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OS/2第4回仮想記憶(その2)編集部のページ(月刊ASCII 1988年5月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

連載「OS/2がやってきた」第4回「仮想記憶」のスクラップの続き。

プロテクトモードでのセグメントレジスタの扱い
 図2からもわかるように,プロテクトモードでのセグメントレジスタは,8086やリアルモードのように,セグメントの主記憶アドレスを直接指し示していない.そのため,その扱い方が従来の方法とは大きく異なることになる.
 すなわち,セグメントレジスタには,ディスクリプタテーブル内のセグメントディスクリプタを指し示すセグメントセレクタが格納されているのである.
 このため,プログラムからセグメントレジスタを直接操作して,セグメントの異なるメモリをアクセスするようなことはできなくなる.
 プロテクトモードで,リアルモードと同様なセグメントレジスタの操作を実現するには,そのセグメントを定義するセグメントディスクリプタの内容を操作しなければならないことになる.
 したがって,プロテクトモードで走行するアプリケーションプログラムが,直接セグメントレジスタの値に対して,加減乗除などの操作を加えた場合,その値は意味のないものになる危険性が非常に高い.もし,操作した場合,80286の保護機能が働き,結果としてOS/2によりそのプロセスは異常終了させられることになる可能性が高い(操作した段階では何も起こらないが,そのセグメントレジスタを使用して,何らかのメモリアクセスを行ったときにエラーとして検出される).

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思い出せばリアルモードのプログラムしか作ってなかった。それは、プロテクトモードでは遅くなるからで、シングルユーザでシングルタスクのプログラムではプロテクトモードはいらなかった。「いいから、だまって俺にリニアな1Mのメモリを寄こせ」が望みだった。
セグメントのスワッピング
 仮想記憶システムにおいて,主記憶よりも大きな仮想アドレス(仮想空間)を持つプログラムを実行すると,当然,主記憶に入りきらないセグメントが発生する.また,同時に実行されているプログラム(タスク:OS/2ではプロセス)の数が多いときには,サイズの小さいプログラムさえも主記憶に読み込めない場合があり得る.プロテクトモードで実行されるプログラムは,実行時にすべてのセグメントが,主記憶に存在するとは限らず,主記憶に入りきらないセグメントは,コピーが二次記憶装置に置かれる.しかし,二次記憶装置上のセグメントがコードセグメントであれば,そのプログラムは実行できないという問題が発生する.
 仮想記憶システムは,この問題を「セグメントのスワップ」という方法を用いて解決する.2つの記憶装置の間で,必要なセグメントと不必要なセグメントの交換(スワップ)を行うのである.
 セグメントのスワップの基本的な動作は,次のように説明できる.
(1) 実行中のアプリケーションプログラムが,もし主記憶上に存在しない仮想空間上のデータセグメント,あるいは、コードセグメントにアクセスすると,80286のアドレス変換が失敗し,OS/2に対してセグメントが主記憶に存在しないことが(割り込みによって)通知される.
(2) 0S/2は,二次記憶上にある目的のセグメントを主記憶に読み込んだ後(スワップイン:図4-1),再びそのプログラムの実行を再開する.
(3) このとき,二次記憶装置上のセグメントを読み込むだけの大きさの領域が,主記憶にないときは,その時点で一番使用頻度の少ないと思われる主記憶上のセグメントを必要サイズ分だけ二次記憶装置に書き出した後(スワップアウト:図4-2),スワップアウトを行った主記憶領域に二次記憶装置から,目的のセグメントをロードする.
 こうして,主記憶より大きなプログラムの実行が可能になるのである.このような動作を,アプリケーションプログラムの見えないところで,高速に行うことによって,アプリケーションプログラムは,仮想空間と同じサイズの主記憶が,あたかも存在するかのように動作することが可能になる.また,オペレータが,システムのこのようなセグメントのスワップ処理をほとんど意識することはない.
 スワップ処理をOS/2が実現するために必要となる情報のうち,必要なセグメントが主記憶に存在するかどうかは,アプリケーションプログラムがそのセグメントをアクセスしたときに,80286のメモリ管理機能を借りて知ることができる(OS/2が,スワップイン/スワップアウト時に,そのセグメントディスクリプタのPビットをクリアしておけば,アドレス変換時にセグメントが主記憶にないことを知らせる割り込みが起こる).また,使用頻度が高いか低いかは、セグメントディスクリプタのAビットで指定することが可能である(図3参照).

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今32Gのメモリを積んで思うことは、仮想記憶はもはや必要ないのではないかと。メモリが4G,8Gとか積みだしたとき、メモリが余っているのでキャッシュメモリになっていた。ハードウエアが貧弱な時プログラムでそれをカバーしようとしてプログラマは知恵を絞ってきたが、なんか無駄な努力のような気もする。私は、とにかく高速にと無い知恵を絞り趣味のプログラミングをしてきて知人に速いだろうと自慢していたが、数年でその努力は無駄だと思わせるほどCPUは速くなった。もっと違う努力をすべきだったと後悔している。
保護機能(プロテクト)
 仮想記憶装置のほかに,仮想記憶システムには、もうひとつの重要な機能である保護機能がある.
 この保護機能は,特に開発システムなどにおいては有効であると言える.
 開発中のプログラムに,バグが入り込むことは避けがたい問題であり、どんなときでも設計者の意図しない誤動作が発生することを覚悟しなければならない.
 このように開発に使用されるシステムでは,プログラムの誤動作によって、システムが破壊されることを防ぐ必要がある.そのために必要となるのが「保護機能」である。
 具体的には,メモリのアクセスやプログラムの走行モードなどにいくつかの規則を設けて,その規則に違反する動作を検出する機能である.この保護機能も,仮想記憶機能と同様に80286自身の機能とOS/2が密接に結び付いて次のように実現される.
 80286は,メモリアクセスに対する規則や,プログラムの特権レベルの規則などに従って,実行中の命令の動作を検査する.もし規則違反が検出されたとき,プログラムの実行を中断して、OS/2の保護違反(注4)を処理する処理ルーチンに制御を渡す.OS/2の処理ルーチンでは、違反を起こしたプログラムを異常終了させるなどの処理を行い,その原因をシステムから排除する。
注4
「保護違反」

 実際には,80286がOS/2を直接意識しているのではなく,実行中の命令の保護違反を検出したことによる80286の“割り込み動作”の結果として,その保護違反に該当する“割り込み処|理”が起動されることになる.この割り込み処理に,OS/2の保護違反のための処理ルーチンが登録されているのである.
 以上のようにして実現されるOS/2の保護機能には,大きく次の2つがある.
 ・セグメントタイプによる保護
 ・アプリケーションプログラムとシステムプログラムの隔離
 以下,この2つについて解説する.
セグメントタイプによる保護

 アプリケーションプログラムは,起動-時(ローディング時)に,各セグメントに対して、書き込み許可,読み出し許可などのアクセス方法が属性として与えられる.これらの属性は,80286がアドレス変換のときに使用するセグメントディスクリプタ内のタイプフィールドに設定される.このタイプフィールドのセグメント属性を使用して,80286はアドレス変換のたびに,その命令によるメモリアクセスが属性と整合しているかを検査する.検査されるセグメント属性には,
 ・書き込み許可
 ・読み込み許可
 ・実行可能
 ・実行不可
 ・下位伸長
 ・上位伸長
などがあり,それぞれのセグメントに対して,それぞれの規則に違反するような命令を実行した場合には命令の実行が中断され,その旨がOS/2に通知される.
 セグメント属性のうち,上位伸長属性とは,ローカルヒープなどのアドレスが上昇方向に伸びて行くセグメントのことを言い,下位伸長属性とは,スタックなどのアドレスが下降方向に伸びるセグメントの属性のことを言う.
 これらの属性を使用して,読み書きに対する保護のほかに,アクセスに使用したオフセットがセグメントからはみ出していないかの検査がセグメントディスクリプタのリミットフィールドを使用して行われる。
 OS/2において,複数のプロセスから共用されるコードセグメントは、書き込み禁止,読み出し可能属性が与えられ,主記憶に常駐するプログラムの命令コードは、他のプロセスからいつでも再利用することが可能になる.
 したがって,命令コードを変更しながら走行するプログラムは,プロテクトモードでは実行できないことになる.
 データセグメントには,リアルモードと同様,書き込み,読み出しともに許可属性が付与される.
アプリケーションプログラムとシステムプログラムの隔離

 80286には,セグメントタイプによる保護のほかに,システムの信頼性を上げるため,重要なシステムプログラムをアプリケーションプログラムの誤動作などから守る「リングプロテクション機能」がある.
 セグメントの属性による保護が,不正なメモリアクセスを検出するためのものであるのに対して,このリングプロテクションは,さらにシステムの構成を変更する重要な命令の実行や,重要なシステムコード,あるいはデータへのアクセスを制限するために使用される.
 言い換えれば,セグメントタイプの検査によって,メモリアクセスに対する水平方向の保護を実現し,このリングプロテクションでメモリセグメントに特権レベルを付加する階層的な垂直方向の保護を実現していることになる.このリングプロテクション機能によって、OS/2のもとで実行されるアプリケーションプログラムは、MS-DOSにおいて可能だったシステム領域の参照や変更,あるいは,-不正な割り込みベクトルの横取りなどが禁止されることになる.
 しかし,すべてのアクセスが禁止されるわけではなく,システムが許した正当な手段(例えば,コールゲート:後述)を使用することで,システムプログラムに対して,柔軟なアクセスが可能になるのも,リングプロテクションの特徴である.
 
