の電源をOFFにしてしまうのである。RAMにはバックアップ用の微小な電流が供給され,液晶に対しても表示保持用のためだけの電流が与えられる.つまり,THE POQET PCがキー入力待ち状態に入っまた段階で,主に電力を消費するデバイスは、キーボード入力などの外部事象を監視するためのゲートアレイだけになるのである.THE POQET PCでは,キーボード以外にもさまざまな要因に対してこの省電力機構が実現されているという.
 パーソナルコンピュータの小型、軽量化は,とくにカスタムゲートアレイによる集積度の向上を中心に急速に進みつつある。外部記憶装置として何を採用するか,外部I/Fをどこまで持つか、あるいはキーボードや表示ディスプレイのサイズなどによって決まるようになりつつあるともいえる。このような背景で,どのようなマシンがデザインされるのか、これからが楽しみなところではなかろうか.


編集室からをスクラップする。
カラー液晶マシンの登場
▲今月号の特集でも詳しくレポートしたが,ここにきてラップトップの新製品発表が相次いでいる。そのポイントの1つは「超軽量」とでも呼ぶべき小型・軽量化への動き,そしてもう1つはカラー液晶の搭載である.
▲「超軽量」タイプのマシンが東芝,セイコーエプソンからそれぞれ発表されたことはすでにお伝えしたが,もう1つのポイントであるカラー液晶ラップトップコンピュータが日本電気から発売になった.8月号のスペシャルレポートで「見えてきたカラー液晶」という記事を作っているときには今年の秋口から暮れにかけての商品化を想定していたのだが,予想に反する速攻といっていいだろう.カラ一液晶ラップトップは春のビジネスショウで各社から参考出品されていたので,今後続々と製品化されることが予想される.
▲実際にカラー液晶搭載のラップトップに触れてみると,初めのうちこそさまざまなソフトを動作させたくなるが,慣れてくると,あたかもそれが当然のように感じられてくる.それもそのはずで,見方を変えればデスクトップでは普通のことがラップトップでも可能になっただけだと考えられるのである.
▲とはいえ,この「ただそれだけ」的なさりげなさがラップトップの普及に対して果たす役割は小さくないだろう.今まで,ラップトップといえばモノクロという印象が強かったが,カラー液晶技術がこのまま進歩すれば,いずれはラップトップもカラーが当たり前の時代がやって来るのではないかPC-9801LX5Cで採用された2層STN液晶も実用には十分であるが,TFT液晶のコストの問題が解決すれば,パソコンのディスプレイは液晶が当然という時代がやって来るかもしれない.
▲パーソナルコンピュータとは,その名が示すように、本来極めて個人的に利用できるコンピュータのことを指す。今月号から始めた「単語テーブル・わからない・わかった」のDynabookの項でも解説したが,それは小さいことが望ましく、また当然,カラー表示であってほしいのである.
(土田米一)

ディスプレイのカラー液晶化は予測というか予想どおりになったのだが何年も時間がかかった。ASCIIをスクラップしていくとカラー液晶生産技術の進歩が分かると思うので楽しみだ。

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業界の動向,パソコン,ワープロ他(月刊ASCII 1989年9月号2) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSの記事をスクラップする。

米国ハイテク産業の動向
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■Macintoshの新機種,発売間近
 8月のMacWorldExpoを控えて,Apple社の周辺が騒がしくなってきた.
 まずはラップトップMac.ラップトップバージョンのMacは,長い間その発表が期待されてきたが,現在に至るまで正式な発表はなされていない.しかし,最近の同社周辺の動きをまとめてみると,9月20,21日の両日にサンフランシスコ市内のユニバーサルアンフィシアターで予定されている同社のイベントで発表される気配が濃厚だ。つい最近までは,MacWorldExpoで発表されるものと予想されていたが,9月のこのショウまで延期されそうな雲行きである。
 業界では,このラップトップMacの重量は14~19ポンド(6.3~7.7kg)になるものとみており,その重さから,最近ではポータブルMacという呼び方が定着しつつある.価格は,2MbytesRAM,40MbytesHDDの構成で6500ドル程度になるものとみられている。
 もう1つの新機種は,クロック周波数25MHzの68030を搭載したMacIIci.マザーボード上に配置されたグラフィックスコントロール専用チップにより,従来の1/2/4/8bitビデオのすべてのモードでの表示が可能となっている.IIcxの上位機種に相当するこの高速バージョンのMacは,価格的にはIIcxよりも15%ほど高めになる。たとえば4MbytesRAM,80MbytesHDDを搭載したモデルの価格がだいたい8100ドル程度。ちなみに,IIcxは同様の構成で7000ドル程度である.MacIIciも,ポータブルMacと同様9月に発表される予定.
 その他、従来機種のマイナーチェンジとしては,1.44MbytesFDDを搭載したSEがある.価格は据え置かれる予定.これは多分MacWorldExpoで発表されると思われる.
 サードパーティによる高速アクセラレータボードの開発も盛んだ.33MHz/030アクセラレータボードを開発したDayStar社はMacWorldExpoで50MHz/030バージョンの出展を予定している.ボード上には32Kbytesのキャッシュメモリ(25ns)が載っており,IIcxに比べておよそ2~3倍の高速処理を実現する.
 また,同社は25MHz,40MHzの低価格バージョンも同時に開発.価格はII用,IIcx用とも,2395ドル(25MHz),4995ドル(40MHz),5995ドル(50MHz)の予定.

■Apple社,RISC搭載マシンを開発か?
 50MHzの68030が出てくると,CISCチップも来るところまで来た,といった感じがする。事実,50MHz/030が最後のCISCチップともいわれており,世の中の流れはRISCへと傾いている.すでにワークステーションの分野では,RISCチップを搭載したマシンが主流になりつつある.
 Apple社内で,RISCチップを用いたマシンの研究がすでに始まっているとしても不思議なことではない.その動きの1つとして,すでにApple社内ではRISCチップを搭載したQuickDrawアクセラレータの試作が完了したといわれている.Macでは,メインCPUである680X0がQuickDrawの処理を行なうため,CPUパワーのかなりの部分をウィンドウの表示やアイコンの処理などに費やさなければならなかった.QuickDrawが1bitの画面表示,すなわち白黒のみの表示を行なっているときはそれでまだよかったのだが,MacII以降8bitカラー(256色)が表示できるようになり、最近では32bit(24bitをカラー情報として扱う)表示さえできるようになるなど,CPUの負荷はますます大きくなってきている.
 QuickDrawアクセラレータは,この部分をすべて他のハードウェアで置き換えようというものだ。このボードにはAMD社のAMD2900(25MHz)が用いられているといわれている.QuickDrawをRISC搭載ボードで置き換えようとする同様の動きは,サードパーティにも存在する.Mac用カラービデオボードおよびディスプレイを開発/販売するRadius社のQuickColorがそれだ.同社によると,32bitQuickDrawの一部のファンクションをボード自身が行なうことにより,約6倍の高速処理が可能になるとしている.ボード上にあるカスタムRISCチップは,NuBusのブロック転送モードでVRAMへの読み書きを直接行なう.このボードはMacWorldExpoに出展される予定.価格は795ドル。
 2番目の動きは,Motorola社のRISCチップ88000をメインCPUとしてApple社の次世代システムを構築しようというもの。先頃Motorola社は,Apple社に対して20MHzおよび25MHzの88000の供給を開始した,と発表した.Apple社はこれに対し,88000をRISC研究用チップに選んだ点は認めているものの、「RISCマシンの研究は始まったばかりで,(将来的に)RISCベースのパーソナルコンピュータを発表するかどうかは未定」としている。同社でこの手の研究を行なっているATG(AdvancedTechnologyGroup)部門でも製品化にはさらに24ヵ月以上を要するとしており,現時点では研究の域を出ていないことを強調している.
 しかし,こうした一連の動きは,少なくともApple社がRISCチップに非常に興味を持っていることを示すものだ。またそのRISCチップがMotorola社の88000であることも明らかになってきている。RISCを搭載したMac,あるいはまったく新しいアーキテクチャのマシンが発表される日も意外と近いのかもしれない。
(ザイロンコーポレーション代表 脇山 弘敏)

予想が当たったか外れたかを検証したいのでスクラップしている。「50MHzの68030が出てくると,CISCチップも来るところまで来た,といった感じがする。事実,50MHz/030が最後のCISCチップともいわれており,世の中の流れはRISCへと傾いている.」これはこの後Pentiumのクロックがそれを越えていくから外れているはず。100MHz超えはいつだったかスクラップしている現在思い出せない。Pentiumの記事が出てくるのが楽しみ。

ウィンドウソフト裁判でAppleが逆転敗訴
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Appleがウィンドウ表示タイプのソフトはAppleのものだという争い。ソフトのアイデアに著作権があり他社は同類のソフトを出せないというのは違和感がある。
結局どうだったのか。
関連する過去のスクラップを再掲する。
業界・ソフト関係(月刊ASCII 1988年6月号5) 米国ハイテク産業の動向
■Apple社とMicrosoft社に見る米国著作権事情
 Apple社が,Microsoft社のWindows 2.03とHP社のNewWaveをMacintoshの著作権侵害だとして訴えを起こしたことは先月号で報じた。これに対してMicrosoft社は、Apple社の訴訟申請が同社の利益を損なったとして逆提訴した.Microsoft社によると,1985年の両社間の合意では,Windows1.0に対してApple社はすべての権利を放棄したはずだという.  今回の件に限らず,著作権や特許権をめぐる紛争は米国では日常茶飯事で,「奴らが訴えてきたら,こちらは別件で逆に訴えてやる」という動きが必ず出てくる.こうした訴訟の応酬は,一般ユーザーに対するアピールという側面が強い.したがって,訴訟が起きても法廷で最後まで争われることはごくまれで,途中で示談になるケースが非常に多い.今回のApple社の訴訟は,IBM PC/PS2へのWindows型ユーザーインターフェイスの浸透を少しでも遅らせることが目的であるといわれている.


米Apple社と米Adobe社の関係が決裂か?
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AppleがPhotoshopとかのソフトではなくPostScriptへの依存度を減らそうとしていたのか。ただ、Appleのページ記述言語は結局どうなったのか。

横河HPと日本アポロコンピュータが11月に合併へ
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アポロコンピュータはなじみがない。
合併で日本国内のワークステーションは35%(13万350台)となる。日本国内のワークステーションはこんなに少なかったのか。

米シリコンバレーの売り上げトップ企業は米HP社
ASCII1989(09)b16シリコンバレー売上トップ企業_W501.jpg
メモしておく。Apple Computerが40億7100万ドル。

AJが日本語版Macintosh II cxなどを発表
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アップルジャパンをAJと略した記事をここで初めて見た。

カテナがCompaq社製80386AT互換機を販売
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カテナという会社の記事をここで初めて見た。

マイタックジャパンがPS/2互換機などを発売
ASCII1989(09)b09マイタックジャパンPS/2互換機_W520.jpg
マイタックジャパンという会社の記事をここで初めて見た。

日電,オフィスプロセッサに32bitラップトップを投入
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オフィスパソコンとかワークステーションではなくオフィスプロセッサというのをここで初めて見た。

理経,米E&S社のスーパーコンピュータを販売
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理経という会社の記事をここで初めて見た。

三菱,英文字認識できる光ニューロコンピュータを試作
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どこがどう凄いのか分からない。文字認識つまりOCRソフトに光ニューロコンピュータが必要だと思い開発したのかが分からない。
英文字のOCRの実現に「実用化には4,5年かかる」には少しびっくりした。OCRそれも日本語ではなく英文字についてもそんなに難しいことだったのか。スーパーコンピュータが出てくるというのもびっくり。34年前のスーパーコンピュータがそんなに能力が低かったのか。今のパソコン以下だったのか。

以下ワープロの記事を5件続ける。

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書院WD-A330の価格は18万5000円。

シャープ,ワープロ書院シリーズに新機種を投入
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書院WD-HL30の価格は19万8000円

リコーがプリンタを共有できる日本語ワープロを発売
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L100の価格は23万8000円

松下が9インチCRT搭載の日本語ワープロを発売
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FW-U1PRO151AIの価格は11万円

東芝が12インチCRT搭載の日本語ワープロを発売
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JW-230の価格は19万8000円
34年前日本語ワープロの新発売が続いていた。終わるのはいつかスクラップを続ける。

以下CPU,RAM等の記事をスクラップする。
日本電気が16bitMPU2種をサンプル出荷
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V40/50をベースにしたμPD70250,μPD70260。Vシリーズは好きだったが、パソコンにはV30しか主流になれなかった。

日本電気が16bitワンチップマイコン2種を開発
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78K/IVファミリー。これは知らない。

米Motorola社,33MHzの88000RISCチップを発売
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三菱が4MbitSRAMモジュールを発売
ASCII1989(09)b05三菱4MbitSRAM_W520.jpg
MH51208TNA

富士通が256KbitECL RAMを発売
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MBM10C504

米IBM,4MbitDRAM採用のメモリカードを発売
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ハードディスク関係の記事をスクラップする。
アイテム,PC-9801EX2/ES2専用内蔵HDDを発売
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40MbytesのHyperDisk E40Eが13万8000円。

アイテム,PC-9801R/VM用内蔵HDDを発売
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PC-9801VXシリーズが無くPC-9801RA2/RX2/RL2/VM11用だった。
40MbytesのIT RH-40が14万8000円。

ロジテックが9800用のHDDとストリーマを発売
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80MbytesのHDDであるLHD-38VSが24万8000円

ランドコンピュータ,データ共有可能なHDDを発売
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LANが普及していなかった時代複数のパソコンで同時に使えるHDDの需要があった。

理経がMacintosh用リムーバブルHDDなどを発売
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知らない会社の理経が発売。

ヤマハ,HDD用の高性能薄膜ヘッドを開発
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HDDの大容量化はこういった技術の発達による。

キヤノンが光カードシステムを開発
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目にしたことのない知らない製品だ。

トーキン,PC-9800/286用FDコンバータを発売
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トーキンも知らない会社だ。このコンバータの意義が分からない。私達の間では外付け3.5インチドライブを買うのが普通だった。

シミュレーター画面を使ったコントローラシステムが発売
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34年前すでにVR技術開発は始まっていた。

三洋電機,手書き漢字入力が可能な電子手帳を発売
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EN-1は128×64ドットのSTN液晶で価格は2万2800円。

米Motorola社,腕時計型ポケットベルを開発
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後のApple Watchである。

米ウイルス事件容疑の学生ハッカーを起訴
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国防総省のコンピュータをハックしたという大事件。今こんな事件が起きたらどうなるのだろうか。

ボイジャーによる海王星観測を日米共同で
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このときまだボイジャーは海王星へ向けて飛行?中だった。

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パソコン広告(月刊ASCII 1989年9月号1) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

もう一度読み返し、スクラップする。

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裏表紙はFM TOWNSだった。前号と同じだった。

表紙見返しの広告はこの年もNECが独占した。
ASCII1989(09)見開_W520.jpg
ラップトップだけの広告だった。それでも5機種もある。

この号も以下NECのパソコン広告が消え、代わりにプリンタの広告だった。
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NECのモデムの広告。前号で小沢なつきが消えたが、この号で復活した。

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右頁がIBMのパーソナルシステム/55とOS/2の広告。

