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米国業界関係(月刊ASCII 1988年2月号2) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS から「米国ハイテク産業の動向」他を抜粋してスクラップする。
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9600bpsモデムの需要が急増している
 80386や68020などを搭載した32bitマシンの登場によって,マシンの処理スピードが速くなるにつれて,通信速度が9600bpsという高速モデムの需要が急増し始めている.米国市場における9600bpsモデムの出荷額は,'87年が4億1000万ドル前後とまだまだ少ないが,今後年率11.5%の伸びが見込まれており,'90年には6億ドルに達する見込みだ。
 通信速度9600bps以上の高速モデムでは,プロトコルの標準化がそれほど進んでいない.CCITTはV.32を提示しているが,実際にはV.32をそのまま採用したTrueV.32と,それを多少修正して採用したpseudoV.32,そのいずれにも属さない第3のグループがあって,事実上,標準化は実現していない.
 True V.32は,AT&T社,Anderson-Jacobson社,Concord Data Systems社などが採用しているが,技術的に複雑でコストもコンピュータ自体より高くなってしまうなど,普及には限界があるとされている.これに対し,Hayes社,MicroCom社,Rascal-Vadic社,U.S.Robotics社などは,V.32のローコスト版にあたるpseudo V.32を採用して,ローエンド市場での普及をねらっている.特に,V-Seriesを発表して高速モデム分野に参入したHayes社は,1200/2400bpsの全2重モデム市場ですでに業界のリーダーとなっており,9600bpsでもその影響力は無視できないものとみられている.
 また,9600bpsモデム市場に最初に参入し,独自路線を歩むTelebit社は,2400bpsモデムの大手メーカーであるVentel社などに技術供与をして標準化を図ろうとしている.一方,True V.32は,Rockwell社やTI社などが専用のチップセットを近く発表する予定だ.これらが発表されれば,これまでTI社のTMS20シリーズなど,汎用DSPチップを使用してTrue V.32モデムを製作してきた各社の製品コストは,大幅に低下する見通しだ。その結果,9600bpsモデムの標準化は,True V.32を中心に進む,と見る向きもある。
■80286/80386マシン用メモリボードがPS/2で動作しない?
注:「PS/2で動作しない」は「OS/2で動作しない」の誤植と考えられる
 IBM社は,'87年12月4日からOS/2Ver.1.0スタンダード版のリリースを始めた(当初の予定では'88年第1四半期).しかし,初期ロットは2万本と少ないため,多くのディーラーがまだ入手していないという現状だ.
 一方,80286や80386マシン用に販売されているいくつかのメモリボードは,OS/2ではうまく動作しないことが最近発見され,IBM社もユーザーに対して警告を発している.1スロットあたり2Mbytes以上のメモリを装備していると,これらのボードは使えないという対象になるボードメーカーには,AST Research社やTecmar社などのビッグネームも含まれている.IBM社は,これらボードメーカーと協力して解決法を探っている最中だ.
 さらに,同OSでは、サードパーティー製の多くのグラフィックボードをサポートできないことが,OS/2の共同開発元であるMicrosoft社によって明らかにされた.同社によれば,'88年早々にリリースされるMicrosoft版OS/2は,IBM版に比べでサポートできるボードがいくつか追加されるというが,基本的には、レジスタレベルで互換性のないボードは動作不能になる場合があるという.もともと,スタンダード版OS/2は,Herculesモードはサポートしていないし,IBM社の8514/A高解像度モード(1024×768ドット)も使えない.
 OS/2は,長期レンジで見るとMS-DOSの後継OSとして不動だとの見方が一般的だが,最初のステップでさっそく難問にぶつかってしまったようだ.
■官庁,軍関連に進出するMacintoshII
 Dataquest社は,MacintoshIIの販売台数を87年度は7万5000台,88年度には20万台という予測数値を発表した.
 これは,これまでMacの売れ筋であった個人ベースのユーザーに加え,官庁,軍などの行政関連分野でもMacが好成績をあげていることに起因している.一般的に,MacはIBM PCに比べて同分野で弱いと言われていたが,確実に巻き返しを図っているようだ.
 NASAの総額2億ドルにのぼるプロジェクトでは,新規に購入される490台のワークステーションのうち,実に40%にあたる196台がMacIIで占められている.
 バージニア州のフォートモンローにある陸軍の施設では,25台以上のMacIIを含む50万ドルの契約をApple社と結んだ.導入されるシステムは,300Mbytesのファイルサーバーと光ディスクなどの大容量記憶装置を,TOPSやPhoneNETで結んだもので,500万件のドキュメントをリトリーブすることができる.また,各所に配置されたビデオディスクやスキャナ,レーザービームプリンタを使って年間約7万枚のスライドが作成できる.ここでは,Macは,おもにDTPやプレゼンテーションの中核として使用される.あるAppleディーラーによると,軍関連との契約は、今後5年間で総額10億ドルにのぼるという.最終的にどのくらいの金額になるかは別にして,軍関連の入札でIBMPCをおさえてMacが採用されるのは画期的なことだ.Apple社は,軍用に不可欠なADAコントローラを'88年早々に発表するという噂もあり,Macが未知の領域である軍関連に今後どれだけ食い込めるか注目される.
 年末になると,必ず話題になる税金申告でも,Macが話題をさらっている(米国ではサラリーマンも自分で税金申告をする).IRS(米国税庁)は,磁気メディアを使った申告は,これまでMS-DOSフォーマットに限定していたが,'88年度からほかのフォーマットも認めるようになった.今までの申告規則では,「磁気メディアによる申告は,IBM PC/XT,PC/AT,3270PCおよびコンパチブルPCによること.IRSでは,ノンコンパチブルディスケットの変換作業は行わない」としていた.それが,「MS-DOSファイルが好ましい.ただし,他の3.5インチディスケットでも可能」と改められた.そして,MacのファイルもIRSが受け付けるリストに含まれることになった.今回の改正では、Apple社のFederal Government Operations Office(連邦政府対策室)が,IRSに対して強力に働きかけたという.
34年前の通信速度は遅かった。文字の通信がほとんどだったが、パソコン通信では受信している文字がリアルタイムで読むことができたほど遅かった。2400bpsMNPを使っていた記憶はあるが、9600bpsのモデムの記憶がない。これは記事にあるような統一化できなかったことが製品の遅れと寿命の短さの原因だったのか?
 もうOSが動作しないパソコンとはなんなのか。日本のエプソンによる98互換機でNECのMS-DOSが動かないなんて可愛い問題だ。IBM PCのような開かれたマシンでは仕方がないことだった。その点Appleは自社でハードとソフトを開発していたから、自由にバージョンアップできた。1社独占というのも悪いことばかりではない。
 MacIIが軍とかNASAに導入とかMacIIは当時そんなに性能が高いマシンだったのかと思ってしまう。

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日本ユニバックとバローズが合併
34年前はまだまだ大型コンピューターの市場は大きかった。

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日本電気、欧米向け超大型電算機の輸出が好調
超大型電算機とは今でいうところのスーパーコンピューターのことだったのか?

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米国の2台LAN専業メーカーが合併
3COMがBridge Communicationsを吸収した。3COMの製品は使ったことがあるというか信頼できるものは3COMしかないだろうという感覚で導入していた。

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メモリの世代交代の3年周期、崩れる
「DRAMの容量は、ほぼ3年サイクルで4Kbit,16Kbit,64Kbitと拡大」34年前はこうだった。

日経クロステックの記事
日本のDRAM、「安すぎる」と非難され、やがて「高すぎて」売れなくなる
によると
>パソコン向けDRAMに汎用コンピュータ向けと同等の信頼性は不要
「となればパソコンに搭載するDRAMも、5年以上の寿命は要らない。こうしてDRAMに要求される信頼性のレベルが、汎用コンピュータ用とパソコン用では違ってくる。その代わり、低価格の要求は、パソコンでは、はるかにきびしい。」
があった。日本が負けたのは安かろう悪かろうでもいい製品分野なんだと。日本人は安かろうという努力は一生懸命するが、悪かろうを容認することはできなった。「コストを無視して高品質を追求する姿勢が日本に醸成される」
「ダンピングと非難された日本の半導体技術者たちの間に、『良いものを安く売ってなにが悪い』といった気分が生じた。『安く作っちゃ、いけねーのかよ』という、うらみも聞かれた。製造コストを下げ、製品を安くする。工業製品を製造するなら当然のこの努力、これを続けることに、日本の技術者たちが徒労感を感じるようになる。」
これには激しく同意する。私は、現在も家電で「安かろう悪かろう」が売られていると感じるが、若い人達は「安かろうこれでも良かろう」と思っているようだ。安かろうで作る家電製品には寿命のばらつきがあり、私と知人は寿命の短いもの複数に当たってしまったから安物を買うのは嫌だが、当たりが良かったものを買った人は安くても良いと評価する。いや、それは運がよかっただけなんだけどな。
5年以上も壊れない機器は「遅れた技術思想」の産物か
「同じパソコンを5年以上使い続ける人は、あまりいない。長寿命の半導体メモリはパソコンには無用である。汎用コンピュータ向けの長寿命品は、パソコンには過剰品質ということになる。これはパソコンと半導体メモリに限った話ではない。」
私はSandy Bridgeおじいさんで(去年末やっとComet Lake)あるが、やっぱり少数派だった。Sandy Bridgeでパソコンを組んだときこのCPUが好きになってずっと使いたいと思ったほどだった。

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パソコン広告(月刊ASCII 1988年2月号1) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

もう一度読み返し、スクラップする。
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裏表紙はFM77AV40EXで前号の使いまわし

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表紙見返しはPC-98XL2がメインだった。NECは表紙見返しにたいして売れない製品を掲載していた。

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PC-88VAは斉藤由貴をイメージキャラクターに起用していた。

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NECのモデムの広告は小沢なつきが大部分を占めていた。小沢なつきの写真は前号とは若干違う。

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右頁が東芝J-3100SGT

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シャープのMZ-2861は前号の使いまわし。

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シャープのX68000は前号の使いまわし。

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シャープのX1turboZIIは前号の使いまわし。

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X68000の周辺機器の広告は前号の使いまわし。

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南野陽子をイメージキャラクターに起用した富士通のFM77AV40は前号の使いまわし。

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富士通のFMRシリーズは前号の使いまわし。

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松下のPanacomM500/M700

「ここからの20ページは『NEWS』のアプリケーションソフトです。」と銘打った広告。一体何だったのか。
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キヤノンのLASERSHOTの広告には古川亨が出ていた。

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キヤノン販売のMacの広告。

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エプソンの98互換機PC-286は見開きではなく右頁のみだった。

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左頁がMicrosoftのOS/2の広告。価格を見たら600,000円だったのでびっくりしたが、SDKの値段だった。

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毎号おしゃれな一太郎の広告。

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毎号おしゃれな花子の広告。

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MSAのソフトウェアの広告。TurboPascalには大変お世話になった。
ソフトウェアのマニュアルを捨てる

書籍を捨てる(TURBO PASCAL

ソフトウェアを捨てる(TurboC他)

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裏表紙裏のFUJI FILMのフロッピーディスクの広告は前号の使いまわし。