保護リング

 リングプロテクションの基本的な考え方は,主記憶に配置されるセグメントに,それぞれリング番号と呼ばれる番号を与え,同一番号をもつセグメント間でひとつの「保護リング」を形成し,その保護リングに付けられた番号の大小関係によって、アクセスを制御するというものである(図5).
 80286では、0~3の4つのレベルをもつ保護リングが設定され,プロテクトモードで実行されるプログラムは,必ず何れかの保護リングのなかで実行される.リング番号0で実行されるプログラムが一番高い特権レベルを持つ,もっとも信頼性の高いプログラムである.そしてリング番号が大きくなるほど特権レベルが「低くなる。
 すなわち,特権レベルの低いリング番号をもつセグメントで実行されるプログラムは,より高いレベル番号の保護リング内にあるセグメントに対しては,データを読み出すことも書き込むこともできない.
 逆に,高いリング番号を持つセグメントからは,低いリング番号のセグメントに対して自由にアクセスが許される.
 OS/2は,この仕組みを利用して,自分自身をリング0で実行し,アプリケーションプログラムをもっとも低い特権レベル(リング3)で実行することにより,アプリケーションプログラムの不正なアクセスによる破壊から,自分自身を保護している.デバイスドライバは,アプリケーションプログラムよりも少し高い保護リングで実行される.
 各セグメントのリング番号は、やはり,セグメントディスクリプタ内に保持される.
コールゲート

 リングプロテクションの結果,もっと「も特権レベルの低いリング3で実行されるアプリケーションプログラムは通常の場合,自分自身の仮想空間内にある同レベルのメモリセグメントにしかアクセスできない。
 しかし,より高いレベルのリングにあるセグメントに対するアクセスが,まったく不可能なわけではなく,「コールゲート」と呼ばれる特別な方法を使用することによって可能になる.
 コールゲートを使用したプログラム呼び出しの概念を図6に示す.
 コールゲートの実体は,セグメントデニィスクリプタと同じ構造を持つ,プログ・ラムへのエントリアドレスが格納された・ディスクリプタである.
 すなわち,セグメントディスクリプタのリミットとセグメント・ベース・アドレスの各フィールドにプログラムのエントリアドレス(オフセット,セグメント・ベース・アドレス)を格納したものである.コールゲートは、セグメントディスクリプタと同じディスクリプタテー・ブルに配置され,ディスクリプタ内のタイプフィールドで両者の区別を行う.
 このコールゲートに対して,JMP,あるいはCALL命令を実行することにより,異なるリング番号のプログラムを呼び出すことができるようになる.
 図6から,コールゲートを使用したプログラムの呼び出し動作には,おおむね2回(厳密には1.5回)のアドレス変換動作が必要になることがわかる.アドレス変換に成功すると,そのプログラムの実行が開始される.
 すなわち,コールゲートを実現するために重要なことは,JMP,あるいはCALL命令のオペランドである分岐先のセグメントセレクタが,コールゲートのディスクリプタを指し示していなければならないということである.
 このようにコールゲートを作成することで,特権レベルの高いプログラムが,コールゲートに記述されたエントリアドレス以外から呼び出されることが防げる.たとえば、アプリケーションプログラムが,バグによる暴走などでレベルの高い,プログラムの誤ったエントリに制御を移しても,そのプログラムが実行されるということはない。
 OS/2のファンクションコールは,すべてコールゲートを使用して実現されている.そのため,OS/2のアプリケーションプログラムは,ファンクションコニールに際しても,MS-DOSのように特別な命令(ソフトウェア割り込み:INT命令)を使用して区別する必要はなく,通常のCALL命令を使用すればよいことになる.
 このコールゲートの採用により,プログラムのリンク時に,ファンクションコールのライブラリをリンクする必要がなくなるため、実行形式ファイルのサイズが小さくて済む.アプリケーションプログラムが使用するファンクションコールは,そのプログラムのローディング時に,そのプログラムが使用するライブラリル-チンに対するコールゲートを,ディスクリプタテーブルの中に作成するだけで可能になるのである.この機能を実現する機構のことを「動的リンク機構」と言い,動的リンクを行うために,各ライブラリルーチンの情報を納めたファイルのことを「動的リンクライブラリ(ダイナミックリンクライブラリ)」と言う(OS/2の動的リンクライブラリには,".DLL"の拡張子がつけられている).動的リンク機構によって,将来,OS/2のファンクションコールライブラリが変更されたり,コンパイラの仕様が変更された場合でも,プログラムを作り直す(再コンパイルや再リンクする)必要はまったくない.ロ-ディング時にコールゲートを作り直すだけで,そのまま実行することが可能になる.
(以下略)

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保護リングとかの機構を見て、今後はこういったOSでユーザのアプリケーションプログラムが暴走してOSを巻き込むことが無くなるのかと思っていたが、そんなことは無かった。OSはよく落ちた。
80286でよくもこんな機能たっぷりのOSを作れたものだと、MSとIBMのプロのプログラマを尊敬していた。

この号のEditor's Note は「日本語OS/2 プレリリース・セミナー」だった。結構面白い内容なのでスクラップする。
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 電源が入るとそこはリアルモードであった.すぐにリング0に移行し,私(OS/2)の本体であるカーネルをロードする.DOSの真似をしてCONFIG.SYSを読みに行くと,カントリーコードからそこが日本であることがわかった.
 おもむろにMS-DOS Ver.3.3でおなじみのコードページをセット.さらにデバイス・ドライバをロードして初期化ルーチンを実行後,カナ漢字デーモンを起動しFEPを待機させる.最後にプログラムセレクタを起動し,コマンドインタープリタに制御を移す.
   今日も私(OS/2ユーザー)の286マシンの調子が悪い.SDK(ソフトウェア開発キット)のOS/2だから、カーネルのリソースを覗けるのはいいが,だからといってデバッグが楽になるわけではない.
 MS-DOS Software Toolsを移植しようと思ったが,MS-DOS互換ボックスを使ってもなかなか一筋縄では動作してくれないのだ。とくにデバイス・ドライバが難しい.
 試しにSDKのMS-Cを使ってプロテクトモードだけで動作するように書き直してみたが,これもすぐスワップされてしまうためか,注意してプログラミングしないと遅いプログラムになってしまう.
 また性懲りもなく互換ボックスで動作するプログラムがやってきた.MS-DOSの隠しシステム・コールが登録されているといって,喜んで使っている.こちらで一所懸命割込みの処理をエミュレートしてやっている苦労もわかって欲しいものだ.
 ひどい奴はBIOSをアクセスするつもりでメモリを荒しにくるが,そういう手合いはとくに丁重に葬ってやる.私(OS/2)は巨大な権限をもつアドミニストレーターなのだ.
 それに,メモリボードも拡張せずにマルチタスクでどんどんプロセスを起動させるものだから,仮想記憶のスケジューリングが忙しくてたまらない。
 せっかくダイナミックリンク・ライブラリをサポートしているのだから,メモリをくれないならくれないなりに,共有できるライブラリはすべてメモリの1箇所に集めてスペース効率を図って欲しいものだ.
 しかたがないから,おかまいなしに実行中のプロセスをどんどんディスクに落としていく私まで動けなくなっては困るからだ.
 それにしても,仮想記憶空間が広いからといって,なぜセグメントの考慮が必要でないと思うのか理解できない.せっかくMS-Cの方でセグメントの属性を指定できるようにしているのだから,スワップされてよい部分と悪い部分を切り分けて作って欲しいものだ.
 個々のプロセスが現在どのセグメントを必要としているかなど,プログラムを作ったわけでもないのに,私にわかるわけがないではないか。
 そうでなくともいっせいにプリンタに出力しようとしたり,他人の迷惑も考えず漢字辞書をメチャクチャにアクセスしようとするスレッドの交通整理で忙しいというのに,そんなことを考えている暇は私にはないのだ。
 OS/2め,また横着なエラーメッセージを出しやがった.気にくわん.人がせっかくMS-DOSとOS/2の両方で動作するプログラムを作ろうとしているのに、やれサイズは大きくなるわ、ファイル管理は大変だわ,システム管理者面したメッセージは出すわ、これではまともなテストをする気が起こらんわい。
 えい,エラーメッセージを書き換えちゃえ「すみませんが,DLLを使うプログラムも作って頂けませんか?」
 よしよし,エラーメッセージがテキストファイルに格納されているというのはいいことだな.これでOS/2専用の大規模プログラミングに専念できるというものだ.
 せっかくだからPM(=ウィンドウシステム)も使ってみよう。なになに,まずMS-Windows Ver.2.0で練習してください?それじゃあイベント・ドリブンなわけね.
私は編集者です:-)
 OS/2は,ことほどさように巨大なシステムですが,システマティックに管理されているので各種のインターフェイスはMS-DOSより見通しがよくなるでしょう.ユーザーにとっては,スピードが速くなるというより,使い勝手やデータ交換が容易になるといったメリットが大きくなります。 (中略)
 OS/2はIBMとMicrosoftの共同開発のOSですから,IBMのOSであるMVSの解説書や,この系統の巨大なOSのもととなったMulticsの解説書なども読んでおくとよいと思われます。
(以下略)
当時はなんのことか分からなかったが、今読み返すと笑ってします。そうだ、こんな感じだったんだ。貧弱なハードウエアで無理して「こうしたい、こうあるべきだ」という理想をソフトウェアで実現しようとすると、「できるが、使い物にならない」となるものだ。

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OS/2第4回仮想記憶(その1)(月刊ASCII 1988年5月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

連載「OS/2がやってきた」の第4回は「仮想記憶」だった。MS-DOSの知識程度しかない私はこの仮想記憶をワクワクして読んだ。80286という中途半端なCPUでもこんな高度なことができるのかと感心した。だが、「できる=可能である」ということと使い物になるということの間には大きな差があった。
記事をスクラップする。
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第4回「仮想記憶」
日進ソフトウェア(株)
矢部和博

 今回はMS-DOSとOS/2の決定的な違いの1つである「仮想記憶」について解説する。この仮想記憶によりOS/2は複数のアプリケーションを動かしても、お互いに干渉しあわず,かつ効率的な資源の共有が可能になっているのである。さらにOS自体をも保護し,プログラミング上のミスにより、全体が決定的なダメージを受けることのないようにしているのである.

 すでに,OS/2が,仮想記憶方式を採用したシングルユーザー・マルチタスクのO.S.(本連載では、OS/2と,一般的なオペレーティングシステムとの混同を避けるため,O.S.と表記する)であることは周知の事実となっている.
 このため、OS/2のプロテクトモードで動作するアプリケーションプログラムは,MS-DOS上では考慮する必要のなかった様々なプログラミングマナーを守る必要性が生まれる.その違いは,8086と80286マイクロプロセッサのアーキテクチャの違いに依存する部分が大きい.
 今回は,80286のメモリ管理機構のアーキテクチャと,そのメモリ管理機構を利用して実現されるOS/2の仮想記憶機能,および動的リンク機構を中心に解説し,プロテクトモードにおけるプログラミングマナーについて探ってみる.
 前回予告したにもかかわらず,今回の話題からは見送ることになった国別機能やかな漢字変換機能についてのレポートは、日本語OS/2の発表を機会に行いたいと思っている.
MS-DOSで動くプログラムを作っていたが、シングルタスクでさえ大きなデータを扱うプログラムではリアルモードのプログラムでもセグメントレジスタの扱いでバグを出しまくりでただただ苦労ばかりしていた。そんな段階で80286のプロテクトモードのプログラミングなんて一体自分はできるのだろうかと思っていた。もちろん、結局できなかった。
仮想記憶とは
 さて,今回はOS/2の中心的な機能のひとつである仮想記憶機能に関する解説を行うことになった.しかし,仮想記憶に関するすべての事柄を限られた誌面の中で網羅するのは不可能なため、より詳細な解説は専門書に譲ることにして,ここではOS/2に関するその基本的な事柄についてだけ述べることにした.
 まず,本題の最初として,それだけでは謎めいた「仮想記憶」なる熟語を定義しておく必要がある.
 仮想記憶とは,大規模な複数のプログラムを並列に,そして安全に実行するコンピュータシステムを構築するという要求に応えるために考案された「概念」を表す言葉であり,実際の記憶装置を指す言葉ではない.主記憶装置を効率よく管理するための「方式」を表す意味合いを持った言葉であるということになる.
 すなわち,マルチタスクシステムでは,同時に実行されるすべてのプログラムに対して適切な量の主記憶を平等に割り当てなければならないため,主記憶もディスク装置やコンソールと同様に,有限なシステムの資源として管理する必要がある.そのために考案されたのが,「仮想記憶方式」と呼ばれるメモリ管理技術なのである。
 この仮想記憶方式は,技術的には,プログラムが必要とするメモリ空間を次の3つの記憶装置上に配置することで実現される.

