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特集CD MEDIA 第2回 その1(月刊ASCII 1988年4月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号の特集「CD MEDIA」は第2回「規格統一へのパスポート」だった。
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前にスクラップしたもの一覧を下記に示す。
特集CD MEDIA その3(月刊ASCII 1988年3月号8)
特集CD MEDIA その2(月刊ASCII 1988年3月号7)
特集CD MEDIA その1(月刊ASCII 1988年3月号6)
特集CD-ROM(月刊ASCII 1986年4月号9)
特集CD-ROM(月刊ASCII 1986年5月号4)
EFM変調 特集CD-ROM(1)(月刊ASCII 1986年6月号6)
RF信号 特集CD-ROM(2)(月刊ASCII 1986年6月号7)
1フレーム 特集CD-ROM(3)(月刊ASCII 1986年6月号8)
エラー訂正符号(CIRC) 特集CD-ROM(4)(月刊ASCII 1986年6月号9) 
CIRCの復号法と訂正,補正確立 特集CD-ROM(5)(月刊ASCII 1986年6月号10)
Reed-Solomon符号の符号化と復号法 特集CD-ROM(6)(月刊ASCII 1986年6月号11)
用語解説 特集CD-ROM(7)(月刊ASCII 1986年6月号12)

私がCD-ROMを使い始めたのはWindows 3.1 からだったので規格統一は既に済んでいた。規格はすんなり決まったようではなかった。34年前の状況は全く知らなかったのでスクラップも楽しい。

技術的なものを主眼に記事を抜粋してスクラップする。
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(前略)
CD-ROMとフォーマット
 CD-ROMの物理フォーマットはソニーとフィリップスによりイエローブックとして規定されているが,論理フォーマットはユーザーに開放されている.そこで,従来CD-ROMはMS-DOSなどのOSのファイルシステムをそのまま流用する形で開発されていた。実際に,国内で既に発表されたCD-ROMソフトは、フォーマットがバラバラである.
 そこに登場したHSFは、CD-ROM論理フォーマットの標準化を目指すものである.この名称は,1985年に行われた標準化に関する会談が,ネバダ州レイクタホの「ハイシエラ」ホテルで開催されたことにちなんでいる.HSFは,国際規格としてISOに認定される予定の「事実上の」標準規格である.
 イエローブックは,フィリップスとソニーのライセンス契約によって与えられるが,そのなかでCD-ROMの物理フォーマットが規定されていることは,前回(1988年3月号)で述べたとおりである.HSFは,イエローブックの上位に位置するCD-ROMの論理フォーマットの規格である(図2).ただし,HSFはイエローブックとは独立した規格である.イエロ-ブックは、ライセンスを受けた者がCDROMを製作すると、枚数に応じたロイヤリティを支払わねばならないが,HSFは公開された規格なので,ユーザーが利用してもロイヤリティを払う必要はない.

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内容は前にスクラップしたものと重複している。
 さて,HSFはさまざまな機能を規定しており,その中にはパソコン用のOSでは対応しきれない機能も含まれている.ところが,CD-ROMの内容によっては,すべての機能を必要としない場合がある.そこで,HSFは機能を3段階のレベルに分けて規定した(表1).ユーザーはソフトの内容に応じて、必要なレベルを選択することができる.最下位のHSFレベル1では,MS-DOSのファイルシステムと良く似た機能を実現している。当面,HSFはこのレベル1で利用されることが多いであろう。ソニーのUNIX CD-ROMエクステンションも,現時点ではHSFレベル1のサポートにとどまっている.

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 HSFは,ISO9660として今年の2月~4月頃に発表される見通しであるが,アメリカで発表されたCD-ROMは,既にほとんどがHSFに対応している.HSFは,その後JIS化に向けて動き出すことになるが,日本語化に関する問題のため,JIS化は今年末から来年になるというちなみに,CDIも論理フォーマットは,HSFに準拠している。
 HSFを採用することにより,CD-ROMアプリケーションは、使用するパソコンのハードやOSの違いに影響されずに,汎用になる可能性が開けたといえよう.
 HSFは,MS-DOSやUNIXと同様に,データをファイルとディレクトリの階層構造として管理する.さらに,HSFにはボリュームという概念がある(図3).ボリューム構造は,HSFを特徴付ける概念である.単純にいえば,1ボリュームとは1枚のCDを指している.複数のCDROMディスクの組合せをマルチボリュームといい,その内容が連続しているものをボリュームセットという.