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ログインの広告

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MS-DOSにプロテクト,編集部から(月刊ASCII 1988年1月号11) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「勝手にMS-DOS」という連載記事の中にコラム記事があった。「PC-9801互換マシンが出たら、MS-DOSにプロテクトがついた!?」
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スクラップする。
 先月は,コンパチマシンとMS-DOSのプロテクトの話ができなかったので,少し触れておきたい、日本電気とセイコーエプソンのPC9801互換機問題は,新聞などでも取り上げられているので,ご存じの方も多いだろう.
 MS-DOSは,ハードウェアに依存する部分が多いため,メーカーによって,それぞれのマシンに対応するMS-DOSが存在する.これは,先月も触れた.ところが,今年4月,エプソンが,16ビットマシンのベストセラーになっている日電のPC-9801シリーズと互換性を持つPC-286(MODEL1~4)を開発したのである.となると,PC-9801用のMS-DOSや,MSDOSがバンドリングされているアプリケーションが他機種でも使えるようになってしまう.
 ところが日電は,PC-286の発売前に,「PC-9801のBIOS(基本入出力システム)部分のプログラム著作権を侵害している」と判断し,エプソンを相手に訴訟を起こした.それを受けたエプソンは,「訴えられた製品は、消費者に悪いイメージを与える」という理由で,発売を予定していたPC-286(MODEL1~4)の出荷を中止し,係争中の部分を新たに開発し直したPC-286(MODELO/後のSTD)を発売したのである.その結果,発売しなかったMODEL1~4が法廷で争われ,販売しているMODELOについては,訴訟になっていないという,ちょっと面白い状況になっている.「米国におけるIBM PCの例を見るまでもなく,コンパチマシンは、多くの場合,「安くて,速い」ことがセールスポイントになる.PC-286MODELOも,PC-9801VX2より安くて,処理速度が速かったことから,日電は,6月に対抗機種としてPC-9801VX21を発表した.さらに,その姿勢を明確にしたのが,PC-9801シリーズ用に市販されているMS-DOS(Ver.3.1および2.11)にプロテクトをかけるという戦略だった.これは,ディスクを入れた際に,そのマシンが本当にPC-9801かどうかを判断し,PC-9801であった場合だけMS-DOSが起動するような仕掛けをMS-DOSに組み込んだものだ。
 このプロテクトは,8月頃に何の予告もなしに行われたので、パソコンショップやPC286ユーザーの間で“動かない”と,かなり話題になった。日電がソフトメーカーに供給するバンドリング用のMS-DOSVer.2.11にも,同様の措置がとられたものがあるようだ。もちろん,MS-DOSが起動できなければ,目的のアプリケーションも使えない.日電は,「PC9801用に作られたソフトが,他のマシンで正常に動作しなかった場合,保証はできない」という理由で,MS-DOSにプロテクトをかけたようだが,やはりこれは,PC-286対策と考えられるだろう。
 これに対してエプソンは,どういう反撃に出たか.実は10月に発表したPC-2860/Vに,このプロテクトを外すようなソフトを標準で添付するという対抗策を打ち出したのである。コンパチマシンを正面切って売り出したメーカーだけあって,やるなーという感じがする.
 だが私は,MS-DOSのような基本的ソフトウェアにプロテクトをかけたり,それを外すソフトを供給したり,という状況にはまったく反対である.迷惑なのは、余計な操作が増えて戸惑うユーザーのほうだ.
 PC-980」とPC-286の問題は,現在では和解の方向に向かいつつあるようなので,これ以上プロテクトのイタチごっこにまで発展することはなさそうだ。しかし,まだまだ成熟商品とは言えないパーソナルコンピュータをめぐって,基本的な利用環境でつまずいてしまっては,まともな普及は見込めないぞと思うのだが。
まあ、34年前はこんな状況だったのだ。OSとはなんぞやという思いがあった。まあ、MS-DOSでのプログラミングはMS-DOSをバイパスしてハードウェアを直接使うにはどうするかという解説書が売れていたので当然なのかもしれないが。OSとは名ばかりでアプリプログラムのローダーになり下がっていた。もちろん私も嬉々としてMS-DOSをバイパスして高速プログラムを作っていた。

この号の編集部からの記事をスクラップする。
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'88年を迎えて

 '87年も暮れ,また新しい年を迎えようとしている.よく言われることではあるが,パソコン界の進歩は早く,この1年にも,大きな変化があった。
 アメリカでは,IBMがオペレーティング・システムとしてOS/2を発表し,'87年の暮れには発売されることとなった.また,新しいPS/2シリーズの最上位機種ではCPUに80386を採用,互換機メーカーによるATコンパチの80386マシンも好調だという.アップル社はMacintoshシリーズを一新し,最上位機種としてMacintoshIIを発売.この秋にはHyperCardも発売して,相変わらずの先進性を示した。国内でも80386マシンの発売が相次いだことは、やはり印象深い.
 とはいえ,新しいことがすべてではない.'87年の国内では、一般ユーザーに関係が深いレベルでの変化も随分と多かった.
 その一つに,80286マシンの普及とハードディスクの低価格化が挙げられる.今から1年半ほど前,'86年の夏頃であれば,80286マシンは最先端のパソコンであった.それが現在では,一般ユーザーでも手の届く範囲の価格で出回っているのである.また,ハードディスクについては,思い出深いエピソードもある.'86年7月号は僕自身が編集長となった最初の号であったが,その号で我々は「失敗しないディスプレイ選び」という特集を組んだ.この時,「ハードディスク選び」にしようという声もあったのだが,まだまだ高価だという理由で断念せざるをえなかったのだ。その後1年でハードディスクの低価格化は進み,'87年6月号にこの企画は実現された。最近ではさらに低価格化しており,来年には,ますます普及することと思われる.
 一方で,16ビットのホビーパソコンが登場したのも'87年の収穫だったろうシャープのX68000と日電のPC-88VAは,8ビットマシンの思想を受け継いだ16ビットマシンとして注目された.アメリカではすでにAmigaをはじめとした16ビットホビーパソコンが一般化しているが,パーソナルコンピュータの新しいジャンルを確立することが期待される.
 あまりにも急激な変化は,ユーザーの戸惑いを招く恐れもある.ソフトウェアの資産も十分に有効利用できなくては困る.とはいえ,やはりパソコンの楽しみは,技術の進化を身をもって体験できるところにあるのではないだろうか.そういった意味で,'88年も楽しい年となることを期待したい。(土田米一)
そうか?「あまりにも急激な変化は,ユーザーの戸惑いを招く恐れもある.」ユーザは今持っているマシンに満足はしてなかった。HDDがないユーザはおそらくゲーム機と化していただろう。HDDがあって、RAMディスクがあって、EMSメモリがあってやっと使い物になる機械だった。パソコン初心者でも使えるようになったのはWindows95からだった。文句ばかり言ってパソコンで仕事をしていた記憶しかない。趣味のプログラミングではとにかく高速化!データの圧縮!を最重点にやっていた。

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ハードディスクはどう選ぶ(月刊ASCII 1988年1月号10) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「勝手にMS-DOS」という連載記事
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ハードディスクが主たる話題だったのでスクラップする。34年前のことを思い出して、「ああ、そうだったよな」と感じることができる。記憶だけでは曖昧になるので、こうして記事をスクラップすることが当時のことを話すときの根拠とすることができる。
コンピュータは速いか?
 私はまず,PC-9801VM2を買った.それからソフトウェアとして,エディタと数種のユーティリティソフトを購入した.
●エディタと数種のユーティリティソフト
 エディタとは、画面上で文字を編集するソフトウェアのこと、ワープロに似てるが,ワープロよりもシンプル.また,私が買ったユーティリティは、MS-DOSのコマンドを拡張するものが2点.この他には,かな漢字変換辞書を揃えただけである。
 これらのソフトは,使いこなしにある程度の知識が必要ではあるものの,実にシンプルで小回りが利き,その価格も全部まとめてワ-プロソフト1本分にも満たないという,恐ろしくコストパフォーマンスの高いソフトなのである.仕事の一部は、マシンを買った初日にコンピュータに受け渡され,単純な手作業は,すぐにコンピュータに置き換えられた.
 だが,決定的な問題があることにも気づいたのである.それは,スピードの問題だった.
 コンピュータは,プログラムを実行するだけならバカみたいに速い.特に本体内部だけで行う計算処理などは,人間の想像も及ばないくらいの速さである.しかし,コンピュータの仕事はプログラムの実行だけで成り立っているわけではないのだ.プログラムが処理するデータはディスクから拾ってこなくてはならないし,そのプログラム自身だってディスクから読み込まなくてはならないのである.つまり,ディスクアクセスのための時間が必要なのだ.
 この時間がめちゃくちゃ遅い.たとえば日本語の文章を書く時は,入力した文章をかな漢字変換するためにディスク内の辞書データにアクセスするが,そのために1秒近くかかる場合がある.そして,その1秒で,それまでリズムに乗ってタイプしていたこちらの気持ちがかき乱されてしまうのである.
 また,こんな場合もある.私が仕事で使うデータは,ほとんどが本1冊分ぐらいの日本語ファイルなのだが,そういった長大なファイルを,カーッチャツ,カーッチャッと息継ぎしながらディスクから読み込まれるのを待ってると,「マシンのくせにのろのろしやがって」とイライラするのだ.
 中途半端な待ち時間というのは,精神によくない.買う前に,そのくらいのことは気がつかなかったかと言われても,こうしたスピードの実感は、いざ使ってみてはじめて気づくものなのである.
プロの物書きならそうだろうし、素人が仕事の文書を作るのも同じ感覚だった。ただし、素人が使うデータは前回使った文書だからそのフロッピーディスクとファイルを探すのに手間取っていた。
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アクセスの速い媒体
 ディスクのアクセスが遅いと感じるのは,フロッピーディスクドライブのアクセススピードが,人間の持つ作業のスピード感より遅いからである.解決策はディスクのアクセススピードを上げればよいのだが,扱う媒体がフロッピーである限り,技術的に何倍もスピードを上げることはむずかしい.
 じゃあ,フロッピーよりもアクセススピードの速い媒体は何かというと,ご存じハードディスクの登場となる.ハードディスクのアクセススピードは、フロッピーの10倍以上で、まさに画期的なスピードアップを図ることができる.また,最近では、ディスクのように機械的な構造を持たず,記憶部品を電子的にアクセスするRAMディスクも普及しはじめた.RAMディスクを使うと,ハードディスクよりもさらに数倍アクセススピードを向上させることができる.
●RAMディスク
 コンピュータ本体のメモリと同じ部品を使って作った,電子的な外部記憶装置,ディスクと名がついていても、回転する機|構や機械部分はなく,ICの並んだボードをマシンの拡張スロットに挿入して使う.
 さて,ここでちょっと考えてみたい.コンピュータの動作のうちで最も時間がかかるのはディスクアクセスであるから,このスピードだけを上げれば,トータルな処理スピードも上がるのだろうか.残念ながら,この解決案は技術面だけしか見ていない、現実のコンピュータの使われ方を考慮すると,アクセススピードをいくら上げても,思ったほど仕事の効率が上がらない場合が出てくるのである.