 ・仮想記憶装置
 ・実記憶装置(主記憶装置)
 ・二次記憶装置(ディスク装置)

 3つの記憶装置の関係を図1に示した.仮想記憶装置は,仮想記憶方式を実現するために,主記憶装置と二次記憶装置の2つの装置上に混在するプログラムやそのデータが,あたかも連続した空間上に存在するかのように見せかけるために考案された仮想的なメモリ空間のモデルである.このモデルそのものを仮想記憶と呼ぶ。
 それぞれの記憶装置について,もう少し明確に定義しておく.
【仮想記憶装置】
 仮想記憶装置とは,O.S.によって実現される仮想的(疑似的)な記憶装置のことで,アプリケーションプログラムはこきの記憶装置上に配置されて実行される.
 この仮想記憶装置は,主記憶装置の容量に左右されないアドレス空間を持ち,その容量は、CPUのアドレッシング可能範囲の最大値に等しいアプリケーションプログラムからは,あたかもこの仮想記憶装置上にデータやコードが連続して記憶されているように見えるが,そのとおりにデータが記録されているわけではなく,実際のデータは主記憶装置上と二次記憶装置上に置かれる.
 この仮想記憶装置の実体を説明することが,今回のメインテーマのひとつでもある。
【実記憶装置】
 従来の主記憶装置のことを仮想記憶装置と区別する場合には「実記憶装置」と呼ぶ.仮想記憶装置上に記憶されたデータを実際に記録し,アクセスするために用いられる。
 しかし,主記憶よりもはるかに大きな仮想記憶装置上のデータをすべて記録できるわけではなく,仮想記憶装置上で実行されているプログラムの,その時点で最も必要なデータのみが置かれることになる。
【二次記憶装置】
 主記憶に格納できなかった仮想記憶装置上のデータを記録するための記憶装置が二次記憶装置である.二次記憶装置には,高速なディスク装置が使用されることが多い.
 具体的には、実行形式ファイル(OS/2では,".EXE"ファイル)のコードセグメント部分とスワップファイルと呼ばれる主記憶上のデータを退避するための単なるファイルである.
 すなわち,仮想記憶方式とは,プログラムを実行するためのメモリ空間(仮想記憶装置)と実際の主記憶装置を分離して考え,プログラムがメモリを必要としたときに,適当なサイズの主記憶をその仮想記憶装置上のアドレス空間に割り当てることを可能にする主記憶の管理方式のことである。
 言い替えれば、仮想記憶方式では、プログラムのすべてが主記憶上に存在する必要はなく,現在実行されているごく一部のプログラムコード領域(テキスト領域,コードセグメント)と,そのプログラムコードが参照しているごく一部のデータ領域(データセグメント)が,主記憶に常駐していればよいことになる.なぜなら、プログラムとは数ワード(バイト)の命令の集合として構成されており,ある一瞬に必要となるのはこのたかだか数ワードさえアクセスできればいいのであり、実用的な面から言えば、たかだか1つのルーチンあるいは関数があればよいからである(プログラムの局所性).
 そこで,その瞬間には必要のない部分は,再び必要になるまでディスクなどの外部記憶装置(二次記憶装置)に保存しておく。こうすることによって,主記憶よりもはるかに大きなプログラムを実行することが可能になる.仮想記憶方式の最大の特徴は,実行するプログラムのサイズが主記憶容量の制限を受けない点に ある。
 そして,マルチタスクシステムにおいては,仮想記憶装置が並列に実行されるプログラム(タスク:OS/2では,プロセス)の数だけ存在することになる.実行するプログラムの実行環境を仮想記憶装置ごとに独立させることにより,実行中のプログラムが不注意で巻き起こすメモリ破壊などの予期せぬ悪影響から,別のプログラムを保護して,並列に動作する個々のプログラムの安全性が確保されるわけである.
このように,仮想記憶装置により,各プログラムに与えられるメモリ空間のことを「仮想空間」と言うそして,仮想記憶装置を実現するシステムのことを「仮想記憶システム」と呼ぶ.また,仮想記憶装置を実現するためのO.S.の機能を「仮想記憶機能」という(注1).
 OS/2の仮想記憶機能は,最大主記憶容量16Mbytes(最低1.5Mbytes)を使用して,同時に実行されるアプリケーションプログラムごとに,最大1Gbytes(1ギガバイト=1億バイト)の広大な仮想空間を提供する.
 また,80286が実現する保護機能により,アプリケーションプログラムは,同時に実行される他のプログラムの存在を知る必要もなく、他のプログラムの干渉を一切受けずに,自分の処理に専念できる環境が与えられる.
 必要なら定められた方法によって,複数の仮想記憶装置間でデータを共用することもできる(共用メモリ).また,別々の仮想記憶装置上で実行されている他のプログラムと会話することもできる(プロセス間通信)

注1
「仮想記憶機能」

 仮想記憶システムでは,この仮想空間とプログラムの実行単位であるタスク(プロセス)を1対1に対応付けて考えることができる.
 すなわち,タスクとは実行されるアプリケーションプログラムそのもののことではなく,あくまでも,そのプログラムを実行するために与えられる仮想空間を含むシステムの環境のことを指している.
 したがって,実行中のタスク数とアプリケーションプログラムの数は等しくならない、仮想記憶システムでは,複数のタスクが主記憶装置上の同じプログラムコピーを,異なる仮想記憶装置上で共用することが可能になるためである。
 このタスク(仮想記憶装置)とアプリケーョンプログラムの関係は,マルチユーザー・マルチタスクの機能を実現するシステムを考えると理解しやすい。その代表的なものに,大規模なパソコンネットのセンターに設置されるホストシステムがある
 パソコンネットのホストシステムは,同時にログインしている多くのメンバーに同一のサービスを提供する.このとき個々のメンバーは、そのサービスを実現するプログラムと会話していることになる.そして、各メンバーが会話しているプログラムは、当然同じプログラムである.
 しかし,そのプログラムが処理するデータ(例えば、アクセスしている電子掲示板)は,メンバーごとに異なったものである。
 このとき,同時に同じサービスを受けている個々のメンバーと1対1で対応するのがタスクであり,そのタスクに割り付けられた仮想記憶装置である。
 それぞれの仮想記憶装置は,同一のプログラムコードと異なるデータセグメントからなる仮想空間を持つ。、すなわち,メンバーは、システム内に存在する1つの仮想記憶装置を占有し,タスクとして実行されるアプリケーションプログラムが提供する特定のサービスを受けていることになる.

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ここまで読んで80286でこれは速度的にきついだろうと思った。よくもまあMSとIBMは80286でこれを開発したものだ。ユーザはパソコンの前でどのくらい黙って待つと思っていたのか。10秒いや5秒反応しなければ暴走してると思いリセットボタンを押されるとは思っていなかったのだろうか。
「仮想記憶の代償
 アプリケーションプログラムは,それ」,ぞれ独立した仮想空間によって,これらの優れた環境が提供される代わりに,仮想空間上で動作するための様々なプログラミングマナーに従わなければならない.マナーに違反したプログラムは,OS/2の監視機能(保護機能)によってシステムから弾き出されてしまう.すなわち,異常終了させられることになる.
 それら数多くのマナーは,同時には1個のプログラムしか走行しないシングルタスクのシステムと,複数のプログラムが並列に走行するマルチタスクのシステムにおける考え方の違いがそのまま反映されている.
 たとえば,シングルタスクであるMS-DOSのもとで実行されるプログラムは,ひとつのアプリケーションプログラムがシステムのすべての資源を占有できるため,その自由度は大きい.高速化のためには,他のすべてのものを犠牲にすることも許される.その気になれば,O.S.であるMS-DOSを介することなく、すべてのシステム資源に直接アクセスすることも可能である.
 一方,複数のプログラムが同時に動作するマルチタスク環境では,システムの「安全性が最優先される.あるプログラムが他のプログラムに影響を与えることがあってはならないのである.そのため,システム資源へのアクセスは,すべてシステム管理者であるO.S.を介して行わなければならなくなる.こうして、OS/2においても,MS-DOSでは考慮する必要のなかった制約が生まれてくる.アプリケーションプログラムは、実記憶をすべて占有して処理することはできないし、ビデオRAMに直接アクセスすることや,割り込みベクトルを横取りすることもできない.また,入出力ポートなどのハードウェアを直接操作することもできない.OS/2のアプリケーションプログラムは,他のプログラムとの「共同生活」のために必要となるあらゆる「行儀の良さ」を身につけなければならないのである.
 そのかわり,MS-DOS上で行われていた「行儀の悪い行為」は,OS/2が提供する豊富なファンクションコール(API)を使用して,すべて実現できるようになっている。