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X68000は前号の使いまわし。

ASCII1989(09)a06PanacomM_W520.jpg
PanacomMは前号の使いまわし。

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左頁がコモドール社Amigaの広告。
AMIGA500 CPU 68000, FDD 1, RAM 512KB, 価格 129,800円
AMIGA2000(TYPE A) CPU 68000, FDD 1, RAM 1MB, 価格 269,800円
AMIGA2000(TYPE B) CPU 68000, FDD 1, HDD 20MB, RAM 1MB, 価格 409,400円
AMIGA2500 CPU 68020, FDD 1, HDD 40MB, RAM 3MB, 価格 699,800円
思いのほか高い。

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左頁がAppleの広告。前号の使いまわし。

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TOWNSは前号の使いまわし。

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TOWNSのソフト募集広告

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南野陽子の富士通FF77AV40SXは前号の使いまわし。

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富士通のFMRは前号の使いまわし。
OS/2の時代は来なかった。

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エプソンのラップトップは前号の使いまわし。

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PC-286VFは前号の使いまわし。

以下キヤノンの広告が続く。
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LASER SHOT

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NAVIは前号の使いまわし

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Macはアップルとキヤノンの共同広告は前号の使いまわし。

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キヤノンのAXマシン。AXiは前号の使いまわし。

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キヤノンのバブルジェットプリンタの広告は前号の使いまわし。

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SONYのQuaterL「買うたれ」の広告は前号の使いまわし。

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SONYのNEWS

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SONYのNEWS

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OMRONのLUNA

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東芝のDynaBook

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日立のB32GX

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エクセルの広告

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一太郎の広告

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花子の広告

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ジャストシステムの広告

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左頁がオーシャノグラフィの広告。以下漫画部分をスクラップする。
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ツクモ電機の広告。パソコンショップでASCIIのカラーページに広告を掲載しているのはツクモだけだった。

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裏表紙裏はFUJI FILMのフロッピーディスクの広告。前号の使いまわし。

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カラー液晶(月刊ASCII 1989年8月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特別レポート「見えてきたカラー液晶」液晶表示デバイスの歴史とカラー化技術
をスクラップする。
ASCII1989(08)f01特別カラー液晶_W520.jpg
ASCIIはこうした先端技術の特集記事が読み応えあった。

液晶表示デバイスの歴史は1888年にさかのぼる
 液晶が表示デバイスとして我々の身近に登場したのは,1970年代中頃のことだ。当時の液晶表示装置といえば,電卓やデジタル時計に採用された,いわゆる「セグメント方式」と呼ばれるもので,数字しか表現できなかった.
植物学者が液晶を発見
 液晶そのものの発見は,1888年にさかのぼる。オーストリアの植物学者ライニッツァが,液体と固体の中間の性質を示す脂質を植物細胞の中から発見したのが最初である.この物質は,液体のように流動性を持つにもかかわらず,その中で分子が規則正しく並ぶ結晶状態にあるこ「とから,「液晶」と名付けられた。1964年になって,米国のハイルマイヤーらにより,この液晶物質が偏光した光の方向を曲げることが明らかにされ,なおかつ,その特性が電圧をかけることで消滅することも発見された.
 この偏光方向を曲げる性質と,偏光板を組み合わせることで,電圧のオン/オフによって光の透過を制御できることが分かった。電気的な操作で光の通過/不通過を制御する「光スイッチ効果」こそが,液晶を表示デバイスとして実用化せしめた技術なのである.

数字・文字から画像へ
 1974年頃になって,表示デバイスに液晶を使った各種製品が登場する。時計や電卓に使用されたTN(Twisted Nematic)液晶(棒状の液晶分子を90度ねじるように配置し,電圧をかけた時に光を通過させる方式)は,数字しか表示できなかった7セグメント液晶素子から,関数電卓などに使われている,英文字・カタカナ・数記号が表示可能な,5×7ドットマトリクス液晶へと発展していく.
 1980年代に入って、光のオン/オフ反応の高速化や表示画素の小型化,液晶パネルの大型化が促進され,文字・数記号だけでなくグラフィックスが表現できるTN液晶や,STN(Super Twisted Nematic)液晶が開発され,モノクロTV,日本語ワードプロセッサなどの製品が登場するようになる.

アクティブマトリクス方式の誕生
 RGBのカラーフィルタをこのTN/STN液晶に付加して,カラー化を実現した小型カラーテレビが,1980年代半ばに 登場する.
 同時期に,テレビディスプレイ用として,より鮮明でより反応性のよい液晶方式が実用化された。これが,TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)液晶やMIM(Metal Insulator Metal)液晶に代表される「アクティブマトリクス駆動方式」の液晶である。アクティブマトリクス液晶を使った小型カラー液晶テレビは,画質という点では,TN/STN液晶をはるかに凌いでいる.
 一方,OA機器におけるカラー液晶は,昨年秋にセイコーエプソンがカラー液晶を搭載したラップトップコンピュータを発表したのが最初である.これは,PC-286LEの表示部にMIM液晶を搭載したものであった。
 その直後に,日立製作所がPC/AT互換ラップトップに6.3インチのTFTカラ一液晶を搭載し発売する,との発表をした.同ラップトップは,今夏からヨーロッパで販売を開始する.
 ここ数年で,液晶をめぐる技術は格段の進歩をとげた。画像の高品質化,パネルの大型化,反応速度の高速化,これら3つの液晶基本技術に加え,カラーフィルタの蒸着/染色技術の進歩が,カラー液晶を搭載したマシンの基礎となっている.
 次章からは,コンピュータの表示デバイスとしては,最有力候補と考えられている2種類の液晶,「単純マトリクス方式の2層STN液晶」,「アクティブマトリクス方式のTFT液晶」を比較しながら,残る問題点についても見ていくことにする。


ASCII1989(08)f02特別カラー液晶図_W520.jpg
ただただ懐かしい。
そういえば7セグメントで無理やりアルファベットを表していた日立のH68/TRというトレーニングキットのシングルボードマイコンがあった。
H68/TR
どんな表示だったか画像がない。似たものが
黄色 LED デジタル数とアルファベット記号セット グラフィック アイデア デザイン コンセプトの黒い背景に 7 セグメント型の - イラスト素材
にあった。16進文字は同じだと思うが、他は似てるだけで多分違うだろう。

液晶表示の原理は「光のスイッチ」
 カラー液晶について解説する前に,基礎技術である白黒液晶技術についてまず見ることにしよう.
 液晶を使った表示デバイス技術を理解するためには,光の偏光についても知る必要がある.電磁波である光は,波の性質を持つことが知られている.自然界一般にあふれる光(可視光,その他)は,あらゆる振動方向を持つ光で構成されているが,偏光とは,その方向が水平方向や垂直方向など一定の方向に偏った光のことである.電圧をかけない状態のネマティック液晶物質(表1)は,この偏光をねじ曲げる性質を持っている(図1)。この液晶物質に,一定の電圧をかけると分子の方向が電気的にそろえられ,偏光をねじ曲げることなく通過させるようになる(図2)。液晶分子の電気的特性と,光の波長以下の非常に細いスリットを持つ偏光板を組み合わせることで,電気的なオン/オフが,光を通したり通さなかったりする光のスイッチに置き換えられるわけだ.
 この1個1個の光の点滅を,平面上に展開したものが,液晶を使った表示デバイスなのである.

 
表1 液晶物質の種類と特徴
種類 性質 主な用途
ネマティック 分子配列の規則性が最も低く,流動性に富む.
電圧によって分子配列が変化.
各種の電圧制御の表示デバイス
コレステリック ネマティック液晶の分子の長軸方向がラセン状にねじれている。
温度によって分子配列が変化.
液晶温度計,乾電池チェッカ
スメクティック 配列の規則性が最も高い.流動性は低く,グリース状.
強電界,磁界で分子配列が変化。
強誘電性の表示デバイス
液晶の性質を示す物質は約2000種類が知られているが,分子配列により3種類に分類される.表示デバイスに使用される液晶は,現在,国内外を含め4つの原料メーカーが十数種を生産し,デバイスメーカーは,各用途(反応性重視や,コントラスト重視など)に対応した数種類をブレンドして使っている。そのブレンド比はメーカーによって異なる.

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図1 電圧をかけない状態の液晶.非電圧状態の液晶では,分子の配列方向がねじれているため,偏光が曲げられる.

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図2 電圧をかけた状態の液晶.電圧をかけると,液晶分子が電流の方向にそろえられ,偏光はそのまま通過する.

大型化への壁

 初期の文字数記号のみが表示可能なマトリクス液晶モジュールでは,1文字のドット数はせいぜい5×7の35個であり液晶セル(白/黒に変化する最小単位)への電圧のかけ方も,個々に直接電極をつなぎ、駆動するだけでこと足りていた.
 しかし,グラフィックスが表示できる大型のマトリクス表示液晶の場合,画面のドット数は桁外れに大きくなる。たとえば,3インチ画面の小型液晶テレビの場合,画面のドット数(解像度)は400(W)×240(H)となり,9万6000個の液晶セルを電気的に制御しなくてはならない。また,パーソナルコンピュータなどOA機器向けの液晶デバイスでは,画面の解像度も640(W)×400(H)ドット(あるいは640×480ドット)となり,液晶セルの総数も30万個を超える.
 さらに,カラー液晶ともなれば,RGB各色に対応した液晶セルが必要になり,白黒液晶の3倍,100万個に近いセルを,正確に,かつ高速に駆動しなければならない.これが,大型カラー液晶デバイスを実現する際に,目の前に立ちはだかる壁になっている.

今でも解説を読むとよくもまあ液晶ディスプレイをここまで進化させたものだと思う。技術者という人たちの努力に尊敬の念を覚える。

2層STN液晶

技術的には確立、コスト面で有利
 縦方向と横方向に並んだ帯状の電極の間に液晶物質をはさみこみ,電圧をかけることで,液晶分子の配列を変化させるのが、「単純マトリクス(デューティ)」駆動方式と呼ばれるものだ.この方式は,縦軸方向と横軸方向に配列された数百本の電極に,電圧パルスの時間差(デューティ)を利用して,1本1本走査するように,各々の交点となるマトリクス部分に順番に電圧をかけていく(図3).
 この方式の欠点は,液晶セルの電極が独立していないため,電圧が干渉して隣の液晶セルまでが反応してしまうことだ。これは,液晶を高解像度にすればするほど起こりやすくなっていく.
 電卓や時計などに使用されているTN液晶は,この方式を採用したものだ。TN液晶よりも,液晶分子の配列ねじれ角をより大きくとって,コントラストを高めたのがSTN液晶である.液晶分子の配列角度を大きくしたことで,電圧を切った瞬間に起こる液晶分子の再配列に,より長い時間が必要となってしまった。これは,明暗反応速度の鈍化を意味する.また,液晶分子のねじれ角を垂直ではなく中途半端(220度または240度)に設定したため,光の干渉作用を招き,パネルの本来黒く表示されなければならない部分が,薄緑色や薄オレンジ色に染まってしまうという現象を引き起こしてしまった.
 このSTN液晶の着色現象を解消する目的で開発されたのが,「2層STN(2層STN方式の液晶については,開発各社によって,DST/DSTN(Doubole-STN),NTN(New-TN)など呼び名が異なる.)「液晶」である.
 2層STN液晶とは,STN液晶での全体着色を防止するため,まったく逆のねじれ角を持った補償用の液晶板と偏光板を,メインの液晶板の真上に重ねて配置したもので,光の干渉を互いに相殺して元に戻すことにより,ベース色の黒色化を実現している.
 しかし,よいところばかりというわけでもない。液晶を2枚重ねたため,デバイス自体が厚くなってしまう.また,1枚でさえ透過性の悪い液晶板をさらにもう1枚重ねるわけだから、全体に暗くなりコントラストが低下する。コントラストの問題については,後ろから光を当てる「バックライト方式」の採用によって解消されるのだが,その分,表示モジュールの薄型化,軽量化,低消費電力化を妨げている.
 つまり,2層STN液晶では,新たに視認性,小型化という問題が発生したのだ。


ASCII1989(08)f04特別カラー液晶図3_W520.jpg
図3 STNカラー液晶
 液晶シャッタの原理で、縦横の電極の交点上の液晶が,偏光に対し透明になったり不透明になったりする.カラー液晶の色付けが行なわれるのは最終的な段階で,RGBのカラーフィルタを通過した結果による.
 図では偏光のねじれ角を90度に表現してあるが,実際のSTN液晶では液晶分子のねじれ角を90度以上(220度もしくは240度)に調整してある.また,この図では,2層STN液晶の補償用液晶板は省略してある.

カラー化に際しての問題点

 さて,バックライト付きの2層STN液晶で,高コントラストの白黒2階調表示ができることは分かった.
 白黒液晶をカラー化するためには,RGBのカラーフィルタを液晶セルにかぶせる必要がある。このカラーフィルタは,染料で色付けされた有機物でできているのだが,カラーフィルタを作るのに最適な有機物は固定化していない.
 そして最大の問題点が,このカラーフィルタをガラス板と電極の間に蒸着するための技術だ。電極間の距離を均一に保たないと,液晶表示の濃度にムラが出てしまう。通常の白黒液晶の場合でも,大型化に伴いガラス表面を平らにするための精密加工などが必要になってきている.カラー液晶の場合は,ガラス板と電極との間に,カラーフィルタがはさまれることになる.カラーフィルタは,前にも述べたように有機物でできており,柔らかい物質である.電極間の距離を一定に保つのは,白黒液晶よりも非常に難しくなるわけだ。
 そのほかにも,液晶表示モジュールを薄くするために,電極間の距離を短くすることなどが必要である.モジュール自体が厚いと、視野角が狭くなってしまうためだ。
 しかし,全体的に見れば,これらの技術はすでに確立されたものが多く,技術の精度を上げるということが今後の課題となっているのである。

階調表示は?

 今のところ,2層STN液晶では8色表示が主流である.8色というのは,RGBのオン/オフによるデジタルRGB表示だ.64色とか256色といった多色表示をするためには,RGBそれぞれを階調表示しなければならない。白黒液晶では,8階調あるいは16階調表示が実用化されているが(図4),カラーの場合、その精度がより厳密に要求される.また,カラーで階調を表現するためには,ドライバLSIやコントローラを新たに設計しなおす必要がある.
従来技術の利点と欠点を合わせ持つ

 STN液晶のカラー化技術は,格子状の電極など,電気的な制御部分が単純な半面,液晶分子のひねりを大きくしたり,カラーフィルタの蒸着技術が高度であったりと,液晶板そのものが複雑であるといえる.
 2層STNカラー液晶は,STN液晶の技術の精度を上げることによって実現したものだ。そのため、生産技術などの面では,技術が確立されており,比較的低コストでの生産が可能となっている.逆に,反応速度や視野角,ドット間の干渉などの欠点を有している.

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図4 2層STN液晶の階調表現
 2層STNの場合、階調表示は各電極の交点にかける電流の時間の長さの差を利用している.STN液晶では分子が電圧をかけられたと同時に反応するのではなく,徐々に反応するため、電流の流れている時間によって濃度に差が生じる.

カラーTFT液晶

画質は文句なし、問題はコスト

 もう1つの液晶駆動方式が,「アクティブマトリクス」駆動方式と呼ばれるものだ.これは,トランジスタまたはダイオードをガラス板上に積層形成し,それらの素子の増幅作用によって,個々の交点の液晶セルに,直接電圧をかけることができるものだ。この方式では,STN方式で起こった電圧の干渉作用が起こることがなく、より発色のよい画像を得ることができる.
 STN液晶とは好対照だが,TFT液晶では液晶板そのものは非常に単純な作りとなっている.その代わり,電気的な回路が非常に複雑になっている。液晶のねじれ角は90度とTN液晶と同一で,これがTFT液晶の大きな特徴の1つである反応速度の速さを実現している.
 アクティブマトリクス駆動方式液晶には、電圧増幅素子の違いにより2つの方式に分かれる.各液晶セルの電極ごとに,トランジスタを積層したものがTFT液晶(図5),その素子をダイオードに置き換えたものがMIM(Metal Insulator Metal)液晶である.
 TFT液晶とMIM液晶を比較すると,MIM液晶のほうが製造工程が少なくてすむため、コスト面では有利だ。ただし,画質という点ではTFT液晶がやや勝っている.小型カラー液晶テレビは,すでにTFT液晶が主流になりつつある.しかし,コンピュータなどのOA表示装置として見た場合,今後数年間のうちにTFT液晶を実用化するのは無理だろうと,各メーカーでは考えている.何が問題になっているのだろうか.