容量はスピードである
 たとえば,次のような場合だ.PC-9801VM2は,1Mbytesのフロッピーディスクを2枚挿入できるが,もし1枚のディスクに収まらないデータやプログラムを使って仕事をする場合は,どうするのだろうか.結局,頻繁に2枚のディスクの間を行き来して処理を行うことになる.また,そのための環境設定や整合性をとるのにも時間を要するだろう.
●仕事が2枚のディスクに収まらない
 パソコンに日本語を処理させるとなるとかな漢字変換辞書という400Kbytes~600Kbytesの大ファイルが必要になる.これにエディタやその他のツールを加えると,軽く1Mbytesを超してしまい,1枚目のディスクはいっぱいになってしまう.そうすると,2枚目のディスクはデータ専用となるが,これでさらに『Multiplan』などのアプリケーションを使わなくてはならなくなると,もう2枚には収まりきらず,ディスクをとっかえひっかえ使うという,みじめな状況に陥るのだ。
 それでは、仕事が2枚のディスクにも収まらなくなってきたら?考えるだけでも恐ろしいことに,手作業でディスクを入れ換えて仕事を処理しなければならないのだ。1枚のディスクの入れ換え時間は約5秒.この間,コンピュータなら何万回の計算ができるだろうか.
 つまり現実に,仕事のスピードアップの手段としてコンピュータを使うには,アクセススピードの向上に加えて,絶対的な大容量も必要になってくるということなのである.容量が大きくなれば,ディスクの入れ換えなどの無駄な操作がなくなるし,複数のディスク間の整合性を取るために貴重な時間をさかなくても済む,大容量の価値とは,実は容量そのものではなく,トータルな手順を短縮し,結果としてスピードを上げる点にあることがわかるだろう.単にばかでかい容量が欲しければ,1枚200円のフロッピーディスクを何百枚も買ってくればよいではないか.
 話は一般論にまで拡大するが,コンピュータを道具として評価した場合,その価値は,すべてスピードの向上という1点に向かっていることに気づくはずだ。つまり,フィット感とか,信頼性とか,構造などについて百言を費やしても,道具の本質的な価値は“スピード”を計るだけで済んでしまうのである.
●スピードを計るだけで済んでしまう
 これは,道具一般を判断する上で,誰にとっても明確な価値基準と言える.何かの道具(車でも,ノコギリでも,電動工具でも)を買おうかどうか迷ったら,その製品を使ったとき,どれだけ時間が節約できるかを,微にいり細にわたって検討するとよい.そうすれば,その道具がニセモノか本物かよくわかる.
 そう考えると,今のところハードディスクは,アクセススピードと大容量の両方を備えたベストの記録媒体であると言える.RAMディスクも十分魅力的な存在だが,容量あたりの値段を考えると,ハードディスクに1歩を譲ってしまうのだ(表1を参照).
 私の最初のプランでは、ハードディスクの購入は,PC-9801を買ってから半年以内に予定されていた。だが,フロッピーを中心にしたシステムが思いがけず遅いシステムだったので,私は購入を早めることにした.
読み返してみると34年前恐ろしい環境で仕事をしていたものだと感じる。当時よく、「ワープロを使わず手書きでよこせ」と言われたものだ。パソコンにばかり向かって仕事をしているようにはみられなかった。手書き文書を直しに直して清書するためにパソコンを使うものだった。これもすべてパソコンが発展途上で使い物にはならないからであった。さすがにHDDは付けていたからまあそこそこ使えたがデータはFDに置いておいた。私たちは、使い物にならなくともパソコンが好き、キーボードを触っているのが好きだったから冷たい視線を浴びながらでもパソコンを使っていた。
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ハードディスクはいくらするのか?
 最近では,ハードディスクの価格は非常に安くなった.便利な記憶装置なので買う人が増え,量産メリットが生じたからである.今後もまだまだ下がるだろう.私は,ハードディスクの実売価格は近いうちに8万円前後(20Mbytes/65~85msのもの)に落ち着くのではないかと思っている.
 さて,現実に今の価格はいくらくらいだろうか.アスキーの巻末の広告には「ハードディスク激安祭り!」などという通信販売の広告が載っているが,実際に秋葉原に行って店頭でおもいっきり値切った価格と,これらに掲載されている価格はあまり違わないことに私は気がついた。値段にこだわるならば,ハードディスクをどれほど安く買えるかは,ズバリ,通信販売の表示を見れば見当がつくのだ。
 値引きの論理も,パソコンなどとほぼ同様である.新しい製品が出たと言っては,旧タイプの値を下げる.他社の新製品が安いと言っては,自社製品の値を下げるのである.私はロジテックのLHD-320Nを5月に買ったが,その時は定価19万8000円に対して,実際には15万3000円で購入した.だが,昨日秋葉原に行って様子を見ると,なんと12万8000円の値札がさげられていた.最近の新製品が,どれも低い価格設定になっているので,旧タイプのハードディスクも実売価格を下げざるをえないのであろう.
 ただ,ハードディスクの場合ありがたいのは,旧モデルだからといってパソコン本体のように極端に性能が違ったりしないことである.新タイプが続々出るのは,ほとんど価格競争のための手段であって,変わった点はデザインだけだったりすることも多い.つまり,旧タイプであっても割と安心して買えるのである.現在流通しているハードディスクのモデルと定価は,一覧表を掲げておいた(表2).実際の価格は,自分で調べて,ぜひとも安いハードディスクを手に入れて欲しい.
安くなったと言っても20Mbytesで10万円以上した。趣味のパソコンにこんなに金を掛けてどうなんだろうと思うが、当時は病気のようなものだった。現在の人がスマホゲーム等でガチャを回して金を使うのをバカにすることはできないと自分は思う。
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20Mbytesか40Mbytesか
 パソコン用に売られているハードディスクの容量は,ほとんどが20Mbytesと40Mbytesのものである.ひと昔前は5Mbytesや10Mbytesのものもあったが,今ではほとんど見かけない.カタログにはアンフォーマット時26Mbytes,フォーマット時20Mbytesなど書かれていることもあるが,ディスクはフォーマットしなければ使えないから,フォーマット時の容量で実際の容量を判断する必要がある.単純に計算すると,20Mbytesのものは日本語を1千万文字,40Mbytesのものでは2千万文字記録することができる.
 この容量は,使ってみるとどの程度の実感となるのだろうか.私の場合,単純に1年の仕事量を日割りすると,1日平均400字詰め原稿用紙3.3枚の完成原稿を書き,その原稿を書くために2.3枚分の,その他の情報をコンピュータに入れている.つまり、1日あたり約5.6枚(=2200字=4.4Kbytes)の記録容量を使うのだ.では,このペースで20Mbytesのハードディスクを買って仕事を続けていくと,何日でディスクがいっぱいになるか.なんとデータだけなら,12年間もかかってしまう.
 実際には,使うソフトのために2Mbytesぐらい取られてしまうし,ディスクには,空きがあっても使えない領域が発生するから,計算のとおりには行かないが,それでも少なく見積もって,6年分ぐらいの仕事は支えてくれそうだ私の3倍くらい仕事が好きな人でも,2年はもつのである.
●ディスクには空きがあっても使えない領域が発生
 MS-DOSがディスクのデータを管理している最小容量は,フロッピーディスクの場合,1024bytesである.20Mbytesのハードディスクのそれは8192bytes,40Mbytesでは16384bytesになってしまう.もし,40Mbytesのハードディスクを買ってきて、内容が「bytesのファイルを作ったとしても,なんとディスク上では16Kbytes分の領域を消費してしまうことになる.
 ●仕事が好きな人には2年はもつ
 プログラムを組む人は,ハードディスクを買ってもすぐいっぱいにしてしまい,「狭い,狭い」と言っている.プログラムを完成させるまでにはいろんなファイルが生まれるので,完成プログラムの何百倍もの容量が必要になるのだそうだ.
 そんなわけで,20Mbytesはでかい.だが,ハードディスクの価格を見ると,20Mbytesと40Mbytesの差がそれほどないものもある.ここが迷うところだ。いくら容量がでかいといっても,2年でディスクをいっぱいにしてしまっては,また買うはめになる.だったら今のうちに40Mbytesを買っておこうか.それとも,ディスクが一杯になった時点で追加購入すれば,その頃は価格もさらに安くなっているからトクだろうか.
 私自身の経験では,20Mbytesは個人ユーズとして十分な大きさであると思う.それに,20Mbytesがいっぱいになったからといって,2年も前の仕事なんかフロッピーディスクに移して保存すればよいわけだから,何も新しいハードディスクを買い足す必要もないわけだ。
 また,“買い足し”というのは,何につけても非常な割り高になることを知っておくべきだろう.増設専用の2台目のハードディスクも売られているが,あまり需要がないので値引き率が悪い.数年後,ハードディスクの主流が40Mbytesに移ってしまうと,20Mbytesの増設用ハードディスクは、品薄で入手が困難だったり,ようやく見つけても,めちゃくちゃ割高だったりすることも考えられるのである.
 複数の人でハードディスクを共有したり,本当に処理するデータ量が20Mbytesを越えそうならば,迷わず40Mbytesを買えばよい.40Mbytesのハードディスクは,20Mbytesのものに比べ,容量あたりの価格もずいぶん安くなるのである.
物書きならそうだろうね。趣味とはいえプログラムを作っているとバージョン管理も必要だし、昔作ったライブラリもどきを使うこともあるのでハードディスクの中はそういったガラクタで占められていた。
アクセススピードは?
 ハードディスクを導入すれば,アクセスのためのスピードは一気に10倍以上速くなる.これは飛躍的な向上だから,誰でも実感できる.じゃあ、同じハードディスクでも,より速いものを使うとどうなるか.
 現在,ハードディスクの平均アクセススピードには,25msから85msまでの幅がある.40ms以下のアクセススピードが特に速いものは,高速タイプと呼ばれている.
●25msから85ms
 1秒=1000ms(ミリセカンド).当然,数字の小さいほうがアクセスが速いディスクのアクセスタイムは平均が表示されるのが普通だ,目的のデータまでのディスク上の距離によってアクセスにかかる時間が違うから,いろんな位置での平均を取るのである.
 つまり,ハードディスクにも,機種によって3倍もスピードが違うものが存在するのである.この違いは,フロッピーからハードディスクに変わった時ほど画期的ではないが,それでもやっぱり高速タイプは“速いっ!"と思う.私は,200Kbytesほどの文章を書いたファイルから,ユーティリティソフトを使って特定の言葉を捜し出すような操作をよく行うが,85msタイプのハードディスクでは1分少々かかってしまう.これが高速タイプになると(検索ソフトの処理時間は変わらないので,単純に3分の1にはならないが),半分くらいの時間で済んでしまうかもしれない.