注2
「仮想アドレス」

 8086で使用されるアドレスも,厳密な意味においては,セグメントレジスタとオフセットレ「ジスタを合成したものが物理アドレスになるため,実際のメモリアクセスにおいてそのまま使用することはできないことから仮想アドレスであると言える。
 しかし,仮想記憶装置の概念を持たないため,仮想記憶システムにおける仮想アドレスとは根本的に異なる.|強いて言えば,8086では仮想アドレスが物理アドレスと1対1になるアドレス変換を行っていることになる.
考え方は実に素晴らしいがハードウエアが足を引っ張っている。速度的に快適なプログラムを作るには80286にOS/2では無理だった。MS-DOSでガンガン絶対アドレスにデータを書き込む必要があった。とにかく「速度が遅く足を引っ張るしかないOSは引っ込んでろ。俺にすべての資源を渡せ!」という感じのコンピュータ環境だった。
動的アドレス変換のメカニズム
 仮想記憶方式における動的アドレス変換の位置づけ(働き)がわかったところで,80286が主記憶にアクセスするために,仮想アドレスから目的の物理アドレスを生成するアドレス変換の基本的なメカニズムを明らかにしよう.80286のアドレス変換のメカニズムは図2のようになっている.この図から,実際の主記憶にアクセスするために行うアドレス変換には,以下のような情報が必要であることがわかる.
 (1) 7セグメントセレクタ
 (2) オフセット値
 (3) セグメントディスクリプタ
 (1) のセグメントセレクタは,セグメントレジスタなどに保持される値である.同様に(2)は,オフセットレジスタに設定されている値のことである.(3)のセグメントディスクリプタは,プロテクトモードで初めて採用されたもので,このセグメントディスクリプタの中には,セグメントの属性や主記憶上におけるセグメントのアドレスが収められている(図3).
 これらの情報から目的の物理アドレスは,セグメントレジスタのポイントするセグメントディスクリプタ上のセグメント・ベース・アドレスにオフセット値を,単純に加算すれば得られる.
 すなわち,この動的アドレス変換の原理を利用すると,主記憶上のすべてのセグメントは、セグメントディスクリプタをセグメントの数だけ連続に配置することで管理できるようになる.そして,このセグメントディスクリプタの配列数を,主記憶のセグメント数より多くすれば,主記憶装置の容量を超えた数のセグメントを定義することが可能になる.
 このようにして作られるセグメントデニィスクリプタの配列のことを,「ディスクリプタテーブル」(注3)という(実は、このディスクリプタテーブルが仮想記憶装置の実体である).
 セグメントレジスタには,このディスクリプタテーブルの中に配置されたセグメントディスクリプタのエントリ番号が格納される.80286に正常なアドレス変換を行わせるためには,このセグメントディスクリプタの情報を,OS/2が設定しなければならないのである.
 OS/2の仮想記憶とは,80286の動的アドレス変換機構(ハードウェア)と,OS/2の処理(ソフトウェア)が密接に係わりあって実現されるものであると言えるだろう.
 また,図2はもうひとつの,プロテクトモードでのプログラミングマナーについての重要な事柄を示唆している.それは,セグメントレジスタの内容が,8086の場合と異なっていることである.

注3
「ディスクリプタテーブル」

 ひとつのディスクリプタテーブルで,8192個のセグメントを定義(ポイント)することができる.このディスクリプタテーブルを,同時に実行されるタスク(プロセス)ごとに用意すると,それぞれに独立した仮想空間を生成することが可能となる。
 このように,タスクごとにそのタスクの持つメモリセグメントを定義するために用意されるディスクリプタテーブルを、「ローカル・ディスクリプタ・テーブル(LDT)」と呼ぶ.
 また,複数のタスクから同時に参照(共用)することを可能にする共用メモリセグメントは、「グローバル・ディスクリプタ・テーブル(GDT)」によって作成される.タスクごとに複数個作成されるLDTに比べて,GDTはシステムに唯一個しかない。
 この2つのテーブルの位置は、それぞれ,LDTRとGDTRという各レジスタにアドレスが保持されている。すなわち,システム空間を管理するGDTと,タスクの持つアプリケーション固有のセグメントを管理するLDT,そして,それらの2つのテーブルをポイントする各レジスタ(GDTR,LDTR各セグメントレジスタ,そして、割り込みベクトルテーブルをポイントするIDTR)が,仮想記憶装置の実体である.
 仮想記憶装置のひとつであるLDTRとGDTRなどを操作する命令は,高い特権レベルを持ったプログラム(すなわち,OS/2)のみが実行可・能な命令(特権命令)であるため、アプリケーションブログラムからは仮想空間の切り替えなどの仮想記憶装置を制御することはできない.
 すなわち,各アプリケーションプログラムは,それぞれの仮想記憶装置(仮想空間)上で独立となる。

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今回のスクラップはここまで。以下次回。

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電話でRPG、TRON(月刊ASCII 1988年5月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS の残りの記事をスクラップする。

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アミューズメントクラブが電話を使ったRPGを開始
これはなんと言ったらいいか。「暗黒要塞ガルディアン」タイトルからもう中二病満開だけれども。電話かけまくりでゲームを進行させるのか?
ググったらあった。
暗黒要塞ガルディアン オセロ神話の謎
>■ 備考
>電話を利用したゲームサービス「テレホンアドベンチャー」と連動した双葉社オリジナルのゲームブック作品。
ゲームブックか。このシステムぼんやりと分かった。電話でゲームした体験者の感想がどこかにあればいいけど見つからなかった。

ASCII1988(05)b19CEC教育用BTRON_W520.jpg
CECが教育用コンピュータの試作機を公開 日電を除く11社が9台のBTRONベースマシンを試作
TRONがどのように消えていったのか興味があるので記事本文をスクラップする。
 (財)コンピュータ教育センター(CEC)は,昨年10月に取りまとめた教育用コンピュータの試作仕様原案に基づく試作機9台を公開した。
 試作機は,CECに参加している沖電気,三洋電機,シャープ,ソニー,東芝,日本IBM,日本ユニバック情報システム,日立製作所,富士通,松下電器産業,三菱電機の11社が試作仕様に基づいて開発したもの.CECが昨年7月に募集した教育コンピュータの試作仕様「CECコンセプト・モデル'87」(表を参照)が,今回の試作機のベースになっている.
 試作機の特徴は,“共同提案仕様”という形で提示されているBTRON仕様の部分.CECでは,「OSは特定しない.入出力のシステムコールやディスプレイの制御コードなどの仕様を満たせば,OSはBTRONでもMS-DOSでもよい」(堀池喜一郎CEC研究開発室室長)との立場を明確にしているが,試作機はBTRONのユーザー・インターフェイスや画面表示を採用している.
 CECに参加するハードメーカー12社のうち,日本電気だけは当初からMS-DOSをOSとして採用することを明らかにしていたが,「CECコンセプト・モデル'87」がBTRONを事実上のオペレーティング・システムとして想定した仕様になっているため,ソフトウェアスイッチでMS-DOSとBTRONを切り換える“マルチOS"仕様の試作機を5月末までに開発する予定だ.
 試作機の内訳は,沖電気,三洋電機,シャープ,ソニー,東芝,日本ユニバック情報システム,松下電器,三菱電機が共同開発したものが1台,松下電器と日本IBMが共同開発したものが1台,沖電気,東芝,日立製作所,富士通,松下電器,三菱電機がそれぞれに独自開発したものが7台(富士通は2台)の合計9台.このうち,富士通の試作機が,同社の教育用コンピュータ「FMR50S」の巨体をベースにしているほかは,各社とも松下電器の試作機の巨体をベースにしてデサインに多少の変更を加えている.オペレーティング・システムについても,「当初からBTRONを開発していた松下電器が一歩リードしているため,今回の試作機については各社が松下電器から供給を受けたのではないか」(CEC関係者)という.TRONチップは,日立製作所,富士通,三菱電機が今年初頭に発表したばかりで,それに対応するオペレーティング・システムはまだ完成していない.CECの試作仕様を受けた各社が,締め切りに間に合わせるために松下電器の協力を求めたというわけだ.
 CECでは,9台の互換性や動作チェックに着手しており,5月末に完成する日電の試作機と合わせて今年度中に仕様の統一を図ることにしている.そして,来年度から一部のモデル校に導入する予定だ。
 同時に公開された試作機用のデモソフトは、MS-DOSをベースにした従来の16bitマシン上で動作していたものを移植したものが中心.この中には,富士通のローカル・エリア・ネットワークを使った教師と生徒のコミュニケーション用ソフトや,三菱電機の電子の流れをシミュレートするソフトなど独自開発も含まれているが,CECでは,「第一に現行ソフトが移植して動作するかが問題,教育現場には,パソコンがすでに7万5000台も導入されている.それらで動作するソフトをすくい上げなければいけない」(堀池喜一郎CEC研究開発室室長)としている.
 「実機が公開されたということで,一部マスコミでは早くも使える,使えないという論議が活発だが,これはあくまで試作機」(同氏)という位置付けが今回の試作機公開だが,5月末に完成する日電の試作機がどのような仕様になるか,本当の“使える,使えない"論議は,その時になりそうだ.

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ASCII1988(05)b19CEC教育用BTRON_写真2_W520.jpg
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 教育用コンピュータ市場ではメーカー間の綱引きが激しかったと思われる。文部省官僚との打ち合わせと称する接待が激しく行われていたと想像される。日本では人間関係の綱引きで施策が決まることが多かった。何回か書いたが、子供にバカな教育実験をする方が、税金の無駄遣いで箱もの等を作ることよりも、よっぽど害毒だと思う。その点で一番の憎むべき官庁は文部省だったと今でも思っている。

ASCII1988(05)b20TRON協議会_W520.jpg
TRON協議会が社団法人に,参加企業は100社第4回TRONシンポジウムが開催
こっちの方はスクラップしていても怒りは湧かない。

 TRON協議会は,(社)日本電子工業振興協会から独立して「社団法人トロン協会」を設立,会長には富士通の山本卓眞社長が選任された.トロン協会の参加企業は外資系を含む100社(3月26日現在)に達しており、米国や欧州,アジアなどで海外支部設立の準備が進んでいる.
 トロン協会設立後に開催された「第4回TRONシンポジウム」で,山本会長は「社団法人として独立組織にしたのは,TRONが第2フェーズに入って新たな活動が必要になったため、教育用コンピュータにも一部採用されるなどコンセプトが形になりつつある」と,設立の主旨を説明した.また,同会長は「TRONチップの開発や参加企業間の互換性の維持など解決していかなければいけない課題が山積しているが,世界に開かれたオープンアーキテクチャとして育てていくことが大切」であることを強調した.TRON仕様に基づくチップは,日立製作所,富士通,三菱電機がクロック周波数20MHzの32bitCPU「GMICRO/200」を今年初めに開発しており,BTRONマシンの登場が待たれている.マシンの発表時期は今年後半という観測があるが,一部には、オペレーティング・システムで先行する松下電器が来年初頭に発表するという噂もある.どちらにしても,当分は姿を現しそうにないようだ.
 シンポジウムのパネルディスカッションでは,パネラーの1人である放送教育開発センターの島田裕己氏が,「TRONのようなプロジェクトには,教祖的な推進者が必要.そういう意味では坂村教授は教祖で,TRONは宗教に近い」と述べて,会場の爆笑を誘った.実務レベルの討議が行われなかった今回のシンポジウムでは,最後に作曲家の千住明氏が,NHK教育テレビの番組「コンピュータの時代」で用いた曲をまとめた「TRON組曲」をシンセサイザで演奏して花を添えた.
 (社)トロン協会の設立企業は,沖電気,東芝,日本電気,日立製作所,富士通,松下電器,三菱電機の7社.

