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PC-286NOTE executive、MS-DOSユーザズ・ワークベンチ 他(月刊ASCII 1989年11月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

PRODUCTS SHOWCASE から PC-286NOTE executive の記事をスクラップする。
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表1 スペック
PC-286NOTE executive
CPU V30 (クロック周波数10MHz)
キーボード操作により8/5MHzに切り替え可能
ROM BIOS その他 128Kbytes
RAM ユーザーズメモリ 640Kbytes
RAMディスク 512Kbytes バッテリバックアップ
(オプションの拡張RAMDISKを装着することにより最 大1.1Mbytes まで増設可能)
VRAM テキスト用VRAM 12Kbytes
グラフィック用VRAM 256Kbytes
ROM
バンドルソフト
2Mbytes
日本語MS-DOS (Ver.2.11)
統合ソフト「MEMO」
ディスプレイ 反射型 FTN液晶ディスプレイ 640×400ドット
8階調 (2階調に切り替え可)
ICカード 2スロット RAMカード 128/640Kbytes
インターフェイス マウス, プリンタ RS-232C, モジュラージャック
拡張バス (ビデオ信号含む)
電源 ACアダプタまたは内蔵Nicd電池
内蔵 Nicd電池使用時, 最大3時間使用可能
外形寸法 315(W)×235(D)×35(H)mm
重量 2.2kg
消費電力 約7W (ACアダプタ使用時)
価格 45万8000円

特筆すべきはその価格で45万8000円は高すぎる。これでは手が出ない。
以下写真をスクラップする。
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以下、まとめ部分をスクラップする。
 さて,気になる価格は45万8000円である。先に発売されたJ-3100SSの19万8000円に比べると高く感じるが実際はどうなのか,検証してみよう
 まず,CPUの性能を考えると同社の286LEと同等だ.LEのSTDの価格は36万8000円である。これに,512Kbytesの増設RAMとモデムの価格を加える必要がある.増設RAMは,比較する製品がないため価格を決定するのが難しいが2万円とし,モデムも2万円とする.以上でハードの合計が40万8000円となり,LEとの差額は5万円となる.これが付属のMS-DOSとMEMOの価格と考えると,高いマシンではないように感じる。とはいえ,FDDは付いていないので,その価格を引かなければならないが,ブックサイズというメリットにはあまりある値段である.
 ここまで考えると,286NOTEは高価なマシンであるという評価は当たっているとは思えない.しかし,気軽に買える価格でないことも確かである.
 今後,NOTEのラインナップが充実して,低価格の普及機が登場することにも期待したい。

何を言っているのか分からない。PC-286NOTEexecutiveを弁護するためなのか支離滅裂になってしまっている。ダイナブック(J-3100SS)と比べ高いのははっきりしている。だからか、比較対象をPC-286LEにした。これは比較対象で筆者が困ったのではないか。ともあれ、このマシンは売れなかったに違いない。