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 従来のパーソナルコンピュータ用OSでは,ディレクトリによってファイルを管理できる範囲が,フロッピーディスク1枚やハードディスク1台のように物理的に限定されているものがほとんどだった.それに対してHSFでは,マルチボリューム,つまり複数枚のCD-ROMディスクの組合せまでを管理できるので,数枚にわたるCD-ROMでもハードディスクなどと同じように利用することができるようになったのである.たとえば数年分の特許情報データベースのような,巨大容量のアプリケーションにも対応できるようになっているのである。
 HSFは,巨大で遅いCD-ROMからいかに速くデータを読み出すかの工夫がこらされた規格である.そのひとつが,CDROMディスクの目次に該当するパステーブルである.パステーブルには、CD-ROM内のディレクトリやファイルの位置,長さ,親ディレクトリなどがきちんとソートされた形で記録してある。CD-ROMのファイルをアクセスするときに,通常のOSと同様にルートディレクトリから順にたどっていったのでは,シークやデータ転送速度の遅いCD-ROMでは、時間がかかってしまう。そこでHSFでは,パステーブルを参照することで目的のディレクトリの検索を効率よく行えるようになっっているのである(図4).

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このようなことは意識したことがなかった。普通にフロッピーディスクの大容量のものだと思って使っていた。
HSFの将来について
 HSFは将来,CD-ROM以外のディスクに適用されることがあるだろうか?HSFは,読み出し専用であるCD-ROMのために考案されたフォーマットであり,基本的に書き込み可能ディスクには向かない.それは,データの内容が変更され,ディレクトリ構成が変化した場合,そのつどパステーブルの値も書き直さなくてはならないからである.書き込み可能ディスクについては,HSFの上位互換の規格が登場することも考えられる.
 さて,ディスクのフォーマットは標準化されたが,その先の標準化,つまりHSF上の個々のデータの標準化や,それに基づく検索ソフトの標準化がなされないと,CD-ROMの特性が生かせない.このHSF上のデータ形式の標準化については次号でくわしく述べることにする.
CD-ROMエクステンション
 HSFに準拠するCD-ROMのファイルを,既存のOSで管理するために考え出されたのがエクステンションである.
 OSはそれぞれ固有のファイルシステムを持っており,ファイルシステムが異なれば,当然OSはそのデータを管理することができない.HSFは従来のOSとは異なるファイルシステムを持っているので,そのままでは、MS-DOSやUNIXで読み出しが不可能である。逆に,CD-ROMドライブはまだ標準的なものではなく,マシンとドライブの組合せ,インターフェイスなどを一意に決定することができず,OS自体の改造は、手間もかかり,コストや互換性といった面からも好ましくない。
 そこで,OS本来のファイルシステムとHSFのインターフェイスを行うプログラムをOSの拡張部分(エクステンション)として組み込み,ドライブなどのハードウェアの違いや,ファイルシステムの違いを吸収する方式が考え出された.これがCD-ROMエクステンションである(図5)。