 ちょっと前までは高価で手が出ないと思っていた高速タイプのハードディスクも,最近では85msタイプに迫る価格で売られるようになった。もし今度,私がハードディスクを買うとしたら,きっと高速タイプを買っていると思う.
 なお,アクセスの対象となるファイルが限られたものであるなら,RAMディスクを使って,さらに高速なアクセスが可能である.起動時に目的のファイルをRAMディスクに転送しておいて使えばよい.85msタイプのハードディスク+RAMディスクで,高速タイプハードディスクの処理スピードを上回る可能性がある.20Mbytesや40Mbytesの容量すべてにわたって高速のアクセスが必要な場合は実際には少ないから,現実的な方法とも言えるだろう。
 ●起動時に目的のファイルをRAMディスクに転送する。
 MS-DOSには,コマンドやプログラムの自動実行機能(バッチ処理)がある.そこで,たとえば,MS-DOSを起動したら自動的にディスクの辞書ファイルをRAMディスクにコピーし,ワープロなどを使う際にはRAMディスクの辞書を使って変換すれば,高速になる.RAMディスクの内容は電源を切ると消えてしまうものが多いので、ワープロが終了したら,RAMディスクの辞書をディスクに戻す操作も自動化しておけば,ワープロ使用中の単語登録などもきちんと保存できる.
アクセスタイムね。今では速度はMB/sで表されていてアクセスタイムは見もしない。またメモリが余っているからキャッシュが効いてるので速度については気にならなくなった。
ハードディスクを選択する上で知っておきたいこと
 ハードディスク選択の決定的な要素は,20Mbytesか40Mbytesかの判断が中心となるが,それ以外の細かい要素にも気になる点はある.ざっとまとめてみよう.
(1) DMS-DOSのバージョン
 ハードディスクも,パソコンに接続すれば,そのパソコンをコントロールしているOSの管理下に置かれる.MS-DOS上でハードディスクを使う場合の注意点を述べよう.前回書いたとおり,MS-DOSにはVer.2.11とVer.3.xxが存在している.ところが,Ver.2.11の方はハードディスクの容量を1ドライブあたり20Mbytesまでしかサポートしていない。それ以上の容量で使う場合は、別のドライブとして使うことになる.よく40Mbytesのハードディスクのカタログには“20Mbytes×2でも使用可能"とか書いてあるが,これはVer.2.11のことを考慮してのことなのだ.1ドライブ40Mbytesで使いたいなら,Ver.3.xxを用意する必要があるし,どうしてもVer.2.11で使いたいなら,20Mbytes以下のハードディスクか,20Mbytes以下に容量を分割できるタイプのハードディスクを買う必要がある。
●Ver.2.11では20Mbytesまでしかサポートしていない
 Ver.3.xxでは40Mbytesのサポートとなった.また,ハードディスクを使う上で必要となるbackup/restoreなどのユーティリティも用意された.
(2) メーカー純正か,コンパチ品か
 ハードディスクは、パソコンメーカーが出している純正品の他にもたくさんのメーカーから発売されている.そして,もちろんコンパチ品の方が安い.
 コンパチ品は,信頼性が劣るのではないかと心配する人がいるかもしれないが,私の知るかぎり特に劣ったという話は聞かない.中にはハードディスクを専門に作っているメーカーもあり,そういったメーカーはハードディスクに命をかけているので,純正品よりも品質がよいという噂もある.
(3) パソコンとの接続関係は?
 ハードディスクを実際にパソコンにつなげて使うには,たいていの場合,ハードディスク本体の他にケーブルとインターフェイスボード(以下IFボード)が必要だ(図1).ケーブルは,ほとんどの場合,本体を購入すると付属してくるが,PC-9801では,メーカー純正のハードディスクを使おうとすると,別売のIFボードを用意しなくてはならない(ただし,ハードディスク内蔵型を除く).
 その点,コンパチ品の場合はIFボードも付属品として含まれていることが多い.これらは,IFボードをハードディスクメーカーが独自に開発し,純正品にない機能を持たせた製品に多い.だが,IFボードから出ている信号は,そのメーカーのハードディスク本体にしか通用しないことがあるので,メーカーの違うIFボードとハードディスクは,接続できない場合もある.
 それに対して,パソコンメーカー指定のIFボードから出る信号に完全に準拠した,フルコンパチのものはハードディスク本体だけで売られていることが多い
 なお,PC-98LTに接続できるハードディスクはまだないようだ.
もう読んでいて懐かしさがこみ上げ来た。MS-DOSの容量縛り、分割フォーマットとか使いにくかったが、それが当たり前だと思っていた。だから、Windows95以降になってもHDDは分割して使っていた。それに、この記事の時代PC-9801VM4のHDDがよく飛んだ(データが失われた)。FDDでバックアップしていたのだが、今度は途中でFDのエラーで泣いた。だから、昔は2重にバックアップした。たとえば、10枚目のFDでエラーが発生したらもう一つの10枚目を挿入してデータを復旧した。HDDのデータは失われるものだということを体で覚えたので大容量HDDになると自分のデータは自分のFDで保存するようになった。その後、雑誌の記事でプロの絵描き、物書きがHDDのデータがデータが飛んだとかで泣いている記事を見て「ケガをしなければ痛みは分からないものだな」と思った。データをバックアップしておきなさいというアドバイスを聞かない人が多かった。同僚の名言で「大切なデータはHDDに保存しない。大切なデータはパソコンで扱わない」があった。確かに、印刷した紙を保存していたので最終的には紙ベースなのかなと。デジタルデータはウォータマークをはじめとした原本保証ができるもにすべきだと今でも考えている。
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(4) ハードディスクを増設する場合
 まず1台目のハードディスクが増設可能なものであることが第一条件である.
 PC-9801の場合,最初からパソコン本体にハードディスクを内蔵している機種や,すでに,純正のハードディスクを持っていて,2台目を追加する時は,純正品かフルコンパチのハードディスク(エプソンのHDD-20E)を購入する必要がある.しかし,電話で問い合わせたところ,ほとんどのメーカーの増設用ハードディスクは純正のハードディスクに接続できるようだ.IFボードは1台目のハードディスクを接続する時に買ったものが共用できる(ハードディスク内蔵タイプはIFボードも内蔵)ので,新たに買う必要はない.
 さて、1台目がハードディスクメーカー独自のIFボードを使ったものの場合は,メーカーごとに事情が異なっている.たとえば,工プソンのHDD-20Sの場合は,1台目2台目に関係なく,同じものを買ってきて、付属のIFボードをそれぞれ拡張スロットに差し込む必要がある.
 また,私の使っているロジテックLHD-320Nなど多くの場合では,メーカーごとに増設用の型番の違ったハードディスクが用意されている.2台目のハードディスクにはIFボードはいらないが,だからといってその分だけ安いかというと,決してそんなことはないようだ.おまけに,2台目はあまり注文がないから,入手するまでに時間がかかったりする.
 また,2台目に他社製品も接続できるのかとか,20Mbytesのハードディスクを2台連結して使った場合,40Mbytesの1ドライブとしても使用できるかどうかなども気になるところだ。
 このあたりのことは、私が買いに行った時も秋葉原のショップの店員に聞いてみたのだが,さっぱり要領を得なかった.自分でメーカーに電話をかけて聞くのが一番早そうだ.なお,増設関係の情報は,わかった範囲で表2に加えておいた.
(5) 3.5インチか5インチか?
 ハードディスクには,外からこそ見えないが,内部のディスクの直径が3.5インチのものと5インチのものがある.5インチのものは大きく重く,3.5インチの方が小さく軽い.どちらが信頼性が高いかは、5インチの方がやや優勢だ面積あたりの記録密度が3.5インチよりも低いので,クラッシュした時などのデータの損失も少なくなる.だが,現実にはそれほど気にするほどの差とは思えない.価格は3.5インチタイプの方がやや安いし,市場でも主流となりつつある.
(6) その他の機能
 停電などで電源がいきなり切れた時に,きちんとディスクを保護する機能のあるもの,対衝撃性の強いもの,保証温度の幅の広いものなど,信頼性を向上させる機能や性能がカタログに書かれることがあるが,実際には何も書いていなくてもきちんと考慮してある製品もある.実際の信頼性は,価格が同じならそれほど変わることはないとみてよいだろう.
 また,カセットストリーマへの接続コネクタを持つものや,8インチフロッピーディスクなんかと一体化されたもの,ディスクがカセット式に交換できるものなど,ハードディスクの基本機能に別の機能を付加した製品もある.これらを選ぶのは,はっきりとその機能に対する要求がある場合に限られると思う.
●カセットストリーマ
 ハードディスクの内容を,まるごと磁気テープにコピーする装置,主にバックアップに用いる。
この記事の何年か後、ストリーマが職場に導入されたが、そのときにはHDDのデータが失われたことがなかった。なかったときにはあれば良かったと思い。あれば使うことがなく無くてもよかったと思う。皮肉なことだ。
ハードディスクを買ってきたら
 ハードディスクを選択する上で,知っておきたいことは,だいたい以上である.自分のコンピュータの使い方やプランと照らし合わせて,最小コストで最大効果が得られる買いものをして欲しい.もっとも安いTH-20K(テックパーツ)は,PC-9801の片方の5インチドライブを外して,代わりに接続するもので,ちょっとした改造がともなう.フロッピーディスクも一台減ってしまうが,基本機能だけ満たせばいいという人には十分だろう.また,13万(実価格)ぐらいの予算でハードディスクからIFボードまで揃えるとしたら,ロジテックやキャラベルあたりが普通の選択になるかな?なお,マヤ電気やソフマップなどの激安店では製品選択の幅に限りがあるが,私が行った時には両店ともロジテックとエプソンの製品を扱っていた.
 さて,来月はハードディスクの正しいフォーマットの方法と,各種の設定上の注意点についてである.待ち切れずに買ってしまった人は、頑張って取扱説明書をたよりに使いはじめて欲しい.その際,ぜひとも注意して欲しいのは,回転中のハードディスクにショックを与えないことと,電源を切るとき,必ずSTOPキーを1回押してから切ること,それから電源を入れるときは,パソコン本体に連動させるか,電源が別々の場合はハードディスクの方を先に入れること,の3点である.
今ではもう存在しない注意点だ。34年前はHDDを導入するには知識が必要だった。だから、友人のアドバイスとかが必要だったし、こうしたコンピュータ雑誌の記事が必要だった。