MS-DOSユーザズ・ワークベンチをスクラップする。
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冒頭に私の愛機だったダイナブックのことが書かれていた部分をスクラップする。
ウォーキングPC DynaBook
 騒いでいるのは業界だけという話もあるし,ぼく自身も大騒ぎしている張本人であったりするのだが,東芝からノートサイズの16bitパソコン,J-3100SS,いわゆるDynaBookが発売された。いま,この原稿を書いている時点で,書店に並んでいるパソコン雑誌(9月号)は,こぞってこのマシンを大々的に取り上げ,蜂の巣をつっついたような騒ぎになっている.
 今年はウォークマンが発売されてから,ちょうど10年目にあたり,その累計出荷台数は5000万台を超えたそうだが,DynaBook登場のインパクトは,なんとなく初代ウォークマンが登場したときのそれに似ている.
 ウォークマンは初代から現行最小モデルまで,体積にして45%,重さにして38%まで軽薄短小化されているが,DynaBookも,これから10年をかけて、同じような道をたどるのだろうかと考えると、なにやらワクワクしてしまうから不思議だ。
 先日も,マイクロソフトの古川社長,ロータスの菊池社長という業界の巨頭的存在のお二人のインタビューに,この小さなパソコンを抱えてでかけ,話の内容をメモしたが,十分に実用になると実感できた.応接室のソファに腰をおろし、まさに膝の上にパソコンを置いてキーを叩く……ラップトップパソコンを本当にラップトップで使って苦にならない日が,こんなに早くやってくるとは思わなかった.
 なにしろ,1時間のインタビューが終わったその瞬間、原稿に使える約10Kbytesのテキストファイルができ上がっているのだから,効率的なことこのうえない.10Kbytesというと,ちょうどこの原稿ほどの長さがある.といえば,その量が分かるだろう.
 ぼくは,DynaBookを使うにあたり,エディタとしてMIFESを常用するようになった。慣れないソフトを使うというのは実にじれったいもので,いつものワープロならサクサクと書ける原稿も,やっぱり生産性が低くなってしまう.MIFESは,キーのアサインを自分で自由に定義できるので,一太郎と同じにしてしまえばいいのだが,それもめんどうくさいので,結局はデフォルトのままで使い始めてしまった。
 新しいエディタを使い始めるときには,行頭,行末,ファイルの先頭,ファイルの末尾に最短キーストロークでカーソルを移動させる方法,ファイルを最短手順でセーブする方法,後方スクロール,前方スクロールの方法,これだけを最初にチェックする。ほとんどのエディタは,ダイヤモンドキーをサポートしているので,1文字単位のカーソル移動は新たに覚える必要はない.そして,これに加えて,移動,削除,複写の方法を覚えれば,何とか使いこなせるようになる。もしかしたら,一太郎より普及しているのではないかと錯覚してしまうほど、誰の家に行ってもMIFESがあるのに,ぼくはそれをうまく使いこなすことができなかった.そんなわけで,他人のマシンのautoexec.batやconfig.sysなどの内容を書き換えさせられたりするときに不自由していたのだが,これでもう大丈夫と,おかしな自信をつけたりした次第である.

実際、私の周囲でダイナブックを買ったのは私を含め2人だけだった。こんなにいい機械なのにと思ったが、持ち運んでまでパソコンを使いたいという趣味のユーザが少なかったためだろう。私が入っていたECC(Enjoy Computer Club)はコンピュータを仕事にしている人が少ない趣味のクラブであったことも原因かもしれない。
以下、すらそうじ氏の漫画をスクラップする。
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sedも使ったけれど、その後にASCIIに載ったjgawkの方をよく使った。

この号の特集は「日本語ワープロ再発見・再入門」だった。
ASCII1989(11)c01特集ワープロ_W520.jpg
冒頭の「日本語ワープロ再発見の旅に出る」をスクラップする。
 '64年にIBMが発売したMT/STが,最初のワードプロセッシングだという.まだ,ワードプロセッサという言葉はなく,磁気テープタイプライタと呼ばれた.日本語のワードプロセッサは,ご存じのようにこれよりも10年以上を経過して登場することになる.東芝がJW-10を発売したのが'78年,ほぼ同時期に開発をすすめていたシャープ,富士通,キヤノン,沖,松下通信などからも相次いで商品化され、OAブームの立て役者となったのは記憶に新しい.
 最初の日本語ワープロ専用機が発売されたこの時期は,ちょうどWordMasterやWordStarといったパソコン上のワープロソフトが海外で話題となり始めた時期でもある。日本語ワープロソフトは,これ,よりも少し遅れて登場したが,本格的にビジネス分野で使われ始めるのは,PC-9801など日本語機能を重視した16bitマシンが登場してからである.'83年の松(管理工学研究所)'85年以降は,今日までベストセラーを続ける一太郎(ジャストシステム)ほか多数の日本語ワープロが発売される.海外では,WordStarの16bit版の最初のバージョンなどは,8bit版のソースコードをコンバートして作られたともいわれるが,当然のことながらパワーアップされ,ワープロ専用機を完全に駆逐するまでにいたっている.
 '85年頃は,10万円を切る低価格のパーソナルワープロが,話題を提供した時期でもある.パーソナルワープロや,その後のパーソナルファクシミリなどは,現在では,「新家電」などと呼ばれる.この間に日本語ワープロという概念そのものが,すっかり定着したわけだ。
 ひとりの人間が通常使用する字種は,600~800だという.JIS規格では第1,第2水準合わせて6349におよぶ漢字をコード化している.
 パソコン上の他のアプリケーションが,いずれも海外のアプリケーションの明らかな影響下,もしくはその日本語化バージョンであるのに対して,日本語ワープロソフトは,日本語を使うということのために,日本独特の文化を持って育ってきた。
 ワープロ専用機から受け継がれた日本語入力方式,カナ漢字変換方式の高度化や、文字の装飾,禁則などのテキスト処理,図形の文書への貼り込みなど,日本独特の進化を遂げてきたのである.日本語の入力機能そのものは,VJEやATOKといった日本語入力フロントプロセッサという形で切り離され,表計算やデータベースなど,他のアプリケーションでも日本語ワープロと同様の日本語環境が提供されるようになった.
 しかしながら,日本語ワードプロセッサは,パソコンのアプリケーションとしては,なお特別の存在である.他のアプリケーションがなくても,これさえ効率的に使うことができれば,それだけで十分パソコンを使っている意味があるのが,日本語ワードプロセッサのあるべき姿なのだ。
 なぜなら、日本語ワードプロセッサは,何も書いてない紙のようなメディアである.人間が,紙に文字や式や絵を書いたり,読んだりすることを,もっぱら知的活動の場としてきたことを考えれば,明らかだろう.
 ものを考え,それを表現するためのツールとして,われわれは好ましい日本語ワープロを持っているだろうか?効果的な使い方について十分注意を払っているだろうか?日本語ワープロのファンダメンタルについて考える.