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この記事では、前途多難だという感想しかない。

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周辺装置、ワープロ等の記事(月刊ASCII 1988年5月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS からパソコンの周辺機器、ワープロ等の記事をスクラップする。

ASCII1988(05)b09ウィンテクHDD_W520.jpg
ウィンテクがキャッシュメモリ搭載の40/80Mbytes HDD 2種を発売
リファレンス R4HS(40MB) が17万8000円
リファレンス R8HS(80MB) が32万8000円
私はこれとは別に安価なHD404HS(40MB)を買った。

ASCII1988(05)b09ティアックHDD_W520.jpg
ティアックがカセットストリーマ付きの20/40Mbytes HDDシリーズを発売
写真はDS-9840NとDS-5522N

ASCII1988(05)b09ランドコンピュータHDD_W520.jpg
ランドコンピュータがPC-9800シリーズ用の40Mbytes HDDを発売
オートリトラクト この単語が懐かしい。
DISKmate LDM-540が29万8000円

ASCII1988(05)b04九十九外付け3.5インチFDD_W504.jpg
九十九電機,PC-9800用の外付け3.5インチFDDを発売
そういえば、九十九は自社ブランドの8bitの時代からFDDを発売していた。

ASCII1988(05)b06日立マクセル3.2Mbytes5.25インチFDD_W504.jpg
日立マクセル,記憶容量3.2Mbytesの5.25インチFDを発売
MD2-ED 10枚で3万2000円。
FDDはYEデータの FD-80, 富士通の日本語ワードプロセッサ OASYS 1000GX-CD に採用されていた。

ASCII1988(05)b14松下書き換え可能光ディスク_W505.jpg
松下通信工業,書き換え可能な光ディスクを発売
サンプル価格が130万円
サイズが5.25インチで記憶容量が524MbytesだからCD-RWのようなものだったのだろう。

ASCII1988(05)b08ニコンフィルムスキャナ_W506.jpg
ニコン,フィルムスキャナを発売
価格は150万円
安価になってからフィルムスキャナを使ったことがあるがもう面倒くさくて使い続けることを断念した。まず、フィルムについた誇りをとるのが面倒。ガイドにセットして1コマ1コマスキャンするのがまた面倒。やってられなかった。

ASCII1988(05)b08ゼロックスカラースライドスキャナ_W501.jpg
富士ゼロックス,カラースライドスキャナを発売
価格は185万円
きっとラボなどの業務用の装置なんだろう。

ASCII1988(05)b08東芝画像ハードコピー_W501.jpg
東芝,コンピュータ画像のハードコピー装置を開発
HC-1500で価格は35万円

ASCII1988(05)b04シャープインクジェットプリンタ_W498.jpg
シャープ,カラーインクジェットプリンタを発売
IO-730で23万円

ASCII1988(05)b04シャープ電子手帳ICカード_W503.jpg
シャープ,電子システム手帳用のICカード3種を発売
プロ野球カードがあるのが面白い。

ASCII1988(05)b08Millicomポケベル_W499.jpg
米Millicom社,漢字・カナ表示のポケベルを開発
そうか米国でもポケベルがあったのかってユーザは約6000人と少なかった。

ASCII1988(05)b13ソニーモデム電話機_W520.jpg
ソニーがホスト局用の通信ソフトウェアを内蔵したモデム電話機を発売
IT-V1200の価格が5万9800円
ローカルBBSが盛んだった34年前であったとしても売れたのだろうか疑問だ。

ASCII1988(05)b04三洋ポータブルワープロ_W505.jpg
三洋電機,ポータブル日本語ワードプロセッサを発売
SANWORD340で12万8000円

ASCII1988(05)b06ミノルタワープロ_W503.jpg
ミノルタ,48ドット印字が可能なワードプロセッサを発売
MWP60で12万8000円

ASCII1988(05)b07ソニーワープロ_W520.jpg
ソニーが2インチFDDを搭載した日本語ワードプロセッサの新機種を発売
PJ-100EXで12万円

ASCII1988(05)b07松下ワープロ_W520.jpg
松下電器がバックライト液晶搭載の日本語ワードプロセッサを発売
FW-U1SPROで17万8000円

ASCII1988(05)b12松下ワープロ_W509.jpg
松下通信工業,マルチフォント対応の日本語ワープロを発売
パナワード5600Dで155万円

ASCII1988(05)b10ブラザー電子タイプライタ_W503.jpg
ブラザー,日英両用の電子タイプライタを発売
WORDSHOT Jで3万9800円

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パソコン等の記事(月刊ASCII 1988年5月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS からパソコン等の記事をスクラップする。

ASCII1988(05)b13松下MSX2英語発音_W520.jpg
松下通信工業がMSX2を使用した英語発音・発生訓練システムを発売
WE-F450シリーズで教師用システムが 69万3900円、学習者用システムが37万2800円。
こういうものはPC-9801でなくても8bit機のMSX2で十分だった。

ASCII1988(05)b17YHP新Vectra_W520.jpg
YHPがIBM PC互換の新Vectraシリーズを発売
一番安いもので22万7000円で一番高いものが231万5000円と凄い開きがあった。

ASCII1988(05)b17ソニーNEWS_W517.jpg
ソニーが68030を搭載したNEWS 2機種を発表
価格が凄い安いもので385万円とはこれはもうスーパーミニの価格帯ではなかろうか。

ASCII1988(05)b08クボタ低価格スーパーミニ_W497.jpg
クボタコンピュータ,低価格のスーパーミニコンピュータを発売
クボタコンピュータという会社は知らなかった。スーパーミニとなると1000万円以上するのか。

ASCII1988(05)b10東芝RISCワークステーション_W500.jpg
東芝,RISCチップを搭載したワークステーションを発売
ワークステーションでも536万円。

ASCII1988(05)b10NCR32bit汎用コンピュータ_W500.jpg
日本NCR,32bit CPUを搭載した汎用コンピュータを発売
最安価格で952万円。
汎用コンピュータ、スーパーミニ、ワークステーションの区別がよくわからない。

ASCII1988(05)b12ロータス1-2-3移植_W507.jpg
ロータス,Lotus1-2-3 R2.1 Jなどを移植
MS-DOSマシンでは各機種用にソフトを移植する必要があったのだ。OSが機種間のハードウエアの差異を吸収するなんて話はMS-DOSには通用しなかった。私たちはMS-DOSをローダーに毛の生えたようなものだと揶揄していた。なにしろ、プログラムはMS-DOSをバイパスしてハードウエアを直接叩かなければ欲しい速度が出なかった。

ASCII1988(05)b10バーズ文字認識ソフト_W497.jpg
バーズ情報科学研究所,文字認識ソフトを発売
PCR-SWAN で価格は 5万8000円。なかなかの価格だった。販売本数が望めないので仕方がない。

ASCII1988(05)b06日電CD-ROMソフト_W506.jpg
日本電気,CD-ROMソフトウェア2種を発売
辞書データベースが10万円もしたが、手間を考えれば仕方がないところだったろう。

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パソコン広告(月刊ASCII 1988年5月号1) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

もう一度読み返し、スクラップする。
ASCII1988(05)表裏_W520.jpg
裏表紙は前号に引き続き、FM77AV40EX/20EXだった。

ASCII1988(05)見開ppt_W520.jpg
表紙見返しはやっとPC-9801互換のラップトップPC-9801LV21を出した。私たちは、「もっと早く出せよな。エプソンが出さなければ出さなかったろう。ラップトップでなくラップクラッシュだ」と言っていた。
PC-9801UV11は3.5インチでコンパクトな筐体だから人気を博しそうだったけど、そんなには売れなかった。それは、一般ユーザは5インチFDDのPC-9801を持っている人が多く、ソフトをコピーしていた。だから3.5インチFDDのマシンを買ってしまうとメディアコンバートをしなくてはならずコピーには不利だった。ゲームソフトとかプロテクトがきついソフトがあり、それらのコピーはやはり5インチFDDユーザの方が得意だった。

ASCII1988(05)a01PC88VA_W520.jpg
PC-88VA(斉藤由貴)の広告。

ASCII1988(05)a02モデムプリンタ_W520.jpg
NECのモデム、プリンタ(小沢なつき)は前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a03タブレットPC-VAN_W520.jpg
NECのタブレットとPC-VANの広告。ここにも小沢なつきが出てくる。

ASCII1988(05)a04MZ-2861_W520.jpg
シャープのMZ-2861は前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a05X68000_W520.jpg
シャープのX68000は前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a06X1turboZII_W520.jpg
シャープのX1turboZIIは前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a07FM77AV40EX_W520.jpg
富士通のFM77AV40は前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a08FMR_W520.jpg
富士通FMRシリーズは前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a09PanacomM_W520.jpg
パナソニックのPanacomMは前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a10HP64000-PC_W520.jpg
横河ヒューレットパッカードのHP64000-PCは前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a11MBC-17J_W520.jpg
三洋電機のMBC-17Jは前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a12J-3100グラフテック_W520.jpg
左頁が東芝のJ-3100シリーズ。前号の使いまわし

ASCII1988(05)a13NAVI_W520.jpg
ASCII1988(05)a14NAVI_W520.jpg
キヤノンのNAVIは見開き4ページ。

ASCII1988(05)a15CanonMac_W520.jpg
キヤノン販売のMacの広告は前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a16PC-286L_W520.jpg
エプソンの98互換機PC-286。

ASCII1988(05)a17SONY2inchDiskCAD_W520.jpg
左頁がソニーの2インチFDD PDD-150の広告は前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a18Seagateランドコンピュータ_W520.jpg
左頁がシーゲイトのST225NCで前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a19シルエット_W520.jpg
ジャストシステムのシルエットの広告

ASCII1988(05)a20duet_W520.jpg
デュエットはジャストシステムの日英ワープロ。

ASCII1988(05)a21花子_W520.jpg
ジャストシステムの花子。

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ジャストシステムの一太郎。

ASCII1988(05)a23ロータスCast_W520.jpg
右頁がロータス1-2-3の広告。ADD-INの豊富さをアピールしている。ADD-INの機能は自分たちでシートデザインやマクロを組んで実現していたのでADD-INを買うことはなかった。こんなことを業務時間にしていると遊んでいるとみられた。つまり、電卓で計算して結果を1-2-3の表に数字を入力することが仕事として見てもらえていた。計算式が正しいとは限らないので「電卓で検算したか」と問われるとともに上司は電卓でチェックしていた。