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HSFサービスビューロー
 すでに国内では、独自フォーマットを持つCD-ROMが作られているほか,従来からあるメディア上のデータをCD-ROM化したいという要求もある.しかし,そのHSF化にはさまざまなノウハウが必要である.たとえば,高速アクセスのための効率的なファイル配置やインデックスの作成など,さまざまな問題を解決しなければ,HSFに移行することはできない.そこでHSF以外のファイルをHSFに変換し,それをCD-ROMにするサービスを行う企業が現れた(これをサービスビューローという).日本では(株)ジークがこのサービスを開始している。同社の代表取締役福井源氏に話を聞いてみた.
 「サービスビューローは、MS-DOSエクステンションに対応するCD-ROMドライブのデバイスドライバ開発や,実際にCD-ROMを作るためのデータ加工,ならびにユーザーの依頼を受けてのアプリケーションの制作,プレスのためのマスターテープの作成,といったHSFのCDROM開発をサポートしています.これは既にデータを持っているユーザーをターゲットにしたものです」
 サービスビューローは,CD-ROM制作過程のうち,データの変換からプリマスタリングまでを主に代行する(図6).HSFは,いかに安くHSF化が実現できるかによって,どのくらい普及するかが決まるわけだが,その際にサービスビューローの果たす役割は大きいと思われる.


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(中略)

ハードの標準化
 CD-ROMのメディア自体の統一化とはまた別に,それを利用するハードウェアの統一化という問題もある.CDIのようにハードウェアを完全に規定してしまい、ソフトウェアをひとつですませるといった方向から,単にソフトウェアから見えるインターフェイスを統一するといった方向まで,さまざまな方向がある.そこで他メーカーに先駆けてHSF対応のCD-ROMドライブとMS-DOSエクステンションを発表した日本電気はCD-ROMにどのような未来を描いているのだろうか?日本電気ホームエレクトロニクス株式会社(以下ホームエレと略す)光ディスク市場開発室室長,藤井英貴氏に話を聞いてみた。
日電の目指すもの
 「ホームエレはCD-ROMのシステム構築を目指しています。新しいメディアであるCD-ROMを,ソフトも含めて積極的に市場開拓をしていくのが我々の基本姿勢です.これまではハード製作の立場から市場の様子を見ていましたが,これからはソフトとハードの両面で市場を開いていきたいと考えています.NECグループの中では、ホームエレが市場を開拓し,NECアベニュー株式会社がエンターテイメントを中心にソフトの流通販売を分担して担当します.このようにNECとしては,グループ内にソフト部門を持つことによって、独自の戦略を展開していこうと考えています」
マーケットについて
 藤井室長によれば,CD-ROMマーケットは、動き出そうとしてはいるが,全体に様子見の気分が強すぎて、誰もがなかなか一歩を踏み出せないでいるという「いままではCD-ROMの大容量性にとらわれすぎていた,という反省が最近では生まれつつあります.550Mbyteの全てを使うということを前提にすると現在到達できるマーケットは限定されたものになり,そのわずかなビジネスチャンスに各社が群がっているのが現状です.しかし,情報伝達のコストメリットからすると,まだ別の視点から見れば潜在的なニーズがあるだろうと見ています」
 「また安価なCD-ROMシステムを提供できれば,マイクロフィルムや印刷物などのイメージ処理の分野でのニーズが期待できると考えられます.ただし,当面は既にフロッピーディスクやハードディスクに記録されたデータの置き換えの形がほとんどなので,CD-ROM市場の立ち上がりはビジネス分野に限られるでしょう」と藤井室長は予測する.
販売流通
 CD-ROMソフトが一人歩きするには,販売ルートの確立が主要な問題である.藤井室長によれば,現在は流通販路としてパソコンショップをメインと考えているという.「ハードが普及していない現在,ハードも含めたシステムごと購入をのぞむユーザーは多いでしょうから,書店などでCD-ROMを販売するようになるまでには,まだ時間がかかると思います」
 また,CD-ROMソフトの販売にあたっては,「1枚のディスクに複数のソフトを記録するといった流通・小売面での省スペース化が考えられます」という見解であった。
マスマーケットを狙う
 標準規格家庭をターゲットとする規格のひとつに,CDIがあるが,CDIとCD-ROMは,どちらが先に家庭市場に到達するであろうか,見通しをうかがった.「現在のような,パソコン+CD-ROMドライブという形がそのままの形で一般の家庭に普及することは,まず考えられません.CDIやPCEngine+CD-ROMのような,再生専用のシステム形態になるだろうと考えています。というのも,家庭市場のメインのユーザーは主婦や子供ですから,システムの操作性や価格が普及の大きな要因となってくるからです.その点,CDIの1台20万円というハード-価格(予測)でいきなり家庭に普及させるのはむずかしいでしょうから,当面は業務用システムに使用されるでしょう」
 CDIのもうひとつの問題は,ソフト開発に多額の資金が必要な点である.メーカーとしても,なかなか投資しにくいのではないか?確かにメディア作成のためのエンコーダシステムが数億円といわれても,導入する企業はそう多くないだろう。
 「CDIはソフト制作コストが高くつくので,最初のソフトは大半がBGV的なものになると予測しています。その点,CD-ROMは他のCDメディアと比較したとき,ソフト制作コストの点で有利ですから,当面CDIはCD-ROMのライバルにはならないでしょう」というのが藤井室長の話である.あえて付け加えさせていただくなら,今回の取材にあたって,このCD-ROM有利説に出会うことは多かった.私も基本的には賛成である.
 しかし,藤井室長は「CDIの動向にも注目していますし,プレーヤーも必要とあれば手掛けることになるだろうと思います.それまでは、CDIディスクのプレスとソフト開発ができるように,エンコーダの研究を進めていきます」と語ってくれた。
 DVIに関しては,「1時間の動画が記録できて,パソコンとの相性が良い点を評価しています。画質が悪いといわれていますが,それが問題にならない分野での用途もあるのではないかということです.そもそもビデオディスクと競合するメディアとしてとらえる点に無理があるのではないでしょうか.制作コストの問題はDVIの方がCDIよりも用途が広いと思います」ということであった.
日本電気ホームエレクトロニクス株式会社(以下ホームエレと略す)光ディスク市場開発室室長,藤井英貴氏の話が印象深かった。まだ海のものとも山のものとも分からないCD-ROMの市場の予測は非常に難しかったのが分かる。