日本語ワープロの歴史が書かれているので資料としてスクラップした。

NeXTはソフトウェアの記事だったのでスクラップを省略する。
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TBNのDMA(Direct Mail Area)に面白い記事があったのでスクラップする。
 9月号の「ATOK7vs.VJE-βVer.2.1」を読むまで,「ATOK」を「あとっく」,「VJE」を「ぶじぇー」と読んでいました.ところで,この「ATOK」とか「VJE」って、一体何の略なんですか.
 変わった読み方をする英語(特に商品名)には,ふりがなをうっていただけないでしょうか.それというのも、最近まで私は「ATOK」を「あと一<」と発音していたからです.こんな間違いをするのは、私だけでしょうか……

 こういった横文字の読み間違いというのは,コンピュータの分野に限らずありがちで、口に出してしまってから他人に指摘されると,とても恥ずかしい思いをしたりします。編集部の関係者でも,“vi"(UNIXで主に使われているエディタで“ぶいあい”と読む)を“うぃー”と読んで笑われた人,“IEEE”(“あいとりぷるいー”と読むのが正しいらしい)を,咽を詰まらせながら“あいいーいーいー”と読んだ人などがいたりして,決して他人事ではありません.
 読み方が決まっていない略語もたくさんあります.たとえば,“TeX”は,“てっくす”,“てっく",“てぶ”など、人によって読み方が違っているようです.
 この他、最近よく見る“GNU(ぐにゅー)”,“Wnn(うんぬ)”,“Mach(まーく,まっは,まっくetc……)”など,特にUNIX関係には難読な略語が多いようです。
 略語の作り方には決まった規則はなく,単語の頭文字をそのまま並べる方法から,先にかっこいい略語を考えておいて、後からフルスペルをこじつけるといった乱暴な方法(1989年8月号DMAで紹介した某ブランドの家具など)まで,さまざまです.読み方も後者の場合なら、すぐに分かるのですが,前者の場合,アルファベットを1つ1つ読むべきか,適当に続けて発音するべきかは,英語のセンスの有無にかかわらず,判断に困るところです.
 結局,分からなければ、その道の通に聞くのが一番ということになります.ただし,その人が過度に業界にかぶれていると,“○たく”の人にしか通じない読み方を教わってしまう危険もあるので要注意でしょう.
 さて,VJE(ぶいじぇいいー)は,“Vacs Japanese Entry system"の略で,これは単純明解です.ATOK(えいとっく)は,ASCII文字を漢字に変換するシステムという意味で“Ascii TO Kanji",または,ジャストシステムの本社がある阿波徳島にちなんで"AwaTOKushima"の略であるなどといわれていますが、実は"Automatic Transfer Of Kanakanji"の略です.しかし,個人的には“Ascii TO Kanji"のほうが,C言語で文字や数値の変換を行なう関数“atoi(ascii to integer)",“ftoi(floating-point to integer)"みたいで、好みに合いますね。
 “~TO~”系の略語で傑作なのは,MS-DOS付属のユーティリティである“EXE2BIN(exe to bin:えぐぜつうびん)”です.これは,MS-DOSのEXE形式ファイルを,ただのバイナリファイルに変換するというものです.“2(TWO)”を“TO”に引っかけるあたりが,合理的というか,遊びが過ぎているというか,さりげなく馬鹿にされているような,自虐的快感をもたらしてくれます(注:“2”が“TO”のままでも,ファイル名は8文字以内なので支障はないのですが).
 雑誌は活字中心のメディアであるという性質上,本誌でも文字の読み方にまでは神経がいきとどきにくい面があります.しかし,人と人とが面と向かってコミュニケーションする時には,文字づらだけでなくその発音がどうしても伴ってくるわけですから,難読な略語などには、できるかぎり読み方を明記するべきかもしれませんね。
(IEEEで咽が詰まったのは私です zen-t)