ASCII1988(05)a24TURBO-C_CAD_W520.jpg
左頁がMSAのTURBO C V1.5の広告。

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裏表紙裏はFUJI FILMのフロッピーディスクの広告で前号の使いまわし。

ASCII1988(05)a50ログイン通信_W520.jpg
迷走を続けているログインの広告。
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コンピュータ業界の記事(月刊ASCII 1988年5月号2) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS からコンピュータ業界関係の記事をスクラップする。

ASCII1988(05)b02Apple著作権侵害でMSを告訴_W519.jpg
米Apple社が著作権侵害で米Microsoft社とHP社を告訴
Windows 2.03などがMacintoshの運動環境に抵触?
これどう決着したのだろうか。記憶にない。今後のスクラップでわかるはずだ。

ASCII1988(05)b11MacCD-ROM_W516.jpg
米国AppleがMacintoshファミリーとApple II GS 用のCD-ROMドライブシステムを発売
米国ではやっとパソコンにもCD-ROMが接続されるようになってきた。日本はまだまだだった。

ASCII1988(05)b12米国ラップトップシェア1位日電_W505.jpg
米国のラップトップのシェア1位は日本電気
NECが42%、東芝が33%
このシェア獲得はやりすぎではなかろうか。

ASCII1988(05)b08IntelDRAM再参入_W495.jpg
Intel, DRAM市場に再参入
DRAMを発明したのはIntelだったのか。

ASCII1988(05)b05三菱2MbitSRAM_W520.jpg
三菱電機が2Mbit SRAMモジュールを発売
業界初だった。34年前は日本がまだトップランナーだった。

ASCII1988(05)b03日電1Mbitグラフィックバッファ_W520.jpg
日本電気が1Mbitグラフィック・バッファをサンプル出荷
μPD42274。こういうものを開発してやっと使い物になるパソコンが出来上がったのだと思う。

ASCII1988(05)b04日電ISDN対応LSI_W499.jpg
日電,ISCN対応のデジタル通信専用LSIをサンプル出荷
μPD98201。ISDN懐かしい。パソコン通信をするには高速な通信が必要だったので導入したかったのだが、集合住宅住まいの身だったので2000年代になるまでISDNやADSLは使えなかった。

ASCII1988(05)b08東芝CMOS_W503.jpg
東芝,世界最高速のCMOSゲートアレイを開発
東芝も世界最高速の製品を開発できる会社だった。

ASCII1988(05)b04三洋ボイスシンセサイザ_W505.jpg
三洋電機,ボイスシンセサイザを発売
VSS-300。

ASCII1988(05)b05シャープADPCM音声LSI_W520.jpg
シャープが可変長符号ADPCM方式を採用した音声録音・再生用LSIを発売
LR3990。
三洋といいシャープといいこうして製品を発売しているということはどこかで、業務用か?使われていたのだな。

ASCII1988(05)b05シャープ液晶パネルLSI_W520.jpg
シャープが大画面の液晶パネル起動用LSIを開発
シャープが液晶パネルでは世界のトップを走っていると思っていて、これは韓国や中国に追いつかれるなんてありえないと34年前は本当に思っていた。



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パトレイバー,編集部から(月刊ASCII 1988年4月号9) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

パトレイバーのOVAの紹介記事があった。
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私はパトレイバーのファンだったが、この当時はレンタルビデオで観ただけで、唯一LDを買ったのが次の1枚だけだった。
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このLDは冒頭が面白かった。後藤隊長が太田らに説教するのだが、「お前たちは地方公務員なんだ」で笑ってしまった。設定で笑ってしまう。パトレイバーは特殊車両だからナンバープレートが付いている。警察車両だから白黒ツートンだし、胸には旭日章、肩にはパトライトが付いている。

同意することが多い編集部からのコラム記事。この号は新製品についてだった。
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新製品と意外性

 新製品にも,おおよそ予想の範囲にとどまるものと,意外性の高いものとがある.たとえばX68000のハードディスク内蔵バージョンは,いずれ出るであろうと予想できる範疇であったが,PC-88VAの9.3メガFDD内蔵バージョンは、意外性が高かった.イメージやサウンドのデータは容量も大きく,いずれは大容量の補助記憶装置をサポートする必要があった.それをハードディスクにしなかったのは,リムーバブルなFDDの方が,パッケージソフトのデータの供給などを考えると適切と判断したからだという当誌でも,昨年の7月号で大容量FDDの可能性についての記事を掲載した.とはいえ,それを3台目のFDDとして標準登載したことには,他に例もなく,やや驚かされた.
 PC-9801シリーズのLV21,UV11,CV21にも意外性はあった.このうちラップトップのLV21は,昨年エプソンがPC-286Lを発表した段階で,いずれは日電からもと予想できた.しかし,同時に発表されたCV21とUV11は,やや予想外だ.Macintoshと同様にCRTと本体が一体化したCV21は,写真だけを見た限りであるが,「省スペース型マシンが欲しい」と何度も書いてきた当誌としては,その仕上がりに期待している.また,ほぼA5判,厚さ約9センチというUV11の大きさは,デスクトップ型ではあるが,パーソナルコンピュータの利用形態を変化させる可能性もあるだろう.欲を言えば,ハードディスク内蔵版や80286CPU版も欲しいところではある.とはいえ,同一メーカーから,基本的な機能の仕様がほぼ同じで,デザインだけが違うマシンが同時に3タイプ発表されたことは,それなりに画期的だろう.
 意外性をもった新製品が面白いのは確かだが,それが普及するかどうかは,コンセプトの妥当性や完成度によるところが大きい.今後の動向に注目していきたい。
(土田米一)

PC-9801LV21はともかく、私の周りでUV11,CV21は買っている人を知らない。もうすでにPC-9801シリーズを持っている人たちばかりで8bit機で頑張っていた人とかナイコンの人とが身の回りにいなかったかもしれない。省スペース型は拡張性が弱点だと思うのだがどうだったのだろうか。PC-88VAの9.3メガFDD内蔵機を評価している点も私の記憶と違った。我々の中ではまた日電ドライブを変えたものを新製品として出した。いつまでこんなことをするのかと評価はしなかった。日電は出し惜しみする会社だと私たちは言っていた。

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特集CD MEDIA 第2回 その2(月刊ASCII 1988年4月号8) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

コラム記事「CDIとそのソフトウェア」をスクラップする。
CDIとそのソフトウェア
データフロー・インターナショナル(株)■James A. Parker
 CDIは,コンシューマ向けエレクトロニクス市場では,たぶん,これまでにないぐらい最高にエキサイティングな技術といえよう.そして同時に,最もむずかしく,奥の深い技術のひとつでもある.それは、CDIが情報の扱いを大きく変える可能性を持っているからだ。ちょうど印刷機の登場により文字の扱いがすっかり変わったように,CDIもまさに時代を画する技術なのである.
 1450年のグーテンベルクによる印刷機の発明は,2つの点で画期的なものであった.第1は,応用技術としての革新性である.当時すでにあった2つの技術――木版活字組みと金属平板印刷方式――をひとつにまとめたものだが,その基本的な考え方は現在まで受け継がれ,今でも印刷機の基本となっている.しかし,もうひとつの点である社会的な影響の方が,はるかに大きくまた根本的であった。グーテンベルク以前は,文字とは少数の人々のものであったが,印刷機が発明されたために安価なメディアが登場し,今日のさまざまな便益を我々が享受できるのである.
 CDIも,技術的にはそう革命的なものではない。この技術の大部分は,既存の技術の上に成り立っている.ディスクドライブは,音楽用コンパクト・ディスクプレーヤーがベースになっており,CPUは,モトローラの68000系である.既存の技術とハードウェアをできる限り利用することで,コスト面では大きな効果を上げることができ,また音楽用コンパクトディスクも再生できるようにしたため,ユーザー層を広く確保できる.さらにインタラクティビティ(対話性)といった特性もあるが,これについてもCDIは,特にユニークとはいえない.そうした機能を持つメディアは,ほかにもいくつもあるからだ。
 同じ機能を提供していてもCDIが他のメディアと異なる点は,既存技術の利用による低価格の実現と,国際的な互換性を持ち、世界市場を対象としていることである。1989年のはじめに登場するCDIプレーヤーは,価格が1500ドル前後と予想されているが、最終的には音楽用コンパクト・ディスクプレーヤーより100~200ドル高い価格帯になるだろうといわれている.そして,CDIプレーヤーとテレビさえあれば,ソフトを楽しむことができるのである.その上,CDIプレーヤーは,音楽用コンパクト・ディスクプレーヤーとしても使えるため,AVシステム購入時に考慮する人もあるだろう.
 他のインタラクティビティを持つメディアでは,低価格化のメリットや従来製品とのコンパチビリティを持つものは少ない。例えばDVIでは,プレーヤーのほかにコンピュータや専用ディスプレイなどが必要であり,CD-ROMは,ドライブの価格は安いものの,やはりコンピュータシステムが必要となる.
 過去において,手書きの写本が高価だったために,文字の一般への普及が遅れた。同様にインタラクティビティにかかる高いコスト(コンピュータの処理機能や信頼性の高い大容量メディアの価格など)が,そのアプリケーションの普及を妨げてきたのである現在では,そういった問題は解決されつつあり,インタラクティビティのあるアプリケーションの普及は近いといえる.
CDIソフトをつくるには