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バイオコンピュータ 月刊(ASCII 1988年1月号9) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

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ASCIIのTBNにはこういった先端研究の解説記事があるので面白かった。先端過ぎて実用化されていないものもあったが、アイデアを知ることが有用だった。こんなことを考え付き実験する研究者に憧れがあった。
バイオコンピュータって何?
○シリコン-フォンノイマンの限界
 コンピュータの第一号機と呼ばれるENIACは1946年,約1万8000本の真空管によって作られました。以来コンピュータの性能はめざましい進歩をとげましたが,その仕組み自体の進歩は真空管がLSIに変わり,プログラムが配線とスイッチによる機構化方式から内蔵方式に変わっただけです.つまりフォンノイマン方式(逐次通算方式)という原則はまったく変わらないまま発展し続けてきました.
 シリコンの加工技術は西暦2000年を過ぎる頃には理論的限界に達して,これ以上集積度を上げるとLSIの中のトランジスタが動作しないところまでいってしまいます.またフォンノイマン方式にしても、画像処理やAIという複雑かつ大量のデータを扱う問題に関して,一つ一つの命令を順次実行していたのでは,いくら速いコンピュータを作っても処理しきれなくなってきていて,そのためにフォンノイマン方式の限界-フォンノイマンボトルネックという言葉さえ使われ始めています.つまりこのシリコン-フォンノイマン構造を持つ現行型のコンピュータには、そろそろ行き詰まりが見えて来ているのです.
 そこで現在,この限界を破るためにさまざまな研究が行われています.3進法,4進法で計算を行う多値素子,積層構造にすることで超高密度集積を実現する3次元回路素子,異なる材料を使った複合半導体の物性を利用する超格子素子,複数の演算を同時に行う並列コンピュータ,光素子を使う光コンピュータなどなど.そしてその中でも,生物の持つ高度な情報処理能力をコンピュータに応用しようというのがバイオコンピュータです.
1988年には2000年で理論的限界だと考えられていたのか。こうして2022年を生きていてどんな限界があったのか、素人には気がつかなかった。過去のこのような記事を読むと自分が未来人になったような気持ちになって面白い。
○バイオコンピュータ出現
 バイオコンピュータ,バイオエレクトロニクスという言葉が研究者の間で使われ始めたのは,1980年代に入ってからでした。その研究の歴史は大変に浅く,また明確なバイオコンピュータの定義もまだありません今後どんなバイオコンピュータが出て来るのか分かりませんが,現在のところ大きく分けて以下の3通りのものが考えられてます.
 (1) 生体材料によって構成されているコンピュータ(バイオマテリアル-コンピュータ)
 (2) 生物の持つ情報処理機構をアーキテクチヤに取り入れたコンピュータ(バイオミメテイック-コンピュータ)
 (3) (1)と(2)の両方を満たすコンピュータ
 バイオコンピュータというと,生体材料のイメージを持ちがちですが,シリコンで出来たこのようなコンピュータでもバイオコンピユータの仲間として研究が進められています.
 まずは,生体材料で作られたバイオチップについて考えてみましょう.
研究が浅かったということはその後の成果について知らないが、社会に影響を及ぼしていない点からこの研究自体が浅かったということでは。すぐに底に達したということか。
○バイオチップ実現へ向けて
 バイオチップの開発には,現在では2つのアプローチが考えられています。一つは生体材料,たとえばタンパク質などで素子を作ろうというものそしてもう一つは生物としての特徴,つまり自己増殖,自己組織などの機能を持たせようというものです.
 バイオエレクトロニクス分野のベンチャー企業である米ジェントロニクス社社長のJ.H.マッカレア博士は最近,タンパク質を利用した分子スイッチと分子素子の構造を提案して世界的な注目を集めました。彼の行ったこれらの提案が,多くの研究者にバイオコンピュータが実現できることを信じさせたと言っても過言ではないでしょう。彼の提案した分子スイッチは、ポルフィリンとポリエン構造を持つ化合物をタンパク質基盤の上に規則正し<配置したものです(図1).その動作原理はポルフィリンを基盤であるタンパク質膜に配列させると,制御電極の信号にエネルギーが孤立波(ソリトン)として集中し,その波がポリエン部を伝わってポルフィリンに達すると,ポルフィリン面の角度が変わって電子が流れスイッチが作用するというものです.
 次にマッカレア博士が提案したのは,「モルトン(Moleton)」と名付けられたバイオチップの構造でした.モルトンはモノクローナル抗体,酵素,ペプチドインターフェイスおよび分子スイッチなどから構成されるデバイスで,生物のように自己増殖,自己複製し,回路設計まで自ら行ってしまう素子とされています。一つの素子の大きさは約100Å(オングストローム,1Å=10-8cm)と高度に集積化できるため、実現すれば単位容積あたりの記憶容量は現在の10億倍ぐらいになると予想されています.しかしモルトンはこのような自己組織化,高密度,熱発生がないという長所の反面,演算速度が遅い(ミリ秒程度のスイミッチング速度),熱や放射線,微生物に弱いという欠点も持っています。
 マッカレア博士は1983年に日本を訪れた際,1985年の筑波科学博にはアイデアを具体化したバイオチップの見本を展示すると語っていましたが,残念ながら実現しませんでした.モルトンの具体化にはタンパク質へのポルフィリン化合物の規則的な導入,配列,配線などまだ技術的に多くの未解決な部分が残されていて,現在では彼の提案は概念としてのバイオチップであり,そのままのアイデアでは実現の可能性は薄いと言われているようです.
 さて他にも多くの研究所でバイオチップの研究が行われていますが,東京工業大学の軽部征夫教授は,味の素と共同で光を当てると水素イオンを移動させる働きをするバクテリオロドプシンという色素タンパク質を用いて,光を電気信号に変える素子の研究を行っています(図2).この素子に光が当たるとバクテリオロドプシンが水素イオンをISFET側に取り込み(プロトポンプ),ISFETの水素イオン濃度が上がることで50ミリボルト程度の電圧変化が得られます。その動作時間は数秒から数分で,約12時間の間安定動作したということです.こうして作られた光によるバイオスイッチもまだまだ動作時間の遅さ,安定動作する時間の短さなどの点で実用化には程遠いものですが,研究段階としては確実に一歩踏み出した素子と言えるでしょう.
おや、この記事を読み進めるとなんだか雲行きが怪しくなってきた。これは、バイオコンピュータってできるかもしれない程度の話ではないか?
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○これから開発される技術
 バイオチップをシリコンチップの次にくるべきデバイスと考えた時,要求される加工技術のレベルはシリコン加工技術の限界を越えた,Åのレベルであることは間違いないことです.そのためには半導体結晶技術だけではなく原子や分子レベルの超微粒子,固体表面の物理,化学の研究は避けて通れません.
 たとえば直径50Åの金の表面を調べると,まるで生きているアメーバのようにたえず変化し,結晶の表面を金の原子が動き回っているのが観察されます.この現象の理論的解明が原子レベルで可能になれば,分子の動作機構を利用した分子素子などのバイオチップの基礎となる超先端技術に対する足がかりとなるはずです.分子素子の研究は始まったばかりで大部分は理論的にしか語られておらず,素子の動作が実証されているものは少ないのですが,バイオチップの理論的基礎として重要な位置を占めています.
 バイオチップのための加工技術は最終的には遺伝子工学により操作されたバクテリアがバイオチップを組み立ててゆくことになるのでしょうが,それはまだ夢の段階です.
 バイオチップ開発の問題点は加工技術だけでなく,バイオチップを動作させるためにどんなエネルギーをどうやって供給するのかも解決されていません.今のところ化学エネルギーのATP(高エネルギーリン酸結合)や電気エネルギーを利用する方法が考えられています.しかし,それらにしてもそのエネルギーを供給するためにはバイオチップとATP生産用チップや分子発電機を同一基盤上に集積化しなければならないという難問が待ち受けているのです。
 ここまで見てきたように,バイオマテリアルコンピュータの実現はまだまだ先の話のようです.そこで次は,より早い実用化が望めそうな,生物の情報処理,脳のアーキテクチヤから研究が行われているバイオミメティックコンピュータを見てみましょう.
夢の話が多くなってきた。バイオコンピュータへの印象がSFになってきた。
○生物の情報処理の研究
 現在のコンピュータは,アルゴリズムさえ分かっている問題なら人間の何千倍という速さで解いてしまいます。ところがパターン認識や連想記憶では,まだまだ生物の敵ではありません。たとえば絵の中の木を見分けたり,手書きの文字を読んだりするという人間にとっては簡単な事柄も,コンピュータにとっては相当な難問題です.これはなぜかというと,「パターン認識の問題は,簡潔には定義できない」からなのです。現在のコンピュータに木を認識させようとするならば,すべての木に通ずる定義と,考えられるすべての木の変形を定義しなければなりません.これをアルゴリズムで表現するのは大変な作業でしょう.
 このようなパターン認識に代表される問題は「ランダム問題」と呼ばれる分野に属しています。生物の脳はこのランダム問題を解くために都合のいいように出来ているのです.そこでエレクトロニクスメーカー各社は、なんとかこの生物の能力を応用できないものかと躍起になって生物の研究を進めています.
 三菱電機中央研究所ではアメフラシの神経をコンピュータに応用しようと研究を進めています.アメフラシは神経細胞が大きくて観察しやすいこと,神経細胞の数が数万個と多すぎず少なすぎず,しかも「えら引込み反射」という学習機能を持ち,神経系の情報処理を研究するのに好都合です.
 日本電気ではC.エレガンスという線虫を対象にして神経系のアルゴリズムやアーキテクチャの研究を行っていますが,いまのところ一つの神経細胞の持つ機能がスーパーミニコン並なのか,PC-9801程度なのか,それさえも分からない状態なのだそうです.
 富士通も線虫やウニの卵の発生を研究して,エレクトロニクスへの応用を試みています.
ああそうか。今のAIの成功はシリコンの微細化が高度に進んだため、脳のパターン認識をシミュレートできるほどになったということか。有機材料を用いなくても脳の働きをシミュレートできるようになったんだ。この当時はコンピュータのシリコンによる記憶容量がM単位だったのが、今はGを超えTにまで達しているから、すなわち100万倍の能力を持つコンピュータならできるがこの当時は100万倍はできるかどうか分からず、できたとしてもそれを運用する技術、ソフトができるかどうか分からなかったのだろう。
○人間の脳からコンピュータを作る
 人間の脳には,約140億個の細胞があります.そのうち約4億~10億個が神経細胞で、残りは栄養などを神経細胞に補給する役目を持つているグリア細胞と呼ばれています。
 神経細胞は脳に入ってきた情報を処理する活動器官で,核となる神経細胞体とそれから出る短い樹状突起,そして長い軸索からできています.また軸索の先はそれぞれ別の神経細胞に接しています(図3).軸索と神経細胞の接触部はシナプスと言い、一つの神経細胞に数百から千個以上も存在しています.
 神経細胞内の情報伝達には毎秒数十メートルから百メートル程度の速さで伝わる電気信号のインパルスが使われていますが,軸索の先端のシナプス部ではインパルスが来ると神経伝達物質と呼ばれる化学物質を放出するようになっています.そこに接している樹状突起には受容器があって,その神経伝達物質を電気信号に変える仕組みを持っています.
 神経細胞は樹状突起からインパルスをいくつも受け取り,その合計の強さがある閾値を越えると自ら興奮してインパルスを発し,軸索を通して次の神経細胞に神経伝達物質を放出して信号を伝えるという働きを持っています.つまり、脳の中での情報のやりとりは神経細胞間の「すべてが無か」言いかえれば「1かりか」というデジタル信号のやりとりによって行われています.神経細胞はコンピュータのトランジスタに対応させることができ,また脳はデジタルコンピュータに対応すると考えることができるのです.
 神経細胞のロジックは1943年にアメリカのW.マッカローとW.ピッツによって最初のモデル化が行われ,その後カイアニエローによって改良されて前に説明したような実際の神経細胞のロジックに近づいてゆきました.
 現在,この神経細胞のモデルをアーキテクチャに取り入れたコンピュータが開発段階に入って話題を集めています.アメリカでは数社がこのタイプのコンピュータの開発に名乗りを上げているほどです.そのコンピュータの名前はニューラルネット(神経細胞)コンピュータ(他にもニューロコンピュータあるいは単にニューラルコンピュータとも呼ばれ,統一された名前はないようです).1987年6月20~24日の5日間,カリフォルニア州サンディエゴではニューラルネットに関する初の国際会議ICNN(IEEE First Annual International Conference on Neural Network)も開催されました.
 脳のロジックの構造をモデルとして設計されたニューラルネットコンピュータは,脳と同様に膨大な数の単純なユニットが複雑に接続された構造をしています。各ユニットの構造は,他のユニットから入力を受け取る部分,入力を一定の規則で変換する部分,結果を出力する部分の3つからなります(図4).他のユニットとの接合部には結合の強さを表すためにそれぞれの重みが与えられていて,伝達される信号の強さは各ユニットの出力と重みの積の値となります.
 各ユニットには,神経細胞と同じように入カの値を合計してゆき,それが一定の値を越えると他のユニットに出力を行うような関数が設定されています.学習可能なニューラルネットワークではこの重みを変えることによって学習や記憶を行っています。すなわち二ューラルネットワークの記憶は素子に依存するのではなく、多くのユニットの結合の中に分散して格納されているのです.そのためあるユニットがエラーを起こした場合でもデータには致命傷を負わせずにすみ,たいがいは結果に影響を与えるまでには至らないわけです.同様に,入力されたデータが不完全な時でもそれを復元して処理できるという優れた構造を持っています。
 ニューラルネットと一口に言ってもその構造や種類は一様ではなく,大きく2種類のタイプに分けることができます(図5).
 パターン連想型は入力パターンを出力パターンに変換するネットワークです。各ユニットは入力層,中間層,出力層に階層化され,結合は前向きにのみ接続,各層内のユニット同士は接続しません。入力ユニットと出力ユニットは独立しています.論理演算のAND,OR,NOTなどを作ることも可能です.
 自動連想型は複数のパターンをネットワークに格納し,入力パターンに最も近いパターンを出力する一種の連想メモリです.たとえば100人の顔を記憶させて,ノイズを含んだある人の顔を入力した時,その人の顔をもとどおりに正しく再現して出力するといった能力があります.
記事のような機能はコンピュータの能力が100万倍以上になると実現できたのだが、繰り返すが1988年当時このまま技術が進歩しても実現できるとは思えなかったのか。
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○バックプロパゲーション
 バックプロパゲーション・アルゴリズムは,1986年にカリフォルニア大学のD. Rumelhartらによって発表されたパターン連想型の学習可能なニューラルネットを学習させるための優れたアルゴリズムで,しかも大変簡単です.まずネットワークに入力を与え,それによる出力を調べ,間違っていれば正しい出力をネットワークに教えます.するとネットワークは正しい出力をするように内部の重みを変えます.これを何度も繰り返してゆくだけです.やがてどんな入力に対しても正しい出力ができるような重みの構造ができた時に学習は終了します.
 ニューラルネットに記憶させられるデータ数には限界があって,N個のユニットの場合N/20~N/4個ビットのデータが適当なデータ記憶量だと報告されています.
 ニューラルネットコンピュータとバックプロパゲーション・アルゴリズムの組み合わせは音声認識,信号処理などに応用され,成果をあげています.
 米のジョンズ・ホプキンス大学ではニューラルネットコンピュータを用いてソナー音の識別システムを開発しました.これはポーンというソナーの反射音を入力し,対象が岩か金属かを識別するシステムです。約2年の訓練を受けた3人の人間のオペレータの認識率は88~93%,ニューラルネットコンピュータは学習時に使ったデータでは99%識別に成功,未学習のデータでも93%識別に成功しました。
 英国のケンブリッジ大学では,英語の母音を認識するニューラルネットコンピュータを開発しています.VAXstationの上に3層のニューラルネットを作成し,バックプロパゲーション・アルゴリズムで2~3時間学習させた結果,6人の話者の11種の田音を99%識別できるようになったそうです.
 一方AT&Tのベル研究所では米国の50州の名前を音声入力で認識できるニューラルネットコンピュータを提案しました.出力層には50の州に対応する50の出力ユニットがあり,Washingtonの入力にはWashingtonユニットの,Newmexicoの入力にはNewmexicoユニットの反応がみられ,また入力が完全に正しくな  このように活気を帯びてきたニューラルネットワークには各種のエミュレータ装置が開発されています.米TRW社はVAX上で動作するニューラルネットのソフトウェアシミュレータMarkI,IIを開発した後,8100個のユニットと21ビットの重みつきで41万7700の接続を持つニューラルネットワークのエミュレータ装置MarkIIIを,1986年4月に5万3000ドルで発売しました.IBMのPalo alto Research Centerでは,連想ネットワークのエミュレータとして動作する拡張ボーードを開発しました(商品化はまだ未定).
 またニューラルネットをLSI上に実現しようという動きもあります.LSIは学習,検証のすんだ完全なモデルを組み込んで実用化するのが適していますが,今はニューロンに似た回路をLSIでどの程度まで実現できるのかを試している段階で,AT&Tベル研究所,ジエット推進研究所,カリフォルニア工科大学などで研究が行われています.b  またカリフォルニア工科大学ではホログラムを利用したニューラルネットの実験が行われています.ホログラムは大量の情報蓄積能力を持ち,接続は光線で行われるため電気的な干渉なしにあらゆる複雑な接続も可能となるので,将来ニューラルネットワークを構築するハードウェアとして期待されています.
ここにきて記事が現実的になってきた。AIはバイオコンピュータでなくても1988年当時の技術の延長線上で実現できた。
○ニューラルネットワークで何ができる
 ニューラルネットコンピュータが何に使え,また既存のフォンノイマン型コンピュータよりどのくらい優れているかは,今のところ判断できません。解ける問題の範囲を数学的に示した研究もまだなく,現在は可能性を追求している段階です.しかしニューラルネットワークはランダム問題を解くコンピュータを作る最良の方法だということは間違いないでしょう。5年後,10年後にフォンノイマン型コンピュータと同じようにニューラルネットコンピュータが私達の机の上に乗り,リアルタイムで音声認識や画像処理をしてくれる可能性は少なくないのではないでしょうか.
そうではない。この予想は外れていた。
○すでに夢物語ではなく
 この原稿を書いている最中に,日本電気が世界で初めて0.2μの線幅のLSIの生産に成功という記事が新聞に載っていました.0.2μという数字は,約10年前にはトランジスタ構造を保てる最小の大きさとされていた理論値0.24μを下回っています.コンピュータの高性能化のために,各メーカー,研究所はまさにしのぎを削っているのだと痛感しました.
 しかし,バイオコンピュータの実現はその力をもってしても遠く険しく、バイオマテリアルコンピュータが今世紀中に成功する可能性は低いとする見方もあります.
 すぐにも実用化できそうな勢いのバイオミメティックコンピュータにしても,当分はフオンノイマン型コンピュータの性能を補うオプションのような形で組み込まれることになりそうで,それ自身独立したシステムとなるにはまだ少し時間がかかりそうです.
 しかしバイオコンピュータは決して夢物語ではなく,いつか必ず開発されるもののリストに名を連ねたことは確かでしょう. (新野)
線幅0.24μが理論的限界だったのか。今では数nmまでに来ている。理論的限界は、前提条件としている理論の限界ということで、前提条件としている理論が変われば限界も変わるということか。
 古い雑誌をスクラップすると未来人になった気分が味わえて楽しい。