MS-DOSのファイル名の制限のためtoを2,forを4にするのはよく使った。

なんでも相談室をスクラップする。
Q:米国のパソコン通信サービスにPDSとしてアップロードされているものに,拡張子が“.GIF"となっているものがありました.これはいったいどういうファイルなのでしようか.グラフィックデータだとは聞きましたが……
A:GIFとはGraphics Interchange Formatの略で,グラフィックデータの標準ファイルフォーマットの一種です。米国のパソコン通信サービス“CompuServe”で考案されたもので,GIFの名称はCompuServeの登録商標になっています.ちなみにGIFは,ジフ(jif)と発音するそうです.
 GIFは,異機種間でグラフィックイメージを共有することを目的として考え出されたものです。現在では,IBM PC(同PS/2),Macintosh,AtariST,AmigaなどでGIFファイルを作成・表示するためのユーティリティ(encoder,decoder)が用意されています.また,国産機種向けのGIFユーティリティも,NIFTY-Serveをはじめとして大手のパソコン通信ホストなどにいくつかアップロードされています。
 そうしたGIFユーティリティは,GIFファイルを読み込んで単にグラフィックイメージを表示するだけのものから本格的なペイントソフトの形態をとるものまで,さまざまなものがあります.また,米国製の商用のグラフイックツールでは,GIFファイルを直接読み書きできるものも見られます。
 GIFは異機種間でグラフィックイメージを共有することを目的としていますが,実際にGIFファイルからデータを読み込んでイメージを表示する場合にはそれぞれのハードウェアによってディスプレイの解像度や色数も当然異なります。機種やユーティリティによって、イメージの再現方法がまったく異なる場合もあります(図1)これを逆に見れば,データの形式さえ分かっていればそれぞれハードウェアの能力に合わせてイメージを取り出すことができるわけです.つまり,あくまでGIFはファイルのフォーマットレベルでの標準化であって,まったく同じイメージを異なる機種で再現することを目的とした標準化ではないということです.
 GIFファイルのフォーマットは図2のような形式になっていて,グラフィックイメージはLZW(Lempel-Ziv and Welch)法で圧縮したラスタ型のデータとして保持されます。ラスタ型のデータとは,CRTの走査線のように,画面の左上端から右下端に向かって,左から右へ,上から下へとスキャンした形で収められるデータのことです(図3).取り扱えるイメージの大きさには,特に制限がありません。カラーは,RGBの各色に対して最大256階調を利用することができますが,ひとつのGIFファイルの中で使用する色数は2,4,8,16,32,64,128,256のうちから選択しなければならないという制限があります。もちろんグレースケールも,カラーと同様に取り扱うことができます.
 GIFについての詳しいドキュメントは,前出のCompuServeの“CompuServeGraphics"で入手することができます。またGIFフォーマットのグラフィックデータも、多種多様なものが非常に数多くアップロードされています。  (樋田)


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ASCII1989(11)g03TBN_GIF図2_W520.jpg
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GIFでアニメが作れるのが面白かった。PC-9801時代、パソコン通信の時代は16色でことたりるのでGIFは便利だった。

液晶ディスプレイの解説記事をスクラップする。
Q:コンピュータ用の液晶ディスプレイは,なんであんなに遅いのでしょうか.同じ液晶ディスプレイでもテレビ用やゲーム用のほうが速度が速いのは納得できないのですが.
A:ディスプレイ等の表示デバイスに求められる性能には,高解像であること,高コントラストであること,応答速度が速いことなどがあります。しかし、現在のコンピュータ用液晶ディスプレイは高解像,高コントラストは達成していますが,応答速度はとても満足できる状態ではありません。コンピュータに使用されているSTN液晶ディスプレイの応答速度はさまざまな改良により100~150ms程になっていますが,動画表示が無理なくできるには応答速度50msが必要といわれています。
 STN液晶ディスプレイの応答速度がなぜ遅いのかの前に,まず液晶素材の特性について少し説明しましょう.