ASCII1989(08)f06特別カラー液晶図5_W520.jpg
図5 TFTカラー液晶
 液晶物質の背面に配線された電極が,交点に積層されたトランジスタを直接駆動する.液晶物質の前面には金属薄膜の平面電極があり,電圧をかけられた液晶分子は前後に整列し光を通す.
 カラーフィルタの配置にも種々の方式があり,下図では代表的なものをあげた.実質的には2個以上の電極が色のフィルタに対応しており,電極の1つに欠陥があっても,色を表現できるよう工夫されている.

製造技術はLSIと同一

 問題は,コストが高すぎるのだ.大型(10~14インチ)のカラーTFT液晶も,研究室レベルでは製造できるのだが,量産となると話は別になる.ちなみに,現時点での価格は「値段がつけられない」(メーカー担当者)ほど高価だという.
 TFT液晶の製造プロセスで一番難しいのは、いうまでもなくトランジスタの積層化だ。このトランジスタ積層化技術は,基本的にはLSIの集積技術と同一のもの.大きな違いは,その面積だ.LSIの場合,集積化する面積は5×5mm程度.TFT液晶の場合,200×270mmとLSIの約2000倍の面積となる.そして,1個の素子にでも欠陥があった場合、その液晶は使うことができない。
 テレビのような動画像を扱う場合であれば、少々の素子に欠陥があっても,画像の速い動きが助けとなって、あまり問題にはならなかった.しかし,細かな文字・記号・数字を静止画像で映し出さなくてはならないコンピュータ用表示デバイスとしては,ドット1個分の素子欠陥でも、非常に目立ってしまうのだ。
 この理由から,TFT液晶は非常に歩留りが悪く,コストが高くなってしまう.
 2層STN液晶のカラー化で問題となったカラーフィルタの蒸着技術は,TFT液晶の場合,ガラス板上に直接配置するだけなのでそれほど問題とはならない.

TFT液晶の階調表現は?

 2層STN液晶で,カラー多色化に触れたので,TFT液晶の階調表現についても説明しておこう.
 2層STN液晶では,液晶分子配列のねじれが大きくその反応速度が遅いのが欠点だが,反応時間の差を利用して階調表現が可能となっていた.一方,TFT液晶では,分子配列のねじれもTN液晶と同じ90度で,かつトランジスタの増幅作用で電圧を直接駆動できるため,反応速度が高速となる.電流を切った瞬間の液晶分子の再配列の速度も,2層STN液晶が300ms,TFT液晶では30msと,約1/10にもなっている.これでは,反応時間差を利用した階調表示はできない.TFT液晶の階調は,反応時間の差ではなく,駆動電圧の差を利用して行なうことになる(図6).
 2層STN液晶での電流の時間の差を利用した駆動方法では,パルスのオンとオフとの時間比(デューティ比)を大きくするほど,多くの電極を制御できる.実際に製品化されている駆動用LSIのデューティ比は,1/200~1/400.オンかオフかの2階値の場合なら,1個のLSIが同時に制御可能な電極数は200本~400本となる.しかし,8階調になれば,同時に制御可能な電極数は1/8になってしまう.
 TFT液晶では,駆動電圧の差を利用するため,理論的には無段階の階調表示が可能である。2層STN液晶の階調表示方法はデジタル制御,TFT液晶の階調表示方法はアナログ制御ということができる.しかし,いくらTFT液晶で無段階の階調表示が可能でも,液晶物質の透過率が、目に見えるほどの変化をしないため,実質的には8~16階調が限界らしい。もちろん,OA機器用の大画面駆動用ドライバLSIの開発を待たなければならないのは,2層STN液晶の場合と同じだ.


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図6 TFT液晶の階調表現
 TFT液晶の場合,階調表示は各電極の交点にかける電圧の差を利用している.光の明暗の間が階段状になるよう電圧を調節してやれば,段階的な階調が表現できる.
大面積集積化技術が鍵

 TFT液晶で最も問題となるのは,その製造コストである.大面積にトランジスタを正確に集積できる技術の確立を待たなければならないといえる.
 反面,液晶部の作りは簡単なため、反応速度や発色性,視野角などの点で2層STN液晶を凌いでいる.

コスト=歩留まりの悪さだと思うが、それを解決するためにどれだけ努力したのだろうか。このころの日本の技術は世界最先端だった。何が悪く低落したのか。誰が悪いことをしたのか。

製品化に向けて

 2層STN液晶とTFT液晶には,まだ克服しなければならない問題点が存在している.
 2層STN液晶では,反応速度や視野角などを含めた画質の向上が問題となっており,TFT液晶では,そのコストがネックとなっている(表2)。
 カラー液晶を搭載したラップトップコンピュータが製品として登場するのは,今年末とも来年始めともいわれているが,どちらの液晶が搭載されるのだろうか.各メーカーの話を総合すると,まずは2層STN液晶を使ったものが製品化される.2層STN液晶とTFT液晶を比較した場合,まだ価格にかなり差がでてしまうという.画質がよいということで,それだけの価格差をユーザーが納得するかどうかが問題となる.
 2層STN液晶の場合,反応速度が遅いという欠点もあるが,コンピュータ用表示デバイスの場合,せいぜい画面のスクロールやマウスカーソルの動きが追従できればよいわけで,さほど問題にはならない.
 どちらにしろ,鍵を握っているのはTFT液晶のコストだ。2層STN液晶とTFT液晶のコストが近付いてきた時には,TFT液晶が主流となるのは間違いない。つまり,まずは2層液晶を使った製品が市場に登場し,数年後にTFT液晶の価格が十分下がってきたところで,TFT液晶を使った製品に移行していくだろうという予測が成り立つ。


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液晶ディスプレイが当たり前になるには何年もかかった。初期の頃はドット抜けが問題された。この液晶技術は相当難易度が高かったのだろう。トップランナーだと思っていたシャープがまさかダメになるとは思わなかった。誰が悪かったのか。間違えても技術者が悪いということはなかったはずだ。シャープを外国に身売りさせた犯人はだれだ。

ティントモード液晶を搭載した
 セイコーエプソンが6月に発売した「PC-286LST」に搭載されている「ティントモードNTN(2層STN)液晶」とは,2層STN液晶の着色防止用のための補償用液晶に,電圧をかけられるようにしたもの.
 この方法では,以前はカラー化にとっして障害だったSTN液晶の着色現象を逆手にとって,わざと色を出すようにし,8階調表示の白黒液晶に,疑似的に薄い緑や赤の色を付けることができる.本稿で取り上げているカラー液晶とはまったく違った技術だ。カラー液晶の表示と見比べてしまうと,さすがに見劣りはするものの、グラフ表示画面やゲーム画面などでは、白黒液晶に比べて非常に見やすくなっている(写真1).
 この液晶は,アプリケーションによって,たとえば,表計算ソフトやワープロソフトでは白黒表示で,グラフ表示やゲビームソフトなどではティントモードでと使い分けができるのも特徴だ。
 ティントモード液晶は,搭載したマシンの価格を比較的低く設定していることもあり(ベースマシンのPC-286LSと価格差にして4万円),液晶を使った表示デバイスの,新しい可能性を示唆したものといえる.


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ASCII1989(08)f08特別カラー液晶実際の製品は_W520.jpg
この記事の頃はまだCRTの時代でカラー液晶ディスプレイなんてノートパソコンの一部にしか使われていなかった。
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PC-98DO,EMS,MS-DOS漫画(月刊ASCII 1989年8月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

PRODUCT SHOW CASEからPC-980DOとEMS、MS-DOSユーザーズ・ワークベンチから漫画をスクラップする。
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PC-98DOは日電の得意技の1つの筐体に2つのCPUを組み込むという技の集大成とでもいうべき1つの筐体に8bitマシンの最終形のPC-8801MAと16bitマシンのベストセラーのPC-9801VM2を収めた驚異のマシンだ。
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まとめ部分をスクラップする。
 98の名前が付いているとはいえ,98DOはPC-8801シリーズの後継機種とも考えられる.8bit機の代表機種として世代交替を経ながら現在のMA2,FEに至ったPC-8801シリーズ(図1を参照)は,98DOの発売により,上位機種であるPC-9801シリーズとの互換性を得たといえるだろう.
 今後も8bitエントリマシンとしてのPC-8801シリーズ,16bitAVマシンとしてのPC-88VAシリーズは継続していくだろうが,98DOの発売によりPC-8801シリーズのユーザー層に変化が起こるのは間違いないと思われる.

結果はどうだったか知らないが、まとめとは逆にPC-9801を検討している層に変化が起きたと予想する。

EMSについての解説があったのでスクラップする。
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図解EMS
EMSの仕組みと各種の実現方式
 EMSはExpanded Memory Specificationの略で,日本では拡張メモリ規格と訳される.Lotus,Intel,Microsoftが共同で提唱したため、3社の頭文字を取ってLIMとも呼ばれ、また最新の規格である4.0を指して「LIM EMS 4.0」と略されることが多い。
 EMSは,最大32Mbytesまでの拡張メモリを取り扱うことができ,その一部をメインメモリの中にマッピングしてアクセス可能にする(図A)EMSメモリは16Kbytesごとに分割されており,アプリケーションソフトは,EMSファンクションコールを経由して必要とするメモリを確保し、実際にアクセスする時には実メモリ上のウィンドウ(ページフレームという)上に拡張メモリをマッピングする.

ソフトウェアEMSの原理と弱点
 本来EMS用ではないメモリをEMS用に利用しようとするものでは,I/Oバンクメモリを使うものと,プロテクトメモリを利用するものがある.両者とも、通常ページフレームが置かれる領域(OCO000H~0CFFFFH,日本電気方式ではOB0000H~0BFFFFH)にメモリを割り当てることは,ハード的に不可能である.そこで通常のメモリの一部をページフレームに割り当てている(図B).
 EMS対応のアプリケーションは,ページフレームの物理アドレスは直接参照せず,EMSファンクションで返された値を用いるようにプログラミングされているので,たとえページフレームが640Kbytes以内のメモリ空間内にあっても問題はない.
 エミュレートによるEMS方式の難点は,メインメモリ上にページフレームを置くためにメモリが64Kbytes程度減ることと,ページの切り替えの際にバンクメモリやプロテクトメモリとの間でデータを転送する必要があるために処理によっては相当な速度低下をもたらすことである.


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MP386の原理
 MP386の本体は,vems.drvというデバイスドライバである.これを組み込むと80386はV86モードに移行し,MS-DOSは同ドライバに監視されながらV86モード上の1つの8086ソフトとして動作するようになる.プロテクトモードで動作しているため,1Mbytesを越える空間のアクセスが容易で,リアルモードのアプリケーションから無理やりプロテクトメモリをアクセスするのに比べ,高速で柔軟性に富む操作が可能になる.ちょうど,80386を搭載するAXマシンなどで採用されている「コントロール386」に相当するものと考えればいいだろう.

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ハードウエアEMSボードしか使ったことがなかった。ソフトで色々工夫できたようだが、私は86だからとあきらめてハードウエアEMSボードオンリーだった。思い起こせばPC-9801無印がでたとき8086の性能が低いからTEXT VRAMを作り高速化を図り、GCを作りグラフィックの高速化を図るというような残念なCPUだった。もう86系はソフトでなんとかしようという発想はダメだと思っていた。だからバンク切り替えメモリとかハードウエアEMSを使うべきだと思っていた。

MS-DOSユーザーズ・ワークベンチから漫画部分をスクラップする。
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特集80386/80486入門1(月刊ASCII 1989年8月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集は「ためになるパソコンCPUの主流80386/80486入門」だった。
リード部分は基本的に除く。最初は対話風の読み物だった。一応スクラップする
■さっそくですが,80386ってそんなに偉いわけなのですか?
□何しろ32bitだからね.
■32bitってのは何が32bitなのですか?
ロビット幅というやつが32bitなのだよ.まあ,その辺の細かいことはこの特集の中で読んでくれたまえ。とにかく,ビット幅が大きくなれば,おのずと処理能力も上がるというわけだよ.
■8bitより大きい16bit,16bitより大きい32bitというわけですね.(図1省略)
□そんなところだな.それと,1つ注意しておきたいのは,IBM PCやPC-9801なんてのは,主にMS-DOSのもとでアプリケーションを動かしていることが多いと思う。このMS-DOSというのが,実は,Intelという会社の86系と呼ばれるCPUを前提にしたものなんだなこれが.
■86系ですか.
□PC-9801の場合,(表1省略)のようなCPUを搭載してきた.
■V30(μPD70116)というのもありますが.
□このCPUは,Intelではなく日電製だよ。しかし,命令セットは,やはり86系の80186と互換性が持たせてある。
■なるほど.
□86系とMS-DOSは,何代にもわたるお得意様のようなもんじゃな.
■はい、そうですか.
□それでもって,80386というのは,この86系の現行最上位のチップというわけだ。
■しかも、32bitというわけですね。
□しかし,32bitであることは確かに大きな魅力なんだがね,実際のところは,この32bitの本領がなかなか発揮されていないのが現状じゃ。
■それはなぜなんでしょうか?
□答は簡単じゃよ。市販のアプリケーションが,16bitのCPUのことを想定して書かれているからな。最新の32bitマシンを買えるユーザーもおるが,一般的な使用ではまだ16bitで十分なパワーだし,古い機種を持っている人も少なくない.

「一般的な使用ではまだ16bitで十分なパワーだし」とは一般的な使用とは何を指すのか。ワープロですら遅かった。エディタ並の速度なら十分だと思うが、ワープロの速度は全然ダメだった。2本指打法でポチポチキーボードを打つ人なら使える速度なのかもしれない。それでもスクロールは遅かった。古い機種を持ち続けているのは最新機種を買うだけの金銭的余裕がなかったからだ。何十万円もする機械を数年で買い替えるなどとてもできなかった。
■なるほど.
ロ80386というのは16bitのCPUと同じ働きも持っておるが,それ独自の命令セットというのがあって,それを使わないと80386らしさがないといわれてもしかたがない.たとえば,32bitの演算命令を使わないことには,16bitと同じ程度のパワーしか出ないんだよ。(図2省略)
■クロック周波数が同じなら80286と80386では、同じ程度のパフォーマンスになるというやつですね。
ロアメリカでは20MHzの80286を搭載したマシンなんてのもある.まあ,クロック周波数なんてのは,エンジンの回転数のようなものでな.数値が大きいほど速いと考えてよい。ただし,16MHz以上の80286には,同一クロック周波数の数値演算コプロセッサが用意されておらん.