システムの標準化
 「HSFの登場によって,CD-ROMのマスマーケットへの第一歩が開かれたと受け止めています。とはいえCD-ROMはハードが高価格なので,相当のメリットがなければ一般ユーザーは手を出せないでしょう」つまり,ソフトとハードが安く容易に入手できるようにならないと普及はむずかしい,ということである.
 CD-ROMドライブは,マーケットが拡大して量産されれば、買いやすい価格になると予想されるという.CD-ROMドライブは音楽用コンパクト・ディスクプレーヤーより高精度なため、高価になってしまう.しかし,マスマーケットを目指すなら,たとえ信頼性は落ちても,低価格を実現しなければならないだろう.
 最近では,マルチメディアのアプリケーションの増加を見据えて,ドライブの音声出力を装備したドライブが増えている.メーカーサイドからすれば,CDIと差別化できなくなるという問題はある.ドライブとパソコンのインターフェイスは,従来は各社でバラバラであったが,SCSIが標準になりつつある.
 PC-88VAやPCEnginetなどへのHSFへの対応は,具体的にはまだ決定していない,という
 さらにCD-ROMドライブ内蔵パソコンの構想をうかがったが,まだ発表の段階ではないとのことである.グラフィックス表現能力に優れたPC-88VAにCD-ROMドライブを内蔵させると,とてもおもしろいシステムになると思うのだが……
 PC Engine対応のCD-ROMドライブは、近いうちには発表したいと考えているとのことである.ただし、昨年のホームエレ展で参考出品されたような,据え置き型ドライブにPC Engineを組み込む形になるかどうかは未定,ということである.噂ではPC Engine本体と同サイズの,低価格ポータブルCD-ROMドライブも計画されているという.
 PC Engineは,ゲームマシンとしてだけではなく、ホームコンピュータとして使用することを想定した「コア構想」に基づいた規格でもある.そして,当初からCD-ROMソフトを予定したシステムである.カード型ROMがCDのケースで販売されているのもそのためだという.PC Engine+CD-ROMによって,家庭市場におけるCD-ROMの新しい展開が,充分期待できよう、普及台数によっては、CDIの前に立ちふさがる存在にもなりえるのだ。

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