液晶の特性入門

 大半の物質は,一定の温度で固体から液体に変化します.しかし,中には固体と液体の間にゼリー状になる温度帯を持つた物質もあります。液晶はこの固体と液体の中間の状態の一形態です。そのため固体と液体の両方の特徴を持っています。液晶は液体と同じく流動性を持ちながらも,固体(結晶)と同じように分子配列に一定の方向性を持っています。液晶に電圧や磁力をかけると、電場や磁場の影響で分子配列の方向が容易に変化します.液晶ディスプレイはこの分子配列の変化を利用し,光をさえぎることによって画面表示をしています(詳しいことは8月号の液晶ディスプレイレポートを参照してください).
 以後ここで液晶といったときは,特に指定がない限りは電圧によって分子配列が変化するタイプの,コンピュータ用に使われているネマティック液晶を指すこととします。液晶に電圧をかけたときの分子配列の変化は、液晶にかかる電圧がある一定の大きさになると始まります.また,液晶の分子配列変化が始まってから完全に分子配列が変化しきるまでには,多少の電位差があります.分子配列の変化が始まる電圧と終わる電圧との中間の電圧を液晶にかけた時は,分子配列変化が中途半端のままになります(図5)。
 液晶は液体のように流動性があるといっても、液体よりも粘性が高くどろりとしています。液晶はこの粘性のために分子配列を一定に保つことができるのです.しかしその一方で,この粘性が電圧をかけたときの分子配列の変化を妨げています。液晶ディスプレイの応答速度,つまり分子配列が変化するのに要する時間は液晶の粘性と液晶パネルの厚さに比例し,液晶にかける電圧に反比例します。また電圧を落とした時に分子配列が元に戻るには,分子配列が変化する時の1.5~2倍の時間がかかります。
 以上のことから液晶ディスプレイの応答速度を速くするには、より粘性の低い液晶を使う、液晶パネルを薄くする,液晶にかける電圧を高くする,という方法が考えられます。しかしパネルを薄くするには技術的な限界がありますし,ラップトップコンピュータやポータブルテレビ等で使用するには低電力駆動が前提になります.そのため,応答速度を上げるには液晶を低粘性にすることが一番効果的な方法といえるでしょう。

わけなく遅いわけじゃなし

 さて、ご質問のコンピュータ用STN液晶ディスプレイが他の液晶ディスプレイよりも応答速度が遅い理由ですが,これは液晶の粘性の違いによるものです.コンピュータディスプレイに使用される液晶は他のディスプレイに使用される液晶よりも粘性が高いのです.わざわざ高粘性の液晶を使用するのはディスプレイに求められる能力に起因します。
 コンピュータディスプレイに必要な能力としては第1に高解像であることがあげられます。機種によっても異なりますが,コンピュータディスプレイとしては640×400ピクセル程度の解像度を必要とします.それだけの高解像度を液晶ディスプレイに持たせるためには,液晶が高粘性になってしまうのが不可避なのです.
 液晶ディスプレイに限らずフラットパネルディスプレイはマトリクス構造をしています。これはご存じのとおり電極を格子状に配列して1枚の画面を構成しています(図6).この構造は,走査電極数を増やせば増やすほど解像度を高くできます.しかし,走査電極数が増えると液晶にかけられる電圧に大きな制約が生じます.1枚の画面を表示するのにかかる時間を一定にしながら走査線を増やすと,電極にかけられる電圧の余裕が少なくなるのです。この電圧の余裕度は図7の計算式で求められます。この式より,計算上は走査線数が50本の時は電極にかけられる電圧の余裕はもともと電極にかかっている電圧の約15%まであります.しかし,走査線数が400本台にな ると電圧の余裕度は約5%までに下がってしまいます。
 つまり,走査線の多いディスプレイには,分子配列変化が起きる電圧の幅がなるべく狭い液晶が不可欠です.
 液晶の分子配列変化が起きる電圧の幅を狭くするには,液晶の弾性率を上げる必要があります。弾性率とは、その名のとおり液晶の弾力を数値に置き換えたものです.弾性率が高いほど,少ない電位差で液晶の分子配列変化が起きます.
 コンピュータディスプレイに使われている液晶は,液晶のねじれ角を大きくとることによって弾性率を上げています.電卓に使われている7セグメント表示のディスプレイの液晶はねじれ角が90度ですが,コンピュータ用の液晶ではねじれ角を200~270度にとっています。こうすることによって,走査線数が数百本という高解像のディスプレイを実現しているわけです.
 しかし,液晶のねじれ角を上げると液晶の粘性も上がってしまいます。これは液晶のねじれ角が大きくなるために分子配列が変化するときに分子が移動する距離が大きくなるためです。まったく同じ液晶でも,ねじれ角が異なると電圧をかけたときに分子が移動する距離が違ってしまい,結果的に分子配列変化にかかる粘性が変わってくるのです.
 コンピュータ用のSTN液晶ディスプレイは走査線数400本台が必要なため,ねじれ角を大きくとることが必要です.したがって,液晶の粘性がどうしても強くなってしまいます。
 一方,テレビ用TN液晶ディスプレイでは走査線数を100本程度にすることによって,ねじれ角が狭い粘性の弱い液晶を使って動画表示を可能としています.  (加藤)