ワープロ・ゲームなどの「一般的な使用」では数値演算プロセッサは必要なかった。だから、同等のクロックなら80286で十分であり、少しばかりクロックが速くても80386は宝の持ち腐れ状態だった。
■だいたい分かりました.
□しかしな,80386の本領を発揮しとらんというのは,32bitの演算命令を使ってないというだけではないのだな.
■まだ何かあるのですか?
□何かあるなんてもんじゃないよ.CPUの性能というのは,演算処理のスピードっていうのももちろんあるが,もっと大切なことがいくつもある。
■速ければよいと思っていましたが.
□たとえば,メモリ空間の大きさやマルチプロセッシングなどに対応できるかじやよ.640Kbytesなどというケチなメモリ空間では何もできん.
□話をちょいと戻してよいかな.
■はいはい結構です.
□86系のCPUにはMS-DOSといったが,世の中にはIntelのCPUしかないというわけじゃあない
■そりゃそうですよね.
□もともとIntelには,8080という8bitのCPUがあった.しかし,しだいにライバルも増えてきた.MOS Technologyの6502やMotorolaの6800,ZilogのZ80などじゃ.6502はAppleやファミコン,6800系の6809はアーケードマシンやFM-7/77,Z80はMSXやPC-8801をはじめとする多数の8bitパソコンに搭載されておる.
■なかなか商売がきびしくなってきたというわけですね。
□そこで作られたのが,8086だったわけじゃよ.
■一挙に16bitというわけですね。
□そうじゃ.

「一挙に16bit」って他に何がある?新たな8bitCPUを飛ばしてという意味か?新たな8bitCPUなんてそんな選択肢想像したこともない。
■そして,MS-DOSが標準的なオペレーティングシステムとして使われるようになった
□しかしな,Intelという会社はどんなときでも研究に力を注ぐことを信条とした会社でな。やがて,より理想の16bitに近づけた80286を発表したわけだ。
■80286は,PC-9801RXやEXなど,現在の主力機種に採用されているCPUですね.
□80286というのはな,2つの動作モードを持っておる。2つの顔を持ったCPUということじゃ。
■なるほど.
□それで1つの顔は,いままでの8086と同じような顔じゃが,もう1つの顔では,16Mbytesまでの物理アドレスや仮想メモリをサポートしておるのじゃ。これをプロテクトモードというのだがね。
■な、なんと.
□ところが,あいにくMS-DOSは,従来どおり640Kbytesのメモリ空間しかサポートしておらんわけじゃ.
■お得意様に,こんなんなりましたがといっても,MS-DOSも動いているものだから簡単には対応できないというわけですね。
□そうなのじゃ。さっきは,80386が本領を発揮しとらんという話をしたが,実は,80286の段階ですら,もはやCPUの力を使い切っておらんのだ。
■なんともったいない.
□そこでな,80286のパワーを十分に引き出すMS-DOSに代わるオペレーティングシステムが考えられたわけじゃ.それがOS/2なのだ。

スクラップしていくとOS/2の失敗が分かってきた。80266なんて中途半端なCPUを使うためのOSを開発しようとしたところが失敗だったんだ。80286というCPUは「インタフェース」という雑誌だったと思うが、特集解説記事の中にどうしてCPU一つこんな面倒なものを作らなければならなかったのかという意味のものがあった。8086が8080の互換性を重視し、80286がその8086の互換性を重視したのでこんなことになってしまった。被害が少ないうちにとっとと互換性を捨てれば良かったのだ。64bit化のとき互換性を捨てたItaniumを出したが大コケした。遅いんだよ。もっと早く8bitから16bit化のときCP/Mのソフトなんて大したものなかったし、再度プログラムしても負担は少なかったはずだ。8bitの互換性を重視したから変になった。2回目のチャンスが32bit化のとき。MS-DOSなんて捨てれば良かった。新しいCPUでMS-DOSが動かないと買ってもらえない?そうかもしれないが、そういうユーザには遅いマシンでMS-DOSを使わせておけばいいんだ。パソコンの進歩を邪魔していたのは私達ユーザだった。パソコンを8bit機と16bit機の複数台持っていた人は私の知人で結構いた。16bit機と32bit機を2台持ち、コンソールマシンとWindowマシンとで使い分けさせてもいい。どうせ、コンソールマシンはMS-DOS一択なのだから。インテルが負けることはないだろう。

■パソコン用の16/32bitCPUというと,Intelの86系のほかにMotorolaの68000系があると思うのですが.MacintoshやAmiga,AtariST,X68000と,機種の数ではこちらも少なくはありませんよね。
□68000は,8086よりも後に発表されたCPUなんだが,プログラマなどにはなかなか人気がある。この68000にも68020,68030といった上位のCPUがあり,今年の4月には68040の概要が発表された.それと,こちらは86系と異なり,制御用やSun-3やNEWSなどのワークステーションに使われることも多い。
■IntelとMotorolaは,パソコン用のCPUとして強力なライバル関係にあるということなんですけど,そのワークステーションに68000系が多いというのは,Intelとしては面白くないですね.
□たしかにそうじゃな.しかし,それもこれも,8bitの時代から守ってきた互換性のためじゃ。
■例の64Kbytesのセグメントとかいうやつですね.
□そうじゃよ。しかし,誰それのせいだとも言っておれん.そこで,Intelは,80386では,80286のときと同じように,動作モードを作ることでこれに対処することにした。したがって,80386は3つの顔を持つCPUであるわけだ.
■32bitのプロテクトモードというやつが,80386本来のパワーを発揮するモードということになるわけですね.
□もっとも、このモードで走るシステム環境はあまり多くはない.MS-Windows/386やFMTOWNSのオペレーティングシステムなどがあることはある。それよりも面白いのは,80386のプロテクトモードにはバーチャル86モードというのがあってな。詳しくは本特集のこの後の記事にゆずるとして,話題となっておるMEMORY-PRO386などは,これを利用したものだ.
■ところで,80386SXというCPUもありますが.
□ふむ。80386には,組み込み型の80376と外部バスを16bitにした80386SXという姉妹品がある.
■80386SXは,PC-9801LSなどのラップトップマシンやソニーのQuarterLなどに採用されてますね。
□そうじゃ。80386SXは,ホームファクタや基板のコスト,消費電力などで有利といわれている.ただし,パフォーマンスは80386よりも20%程度低下するという.ちなみに,この80386SXという名前じゃが,一説によると,ただ音の感触だけで決めたもので何の根拠もないらしい。

当時ずっと不思議だったのはなぜ性能が劣る廉価版を出すのか。そしてなぜそれをユーザが支持したのか。私は、若干高くても性能が良いマシンが良かった。廉価版といっても当時のパソコンは何十万円もする高いものだった。そんな高い廉価版がなぜ支持されたのか。

□80486は,まだ先日発表されたばかりだが、早くもイギリスのApricotやIBMがPS/2 486/25を発表,IBMに先行して80386マシンを市場に送り出したCOMPAQも80486マシンを準備中じゃ.また,80486よりも遅れた形になった68040もHewlett Packardやソニーがワークステーションに搭載するとしておるぞ.
■なかなか熾烈な戦いが続いていますね.
□それだけじゃないぞ.'88年10月号で扱ったRISC系のCPUも動きが活発になっておる。RISCは,Reduced Instruction Set Computerの頭文字を取った略語だ。命令セットや,チップの構造をシンプルにすることで,高速な演算を実行させようというものだ.
中略

私は80286マシンを買ったので、次の80386マシンをスキップして80486マシンを買った。毎回CPUのバージョンアップに付き合えるほど金持ちではなかった。

32ビット時代のIntel CPU基礎知識
 486に至る歴史は,Intel社のマイクロコンピュータの開発史そのものと言ってもよいだろう。1971年に発表された世界初のマイクロコンピュータ「4004」は,電卓の開発過程で生まれたものだ。当時,電卓の計算処理は,ハードウェアの論理回路により実現されていた。それを,4004では,ROMに内蔵したソフトウェアによって処理する方式に置き換えた.そして,4004の開発の成功から8ビットの8008を経て,より汎用性を目指した8080が開発されたのである(1973年).
 8080の特徴は,64Kbytesのメモリ空間と、用途の固定された8ビット長の数本のレジスタにある.レジスタの内容は,計算用のアキュムレータ,メモリ空間内の位置を示すアドレス・ポインタなどであった。8080で採用されたこのレジスタ構成は,拡張しながらも,486に至るまで連綿と受け継がれている.
 8080は本格的なマイクロコンピュータとして大いに普及し,Intel社はマイクロプロセッサ市場に確固たる地位を築いた.8080とその高機能版といえる「8085」(1976年),そして,8080の主要な開発者たちが設立したZilog社による「Z80」(1976年)は,現在でも8ビットを代表すCPUであり続けている.
 さて,移り変わりの激しいマイクロプロセッサ分野において,10年以上前に作られたCPUが現役であり続ける理由は何だろうか。その代表的な理由として、「低「コスト」と「ソフトウェア資源の継承」をあげることができる.
 マイクロプロセッサにはさまざまな用途がある。本誌の多くの読者にとっては,マイクロプロセッサといえば,そのままパーソナルコンピュータのCPUとなる.そして,常に,より高速高機能な最新のCPUに注目することとなる.
 しかし,普段は目に付かないコントローラとしての用途(「組込み用」と称する)においては,こういった8ビットのCPUは未だに現役だ。たとえば,2400bpsのMNPモデムなどでは,Z80を内蔵した製品を目にする.なぜ,8086やV30ではなく,8ビットCPUが採用されているのか.理由は,Z80で十分であり,かつ,製品全体に見合った価格のためである。また,利用する理由として、10年間という歴史の蓄積をあげることもできる.筆者も約10年前から8ビットCPUのプログラミングを経験しているが,最近でもZ80用のコードを書くことがある。このような場合,新たな用途に合わせて全体を書き直すのではなく,「どこかにしまっある、あのプログラムを書き直そう」ということになる。誰しも自分の経験や努力の結果を再利用したいと思うものである.特に,コンピュータのソフトウェアでは,過去の蓄積,つまりソフトウェア資源の継承は非常に重要なのである。マイクロプロセッサの応用範囲が広がるとともに,より多くのメモリやより速い速度が求められるようになった.8ビットCPUの64Kbytesというメモリ制限に対する不満は高まり,これに応えるようIntel社は,16ビットCPU「8086」を発表した(1978年).
 8086は,8080や8085と同じプログラムを実行できないものの,類似の命令形式を備えていた。つまり,8080のプログラムをそのまま動作させることはできないが,単純な命令コードの変換によって8086用に書き換えることができた。 さらに,ハードウェアについても互換性を保つため,8086は8085と同様のバス構造となるモード(ミニマムモード)を備えていた.バス構造とは,CPUが外界(メモリや周辺I/Oデバイス)と,データをやり取りするための信号タイミングやメモリの構成形式などである。このミニマムモードでは,8ビット時代と同様の周辺デバイスやメモリを利用することができるわけだ。

「ソフトウェア資源の継承は非常に重要」それは分かる。しかし、それは同じCPUを使っている場合で同じようなCPUを使っている場合は手直ししないと駄目である。全く違うCPUなら過去の処理を再考して書く。CPUの特性もちろん過去のCPUの欠点というか弱点を直した良いCPUであるのだからより再考したプログラムは当然良くなる。悪いのは似たようなCPUに移植する場合で、似ているがゆえに間違えることがある。ああ、このCPUはこの処理ではダメだったんだになる。また、似ている部分があるので直しも単純作業になり、機能アップしたCPU命令を使わなかったりしてプログラムに進歩がなくなる。似てるがゆえに新CPUならこう書くべきなのになんでわざわざ遅くなるようなコードを書くのかになってしまう。全く新しいCPUなら良く理解してから書くので遠回りのようなコードは書かない。
コンパイラを使うのならコンパイラの性能次第なので同じソースコードで良い。CPUの互換性を重視しなくても良い。

マイクロプロセッサの応用範囲が広がるとともに,より多くのメモリやより速い速度が求められるようになった。8ビットCPUの64Kbytesというメモリ制限に対する不満は高まり,これに応えるようIntel社は,16ビットCPU「8086」を発表した(1978年).
 8086は,8080や8085と同じプログラムを実行できないものの,類似の命令形式を備えていた.つまり,8080のプログラムをそのまま動作させることはできないが,単純な命令コードの変換によって8086用に書き換えることができた.
 さらに,ハードウェアについても互換性を保つため,8086は8085と同様のバス構造となるモード(ミニマムモード)を備えていた.バス構造とは,CPUが外界(メモリや周辺I/Oデバイス)と,データをやり取りするための信号タイミングや,メモリの構成形式などである。このミニマムモードでは,8ビット時代と同様の周辺デバイスやメモリを利用することができるわけだ.
 8086のスペックで,最も特徴的なのはセグメントによるメモリ管理である.8086は,最大1Mbytesのメモリ空間を管理できるが,そのためには20ビットのアドレスを扱う必要がある.
 しかし,8086のレジスタは16ビットまでのデータしか扱えない.そこで,メモリ上の,あるアドレスにアクセスするためには,まずセグメントの位置を指定し,次にそのセグメント内での位置(オフセット)を指定することになったのである.この新機能は,アドレス指定に使用する専用レジスタと,高機能な命令の追加によって,高い機能を発揮した.8ビット時代には複数の命令で実行していた処理が、単一の命令で実行できるようにな高級言語のコンパイラの実現が容易になった。特に「ストリング・プリミティブ」と呼ばれる命令は,文字列のような不定長データの取り扱いを容易にし、高速な動作に貢献している.
 8086の内部は,独立に動作する実行ユニットとバスインターフェイスユニット(BIU)の2つのユニットから構成されている.BIUは,メモリとの間で,命令やデータのやり取りを行なうモジュールでCPUのメモリバスが空いている間,命令の先読み(プリフェッチ)を連続的に実行する.そして,先読みした命令をCPU内部の命令キュー(命令を貯めておくバッファ)に蓄積する.
 実行ユニットはバスインターフェイスユニットとは無関係に,命令キューから命令を取り出し、解釈(デコード)して実行する.つまり,BIUは絶えず命令キューを満たそうとし,実行ユニットはそれを空にしようとし続けるのである.実行ユニットが,デコードや実行に時間がかかるような命令を処理している間,命令コードはメモリから先読みされ,キニューにあらかじめ蓄えられる。アドレス計算に時間がかかるような場合でも,あらかじめ命令キューに命令が蓄えられていれば,CPUの実行速度が影響を受けることはない。この,命令先取りキューを搭載したのも8086が最初である。
 三角関数や指数計算など,精度の高い浮動小数点演算を高速に実行するためのLSIを,数値演算コプロセッサという.8086CPUには,専用の数値演算コプロセッサとして,8087NDP(Numerical Data Processor)が用意された。8087は,それ自体がCPUとしての機能を備えており,バスインターフェイスや命令コードのデコード機能を持っていた.8086と8087をセットで使用すると,メモリから読み出された命令がCPU用ならば8086が,NDP用ならば8087が読み込み,解釈し,実行した.
 これは,共有メモリを持つ並列プロセッサに似た複雑な手法で,その複雑さゆえに,80286など,これ以降のプロセッサでは採用されなかった。たとえば,CPUの動作クロックを高めるためには,同じタイミングでメモリバスにアクセスする必要があり,NDPのバスインターフェイスも高速化する必要があった。これは,ほとんど同じ機能を果たす複雑なユニットを異なるチップ上に用意することに等しい。そして8086システムのハードウェア構成は,NDPが存在するかどうかに大きく影響された.