 ゲームプログラムを1本ヒットさせて,数百万ドルを稼ぐといった夢を、一度や二度抱いたことのある人は多いだろう。実際に夢が実現した例もある.この点は,CDIではどうだろうか。
 CDIのソフト制作コストは、その規模や内容の複雑さにもよるがだいたい1タイトルにつき25万~75万ドルかかるとされている.ソフト開発に必要なハードのコストを計算しなく。てもこれだけかかるのである.
 なぜ,これほどコストが高いのだろうか?必要となるプログラミングについて,平均的なコンピュータゲームとCDIソフトを比較すると,そのスケールの差は,ちょうど模型の飛行機と本物の最新ジェット戦闘機ほど違う.まず,扱うデータの量に格段の差がある.CDIディスクの容量は.2Mbytesのフロッピー約550枚分に相当するのである.
 もうひとつ重要なものに,著作権の問題がある.コンピュータのソフトウェアを無断でコピーすると著作権に触れるように,音楽,写真などの著作物を無断でCDIソフトに利用することはできない.しかし,CDIの容量は膨大で、今までのゲームのようにすべてを自分で作るには限界がある.また,これらを下請け会社に依頼しても,著作権所有者から権利を買っても膨大な金額になってしまう.つまり,個人や小さな会社では、独自にすべてを行うといったことは不可能に近い.
 CDIは未開拓の領域である.CDIの周辺では、初期の試みとしてこれまで数々の動きがあったが,現在制作中のソフトは、どれも皆,この意欲をそそる新しい分野の草分け的な存在である.CDIを,あるいはインタラクティビティをどう捉えるか,また,どのような可能性があるかについては,意見が山ほどあるが,商品といえるソフトはまだ実際に作られていない、確かなことは,CDIに必要なインタラクティビティを実現するためには,さまざまな分野の人間の知識を凝集することが必要だということである.CDIソフトの作成はあるひとつの分野の知識でのみ処理できるものではないのである.
 例えば,コンピュータのプログラマは,一般に,映画などの映像分野の経験がなく,フイルム制作者がプログラミングに携わったこともおそらくないだろう.インタラクティビティとなると,まず間違いなく,両者とも未経験であろうと思われる.ヒット商品を作り出すには、幅広い分野からの参加を得てチームワークであたることが必要である.このような混成チームの制作作業では,個々の専門的分野からの要求が出され,その調整にはかなり苦労することだろう回を重ねるうちに,この問題は克服されるだろうが,ヒット商品を完成するまでに3~4回の試行が必要となると,制作コストの点で持ちこたえられるかどうか,多少疑問である.
 では,個人や小さな企業がCDIソフトを制作することは全く不可能なのだろうか?いや、まだ方法はいくつかある.フィリップスは、ヨーロッパ,アメリカそして日本という3大市場で,CDI産業助成と振興のための組織作りをしてきた。日本では,昨年,トッパン印刷と共同で電子メディアサービス社を設立し,CDIソフト作成のためのオーサリングシステム作成に当ることになった.また,つい最近では、ポリグラム,ポニー,キヤノン,ヤマハ各社共同でJIM(ジャパン・インタラクティブ・メディア)が設立されている.これらは、CDIの企画,作成,販売をサポートするための会社で,こうした会社と提携することで、個人や小企業でもアイディアを実現できるわけだ。
CDIソフトができるまで

 CDIソフトはインタラクティビティを考慮した新しいものでなくてはならない、CDIソフトの制作について記述した“CD-I: A Designer's Overview"(KLUWER刊,邦訳予定あり)によると以下の質問にきちんとした回答ができなくてはならないとしている.
 (1) なぜ,そのアイディアを使うのか,それはCDI市場での可能性に最もふさわしいものなのか。
 (2) すでに市場に出回っている既存メディアのものに比べてどう位置付けられるか,既存のものの複製か,補足的なものか,あるいは取って代わるものなのか.
 (3) どのような人々を対象とするものなのか.特にまだプレーヤーを持っていない人に対してもアピールできるものなのか.のユーザーはインタラクティビティをどのように利用するのか、何度見ても興味の尽きないものか,ユーザーが使いこなせなかったり,反応できない場合にはどうなるのか.
 これらにきちんと回答できたら,CDIソフトの制作に入ることになる.その段階は、同書によると8段階に分かれている.
 (1) タイトルの扱いや予算,スケジュールなどの概要を決めるアイディアマップの作成.
 (2) プロトタイプのストーリーボードとフローチャートの作成.
 (3) 諸問題の解決と設計上の細部の詰め.
 (4) 部分的なストーリーボードの模擬試験.
 (5) 映像撮影台本の準備と必要な画像のリストアップ,予算,制作スケジュールの詰め.
 (6) 映像データの収集,処理,統合.
 (7) 音声データの構成,編集,加工,そして妥当な音質レベルを選択する.
 (8) オーサリング,すなわち,すべての構成要素を統合化する。
 以上のような手順によってCDIソフトができあがる.あとは,実際にプレスするだけである.

 ASCIIの読者なら、御存知のようにAppleのコンピュータのすばらしい点は,ユーザーの知りたい情報が全て公開されていた点にある.ハードウェアを自分で作るかどうかは別として,その内部に入っていき,ちょっと遊んでみることが可能だったのである.
 では、CDIではどうだろうか?Appleのユーザーは,多くの場合コンピュータホビイストで、そういったことに夢中になるが,CDIは広く一般の消費者を対象としているのである.CDIシステム自体は,16bitCPUでIMbytesのRAMを持つ強力なコンピュータシステムであるが,市場に対しその面をアピールはしない。あえて,コンピュータらしさを避けているのである。
プレーヤーを購入し,テレビにつなぎ,ディスクを入れるだけでいい、広い意味で,どんな人にも親しみやすい形でインタラクティビティを提供するのがCDIなのである.

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結果CDIは市場に広まらなかったわけだが、一体どうしてなのか、何が原因なのかはこれを読んでもわからない。とりあえず分かっていることはCD-ROMとしてパソコン、ゲーム機に搭載されてそれが使いやすく広まったため、独立したCDIというものが一般に支持されなかったということだろう。パソコンやゲーム機でもできることにわざわざ高い金をだしてそれだけのためにCDIプレイヤーを買うユーザがいなかったということだろう。


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特集CD MEDIA 第2回 その1(月刊ASCII 1988年4月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号の特集「CD MEDIA」は第2回「規格統一へのパスポート」だった。
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前にスクラップしたもの一覧を下記に示す。
特集CD MEDIA その3(月刊ASCII 1988年3月号8)
特集CD MEDIA その2(月刊ASCII 1988年3月号7)
特集CD MEDIA その1(月刊ASCII 1988年3月号6)
特集CD-ROM(月刊ASCII 1986年4月号9)
特集CD-ROM(月刊ASCII 1986年5月号4)
EFM変調 特集CD-ROM(1)(月刊ASCII 1986年6月号6)
RF信号 特集CD-ROM(2)(月刊ASCII 1986年6月号7)
1フレーム 特集CD-ROM(3)(月刊ASCII 1986年6月号8)
エラー訂正符号(CIRC) 特集CD-ROM(4)(月刊ASCII 1986年6月号9) 
CIRCの復号法と訂正,補正確立 特集CD-ROM(5)(月刊ASCII 1986年6月号10)
Reed-Solomon符号の符号化と復号法 特集CD-ROM(6)(月刊ASCII 1986年6月号11)
用語解説 特集CD-ROM(7)(月刊ASCII 1986年6月号12)

私がCD-ROMを使い始めたのはWindows 3.1 からだったので規格統一は既に済んでいた。規格はすんなり決まったようではなかった。34年前の状況は全く知らなかったのでスクラップも楽しい。

技術的なものを主眼に記事を抜粋してスクラップする。
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(前略)
CD-ROMとフォーマット
 CD-ROMの物理フォーマットはソニーとフィリップスによりイエローブックとして規定されているが,論理フォーマットはユーザーに開放されている.そこで,従来CD-ROMはMS-DOSなどのOSのファイルシステムをそのまま流用する形で開発されていた。実際に,国内で既に発表されたCD-ROMソフトは、フォーマットがバラバラである.
 そこに登場したHSFは、CD-ROM論理フォーマットの標準化を目指すものである.この名称は,1985年に行われた標準化に関する会談が,ネバダ州レイクタホの「ハイシエラ」ホテルで開催されたことにちなんでいる.HSFは,国際規格としてISOに認定される予定の「事実上の」標準規格である.
 イエローブックは,フィリップスとソニーのライセンス契約によって与えられるが,そのなかでCD-ROMの物理フォーマットが規定されていることは,前回(1988年3月号)で述べたとおりである.HSFは,イエローブックの上位に位置するCD-ROMの論理フォーマットの規格である(図2).ただし,HSFはイエローブックとは独立した規格である.イエロ-ブックは、ライセンスを受けた者がCDROMを製作すると、枚数に応じたロイヤリティを支払わねばならないが,HSFは公開された規格なので,ユーザーが利用してもロイヤリティを払う必要はない.

ASCII1988(04)f02CD_図2_W706.jpg
内容は前にスクラップしたものと重複している。
 さて,HSFはさまざまな機能を規定しており,その中にはパソコン用のOSでは対応しきれない機能も含まれている.ところが,CD-ROMの内容によっては,すべての機能を必要としない場合がある.そこで,HSFは機能を3段階のレベルに分けて規定した(表1).ユーザーはソフトの内容に応じて、必要なレベルを選択することができる.最下位のHSFレベル1では,MS-DOSのファイルシステムと良く似た機能を実現している。当面,HSFはこのレベル1で利用されることが多いであろう。ソニーのUNIX CD-ROMエクステンションも,現時点ではHSFレベル1のサポートにとどまっている.

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 HSFは,ISO9660として今年の2月~4月頃に発表される見通しであるが,アメリカで発表されたCD-ROMは,既にほとんどがHSFに対応している.HSFは,その後JIS化に向けて動き出すことになるが,日本語化に関する問題のため,JIS化は今年末から来年になるというちなみに,CDIも論理フォーマットは,HSFに準拠している。
 HSFを採用することにより,CD-ROMアプリケーションは、使用するパソコンのハードやOSの違いに影響されずに,汎用になる可能性が開けたといえよう.
 HSFは,MS-DOSやUNIXと同様に,データをファイルとディレクトリの階層構造として管理する.さらに,HSFにはボリュームという概念がある(図3).ボリューム構造は,HSFを特徴付ける概念である.単純にいえば,1ボリュームとは1枚のCDを指している.複数のCDROMディスクの組合せをマルチボリュームといい,その内容が連続しているものをボリュームセットという.

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 従来のパーソナルコンピュータ用OSでは,ディレクトリによってファイルを管理できる範囲が,フロッピーディスク1枚やハードディスク1台のように物理的に限定されているものがほとんどだった.それに対してHSFでは,マルチボリューム,つまり複数枚のCD-ROMディスクの組合せまでを管理できるので,数枚にわたるCD-ROMでもハードディスクなどと同じように利用することができるようになったのである.たとえば数年分の特許情報データベースのような,巨大容量のアプリケーションにも対応できるようになっているのである。
 HSFは,巨大で遅いCD-ROMからいかに速くデータを読み出すかの工夫がこらされた規格である.そのひとつが,CDROMディスクの目次に該当するパステーブルである.パステーブルには、CD-ROM内のディレクトリやファイルの位置,長さ,親ディレクトリなどがきちんとソートされた形で記録してある。CD-ROMのファイルをアクセスするときに,通常のOSと同様にルートディレクトリから順にたどっていったのでは,シークやデータ転送速度の遅いCD-ROMでは、時間がかかってしまう。そこでHSFでは,パステーブルを参照することで目的のディレクトリの検索を効率よく行えるようになっっているのである(図4).