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PC-8801MA,X1turboZ II,PCEngine他(月刊ASCII 1988年1月号8) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号の最新機種の解説はProduct Showcase で行われた。8bit機他をスクラップする。
まずPC-8801MAとは記事の初めの部分をスクラップすると
使いやすい日本語処理機能と強力なサウンド機能PC-8801MA
 日電のPC-8801MAは,これまでのMHに,辞書ROMとサウンドボードII相当の音源,それに増設RAMを搭載し,価格を下げたものと考えられる.同時に発売されたPC-8801FAは,FHにサウンドボードIIを載せたものと考えて差し支えないだろう.
なのだそうだ。
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その評価はというと最後の部分をスクラップすると
 ただひとつ残念なのは,ADPCM音源を使うことができない点である.この機能をインスタントミュージックの音源として使うことができれば,たいへん面白い.たとえば,実際の楽器の音や自分の声などをサンプリングして使えば,楽器なら生に近い音色で,声なら音程を変えてコーラスをさせることも可能になるのである.ハードウェアの機能はあるのだから,ぜひソフトウェア側でサポートしていただきたいものである.
あらら残念マシンだった。

X1 turbo Z IIの評価をスクラップする。
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 従来機種とのコンパチビリティを保つため、ハードウェアの基本的な部分はそのままで,ソフトウェアを機能強化することによって、総合的なポテンシャルを引き上げる姿勢には,好感が持てる.入門用言語として最も一般的なBASICを機能強化した点も評価できる.
 本体とディスプレイテレビだけで,各種の高度な機能を扱うことができるX1 turbo Z IIは,テレビやビデオをはじめとする各種のAV機器と,パソコンを接続して遊びたいユーザーには,適したマシンといえるのではないだろうか.
ASCIIはシャープ製品に冷たいと思っていたが、これはなかなかの高評価ではなかろうか。

ゲーム機だけどPCEngineの評価もあった。
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 PCEngineは,これまでの家庭向けビデオゲーム機に比べて,グラフィックスとサウンドの質が向上している点は,高く評価できる.ただ,標準システムでは,家庭用TVのRF入力を使用するため,両方の機能を十分生かしているとは言い難い.せっかく拡張バスに信号が出ているのだから,アナログRGBやステレオサウンド出力に対応するためのアダプタを用意してもいいのではないだろうか.
 ゲームの方も,PCEngineでなければできない,といったものは少ない.
 このような状況にあるPCEngineが,これからどうなっていくのか,非常に興味深い.
辛口の評価だが、PCEngineは結構売れたのではなかろうか。ハドソンと組んでCD-ROM2で成功したという記憶がある。

最後にはアスキーが発売した親指シフトのキーボード「親指君」7万8000円の記事があった。
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親指シフトのファンは結構いた。だからワープロから離れられなかった人がいた。富士通のパソコンを買えばいいのにと思うがそうはならなかった。PC-9801で使える親指シフトのキーボードは需要があったのだろう。でも7万8000円は高くないか。

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J-3100SL,PC-98LT他(月刊ASCII 1988年1月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号の最新機種の解説はProduct Showcase で行われた。
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まずはJ-3100SLとPC-98LT。
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J-3100SLのHDDなしモデルの価格は29万8000円だった。34年前のパソコンはかなり高かった。

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液晶もキーボードもPC-98LTよりはよっぽど良い。

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J-3100SLでは一太郎が動くし、レジューム機能もあった。
その使い勝手は?
 まず,ラップトップマシンとしてのJ3100SLについて評価してみよう.
 使い勝手の点で,従来機と比べて評価できる点は、電源オフ時の状態を保持し,次回の電源オンと同時に作業を再開できる「Resume」機能だ。これは,電源オフの間もメモリをバックアップし,電源オフ時のCPUの状態を保存しておくことで実現されている.このため,電源スイッチを切ってから画面が消えるまで,若干のタイムラグがある.
 この機能は,日本語DOSに添付される“SETUP"コマンドで設定することができ,通常のマシンのように,電源オン時にフロッピー,ハードディスクからブートすることもできる.
 「Resume」機能を使うと,電源オン時にMS-DOS,アプリケーションを読み込む時間がなくなるので,すぐ作業にはいることができ,起動時にフロッピードライブやハードディスクのアクセスがなく消費電力の面からも有効だ.
一度レジューム機能を使うと、レジュームがないノートパソコンは使えない体になった。私は、レジューム機能がないパソコンを見下していた嫌な奴だった。

続いてPC-98LT
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スペックでは CPUが V50(8MHz)が特徴か。J-3100SLが8086(10MHz)でこれは同等なのか。重量は価格ではPC-98LTに軍配が上がる。

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PC-98LTでは一太郎は動かずサスケを使うしかない。このPC-9801互換機でないことがいまいちだった。