「8080のプログラムをそのまま動作させることはできないが,単純な命令コードの変換によって8086用に書き換えることができた.」つまりは、いわばセグメントレジスタの内容を皆同じにしてセグメントレジスタを固定したCOMモデルならそれが成り立つということだ。COMモデルだけなら8bitでやれよという思いがあった。8086の方がクロックが速いので高速なプログラムを作れるのだろうが、64Kbytes以下という制限付きならZ80でも良いと思っていた。8086でアセンブラでプログラムを作っている人たちがどれだけいたのか。コンパイラどころかBASICインタープリタのプログラムで金を取っていた人たちがいた。プログラムの継承性はコンパイラ、インタープリタで作るものなら関係ないではないか。言い訳だ。騙されるな。と昔から思っていた。
「ミニマムモードでは,8ビット時代と同様の周辺デバイスやメモリを利用することができる」から周辺装置の開発に時間をかけずにすむということか。
しかしながら、より多くのメモリを使いたいという要求のためにセグメントレジスタというプログラマをセグメント境界に起因するバグに悩ますという困ったことがあった。
とにかく、説明は言い訳にしか聞こえない。楽に金を稼ぐためにはユーザを苦しめてもいいというのかと8086を憎らしく思っていた。
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 CPUの内部構成も高速化のために大きく変更された。8086は実行ユニットとBIUの2つのモジュールから構成されていたのに対し,80286は独立に動作する4つのモジュールから構成されている.「バスユニット」は,外部バスとのインターフェイスを行ない,「アドレスユニット」はアドレス変換による物理アドレスの生成を行なう,そして,「命令ユニット」が命令のデコードを、「実行ユニット」が命令の実行を行なう。つまりCPU内部のパイプライン処理は4段階に拡大され,強力な並列処理が実現されたわけである。
 80286のプロテクトモードを生かしたOSとしては,Microsoft社のXENIX V/286やOS/2が有名である。ただ残念な点としては,メモリ管理の単位が64Kbytes/セグメントに制限されていたことだ。つまり,80286が管理可能なメモリブロックやタスクの大きさは最大で64Kbytes単位なのである。プロテクトモードにおける64Kbytesの「セグメントの壁」は,8086やリアルモードにおけるセグメントに起因する制限よりも厳しいもので,ソフトウェアの実行速度に大きく影響を及ぼしていた.
 8086に対する8087のように,80286には数値演算コプロセッサとして「80287」が用意された.このLSIはI/Oバスを介してCPUに接続されるので,8087のように,命令がCPU用か,NDP用かを調べる必要はない.
 CPUが読み込みデコードした命令が,浮動小数点演算命令であった場合にのみ80287にその命令を渡し、演算の実行を要求する.そして,80287はCPUと並行に動作するため,CPUは80287の演算終了を待たずに次の命令に進むことができる.80287は実行中の演算が終了した時点でCPUに信号を送り,演算結果の引き取りを要求する。つまり,80287は浮動小数点演算を実行するI/Oデバイスのように動作するのである.このため,80386はもとより,他のCPUに接続して使用することも可能である。

PC-9801VX2のEGCを使うとき時間待ちのため80286はパイプラインがあるから、単純なクロック計算でウエイトタイミングを合わせる方法ではだめで次のアドレスへのジャンプ命令を使いパイプラインを切っていた。高速化を図るためにはパイプラインも万能ではなかった。
 XENIXはASCIIの記事に何回も出てきた。でも広まらなかった。OS/2も残念な結果になった。80286を利用しようとすると失敗していた。それほど80286はダメCPUだった。
 数値演算コプロセッサは研究者には必要だったかもしれないが、一般ユーザには不要だった。何年も後になりフライトシミュレーターとかのゲームには使われていたのかもしれない。

 80386は,86系アーキテクチャを持つ最初の32ビット・マイクロプロセッサである。このプロセッサは,8086との互換性を保ったリアルモードと80286から採用されたプロテクトモードを持ち,さらにプロテクトモード上で8086用の命令を実行する「仮想8086モード」を内蔵している.メモリ管理の方法も,セグメントを単位としていた80286に比べ,より柔軟になページ単位の管理も可能となった.また,32ビットCPUであることから,セグメントサイズも,80286の64Kbytesから,最高4Gbytesとなった.
 余談であるが,80386CPUをネイティブモード(プロテクトモード)で利用するFMTOWNSでは,すべてのセグメントが同じメモリ空間を示すような,最小のメモリ空間の使用法を「スモールモデル」と称している.スモールという語感とは裏腹に、このモデルで扱うことのできるメモリは最大4Gbytesだ.8086でスモールモデルと言えば,プログラムとデータのエリアが独立であるとしても128Kbytesしか扱えないことと比較してほしい。80386で新たに追加された仮想8086モードはプロテクトモードに含まれており,8086用に書かれたプログラムを1つのタスクとして実行することができる.すなわち,286では諦めなければならなかった,「8086用のプログラムをプロテクトモードの上で利用する」ことができるようになったわけだ。
 このモードで動作している8086用のプログラムは,8086CPU上で動作している場合とまったく同じように動作する,だが,このタスクが保護に違反する命令を実行しようとすると,OSに処理が移り、適切な処理が行なわれる。また仮想8086タスクにはCPUから1Mbytesの論理アドレスが与えられるが,そのメモリが物理的に存在しているかどうかはタスクからは分からない。つまり,プロテクトモードの仮想記憶サポート機能が利用できるわけである.
 Microsoft社のWINDOWS/386はこのモードを使い,8086用に記述されたWINDOWS用アプリケーションと,通常のMS-DOS用アプリケーションを同時に実行できる.
 1988年には,廉価版386ともいうべき,386SXを発表した.386との大きな違いは,286と同じようにデータバスとアドレスバスがそれぞれ16本,24本となり,386の32ビットより少なくなっている点である.ただし,内部のアーキテクチャは,32ビットで,仮想8086モードも持ち,386用のOSやアプリケーションはそのまま動作する.


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80386は良いCPUだったと思う。さんざん8086の悪口を書いていたが、80386は良いCPUだ。残念ながら私は80386マシンを買えず、80386のマシン語コードも書かなかった。CPU呪わば穴二つだ。8086憎しの報いがきた。リニアなメモリが欲しかったところで素直に4Gだ。なんでもっと早くこれを出してくれなかったのかなと思う。

 486は,数個のLSIで構成されていた「386マイクロプロセッサ・ファミリ」を集積化したものであり,80386CPUを中心に,キャッシュコントローラ,387数値演算コプロセッサおよび,8Kbytesのキャッシュメモリを1つのチップ上に集積している.CPUの実行速度に大きな影響を及ぼすこれらのユニットを同一チップ上に集積したことと,命令デコーダの一部がハードワイヤードロジックに置き換えられたことにより,同じクロックで動作する80386CPUに比較して約2倍の高速化が実現されている.
 命令デコーダの部分的なハードワイヤード化と,オンチップキャッシュの相乗効果により,1サイクル(動作クロック25MHzにおいて40ns)で実行可能な命令も出現した。これは昨年来話題になっている「RISC」(Reduced Instruction Set Computer)チップに通じるアプローチを拡張したものである.Motorola社の68040においても同様のアプローチが採用されている模様で,「CRISP」(Complex Reduced Instruction Set Processor)という用語も生まれている.
 486を一言で表わそうとするならば,「究極の80386CPU」あるいは「最後の86系アーキテクチャ」ということになるだろうか。486プロセッサを内蔵したマシンが誕生したとすれば,それは8086ベースのマシンから80386ベースのマシンへの移行ほど劇的な変化を生み出すものではないだろう。486プロセッサは「コンピュータの進化の道」に従った80386CPUの高速,高機能版であり,マイクロプロセッサの完成した形の1つといえるだろう.
 前述のように,マイクロプロセッサは2通りの進化の歴史をたどってきた.方は高級なOSを指向した,よりソフトウェア的な進化であり,もう1つはマイクロプロセッサの構造や仕組みに関わる高速化である.パーソナルコンピュータのユーザーであれば,8086を内蔵したマシよりも80286を内蔵したもののほうが高速なことをご存じであろう.必ずしもCPUの高速化だけによってマシンの性能が向上するわけではないにしても,高速処理が可能なCPUを内蔵したマシンは強力なのである.
 では、なぜ同じ16ビットCPUであるにも関わらず8086よりも80286のほうが高速なのだろうか.同じく,なぜ486は80386よりも高速だと言われているのか。ここでは,マイクロプロセッサの高速化の背景について解説することにする.
 まず,CPUの処理速度と言うとあまりにも曖昧であるため,「単位時間あたりに処理できるデータ量」と定義しておく.たとえば,グラフィック画面に1秒間に描画できるドットの数,1秒間に得られるサイン関数の結果,メモリ上のある領域から別の領域に転送できるバイト数などである.


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 私は80486マシンはEPSON PC-486GR3を買った。モニタは1120×750ドットのハイレゾモードだった。フォントが24×24ドットで明朝で表示される日本語を見て気持ち良かった。Windows 3.1も使った。640×400ドットのマシンでWindows を使うなんて、よく使うよなあと心の中でバカにしていた。486での高速化に対する改良が気に入っていた。スピードが速いことが全てというか、CPUはこうでなければと思っていた。486はものすごく気に入っていたCPUだった。

 処理速度は,データを扱う単位の大きさ(8,16,32ビット)と,命令の複雑さ(多彩なアドレッシングモード)に依存する.グラフィックスのドット描画時など,データを扱う単位(バス幅に等しい場合が多い)が大きければ、当然のことながら1つの命令で描画できるドット数は多くなる.
 また,あるドットパターンをグラフィック画面に描く場合には,そのパターンに相当するビット列をプログラム内に用意しておき,グラフィック画面用のメモリに転送することが多い。これについて2つの実現方法を考えてみる.
 方法Aは,ドットパターンのデータをいたんCPUのレジスタに読み込み,次の命令でVRAMに書き込む方式であるこの場合CPUは2つの命令を実行する必要がある.
 方法Bは,あらかじめデータが格納されているアドレスからVRAMにデータをコピーする方法.この場合は,1つの命令の実行ですむ。86系のCPUならば,ストリング・プリミティブ(REPプリフィックスを伴ったMOVS命令)によって実現することができる.
 データの転送を実行する場合には,命令数が少ないほど処理速度が速いとは一概には言えないが,少なくともCPUにしてみれば,1つの命令実行ですむ。これは,次に述べる高速化のための第2の手法に影響する.
 高速化のための第2の手法は,CPUの動作が「命令サイクル」と呼ばれる一定のクロックに同期していることに由来している。必ずしも正確ではないが「16MHzの80386」などと表現した際の、動作クロックと考えていただきたい.
 分かりやすい例として10MHzのクロックで動作するCPUを考える。この場合,1つのサイクルの長さは100nsecである.1つの命令を実行するプロセスとは,その命令をメモリから取り出し(命令フェッチ),解釈し(デコード),実行することである.それぞれに1サイクル必要だとすれば,1つの命令を実行するために,合計で300nsecの時間が必要になる.命令をフェッチする時,CPUは外部のメモリに対してアドレスを指定することにより必要な命令コードを読み出す。このあとの,読み込んだ命令を解釈するデコード処理は,完全にCPU内部だけの動作である.デコードを実行している間,メモリに対するアクセスが発生しなければ,その間を利用して次の命令を先読み(プリフェッチ)することができる.
 さらにこの考えを拡張すれば,CPUの内部処理の過程を複数の機能モジュールに分割し、各機能が並列に動作することにより非常に高速な動作を実現できる.このような考えに基づくのが「パイプライン処理」である.パイプライン処理ではCPU内の各モジュールは並列に動作し,見かけ上,CPUが命令の実行に要するサイクル数は減る。80386CPUはパイプライン処理を備えており,8086互換のリアルモードにおいても同じ命令に要するサイクル数は少ない(図3省略)。
 もっとも,パイプライン処理にも弱点がある.CPU内のデータは流れ作業のように,次々と後段のモジュールに手渡されていくわけであるが,あるモジュールがデータを必要とした時にその前段のモジュールがデータを処理し終わっていなければ,パイプラインはそこで滞ってしまう。この現象はメモリからの命令フェッチ時に発生することが多い。なぜならば,数十MHzで動作するCPUの要求にメモリが付いていけないのである。
 命令デコードを行なうモジュール(デコーダ)が命令フェッチを行なうモジュール(プリフェッチャ)に次の命令コードを要求しても,メモリからの応答が遅いために待たされてしまうわけである.これを防ぐためにメインメモリとCPUの間に「キャッシュメモリ」を配置する(図4省略)。キャッシュメモリは高速なメモリによって構成されており,プリフェッチャからのアクセスに遅れることなく応答する。もっとも,キャッシュメモリ内にプリフェッチャが必要とする命令が常に存在するとは限らない。このような状況を「キャッシュミス」と称する。キャッシュミスが発生すれば,プリフェッチャはメインメモリにアクセスするため,少々時間がかかる.
 486プロセッサでは,キャッシュミスを防ぐために,キャッシュメモリとメインメモリ間の転送速度の向上にも配慮がなされている(バースト転送)。

私はグラフィックで高速化をアピールした。シミュレーション計算でもやったが、時間の短縮を数字で表してもインパクトがない。アプリケーションソフトではPhotoshop等のグラフィックツールで高速化の恩恵を味わった。

 第3の手法である「命令サイクルの短縮」には,2つの側面がある.まず,CPUの動作がクロックに同期しているのならば,単純にそのクロックそのものを速くすればよいことは明らかである.本誌にしばしば登場するベンチマークテストにおいても,CPUが同じ場合,各機種の処理速度は動作クロックに比例することが多い。
 もう1つは、前に述べたようなCPU内の各モジュールが実行に要する時間を短縮することである。
 CPU内の各モジュールのうち,命令のプリフェッチに要する時間はメモリに依存するため高速化しようがない.短縮できるものは、命令のデコードと実行ユニットが消費する時間である.
 実行ユニットの高速化が実現された例としては、2つのオペランドを必要とする演算のために,内部データバスを2本にしたもの(四則計算のような2項演算が高速化できる。1+2の場合,1と2が同時に読み込まれる)や,乗除算用のバレルシフタの採用(2倍にするとか,1/8を求めるなどの2の倍数による乗除算をハードウェアで高速化する)などがある.
 これらはどちらかと言えば特殊な命令のサイクル数の減少に貢献している。これに対して,命令デコードやアドレスデコード時間の短縮は,それらがすべての命令実行に関わっているだけに重要である.従来はマイクロコードによってソフトウェアで行なっていた命令デコードを,ハードウェアのワイヤードロジックにすることによって高速化を実現した例としては,RISCチップや日本電気のV33CPUがあり,486もまたこの手法を採用している.
 RISCチップの場合には,ハードワイヤードロジックで表現できない命令,あるいは1サイクルで実行できない命令は採用しなければ良いが,86系アーキテクチャの継承に意味がある486ではそうはいかない。486プロセッサでは,ハードワイヤードロジックとマイクロコード方式の併用により「複雑な命令はマイクロコードで,単純な命令はハードワイヤードロジックで」デコードしようとする現実的な高速化技法が採用されている.
 動作クロックを高くすることは,最も分かりやすい高速化手法ではあるが、動作クロック800MHzの8086など存在せず、今後も開発されないと思われる.その主な理由は,製造が困難である(製造プロセスの問題),高速なメモリが必要になる(トータルコストの問題)などがある.
 集積回路の製造プロセスとしては,CMOS,NMOS,バイポーラなどが一般的である。これらは,この順序で高速なロジック回路を実現できるが、消費電力が大きくなり,発熱も大きくなる.集積度の低い(数万トランジスタ)RISCチップではバイポーラプロセス(ECL)によるチップも開発されているという。ただ、チップ内の発熱対策のためにおそらく大規模な冷却装置が必要であろう.CISCチップである80386CPUは27万トランジスタ,486では120万トランジスタという非常に大規模な集積化が成されており,消費電力を抑えるためにCMOSプロセスが採用されている.
 集積回路の生産性は、「歩留り」という言葉で表現されることが多い。簡単に言えば,1枚のシリコンの板から動作するチップをいくつ得られるか、という割合である.一般的に集積度が高く,高速な回路を実現しようとするほど歩留りは悪化する.歩留りが悪くなるほど,チップの単価は上がり売れにくくなる.歩留りが悪化することを覚悟して旧式のCPUの動作クロックを向上させるくらいならば,他の手法により高速化を実現し,多くの機能が追加された新製品を製造したほうが利益に結び付くのである.