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トラブル・シューティングの記事をスクラップする。
Q ATOK7はたいへんよくできた日本語入力FPだと思いますが,EMSと併用するとMS-DOS上での画面の表示速度がかなり低下してしまいます.また,エコーモードで使用すると,文字入力中はMS-DOS本来のカーソルとATOK7のカーソルが表示され,画面が見づらくなります。このあたりを改善する方法は何かないでしょうか.メガソフトのMEMORY-PRO386を使った場合も,同様に画面表示速度が低下してしまうのでしょうか.
A 一太郎のVer.4は,バグ騒ぎがあったり,ハードディスクとEMSがないと使い物にならないとかで,まだまだ問題があるようですが,ATOK7は確かにこれまでのATOK6に比べてだいぶ改良されました.辞書がどのディレクトリにも置けるようになりましたし,品詞分類も他の日本語入力FP並みに増え,変換効率もだいぶ上がったようです.
 さて、ご質問についてですが,安藤さんは,PC-9801VM2を使われているようですね。そうすると,VM2にメルコあるいはIOデータ,ジャストシステムのハードウェアEMSボードを挿入してEMS環境を実現しているのでしょうか。あるいは従来の増設RAMボードにEMSドライバを併用してEMS環境にしているのでしょうか。
 いずれにしても,EMS上に日本語入力FPを置いた場合,画面表示速度が遅くなってしまうのはよくあることです。というのは,EMSはメモリ上の「窓」を通じてページを切り替え,実質的なユーザーメモリ領域を増やそうというものなのですから,その分時間がかかるようになります(図3)。
 また,拡張スロットにある増設メモリでEMSを設定しているというのも、画面表示速度が遅くなる原因の1つであるかもしれません。というのは,拡張スロットにいく信号にはウェイトが入っているため、どうしても本体ボード上で直接CPUやメモリと信号をやりとりする時に比べて,時間がかかってしまうのです.
 これは,PC-9801RA/ESのような,32bitCPUを使ったマシンで見ると,はっきりと分かります。起動時のメモリチェックが,32bit幅のバスでつながっている本体ボード上のメモリを調べ終わってから,16bit幅しかない拡張ボード上のメモリチェックに入ると,いきなり速度が落ちてしまいます。
 このような問題を解決するために,32bit幅の拡張スロットが考えられています。具体的にはIBM PS/2のMCA(マイクロ・チャネル・アーキテクチャ)やCompaq社などが提唱しているEISA規格です.日本電気も米国ではEISA陣営に入っているのですが、はたして今後PC-9800シリーズをどうしていくつもりなのでしょうか.私の手元にあるパーソナルコンピュータで日本語入力FPをいくつかテストしてみましたが,それほど極端に画面表示速度が遅くなることはありませんでした。
(中略)
 結果は,やはりわずかですがEMSを使ったほうが遅くなっています(図5)。しかし,VMでは目立った差が出ていませんし,ESでも最大で12パーセント程度遅くなるだけです.これでは,普通にワードプロセッサなどを使っていて気になる差とは思えません。


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