コラム記事にはPC-286Lの解説があった。
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セイコーエプソンPC-286L
ペーパーホワイト液晶を採用した98互換ラップトップ
 87年4月にPC-286(model0)が発売された当初から噂されていた,PC-9801シリーズ互換マシンのラップトップ版が登場した。
 日電のPC-98LTが,グラフィック,およびキーボード,外部インターフェイスなどで,PC-9801シリーズと異なる仕様となっているのに対して,PC-286Lでは,最大限デスクトップのUVシリーズとの互換を目指したという。
 PC-286Lは、フロッピー2台のみのSTSD-N,およびSTD-S,フロッピー1台とハードディスクを装備したH10-Nの3機種からなっている。
 まず,目を引くのは、STD-N,およびH10-Nで採用されたNTN型ペーパーホワイト液晶ディスプレイだろう.
 この液晶は、コントラスト比で従来のSTN型液晶の一挙に倍以上の15~20とし,視野角を縦で+35~-20°と飛躍的に向上させており,CRTに迫る視認性を実現している.
 もっとも,階調表現はなく,文字などがつぶれて見えない場合にそなえて、キーボード右上部のカバー内にスイッチがあり,これでRGB各プレーンの表示をカットしたり,白黒を反転させるなど必要に応じて調整できるようになっている。
 また,この液晶ユニットは、取り外しが可能で、アナログRGBディスプレイを接続してカラー表示を行うことも可能だ。
 外部インターフェイスとしては、このCRTのほかに,RS-232C,マウス,プリンタ,テンキーボードがあり,PC-286L専用の拡張スロット2つが用意される.
 拡張スロット用には、モデムボード,電池バックアップ付きの1.5MbytesRAMボードなどが発売される予定.また,拡張ボックスを介してPC-9801シリーズ用の拡張ボードを使用することもできる.
 詳細なレポートは、実機の到着を待ってお届けしたいと思うが,6kgを超える重量などから見て,本来のラップトップというよりも、省スペース,可搬型のポータブルマシンというべきだろう。
互換機の方が本家マシンよりスペックが上で価格も安いのは当然で、そうでなければ誰が買うかというところだ。日電の新製品で何が腹が立つかというとちょびちょち変えて新製品をだしたところだった。1段階上げて製品を出すのではなく小数点以下で性能を上げて新製品を出して3回位新製品を出してやっと1段階上がったかという感じだった。ライバルがいなかったのでこうしたこすい商売ができた。互換機というライバルが出てやっと本気を出してくる会社で私はイメージが悪かった。PC-9801VX2を買って泣いたからかもしれないが二度と日電のパソコンなんか買うもんかとひねくれていた。まあ、PC-9801VM2を買っていればこんなことはなかったかもしれない。



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Core Wars(月刊ASCII 1988年1月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

CoreWarsの記事
「第1回コア戦争トーナメント」をスクラップする。
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対戦模様の写真をスクラップする。
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優勝したECALLの解説が詳しい。
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 ECALLの名前(Enemy-CALL)は,このプログラムの動きをそのまま表現しているといえる.
 作者であるCatFace氏自身によれば,ECALLは,次のようなプログラムであるという
 まず,ECALLは,基本的にあまり攻撃的なプログラムではなく,また増殖も一切行わない.
 具体的には,(“SPL 0"爆弾ではなく)"JMP-8"爆弾を8番地間隔で投下していく.つまり,この爆弾が,相手の本体に命中するか,相手がこの爆弾の落ちた後を実行すると,そのプロセスは8番地前に分岐しながらメモリを遡っていくこことになる.
 うまくいけば,敵のこのプロセスは,ECALL本体までたどりつき,ECALL本体の後部に設けられたプールに蓄積される.そして,相手のプロセス(最大64個)がすべて集まったところでプールを破壊してしまうわけである.
 ただ,これだけではMICEなどに対して勝てるとは限らない.相手のプロセスが,“JMP-8"爆弾の攻撃間隔である8wordの間でループしているケースがあるからだ。
 そこで,ECALLでは,プール内に蓄えられた敵のプロセスを利用する!
 相手のプロセスをプールしておくだけなら,プールは、単純な無限ループで十分であるが,これでは,せっかく集まっているパワーがもったいない.この捕虜となった敵プロセスにもこちらの戦略の手伝いをしてもらおうというわけである.実際には,これらのプロセスは,“SPL 0"爆弾を絞殺爆撃しているのだ.
 このように,相手のプロセスも攻撃に利用しているため,ECALL自身はプロセスを増やさない.そのため、非常に効率良く,“JMP-8"爆弾の投下を行うことができる.
 CatFace氏によれば,こうしたECALLの基本的なアイディアは,ASCII-NET(PCS)の中で,誰かが「敵プロセスをどこかにまとめておき,それを破壊するというようなプログラムは出来ないだろうか」と書いてあったものを,彼流に考え,プログラムしてみたものであるという.
 ECALLのゲームでは,ほぼこのシナリオどおりの動きを画面で見ることができる.ECALLの“JMP-8"爆弾が画面の上から下へ向かって整然と投下されると,次に色の異なる相手のプロセスが,今度は下から上へ次々とこの上を伝わってプールに飛び込んでいく…(写真1).増殖しないタイプのコア戦士であれば,プールの入口にある"spl"命令によってあっという間に64個に増やされ,そのままやられてしまうのだ。


ECALLのアルゴリズム
 ECALLのプロセスが実行するのは、下に示した、プログラムの最初の4行のみである。
Main  MOV  Mis,@P
  ADD  #8,P
  MOV  MisM,MT
  JMP  Main
 この部分で、8番地おきに"JIMP-8"を書き込んでいく。ここでは,高速化のために、自分自身を書き換えないようにするためのチェックは一切していない。そのかわり,適当な位置に"DAT"命令を置いて、書き換えられる部分もちょうど"JMP-8"になるように工夫されている.ただ一カ所,"JMP-3になっている部分は、3行目で書き直して書き換えられるのを防いでいる。
 それでは、ECALLの残りの部分は何のためにあるのだろうか?実はこの部分は,敵のプロセスが実行するのである.
 相手のプロセスが,ECALLの落とした“JMP-8"爆弾をそれと知らずに実行してしまうと、次々に8番地前の“JMP-8"をたどってメモリを遡り,最終的にこのECALLの後半部分へ飛び込むようになっているのだ。
 この部分は、さらに大きく2つの部分に分けられる。最初の部分は,“JMP-8"爆弾をたどってきた相手プロセスが最初に飛び込む「入口」であり,次のようになっている.
ADD  SPL  0
  DJN  Pool,COUNT
  JMP  CLOSE
 プールに蓄積される敵プロセスは,必ず2行目の“DJN”命令を実行するため、64個目のプロセスが飛び込んで来たときには3行目の“JMP"命令が実行され,プールが破壊される。ちょっと考えると,これで十分敵を倒せるように思えるしかし、敵が“JMP-8"爆弾の隙間でループしているような場合には、これでは不十分である。
 そのような相手を確実に倒すには、繊殺爆撃を行うしかないのだが、自分でSPLして,“JMP-8"爆弾の投下と絨緞爆撃を同時に行うようにすると,それぞれのプロセスの実行速度が落ちてしまうという欠点がある。 この問題に対するECALLの解答は、「プールに蓄積した相手のプロセスに絨緞爆撃を行わせる」というものである。
 次に,プールの本体は,下に示したようになっている。
Pool  MOV  ADD,@C
  CMP  #30,C
  DJN  Pool,C
  MOV  #-30,C
  JMP  CH
 この部分で、相手のプロセスを利用して、“SPL0"爆弾を連続的に書き込んでいくのだ。
 ここで,「“DAT"命令を書き込んだ方が敵を確実に殺せて良いのではないか?」と考える人もおられるだろう。しかし,こうすると,もし敵の健全なプロセスがまだ生き残っていた場合,それがMICEの様な自己増殖型のプログラムであれば,一カ所で敵を殺すとSPLが可能になってしまうので,相手を復活させてしまうことにもなりかねない。プールに相手のプロセスがすべて集まるまでは殺さない,というECALLの戦略は妥当なものと考えられる。
 もちろん,ECALLにも弱点はある。例えば,相手が1プロセスで,しかも8word以下の部分でループしているような場合には,ECALLの戦略はまったく効果がない。また、相手をとらえる前にこちらが破壊されてしまう危険もある.実際,今回のトーナメント中の対戦でも、何回か繰り返してみると,実力を発揮する前にやられてしまうこともあるようだ。この辺りが今後の課題だろう.


PAR6のプログラムリスト
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PICKのプログラムリスト
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過去のスクラップ記事は
Core Wars(月刊ASCII 1987年7月号12)

Core Wars(月刊ASCII 1987年9月号6

Core Wars システムとアセンブラ(月刊ASCII 1987年9月号7

1対1の対戦ではなく、三国志のように3つのプログラムが戦うゲームはどうだろう。他の2つを滅ぼすようなプログラムができるのだろうか。漁夫の利を狙うプログラムができるのだろうか。4つ以上のプログラムで戦国時代のようなゲームをしてみたい。

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教育用BTRON(月刊ASCII 1988年1月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「CAI最前線」
「教育用コンピュータの試作仕様が決まる」の記事をスクラップする。
「OSはBTRONがベース」とのことだった。
ASCII1988(01)c01教育用TRON_W520.jpg

教育用のコンピュータが実際どうだったか何も覚えていない。スクラップしていき教育用のBTRONがどうだったか追ってみる。現時点での予想はポシャッタだが。
まずはじめの部分。
(財)コンピュータ教育センター(理事長・宮島龍興日本教育工学振興会会長)は,68年度に実施される文部省の学習指導要領の改定を前に、小・中・高校で使う教育用コンピュータの標準化作業を進めている.同センターに参加しているメーカー12社は,63年2月末までに試作機を作り、細部の統一を図って,64年度からの一部導入に間に合わせる計画だ。本稿では,このほど明らかになった教育用コンピュータの試作仕様の骨子を解説する.
はあ?昭和64年度に一部導入?そうだったか?心底記憶にないぞ。

教育用コンピュータの本格的な開発がスタート
 61年7月12日に通産省と文部省が共同所管となり,都道府県教育長協議会,松下電器産業,東芝,日本電気,アスキーなどが官民一体で設立した「(財)コンピュータ教育センター」(CEC:Center for Educational Computing)は,このほど,小・中・高校で使う教育用パーソナルコンピュータの試作仕様を取りまとめた.
 CECに参加している松下電器産業,日本電気,東芝などハードメーカー12社*1は,63年2月末までにこの試作仕様に基づいたマシンを作り,63年度中に仕様の統一を図る.そして,統一仕様に基づいたシステムは,64年度から一部のモデル校に導入され,67年度から小学校に,68年度から中学校の技術家庭科に,そして69年度には普通高校の技術家庭科にそれぞれ導入される予定だ.文部省の学習指導要領の改定が実施される68年度には,全国1万の中学校に統一仕様のマシンが,最低でも各々1教室分(約40台)導入され,本格的なコンピュータ教育が開始されることになる.
 これまで,民間レベルで進められてきたCAI*2(Computer Assisted Instruction:コンピュータ支援による教育)の研究・開発は、いよいよ国家主導型の認知事業になる。現在は100億円程度といわれているCAI市場が、3年後の65年には3000億円市場になると予測されている。
*1ハードメーカー12社:CECに参加しているハードメーカーは,沖電気工業,三洋電機,シャープ,ソニー,東芝,日本IBM,日本電気,日本ユニバック情報システム,日立製作所,富士通,松下電器産業,三菱電機の12社.
*2CAI: コンピュータ支援による教育全般を指す言葉,数学や英語,理科などの一般教科の中でコンピュータを副教材として使ったり,コンピュータサイエンス自体を教えるために主教材としてコンピュータを利用する場合などをCAIという。
なんだこれは、教育を名目にしてコンピュータ市場を拡大しようとしていると公言している。大体協議会にアスキーまで参加しているとは。子供たちの教育を建前に儲けようとしているのがプンプンとしている。本当に官民共同でやる事業は納税者の目から見ると税金をかすめ取ろうとしているように見える。