こういった努力は好感が持てる。技術者を尊敬する。こういったものを8086のときに欲しかった。

 キャッシュメモリも,真に高速化を望むならば,全メモリ空間をキャッシュ用の超高速メモリ素子で埋めればよい,と思われたかもしれない。メインメモリとキャッシュ間の転送の問題などを考慮する必要もなく,非常に単純な構造のメモリシステムを実現できるはずである。だが,高速なメモリは集積度が低く価格が高い.たとえば4Mbytesのメモリ空間を構成するには1MビットDRAM(アクセスタイム=100ns程度)では32個ですむが,超高速64KビットSRAM(アクセスタイム=30ns)では512個も必要である.また,ビット当たりの単価も圧倒的に1MビットDRAMのほうが低い。すなわち,単純に動作クロックを高くしただけでは,多くのメモリ素子数と大きな基板面積,さらには高いコストを必要とする.
 このように処理速度の向上にはさまざまな要因がある.ここでは,マイクロプロセッサそのもののアーキテクチャを中心に高速化の手法を述べたが,命令のプリフェッチやキャッシュメモリを有効に動作させるためには,ソフトウェア側からのアプローチも重要である.さらに,486プロセッサの主要な応用範囲と思われる仮想記憶をサポートしたOSが効率よく動作するためには,常にパイプラインが満たされており、常にキャッシュヒットが起き、稀にキャッシュミスが生じた場合でも対象となるデータは常にメインメモリ内に存在するような構造のソフトウェアのほうが,間違いなく高速であろう486プロセッサは,今まで述べたような高速化手法を実現した「究極の86系プロセッサ」である.このプロセッサでは,80386CPUの発表時に予想された高速化手法のほとんどが実現されてしまった。全体的な処理の高速化や信頼性の向上のための手法として期待されるマルチプロセッサに対するサポートも成されている.1990年に先がけて発表された486マイクロプロセッサは,86系アーキテクチャの最上位CPUとして今後のニーズに応えるものであろう。
((株)エー・ピー・ラボ日笠健)


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キャッシュメモリは高速化に効いた。流石だと思った。スクラップにあるとおり価格的に使える容量に限界がある。その限界をしっかし考えて決めた技術者の労苦に尊敬の念を持っている。

8086と80286はダメダメだったけど、80386は本当に良かった。そして80486で高速化への取り組みが素晴らしかった。486シリーズのCPUは良かった。だからWindows95という良いOSが出たのだろう。
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特集80386/80486入門2(月刊ASCII 1989年8月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集の「ためになるパソコンCPUの主流80386/80486入門」の残りをスクラップする。。

80486とは
 Intel社の80486CPU(正式名称はi486マイクロプロセッサ,以下486と略す)は,すでにポピュラーになりつつある80386CPU(同じく386と略す)との互換性を保ちつつ、高速化された32bitマイクロプロセッサである。8086→80286→80386の場合のようなアーキテクチャ上の大きな変更はなく、動作モードも拡張されていない.
 486は386とソフトウェア面では完全互換であるが,チップ内に8Kbytesのキャッシュメモリおよびコントローラ,80387相当の数値演算コプロセッサを内蔵しており,25MHzのクロックで動作する(33MHz版も供給予定).その結果,386の20MHz版の3~4倍の性能を持つマイクロプロセッサとなっている.  こでは386と486の違いを中心に解説する.


 ハードウェア面での386との大きな違いは,キャッシュメモリと数値演算コプロセッサが内蔵されたことであろう(図1)。このため,信号ピンの機能に一部変更があり,386とパッケージ形状は同じだが,ピンコンパチブル(差し替えても動作する)ではない。
 386では,キャッシュメモリを内蔵しておらず,キャッシュメモリコントローラとのインターフェイスのための信号ピンが出ていただけであった(Intelより,専用のキャッシュコントローラチップとして80385が提供されている)。486では,キャッシュメモリおよびそのコントローラを内蔵しているため,より高速な動作が可能になっている.
 キャッシュメモリの構成方法には,さまざまな分類があるが,486のキャッシュメモリは8Kbytesの容量があり,それを2Kbytesずつ4つに分割した4ウェイセットアソシアティブ方式である(図2).それぞれの領域は,16bytes単位の128エントリから構成される.この領域には,データと命令コードが混在して格納される.また,数値演算プロセッサへの命令,データも同様にキャッシュへ格納できる.書き込み方式はライトスルー方式(必ずメインメモリに書き込みを行なう)である.
 キャッシュとメインメモリ間の転送は,バースト転送を使い1クロックで4bytesの転送が可能である.キャッシュとCPU,コプロセッサ間は独立した2つの32bit内部バスで結ばれており,並行動作が可能なほか,バスを2つともコプロセッサに割り当てることで64bitの倍精度データを一度に転送することもできる.
 486には,従来80387,80287として別チップになっていた数値演算コプロセッサ(NPX)が内蔵されている.ソフトウェア的には80387と完全互換であり,命令も拡張されていない。しかし,従来の外部CPUバスにメモリなどと同様に接続されていた場合と比べると,データ転送やCPUとの同期が内部で行なわれるために処理が単純化され,動作が高速になっている.
 80287/387にはメモリアクセス能力がないため、メモリからのデータ転送はメインCPUが代行していた。具体的には,コプロセッサ命令の第1バイトであるESC命令とそのアドレッシングモード部分はメインCPUが解釈し,第2バイト以降がコプロセッサのオペコードおよびパラメータとして渡されていたのである.今回,キャッシュメモリが入り,外部CPUのアクセスはキャッシュコントローラが代行するため,このためのオーバーヘッドがなくなり,CPU,コプロセッサともに高速動作することが可能になっている.動作クロック自体も少なくなっており,全体に高速化されている.命令によってはサイクル数が半分程度になっているものさえある。また,80287以降のコプロセッサはマルチタスクに対応するため,エラー状態を含めて,内部情報を退避,再格納する機能を持っていた.この命令の実行にはかなりの時間がかかり,マルチタスク化した場合の数値演算に大きく影響していた(これらの命令の実行サイクルは,ほとんどデータ転送におけるオーバーヘッドによるものだった)。486ではそれらの命令実行サイクル数も半分程度になっており,UNIX,OS/2等のシステムにおける科学技術計算等でも,かなりの性能を発揮することが期待できそうだ。


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この解説を読んだだけで486は速いだろうと思える。事実速かった。

 486では,CPUを構成する演算ユニットやメモリ管理ユニット,そして命令解析ユニットなどが独立して動作するようになっている.したがって,それぞれが並行して動作し,演算中に次の命令を解析するといった動作が可能である。このため,命令の実行サイクルは,大幅に短縮された.8086の時点から,命令フェッチは,キューを使って先読みするようになっていたが,命令デコードユニットが独立して動作することで,最悪の場合を除き,命令デコード時間は命令実行サイクルに入らないですむ.
 さらに,386までは,命令解析,実行に「マイクロプログラム」を使っていたが,486では,複雑な命令を除きそれらを「ワイヤードロジック」で行なう.
 ほとんどの場合CPUは、命令を直接実行できるわけではなく,さらに単純な内部処理をつなぎ合わせて実行する.この内部処理の手順を記述したものがマイクロプログラムである.したがって,インストラクション上は1命令でも,内部では何度も処理が行なわれることになり、複雑な命令では実行に数十サイクルを要することも珍しくなかった.
 ワイヤードロジックというのは文字通り,目的とする処理を一挙に実行できるハードウェアユニットを作ってしまう方法である.そのため,複雑な命令の実現には非常に大規模な回路が要求されるが,内部的にも1処理になるためサイクル数を削減できる.486では各ユニットが並行動作することもあり,簡単な命令は1サイクルで実行できるようになった。たとえば,レジスタ間の転送命令は,386で2サイクルかかっていたが,486では1サイクルである
 486で拡張された命令は6種(オペコード上では15個)である.浮動小数点演算命令は80387と完全互換で、命令は拡張されていない.
 拡張された命令は,キャッシュ関係2種,ページング用TLB(Translation Lookaside Buffer)制御1種,マルチプロセッサ用命令2種,一般命令1種である.以下ではこれらの命令の機能と目的を解説する.
 CPU内部にキャッシュメモリが追加されたため,キャッシュ制御の命令が追加された。“INVD"と"WBINVD"である。前者はCPUの内部キャッシュを無効にし,後者はさらに,外部に接続されたライトバック方式のキャッシュの内容をメモリに書き戻したうえ無効にする,という趣旨の命令である.しかし,CPUが外部キャッシュを操作することは不可能なので,メモリへの書き戻し作業などはCPUの指示(信号ピンのアサート)を受けてキャッシュコントローラが行なう必要がある.
 なぜか内部キャッシュ用のINVD命令でも外部に特定の信号が出るようになっており,これを用いて外部装置がなんらかの処理を行なうことも不可能ではない.したがって,これらの命令によって何が起きるかは周辺ハードウェアの設計にかかっている.
 キャッシュ命令は,タスクの切り替えといった,キャッシュの内容が意味を持たなくなる場合に,キャッシュの初期化を行なうのに用いる.なお,この2つの命令は前述したように機種依存するため,将来の486ファミリでは違ったものとなる可能性があると,インテルのデータシートには記載されている.
 “INVLPG”は,ページング(メモリをページに分割して管理する仮想記憶の方法の1つ.386,486はページング方式の仮想記憶をサポートしている)に用いられるTLBと呼ばれるバッファをすべて無効にする.TLBは、最近変換したリニアアドレスとページアドレスの変換結果を保持しており,頻繁にアクセスするページをアドレス変化なしでアクセスできるようにするためのものだ。INVLPG命令は,大規模にメモリ配置を変更した場合などにOSがTLBを無効にする場合に利用される.
 なお,以上の命令はアプリケーションが勝手に使うものではなく,OSなどにのみ実行が許される命令である.

ワイヤードロジックは素人にも良く分かる概念だった。だから知識が碌にないにもかかわらずワイヤードロジックだから速くていいのだと知ったかぶりをしていた。

 マルチプロセッサ構成をとった場合に複数のプロセッサが同じリソースにアクセスしてしまう場合がある。その際,あるプロセッサがアクセスを終了していないのに,別のプロセッサがアクセスを行なうと,システムの誤動作をもたらす.これを防ぐためには,共有領域への一連のアクセスを中断なしに実行する必要がある.たとえば,セマフォのアクセスは,「読み込み,テスト,書き込み」の動作を,他のプロセッサの干渉なしに行なわなくてはならない.シングルCPUならば,前後に割り込み禁止,解除の命令を付けることで外部デバイスのアクセスを排除できるが,マルチプロセッサの場合にはそうはいかない。そこで拡張されたのが,次の2つの命令である.
 “XADD"命令は,XCHG(交換)命令とADD(加算)命令を一緒にした命令であり,“CMPXCHG"命令は,CMP(比較)命令とXCHG命令を一緒にしたものである.
 これらの命令にLOCKプリフィックスを付けることで,命令実行中の他のCPUからのアクセスを禁止し,セマフォなどの操作を安全に行なうことができるわけである。
 486で拡張された一般命令は,“BSWAP"がある。この命令は32bitレジスタ内のデータをバイトごとの並びを変えるものだ。86系のCPUはワード以上のデータは,下位バイトが先にくるように並ぶ(これをLittle Endianという)。しかし,68系のCPUやメインフレームなどでは,逆に上位バイトが先にくるようになっている(Big Endian).この両者を変換するのがこの命令である(図4)。これらのCPUとのマルチプロセッサ環境や,Big Endian方式のフォーマットで書かれたデータファイルのアクセスなどに威力を発揮する.
 ソフトウェアから見ると486は,286から386への変化のように大きく変わったわけではなく,8086→80186のように周辺を集積し,命令実行速度を上げた形の改良といえる。新たなアーキテクチャ上の変更を行なう必要はないと考え,高速化やマルチCPU化(これも一種の高速化である)に対応したCPUにしたものだ。したがって用途としては,386のものがそのまま当てはまる.
 OSなどの現状を見ると,パーソナルコンピュータ用にはようやく80286の機能を生かすOS/2が登場した段階であるが,ワークステーション等では,386の32ビットアドレッシングやページ管理仮想記憶が利用されている.
 486は,高速なパソコン用(MS-DOS,OS/2用)CPUとしての用途は当然としても,どちらかというと,ワークステーション向けの改良といった感がある。マルチCPU化への対応については,特にそう感じる.
 1~2年で486搭載のマシンが現在の386マシン程度の値段で手に入るようになるはずだが,その時に動いているOSは, 体何なのだろうか?
(呉井一)

(写真提供:インテルジャパン(株))


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 セマフォという概念はずっとピンとこなかった。マルチプロセッサなんて使ったこと無いし、意識したことがなかった。ホームページ作りのとき複数ユーザーが同時に同じファイルをアクセスするとき排他的制御を実現するためにセマフォの概念が理解できた。Unixではlock,unlockがあったがWindowsではなかったのでmkdirを使ったことが懐かしい。
 BSWAP命令は使ったことがなかったが、Little EndianとBig EndianはCでプログラミングしたときも意識した。
「その時に動いているOSは,体何なのだろうか?」Windows 3.1やWindows95でした。

以下コラム記事をスクラップする。

マイクロプロセッサとは
 大型小型を問わず,コンピュータの動作のすべてを統括しているのがCPUである.標準的なCPUは,データやアドレスを一時的に保存するレジスタ,加減乗除や論理演算などを行なう演算部(ALU),メモリや周辺機器とのデータのやり取りを行なう回路(BIU),命令を解釈し、他の回路をコントロールする制御部からなっている.以前はこれらは複数の部品や基板で構成されていたが,LSI技術の登場でCPUの主要部分すべてを,1つの部品(LSIチップ)に組み込むことが可能になった。これがマイクロプロセッサ(以下MPUと略す)である.
 MPUは,外部にあるメモリや入出力機器と,バスと呼ばれる信号線の集まりで接続される.バスは,データを送るためのデータバス,データをやり取りする相手先を指定するアドレスバス,さまざまなコントロール信号を伝えるためのコントロールバスの3つの部分からなっている.
 メモリ中に蓄えられたプログラムは,バスを通してMPUに送られ,制御部にあるデコーダで解釈される。その結果にしたがって,制御部がALUやレジスタを操作したり,レジスタの内容をバスを通して周辺機器やメモリに送るように指令を発する.
 プログラムの解釈は、初期のCPUでは純粋な電子回路で行なっていた(ハードワイヤードロジック).ところが,MPUの構成や命令が複雑化するのにともなって,ごく基本的な動作だけをハードワイヤードロジックで行なうごく小規模なCPUを用意し、命令の解釈と実行を,MPU内部のメモリに蓄えられたプログラム(マイクロプログラム)でその小CPUを動作させて行なう「マイクロプログラミング」方式のMPUがあらわれた。マイクロプログラミングは、命令の拡張や設計が簡単になあるため,現在主流になっているMPUのほとんどがこの方式を使っている.
 しかし,マイクロプログラミング方式は,ハードワイヤードロジックにくらべて動作速度が劣るため、最近では命令の種類を減らしてすべての命令をハードワイヤードロジックで実行するRISC(Reduced Instruction Set Computer)タイプのMPUも登場してきた。RISCに対して、命令の種類が多いMPUをCISC(Complex Instruction Set Computer)と呼んでいる.