ASCII1988(04)f03CD_図4_W1084.jpg
このようなことは意識したことがなかった。普通にフロッピーディスクの大容量のものだと思って使っていた。
HSFの将来について
 HSFは将来,CD-ROM以外のディスクに適用されることがあるだろうか?HSFは,読み出し専用であるCD-ROMのために考案されたフォーマットであり,基本的に書き込み可能ディスクには向かない.それは,データの内容が変更され,ディレクトリ構成が変化した場合,そのつどパステーブルの値も書き直さなくてはならないからである.書き込み可能ディスクについては,HSFの上位互換の規格が登場することも考えられる.
 さて,ディスクのフォーマットは標準化されたが,その先の標準化,つまりHSF上の個々のデータの標準化や,それに基づく検索ソフトの標準化がなされないと,CD-ROMの特性が生かせない.このHSF上のデータ形式の標準化については次号でくわしく述べることにする.
CD-ROMエクステンション
 HSFに準拠するCD-ROMのファイルを,既存のOSで管理するために考え出されたのがエクステンションである.
 OSはそれぞれ固有のファイルシステムを持っており,ファイルシステムが異なれば,当然OSはそのデータを管理することができない.HSFは従来のOSとは異なるファイルシステムを持っているので,そのままでは、MS-DOSやUNIXで読み出しが不可能である。逆に,CD-ROMドライブはまだ標準的なものではなく,マシンとドライブの組合せ,インターフェイスなどを一意に決定することができず,OS自体の改造は、手間もかかり,コストや互換性といった面からも好ましくない。
 そこで,OS本来のファイルシステムとHSFのインターフェイスを行うプログラムをOSの拡張部分(エクステンション)として組み込み,ドライブなどのハードウェアの違いや,ファイルシステムの違いを吸収する方式が考え出された.これがCD-ROMエクステンションである(図5)。


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HSFサービスビューロー
 すでに国内では、独自フォーマットを持つCD-ROMが作られているほか,従来からあるメディア上のデータをCD-ROM化したいという要求もある.しかし,そのHSF化にはさまざまなノウハウが必要である.たとえば,高速アクセスのための効率的なファイル配置やインデックスの作成など,さまざまな問題を解決しなければ,HSFに移行することはできない.そこでHSF以外のファイルをHSFに変換し,それをCD-ROMにするサービスを行う企業が現れた(これをサービスビューローという).日本では(株)ジークがこのサービスを開始している。同社の代表取締役福井源氏に話を聞いてみた.
 「サービスビューローは、MS-DOSエクステンションに対応するCD-ROMドライブのデバイスドライバ開発や,実際にCD-ROMを作るためのデータ加工,ならびにユーザーの依頼を受けてのアプリケーションの制作,プレスのためのマスターテープの作成,といったHSFのCDROM開発をサポートしています.これは既にデータを持っているユーザーをターゲットにしたものです」
 サービスビューローは,CD-ROM制作過程のうち,データの変換からプリマスタリングまでを主に代行する(図6).HSFは,いかに安くHSF化が実現できるかによって,どのくらい普及するかが決まるわけだが,その際にサービスビューローの果たす役割は大きいと思われる.


ASCII1988(04)f04CD_図6_W520.jpg

(中略)

ハードの標準化
 CD-ROMのメディア自体の統一化とはまた別に,それを利用するハードウェアの統一化という問題もある.CDIのようにハードウェアを完全に規定してしまい、ソフトウェアをひとつですませるといった方向から,単にソフトウェアから見えるインターフェイスを統一するといった方向まで,さまざまな方向がある.そこで他メーカーに先駆けてHSF対応のCD-ROMドライブとMS-DOSエクステンションを発表した日本電気はCD-ROMにどのような未来を描いているのだろうか?日本電気ホームエレクトロニクス株式会社(以下ホームエレと略す)光ディスク市場開発室室長,藤井英貴氏に話を聞いてみた。
日電の目指すもの
 「ホームエレはCD-ROMのシステム構築を目指しています。新しいメディアであるCD-ROMを,ソフトも含めて積極的に市場開拓をしていくのが我々の基本姿勢です.これまではハード製作の立場から市場の様子を見ていましたが,これからはソフトとハードの両面で市場を開いていきたいと考えています.NECグループの中では、ホームエレが市場を開拓し,NECアベニュー株式会社がエンターテイメントを中心にソフトの流通販売を分担して担当します.このようにNECとしては,グループ内にソフト部門を持つことによって、独自の戦略を展開していこうと考えています」
マーケットについて
 藤井室長によれば,CD-ROMマーケットは、動き出そうとしてはいるが,全体に様子見の気分が強すぎて、誰もがなかなか一歩を踏み出せないでいるという「いままではCD-ROMの大容量性にとらわれすぎていた,という反省が最近では生まれつつあります.550Mbyteの全てを使うということを前提にすると現在到達できるマーケットは限定されたものになり,そのわずかなビジネスチャンスに各社が群がっているのが現状です.しかし,情報伝達のコストメリットからすると,まだ別の視点から見れば潜在的なニーズがあるだろうと見ています」
 「また安価なCD-ROMシステムを提供できれば,マイクロフィルムや印刷物などのイメージ処理の分野でのニーズが期待できると考えられます.ただし,当面は既にフロッピーディスクやハードディスクに記録されたデータの置き換えの形がほとんどなので,CD-ROM市場の立ち上がりはビジネス分野に限られるでしょう」と藤井室長は予測する.
販売流通
 CD-ROMソフトが一人歩きするには,販売ルートの確立が主要な問題である.藤井室長によれば,現在は流通販路としてパソコンショップをメインと考えているという.「ハードが普及していない現在,ハードも含めたシステムごと購入をのぞむユーザーは多いでしょうから,書店などでCD-ROMを販売するようになるまでには,まだ時間がかかると思います」
 また,CD-ROMソフトの販売にあたっては,「1枚のディスクに複数のソフトを記録するといった流通・小売面での省スペース化が考えられます」という見解であった。
マスマーケットを狙う
 標準規格家庭をターゲットとする規格のひとつに,CDIがあるが,CDIとCD-ROMは,どちらが先に家庭市場に到達するであろうか,見通しをうかがった.「現在のような,パソコン+CD-ROMドライブという形がそのままの形で一般の家庭に普及することは,まず考えられません.CDIやPCEngine+CD-ROMのような,再生専用のシステム形態になるだろうと考えています。というのも,家庭市場のメインのユーザーは主婦や子供ですから,システムの操作性や価格が普及の大きな要因となってくるからです.その点,CDIの1台20万円というハード-価格(予測)でいきなり家庭に普及させるのはむずかしいでしょうから,当面は業務用システムに使用されるでしょう」
 CDIのもうひとつの問題は,ソフト開発に多額の資金が必要な点である.メーカーとしても,なかなか投資しにくいのではないか?確かにメディア作成のためのエンコーダシステムが数億円といわれても,導入する企業はそう多くないだろう。
 「CDIはソフト制作コストが高くつくので,最初のソフトは大半がBGV的なものになると予測しています。その点,CD-ROMは他のCDメディアと比較したとき,ソフト制作コストの点で有利ですから,当面CDIはCD-ROMのライバルにはならないでしょう」というのが藤井室長の話である.あえて付け加えさせていただくなら,今回の取材にあたって,このCD-ROM有利説に出会うことは多かった.私も基本的には賛成である.
 しかし,藤井室長は「CDIの動向にも注目していますし,プレーヤーも必要とあれば手掛けることになるだろうと思います.それまでは、CDIディスクのプレスとソフト開発ができるように,エンコーダの研究を進めていきます」と語ってくれた。
 DVIに関しては,「1時間の動画が記録できて,パソコンとの相性が良い点を評価しています。画質が悪いといわれていますが,それが問題にならない分野での用途もあるのではないかということです.そもそもビデオディスクと競合するメディアとしてとらえる点に無理があるのではないでしょうか.制作コストの問題はDVIの方がCDIよりも用途が広いと思います」ということであった.
日本電気ホームエレクトロニクス株式会社(以下ホームエレと略す)光ディスク市場開発室室長,藤井英貴氏の話が印象深かった。まだ海のものとも山のものとも分からないCD-ROMの市場の予測は非常に難しかったのが分かる。

システムの標準化
 「HSFの登場によって,CD-ROMのマスマーケットへの第一歩が開かれたと受け止めています。とはいえCD-ROMはハードが高価格なので,相当のメリットがなければ一般ユーザーは手を出せないでしょう」つまり,ソフトとハードが安く容易に入手できるようにならないと普及はむずかしい,ということである.
 CD-ROMドライブは,マーケットが拡大して量産されれば、買いやすい価格になると予想されるという.CD-ROMドライブは音楽用コンパクト・ディスクプレーヤーより高精度なため、高価になってしまう.しかし,マスマーケットを目指すなら,たとえ信頼性は落ちても,低価格を実現しなければならないだろう.
 最近では,マルチメディアのアプリケーションの増加を見据えて,ドライブの音声出力を装備したドライブが増えている.メーカーサイドからすれば,CDIと差別化できなくなるという問題はある.ドライブとパソコンのインターフェイスは,従来は各社でバラバラであったが,SCSIが標準になりつつある.
 PC-88VAやPCEnginetなどへのHSFへの対応は,具体的にはまだ決定していない,という
 さらにCD-ROMドライブ内蔵パソコンの構想をうかがったが,まだ発表の段階ではないとのことである.グラフィックス表現能力に優れたPC-88VAにCD-ROMドライブを内蔵させると,とてもおもしろいシステムになると思うのだが……
 PC Engine対応のCD-ROMドライブは、近いうちには発表したいと考えているとのことである.ただし、昨年のホームエレ展で参考出品されたような,据え置き型ドライブにPC Engineを組み込む形になるかどうかは未定,ということである.噂ではPC Engine本体と同サイズの,低価格ポータブルCD-ROMドライブも計画されているという.
 PC Engineは,ゲームマシンとしてだけではなく、ホームコンピュータとして使用することを想定した「コア構想」に基づいた規格でもある.そして,当初からCD-ROMソフトを予定したシステムである.カード型ROMがCDのケースで販売されているのもそのためだという.PC Engine+CD-ROMによって,家庭市場におけるCD-ROMの新しい展開が,充分期待できよう、普及台数によっては、CDIの前に立ちふさがる存在にもなりえるのだ。

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