Motorola社の68040もCRISPチップ
 68000は1979年に発表された,内部処理32bit,外部バス16bitのCPU(同社はMPUと呼ぶ)であり,Intel社の80x86シリーズとともに,パソコン用CPUの2大勢力となっている.バスも32bitになった68020/68030は,ワークステーション市場(NEWSやSUN-3など)で先行して採用された経緯があり,今後も386/486と市場を分け合っていくものと思われる.このようななかで,68040がどのような形で発表されるかは注目されるところだ.すでにHewlett Packardが同社のワークステーションの最上位機種への搭載を決定しているほか,ソニーもNEWSに採用したいとしているなど,市場の期待は大きいが,実際のプロフィールは3月に概要が発表されたのみだ.ここでは発表資料をもとに,68030からの主要な変更点をレポートし,486との共通項やCISCチップの今後を眺めてみたい。
ソフト的なアーキテクチャは68030と同じ
 要約すると68040は,68030に周辺回路を組み込んでワンチップ化したもので,68030の完全上位互換で,命令系にもラディカルな変更は加えられていない。68030がすでにMMUを取り込んでいたので,今回加えられたのはFPU(浮動小数点演算装置)とキャッシュシステムである.ままた,命令の一部をワイヤードロジックにすることで,基本命令を中心に動作速度の改善を図っている(25MHz版で13.5MIPS.同クロックの68030の約1.7倍).
 FPU部は,68882の機能のうち超越関数部分を除く部分で構成されているので,68882用のそれらの命令を受け取ると例外処理の割り込みが発生する.Motorolaは,これを受けて超越関数をソフトエミュレートする「68882超越関数ハンドラ」を,68040とセットで提供する.エミュレーションとはいえ,68040ではFPU部でも基本的な命令をワイヤードロジック化したため,68030+68882(33MHz)よりも68040(25MHz)のほうが高速に動作するという.キャッシュメモリは486と異なり,インストラクション用とデータ用に2系統を装備しており,同時に動作可能になっている.システムは486と同じ4ウェイセットアソシアティブ方式で,容量はインストラクション/データそれぞれに4Kbytesとなっている.
 このほか,DMACやマルチプロセッサシステムでのバス共用時のために,バススヌーピング機能が装備された.これは,他のチップがメモリをアクセスした際に,アクセスされたアドレスがCPU内キャッシュに存在する場合はキャッシュを無効にする機能である.これによって従来利用できなかった共有領域でのキャッシングが可能になった.

CISCとRISCの接近
 ソフト上の設計変更がない点,FPUとキャッシュの組み込み,マルチプロセッサ環境の意識など,68040と80486には類似した点が多い。特にワイヤードロジックによる命令実行サイクルの低減という,RISC的なアーキテクチャを取り入れた点は,従来機能の拡張を主眼にしてきたCISCチップとしては転回的な変化である.一方,RISCチップでも一部浮動小数点演算などをサポートする動きもあり,両者は双方の利点を吸収しながら接近することになるようだ。
 同社ではすでにRISCチップ88000シリーズを販売しているが,こちらは高速化をクリティカルに要求される分野向けに機能を上げていき,CISCの68000シリーズは,従来の68000用ソフトウェアをそのまま利用できる利点を生かし,ハイエンドのワークステーション用などから浸透を開始したいとしている.

この頃のCPUは素人にも分かるもので分かれば楽しくなった。分かったうえでパソコンを使うと楽しかった。ちょうどこのころCPUの進歩がぐんと早くなったように思う。




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その他のハードなど常温核融合(月刊ASCII 1989年8月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSからその他の記事をスクラップする。

日本電気が16bit汎用MPUを発売
ASCII1989(08)b05日電V53_W520.jpg
V33コアを採用したV53を発売。ワイヤードなので高速なのはインテルの80486と同じ。

インテルジャパン,486/386CPUボードを発売
ASCII1989(08)b06インテル486CPUボード_W496.jpg
この製品は何向けなのか分からない。

インテルジャパンが2M/4Mbit EPROMをサンプル出荷
ASCII1989(08)b05インテルEPROM_W520.jpg

三菱,2MbitのCMOS EPRONを発売
ASCII1989(08)b06三菱2M_CMOS_EPROM_W505.jpg

三菱電機が1MbitキャッシュDRAMを開発
ASCII1989(08)b05三菱1MキャッシュDRAM_W520.jpg

三菱電機,円筒型のメモリキャパシタ;を開発
ASCII1989(08)b10三菱円筒型メモリキャパシタ_W511.jpg
34年前はこうして日本の会社が新製品を開発できていた。

日本電気が256Kbit Bi-CMOSのECL RAMを発売
ASCII1989(08)b05日本電気256KECLRAM_W520.jpg
なんのことか分からないがスパコン用になるのだら凄いのだろう。

日立,4Mbit擬似SRAMを投入
ASCII1989(08)b12日立4M擬似SRAM_W504.jpg
SRAMとかの技術はSSDと関係あるのだろうか。

日本テクサ,HDDなど周辺機器3機種を発売
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ICMがPC-9800/286用ハードディスク4機種を発売
ASCII1989(08)b14ICMハードディスク_W520.jpg

ビデオトロン,CD-ROMドライブを発売
ASCII1989(08)b08ビデオトロンCD-ROMドライブ_W514.jpg

北大と東海大,常温核融合の追試に成功
ASCII1989(08)b16北大東海大常温核融合_W501.jpg
「裏付けられつる」ないから。ASCIIの記事は本当だったらいいなという期待からとんでもない断定的な記事がままある。

超電導の世界 見えてきたジョセフソン素子(月刊ASCII 1987年9月号8)
ASCIIの記事が好意的なのが笑う。記事がだいたい眉唾物だった。信用できない年表だった。本当ならいいなという思いからバイアスがかかった記事だったのだろう。
自分のコメントを再掲すると
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目が曇っていると状態だったと思う。超電導状態が完全に認められなくても「部分的ではあっても,高温で超電導状態を示す物質の発見は価値がある」には笑ってしまう。はい、はい、あなたにとっては価値があるのね。で、35年後それはどう価値があった?
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ジョセフソン素子の件もそうだった。こうなればいいなだから。しかし、それも私のコメント
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35年後の未来から見ると笑ってしまう。ジョセフソンコンピュータなんかなくたって家庭用パソコンがスパコンのCrayを越えている。
Core i7 (Sandy Bridge) が 158.4 GFLOPS だ。
Cray X-MP(Cray Research) は 800MFLOPS だもの。
笑ってしまうのも無理はないだろう
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を再掲する。

超電導の世界 見えてきたジョセフソン素子(月刊ASCII 1987年8月号8)
以下私のコメント
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 超電導はいかにも胡散臭いものが多かった。勘違いとか、勇み足は先陣争いの科学技術の世界ではしょうがないが、ヤン・ヘンドリック・シェーンの捏造は酷すぎる。天下のベル研究所に在籍して2000年に52Kで超伝導を確認したという捏造論文が始まりだった。突飛な発表ではなく、理論予想と矛盾しなく、できたというならそうだろうという評価がなされる種類の発表だった。

 試験管内核融合もそうだ。フライシュマンとポンズが発表してから、世界中で追試を行ったのだが、どれだけの金が使われたか。そのあおりを食って、他の分野の研究予算にしわ寄せがいった。これは、科学の進歩を妨げたと言われてもしょうがない。彼らの功名心に走って発表したことで妨害を受けた研究者がいたのは確かだ。
現在、常温核融合の可能性が一部に再評価され実験がされているようだが論理展開が緩い。つまり、

従来の科学では説明の付かないほどのエネルギーが得られた

核融合反応が起きたと考えらる

ちょっと待て、核融合反応は従来の科学の範疇だ。私は以下のような論理展開であるべきだと思う

従来の科学では説明の付かないほどのエネルギーが得られた

従来の科学ではない新規の科学理論が必要だ

核融合派の論理は現在の科学理論では核融合の他に考えられない。だが、しっかり考えたのか。すべての可能性を考えつくしたのか。彼らの論理は背理法によるものだ。刑事ドラマに例えると、犯人はお前しかいないと断じているようなものだ。証拠を示しお前が犯人だというべきなのだ。
新規な発見では、勇み足の部分が多い。

 STAP細胞事件も同様だ。100回作った、200回作った?100回作ったのなら101回目を早く作れ!センセーショナルなプレゼンを狙って実験室で割烹着だと!?ふざけるな!当時私は腹立たしかった。怪しい発表は語るに落ちるということがよくある。追われてもいないのに自分からぼろをだすこともある。彼女がそうだと思ったのは「君の論文は過去、何百年もの歴史ある生物学を冒涜している」と言われたと自ら言っていたときだ。ああ、これは典型的な冒涜していると心の中で思っている人間が発することばだと。こういう人は今まで沢山見てきたと。思った。

 韓国の黄禹錫のES細胞もあった。韓国ではノーベル賞だと盛り上がったのだが、捏造だった。

 他にも捏造論文は枚挙にいとまない。
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 このような他の研究者の予算獲得を妨害するようなゆるゆるの発表をする科学者は反面教師としてその名を歴史に留め、新規発表のときは慎重にすべきと教えるべきだ。
北大工学部の水野忠彦助手(ググれば常温核融合研究の世界的第一人者の一人とされている)
東海大工学部の坂本重康教授
中性子の検出も再現性が怪しいしガンマ線の検出もダメだ。
過剰熱が出るのならたとえ核融合でなくても新反応・未知反応としてそれを利用してエネルギー問題を解決できると期待されるが34年経ってもダメではないか。
とにかく、彼らのこの研究に予算をつぎ込んで他の研究者の予算獲得を阻害したいう罪は重い。
フライシュマンとポンズは科学の黒歴史に名を残すべきだ。

ググっても見つからないのが20世紀初頭のデルタ線の発見問題。当時X線から始まりα線,β線,γ線と次々と放射線が発見されたが、デルタ線を発見したという報告がヨーロッパ大陸の国(フランスだったと思うが)の科学者が発表したがそれは間違いだったという記事を科学雑誌で読んだ。昔からこういった発見したと勘違いした事例はあった。

大学教授の質もピンキリだ。とんでも学説の教授も普通にいる。

三菱と太陽酸素,フロンを使わない半導体洗浄器を開発
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オゾン層を破壊するフロンの規制をかわすため代替フロン研究が進められていた。

通産省,フロンガスの分解に成功
ASCII1989(08)b08通産省フロンガス分解_W503.jpg
現在使用されているフロンの分解に役立つのならいいが、オゾン層を破壊しないフロンの代替品研究を進めるのではなく、フロンを使い続けるためにこの研究を進めるとは通産省らしい。記事をスクラップすると通産省への悪感情がわいてくる。

NTT,高速ISDNサービスの運用を開始
ASCII1989(08)b08NTT高速ISDN_W502.jpg
ISDNを使うまでは夢のような技術だと期待していたが、使ってみると大した感動はなかった。

ソ連,西ドイツからコンピュータを30万台輸入
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宇宙開発、航空機、原子力とかの重厚産業では西側に劣っていないと思っていたが、パソコンでは全然勝負にならなかった。34年後ハードはともかくソフト特にセキュリティ攻撃用のプログラムとかの開発では世界トップレベルだと思う。パソコン通信を経験した私は、インターネットは性善説を基にしたダメなテクノロジーなんだなと思っている。

富士通,シンボルマークを変更
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業界の動向,NeXT,DynaBook,PC-286他(月刊ASCII 1989年8月号2) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSから業界の動向,NeXT,DynaBook,PC-286他の記事をスクラップする。

パソコン出荷数の記事があった。
ASCII1989(08)b02パソコン出荷台数_W520.jpg
ASCII1989(08)b02パソコン出荷台数表_W356.jpg
ラップトップ型コンピュータの伸びが好調
=1992年度にはパソコン全体の30%と予測=
=日本電子工業振興協会の調査まとまる=

 (社)日本電子工業振興協会がまとめた「パーソナルコンピュータに関する調査報告書」によると,パーソナルコンピュータの中でも特にラップトップ型マシンの出荷台数の伸びが好調だ。
 '88年度のパーソナルコンピュータの国内総出荷台数は、前年度比12%増の137万台で,金額にして3725億円にのぼった。ここ数年は出荷台数の横ばい状態が続いていたが,'88年度になってはっきりと増加傾向に転じた。

■ラップトップと32bitマシンの伸びが顕著
 中でも,ラップトップ型マシンと32bitマシンの伸びが顕著だ。ラップトップ型マシンは,'87年度の出荷台数は2万4000台と全体の2%でしかなかったが,'88年度には19万7000台と,15%を占めるに至った.
 今後も,カラー液晶を搭載したデスクトップマシンの完全代替となるマシンや,ノートタイプの小型軽量マシンなどが登場しつつあることで,ラップトップ型マシンの需要拡大は続くだろうと見ている.日本電気,セイコーエプソン,東芝をはじめとするメーカー各社の体制も整い,ほとんどのメーカーが積極的にラップトップマシンを製品化している。同報告書では,'92年度にはラップトップ型マシンの出荷台数は60万台,全体の30%を占めると予測している.
 また,32bitマシンは,'87年度の実績は1万7000台(1%)だったが,'88年度には14万8000台と11%を占めた。そのうち10万5000台あまりが'88年度下期の出荷となっており,下期だけをとってみると全体の13%になる.昨年の予想では,32bitマシンは'88年度6万台(5%)と見ており,予測よりも早いピッチで32bit化が進行しているといえる。OS/2の普及などで,32bit化に今後一層拍車がかかるだろう.
 '92年度には,全体の30%にあたる60万台が出荷されるだろうと予測している.

■パーソナルコンピュータの将来は?
 同報告書では,パーソナルコンピュータの今後の需要に及ぼす要因と、現在考えうる将来イメージに,
(1) 多機能ハンディワードプロセッサとの競合
(2) CAI機能を搭載した教育専用マシンの登場と需要の拡大
(3) 互換機の浸透によるビジネス分野の拡大
(4) 液晶のカラー化によるラップトップ型ポータブルパーソナルコンピュータの登場
(5) OS/2の導入による32bitマシンの急激な需要拡大と16bitマシンに対してのマイナス影響
(6) 省スペースによるラップトップと水平分散システム化によるワークステーションの需要が共に増大
(7) パーソナルコンピュータをベースとした,ファクス・電話などの機能を付加した複合製品の登場
(8) 各種専用LSIなどの開発により低価格化がさらに進み,需要拡大への布石が整う
という8項目を挙げている.

こういった予想記事どの位当たっているのかを調べるのもスクラップの楽しみだ。あとOS/2の好意的な評価がいったいいつになったら消えるのかを調べるのも楽しみ。

ASCII1989(08)b03米国ハイテク産業の動向_W520.jpg
ASCII1989(08)b03米国ハイテク産業の動向写真_W520.jpg
■キヤノンがNeXT社のシステムをアジア全域で販売
 6月12日,米NeXT社はキヤノンとの販売提携に合意したと発表した。この発表は,米カリフォルニア州フリーモントにあるNeXT社の工場,および日本で同時に行なわれた(P.241参照).
 米国での発表は,ジャーナリストや関係者など約100名を集めて行なわれた。当初,同社の最新鋭工場を公開するものとアナウンスされていたが,最初からキヤノンとの提携合意発表が計画されていたことはいうまでもないだろう.
 発表の第1点目は,キヤノンがアジア地域におけるNeXTシステムの独占販売権を取得したということ。これでNeXT社は,米Businessland社との米国内での販売契約に続いて,アジア地域での強力なパートナーを得たことになる。ヨーロッパでのマーケティング活動は,現時点では考えていないとのことだ。
 NeXT社がキヤノンをアジア地域での販売パートナーとして選定したことに対し,Steve Jobs同社会長は以下の点をその主な理由としてあげた.
1. 日本国内の事務機分野において,マーケティングリーダーとして十分な立場にある.
2. 一連の技術力を高く評価している.
3. 基本的にコンピュータメーカーではない.
4. 強力な販売競争力を持っている。
5. 両者間には光磁気ドライブ,レーザープリンタ等の供給を通じて,すでに確立された関係が存在する.
 今年9月から,キヤノンはアジア地域での販売を一手に引き受けることとなるが,NeXT社製品のライセンス生産は行なわれない.彼は,発表の中で日米間の貿易不均衡問題にもふれ,これがライセンス生産を行なわない理由の1つだとしている.

■NeXT社への資本参加
 発表の第2点目は,キヤノンがNeXT社に正式資本参加するというもの。契約では,今後5年間でキヤノンはNeXT社に対し1億ドルにのぼる投資を行なう.この結果,NeXT社の資本構成比率は以下のようになる.
NeXT社社員 20%
キヤノン 16.7%
P.Perot氏,カーネギーメロン大学,スタンフォード大学 13.3%
 この比率は,6億ドルというNeXT社の評価額(キヤノン投資後)に基づいている。現時点では大した売り上げをあげていない同社に対するこの投資額は,同社の製品の潜在能力と今後の技術開発力を高く評価したものだ。しかし,一部の投資専門家の中には、今回のキヤノンによる投資は高い買物であったとの意見も少なからずある.「1億ドル出せば,NeXT社の全株式が保有できてもおかしくない」というのだ.ちなみに,1986年,1億5000万ドルの売り上げをあげた米Sun Microsystems社は同年株式を公開したが,その時の評価額が4億3000万ドルだったといわれている.

■気になるApple社との関係
 キヤノンは周知の通り,米Apple社のMacintoshシリーズを日本で販売している.キヤノンが同時にNeXT社の製品も扱うとなると,やはり今後の3社の関係は気になるところだ。両社の首脳は,NeXT社の製品とApple社のMacとの間には競合関係は存在しないとしているが,MacIIxクラスのマシン,特にA/UXを搭載したMacとの競合は避けられそうにない.またキヤノンが販売している386AXにUNIX+X Windowを搭載したマシンとの関係も微妙なところだ。この点に関し,キヤノンはMacの販売に影響が及ぶことはないとしている.
■本格販売は1990年秋
 7月に予定されているNeXT OS Ver.1.0のリリースとBusinessland社による一般ユーザーへの販売開始で,米国内ではいよいよ本格的な販売が開始されようとしている.しかし,日本およびアジア地域での本格的な販売にはもう少し時間がかかりそうだ。
 問題の第1点は、その日本語化にある.現在開発が進んでいるOSおよびバンドルされるアプリケーションはいずれも英語版.一部開発者向け,あるいは大学などの研究機関向けには,この英語版だけでもある程度の数量は見込めるが,本格的販売にはどうしても日本語環境の整備が必要になる.Jobs会長の説明では,今後キヤノン,NeXT社そしてサードパーティを含めて日本語化を進めるとのことだ。
 第2の問題点は,キヤノンの販売体制にある。前述の通り,キヤノンはMac,AXなどのパーソナルコンピュータの販売実績はあるが,UNIXマシンは未経験に近い。しかも,Macで築いた販売チャンネルを使わないで、独自の販売サポート体制を構築するとなると,そのための作業は日本語化とともに急を要する.
(ザイロンコーポレーション代表 脇山 弘敏)


NeXTは成功したとは言えなかった。キヤノンはこの投資でどのような影響を受けたのか気になる。未来が分かっていて記事を読むと面白いものだ。

米NeXT社,ワークステーションを一般市場へ開放
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 キヤノン(株)は,米NeXT社に資本参加するとともに,「NeXT Computer System」の日本を含む極東地域での独占販売権を取得したと発表した。
 キヤノンのNeXT社に対する投資額は1億ドルにのぼり,NeXT社全株式3000万株のうちの16.67%にあたる500万株を取得することになる.
 キヤノンは,日本をはじめとして,韓国,台湾,香港,シンガポールなどの極東地域でのNeXT Computer Systemの独占販売権を取得した.日本では,今年9月から英語OS版の出荷を開始し,来年第3四半期には日本語OSベータバージョン版,同第4四半期には日本語OS Ver.1.0版を発売する予定.

■マシンのスペック
 NeXT Computer Systemの主な特徴は,(1) CPUにクロック周波数25MHzの68030を採用し,浮動小数点演算コプロセッサ同25MHzの68882を標準装備,(2) メインメモリは8Mbytesを標準装備し,最大16Mbytesまで拡張可能,(3) 外部記憶装置として,リード/ライト可能な容量256Mbytesの光磁気ディスクドライブ1台を装備,(4) 解像度400dpiのレーザービームプリンタをサポート,(5) 解像度1120×832ドットの17インチモノクロCRTディスプレイを標準装備,(6) 処理速度10MIPSのDSP(Digital Signal Processor)チップ56001を搭載し,オーディオ機能,ボイスメール機能,ファクシミリ機能などを実現,(7) UNIX 4.3BSDの拡張版であるマルチプロセッサ用分散処理OS「Mach」を採用,(8) GUI(Graphical User Interface)にはNextStepを採用,(9) ウェブスター辞書,オックスフォード引用句辞書,シェークスピア全集,テクニカル・ユーザーズマニュアル,プログラムライブラリなどのソフトウェアを標準バンドル,(10) Display PostScriptを装備し,WYSIWYGを実現――などとなっている.
 システム価格は200万円前後。なお,英語版から日本語版へのバジョンアップは、若干のバージョンアップ料で可能となる予定.

100万円ならともかく200万円なら業務用となる。一般ユーザには高値の花だった。

私の愛機DynaBookが紹介されていた。
ASCII EXPRESSの扉から写真をスクラップする。
ASCII1989(08)b01DynaBook_W520.jpg

J-3100SS DynaBookとPC-286NOTE executive
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ASCII1989(08)b18写真DynaBook_W520.jpg
軽量・低価格を実現した
J-3100SS DynaBook
 東芝のDynaBookは,既存のJ-3100シリーズとの互換性を実現したA4ノートサイズのラップトップコンピュータ.J-3100用日本語ソフトウェアとIBM PC/XT用ソフトウェアの使用が可能.サイズは310(W)×254(D)×44(H)mm,重量はバッテリ込みで2.7kgを実現した.
 CPUには,クロック周波数10MHzの80C86を搭載している.RAMは,メインメモリ640Kbytesに加えて,EMSメモリあるいはハードRAMとして使用できるメモリ896Kbytesを標準装備している.またオプションで,EMS仕様の1/2Mbytes増設メモリカードを本体に内蔵して,最大3.5Mbytesまで拡張可能.
 表示デバイスには,バックライト付きのSTNブルーモード液晶ディスプレイを搭載している。日本語モードでは,解像度640×400ドット,2階調の表示が可能.英語モードでは,解像度640×200ドットのCGA相当表示が可能である.
 外部記憶装置は,容量720Kbytes/1.2Mbytesの3.5インチFDD1台を内蔵している.
 OSには,日本語MS-DOS Ver.3.1を標準添付し,オプションで英語MS-DOS Ver.3.3を提供する.日本語入力FPには,ROMベースでATOK7を搭載している。
 インターフェイスは,RS-232C×1,外部FDD/プリンタ兼用×1,拡張バス×1をそれぞれ装備。オプションの2400bpsモデムカード内蔵用スロットも用意している.
 内蔵バッテリで約2.5時間の連続使用ができる.バッテリは取り外し可能で約4時間で充電可能.
 J-3100SLと同様,電源を切っても再び電源を入れると元の画面を再現できるレジューム機能を搭載している.
 価格は、本体が19万8000円,1Mbytes増設メモリカードが8万円,同2Mbytesが14万円,モデムカードは未定。出荷は,本体とメモリカードが7月末,モデムカードが10月末の予定.
 同社では,1991年度までに30万台の販売を予定している.

レジュームが便利だった。私は、レジュームがなければ買わなかった。

エプソンのPC-286 NOTE executive
ASCII1989(08)b19PC-286NOTEexecutive_W520.jpg
PC-9800互換を実現した
PC-286NOTE executive
 エプソンのPC-286NOTE executiveは,本体サイズ315(W)×235(D)×35(H)mm,重量2.2kgと小型・軽量ながら,PC-9800シリーズとの互換性を実現したA4ノート型ラップトップ。CPUには,クロック周波数8MHzのV30を採用。
 RAMは,メインメモリ640Kbytesに加え,バッテリバックアップが可能なI/Oバンク方式のRAMディスク512Kbytesを装備している.オプションの拡張RAMディスクを装着して,RAMディスクを最大1.1Mbytesまで増設可能.
 また,日本語MS-DOS Ver.2.11および統合ソフト「MEMO」をROM(2Mbytes)化して標準搭載している.MEMOは,日本語ワープロ,表計算,データベース,通信,グラフなどの機能を統合化したもので,独自の日本語入力FPも含まれる。
 表示デバイスには,新開発のFTN(Film Twisted Nematic)型液晶ディスプレイを搭載し,解像度640×400ドット,8階調表示が可能となっている
 外部記憶装置は,容量128/640KbytesのICカード用スロット2個を装備している.ICカードからのブートも可能で,エプソンではICカードによるアプリケーションソフトの供給も行なう予定.インターフェイスは,RS-232C×1,プリンタ×1,マウス×1,増設FDD×1,外部拡張バス×1をそれぞれ装備し,PC-9800/PC-286シリーズ用の周辺機器の使用も可能になっている.また,通信速度300/1200bpsのモデムを標準で内蔵している。内蔵のバッテリで,連続約3時間の使用が可能。
 価格は,本体が45万8000円,拡張RAMディスクやICカードなどは未定.今年9月末から出荷開始の予定.今後1年間で1万台の販売を予定している.

価格が高すぎたと思う。これではダイナブックにはかなわないだろう。PC-9801との完全互換がこのタイプのマシンにそんなに重要なのだろうか。ソフトが豊富としても有用性に疑問が残る。コピーソフトを使いたいというのなら分からなくもないが、ビジネスソフトを使うにはV30(8MHz)では速度が遅いのではないだろうか。

エプソンのPC-286LST,PC-286VF
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PC-286LST
ASCII1989(08)b20写真PC-286LST_W520.jpg
■疑似カラー表示が可能なPC-286LST
 PC-286LSTは,同LSをベースに開発したもの。ディスプレイ部にNTN白液晶を採用し,8階調表示が可能。また,濃淡による階調を淡い緑/淡い赤/淡い黄の3色に段階的に対応させることで,疑似カラー表示を実現したティント表示モードを装備し,カラー対応アプリケーションソフトの視認性を高めている。スイッチで,白黒8階調表示モードとティント表示モードを切り換えることが可能.
 その他の主な仕様は,(1) CPUにはクロック周波数12MHzの80286を採用,(2) メインメモリは640Kbytesを標準装備し,最大8.6Mbytesまで内蔵可能,(3) 外部記憶装置として3.5インチFDD2台を装備,(4) 容量20/40Mbytesの脱着可能なHDDを用意,(5) PC-9800シリーズ用インターフェイスボードが使用できる拡張スロット2個を装備,(6) インターフェイスは,RS-232C,プリンタ,マウス,増設FDD,テンキー,CRTをそれぞれ装備――など
 サイズは364(W)×420(D)×123(H)mm,重量は8.6kg.
 価格は,本体が51万8000円,20MbytesHDDパックが14万2000円,同40Mbytesが23万2000円,2Mbytes増設RAMモジュール12万8000円,テンキーパッドが1万7000円など。同マシンは,2000台の限定販売.



PC-286VF
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■グラフィック描画速度などを向上させたPC-286VF
 PC-286VFは,同VEの後継機種にあたるもので,同VEの各部を機能強化している。機能強化した主な点は,(1) グラフィックビデオRAMを強化し,描画機能を向上,(2) 容量20Mbytesの内蔵HDDの平均アクセス速度を約40%向上し,40msを実現,(3) メモリ専用スロットだけで,メインメモリを12Mbytesまで拡張可能――など.
 主な仕様は,(1) CPUにはクロック周波数12MHzの80286を採用,(2) メインメモリは640Kbytesを装備,(3) 外部記憶装置に5インチFDD2台を内蔵したSTDモデル,20MbytesHDDを内蔵したH20モデル,40MbytesHDDを内蔵したH40モデルの3機種を用意,(4) インターフェイスは,RS-232C,プリンタ,マウスを装備,(5) 拡張スロット4個とメモリ専用スロット2個を装備――など.
 価格は,PC-286VF-STDが29万8000円,同H20が42万3000円,同H4051万3000円.
 今後1年間で10万台の販売を予定している.


この頃知人たちは新パソコンを買う状況になかったのでこれらのマシンを見たことはなかった。

富士ゼロックス,J-3100シリーズをOEM販売
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台湾メーカーが世界を席巻する前夜の状況というところか。

ミノルタが20MbytesHDDを搭載した日本語ワープロを発売
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NWP371L。ワープロにHDDが付く時代だった。PW6011付きが85万円。PW4012付が75万円。業務用だと思われる。

リコーがリフィルフォーマット付属の日本語ワープロを発売
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マイリポートN-11は印刷したものがシステム手帳に使えるのが売り。本体価格は14万8000円。

日立がシステム手帳添付の日本語ワープロを発売
ASCII1989(08)b07日立ワープロ_W520.jpg
ワードバル190の本体価格は15万8000円。この頃はシステム手帳を持つことが流行っていたのか。

三洋電機がラップトップタイプの日本語ワープロを発売
ASCII1989(08)b09三洋電機ワープロ_W520.jpg
SWP-M60の価格は17万8000円。月産1万台ということは年間12万台もつくるのか。半年で新製品がでるなら半年6万台で妥当なところか。

松下電器がA4サイズの日本語ワープロを発売
ASCII1989(08)b09松下電器ワープロ_W520.jpg
U1S50の価格は18万8000円。これも月産1万台の予定。

東芝がアウトラインフォントを搭載した日本語ワープロを発売
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JW95Hの価格は22万8000円。同95Fが17万8000円。
アウトラインフォントが使えるのならワープロを買った方がいいと思う層がいてもいいと思う。

松下,OSにTRONを採用したワープロを開発か?
ASCII1989(08)b16松下TRONワープロ_W501.jpg
まだTRONは消えてなかった。だがクエスチョンマークが付いているのでこれはどうだか。

ディアイエス,ワープロソフト間の文書変換ソフトを発売
ASCII1989(08)b10ディアイエス文書変換ソフト_W508.jpg
よくある種類のソフト。特定のワープロ機の文書を変換するプログラムは素人である知人が作っていた。買うより自分で作った方がいいと言っていた。まあ、趣味のプログラミングの題材としてはお手軽だった。プロテクト破りのコピーツールソフトより簡単だったと思う。

マイクロニクス,PC-9800用マルチタスクOSを発売
ASCII1989(08)b06マイクロニクスPC-9801マルチタスクOS_W504.jpg
ここにもTRONが出てきた。マルチタスクOSならマイクロソフトやIBMの超大企業でなくても作れた。

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