CECコンセプト・モデル'87
 今回の試作仕様「CECコンセプト・モデル'87」は、ハードメーカーを中心にしたCECのシステム技術専門委員会(委員長・塚本栄一)が審議・検討した結果を取りまとめたもの.基本的な骨子は,ハードウェア部分が13項目,システムソフトウェア(オペレーティングシステム)部分が6項目から構成されている(試作仕様は表を参照).
 CPUは80286を採用,メインメモリは512Kbytes以上を装備する.キーボードは,新JIS配列をベースに教育用に一部のファンクションキーを追加・変更している(図1を参照).フロッピーディスクは、児童の使用を前提にして3.5インチに決めた.日本語の表示は,正確な漢字表示ができるように24×24ドット以上としたが,小学校で使う教科書体は32×32ドット以上でなければ実現できないため,今回は教科書体を仕様に含んでいない.オペレーティングシステムには,マルチウィンドウ・マルチタスク機能,グラフィックス機能を持たせている.日本語処理は,文章と図形の混在が可能であることを条件に入れた.
 また,ローカルエリアネットワークの上位プロトコルや,プリンタのコントロールコード,アナログRGBディスプレイのピン配列・信号仕様などは、最終的な合意が得られなかったために,今後の検討課題として残った.課題については,63年度中に仕様統一する予定になっている.
フォントのことだが、できないなら時期尚早だということで待ちゃあ良かったんだ。80286というCPUでなんとかしようとしている点で間違えている。本当に8086系CPUは諸悪の根源だったと未だに恨んでいる。35年前にしなければ間に合わなかったなんてことはなかった。これは、その後の歴史をみると明らかだ。実際コンピュータ教育は成功してないだろう。本当に無駄金を使いやがって。
 ああ、そういえば職場にフォントにこだわる人がいて外部に提出する文書を和文タイプライターで清書している人がいてワープロを使っていなかったが、教科書体がサポートされたワープロが出たとき、和文タイプから移行した。明朝体が気に入らなかった人だった。

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試作仕様の特徴は“共同提案仕様”=BTRON
 試作仕様の大きな特徴は,設計に必要な最低限のガイドラインとインターフェイス部分だけを提示して、細部のスペックについては,ハードメーカーの裁量にまかせている点だ。例えば,システフトウェア項目中の入出力のシスール,フロッピーディスク記録フォーマットやファイルフォーマット,ディレイ制御コード,グラフィックスのシステムコールなどの項目が,“共同提案仕様”という不明瞭なかたちで提示されている.
 これは,システム技術専門委員会に参加したハードメーカー11社(独自路線の日本電気については後述)が,CECの試作公募を受けて,共同提案した仕様を指している.共同提案の内容は,東京大学の坂村健助教授が提唱した「BTRON」*3仕様に基づいたもの.この“共同提案仕様”を実現する試作機は,画面表示やフアイル構造などが,BTRONの実身/仮身モデルに基づいた非連続の構造体として画面表示・操作されることになる(図2を参照).しかし,現在のBTRON仕様は,ハードメーカーによって微妙な違いがあるため,同様の機能を実現していても内部処理は異なるといった可能性が出てくることも考えられる.
 また,オペレーティングシステム自体を特定していないため,MS-DOSやUNIX上でBTRONのエミュレーションをすることも可能だ.CECは、オペレーティングシステムを特定しない代わりに、BTRONのグラフィックス機能やファイルフォーマット,ファイル構造などを仕様に盛り込んだことになる.しかし,MS-DOSやUNIX上でBTRONのエミュレーションを行うとすると,16bitマシンでは実用的な処理速度の実現が困難になることも予想されるため、実質的にはBTRONがベースになっているといえる.
 一方のBTRON自体は,本来,32bitのTRONチップがなければ高速処理が望めない.このため,CECでは,“80286+BTRONベースのシステム”で実用に耐えられるかどうか,試作機の完成を待って検討を加えることになりそうだ.
*3BTRON:BTRONは,“ピュアBTRON”と“μBTRON”に分けられる.μBTRONは,80286など既存のCPUをプロセッサとして使用するが,ピュアBTRONは,日立と富士通が共同開発している32bitのTRONチップを使用する.ピュアBTRONの実身/仮身モデルが多段の階層構造を持っているのに対して,μBTRONは一重の実身/仮身モデルを採用している.これは,既存の16bitCPUを使用するBTRONのメモリ容量が小さいということに起因する.だから,教育用コンピュータで採用されるBTRONは、正確にはμBTRON.

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ああ、まだ正しい判断をする余地は残っていた。「CECでは,“80286+BTRONベースのシステム”で実用に耐えられるかどうか,試作機の完成を待って検討を加える」とあるが、PC-9801VX2を使っていた経験でいうけど無理ですから。PC-9801VXではturbo Pascalとturbo Cを使っていたが、重宝したのはインラインアセンブラだった。コンパイラでも必要なスピードはでなかった。

なぜBTRONになったのか?
 MS-DOSが共同提案されなかった背景には,日本語入力の中核になるカナ漢字変換システムやプリンタの制御エスケープシーケンス*4などを,MS-DOSが仕様の中に含んでいないといった技術的な問題がある.各メーカー,製品によって異なる部分は,仕様の統一にとって足かせになるからだ。
 その点,BTRONは,日本語を表現できる2bytesコードを採用している上に,カナ漢字変換システムや日本語ワープロ機能などを標準装備している.さらに,教育用コンピュータが32biCPUに移行した時点で,MS-DOSがどのように変化しているか予測が困難だ,という点も考慮対象になっている.
 こうした問題点とは別に,松下電器や東芝などのTRONプロジェクト参加メーカーが,日本電気の独走態勢を切り崩すためにBTRONベースを共同提案にした,と見る向きもある.
 ハードメーカー12社中,唯一,MS-DOSベースを提案していた日本電気は「具体的な製品がないBTRONは不安材料が多い」(水野常務)として,当初から“共同提案仕様”に強い難色を示していた.しかし,最終的には、MS-DOSとBTRONの両オペレーティングシステムをスイッチャーで切り換えられる“マルチOS”仕様を固め,MS-DOSを搭載したまま“共同提案仕様”に歩調を合わせることで合意した.
 CECは,今回の試作仕様について,「あくまで暫定的なもの.試作の過程や試作機完成の時点で,修正される可能性は否定しない」(堀池喜一郎CEC研究開発室室長)と,含みを持たせている.また,「今後,新しい提案があれば委員会で検討したうえ,追加することもある」(同氏)と,“既存オペレーティングシステム+α"が,今後,浮上する可能性があることも否定していない。
*4プリンタの制御エスケープシーケンス:教育用コンピュータの試作仕様では、日電のエスケープシーケンスが標準案として盛り込まれている.BTRONは,もともと沖電気のシーケンスが標準規格になっているため、試作仕様がBTRONベースとはいっても,それは画面関係やシステムコールなど限定された部分だけを指す.CECでは,インターフェイスを規定しただけでオペレーティングシステムについては何も特定していない、『教育用コンピュータはBTRONに決定』という一部報道は、正確ではない.
うん?「あくまで暫定的なもの」か。となるとASCIIの記事は若干勇み足的な感じがする。まあアスキーが参加しているためこういった援護射撃的な記事が必要だったのだろう。教育現場を自社の製品販路にしたいという企業の戦略が見て取れる。こうして教育を上ける側が犠牲になってきた。文部省によりモルモットとか実験材料にされてきたのだ。

教育用コンピュータに必要な3つの互換性
 CECが試作仕様でもっとも重視した点は,(1) ソフトウェアの互換性,(2) 周辺装置を接続する際の互換性,(3) 操作の互換性――という3つの互換性確保だ.
 BTRONベースとはいっても,仕様はインターフェイスの規定がほとんど、「CECで決めようとしているのはオペレーティングシステムとアプリケーション,周辺装置などとのインターフェイス部分だけ」(堀池喜一郎CEC研究室室長).だから,基本的には日電の“マルチOS”仕様でも,互換性さえ確保していればよいということになる.
 こうした互換性の確保に関連して,CECでは,オーサリングソフトとアプリケーション間のインターフェイス部分である学習実行システム(エグゼキュータ)の設計も,62年度中に完了させる計画だ.オーサリングソフトは,ハードメーカーやソフトメーカーによって仕様や機能が異なるため,それを使って作成したアプリケーションは互換性を確保できない.そこで,各社のオーサリングソフト間のギャップを埋めるエグゼキュータを規定して,アプリケーションの操作互換を実現しようというわけだ(詳細は図3を参照).


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こんなコンピュータを使って一体生徒に何を学習させようとしたのか。そして、社会にどのような寄与したのか。その後の日本をみると役に立っていないことは明らかだ。だいたい、パソコンを学校で教えなくてはならない社会とはどのようなものを想定していたのか。だだ使うのなら未就学児の子供だって遊びで覚える。興味がある子供は習わなくても自分でプログラムが作れるようになる。
ああ、思い出した。小学生のころBASICでアセンブラを作っていた子がいた。そういう子はきちんと国公立大学に進学していた。文部省が手を出す必要はない。生徒の邪魔をしないことが肝要。つまりは、何もするなということ。文部省がやったことで子供たちが幸せになった事業があったか。今の子供たちは昔より幸せか。俺たちの方が幸せだったと思う。その後の子供たちをみると可哀そうだと思う。

今後のスケジュールOSの1本化調整が焦点
 試作仕様は,11社による“共同提案仕様”と日電の“マルチOS仕様”との調整作業が長引いたため,当初の予定より1カ月以上も遅れている.本来なら,63年1月末に各メーカーの試作機が完成するはずだったが,結局は2月末まで延びてしまった.CECでは、「スケジュールは厳しいが,試作機が完成すればあとは早い」(同氏)と判断しているが,実質的な調整期間は1年もない.
 CECでは、3月初旬から,試作機の互換性を中心にモニタテストを行ったあと,細部の調整作業に入ることにしている.それと並行して,63年度中に未決定部分の仕様を統一し,64年度から中学のモデル校に試験導入する予定だ.“共同提案仕様”と“マルチOS仕様"の1本化作業は,試験機が完成してから本格的な調整に入ることにしている.そして、決定的な判断はモデル校に導入する64年度以降に持ち越される気配が濃厚だ.どちらの仕様に落ち着くかは予測できないが,“両方式共存”路線が現在のところもっとも有力だ.
 しかし,「BTRONベースとはいっても,結局,現場ではMS-DOSベースで使うことになって,“共同提案仕様”は有名無実化するかもしれない」(CEC関係者)という危惧が早くも出ているのは事実,今後の焦点は、オペレーティングシステムの実質的な主導権をどちらが握るのか,という一点に絞られたかたちだ.
なるほど。これはダメだわ。結局MS-DOSパソコンを教室に置いて終わりだわ。だいたい、先生より生徒の方がコンピュータに詳しいと思うぞ。子供たちのおもちゃになって終わりそう。まあ、それなら無駄にはならない。おもちゃでもましだ。最悪は、電源を入れずに埃まみれになることだ。

以下コラム記事をスクラップする。

試作仕様が固まるまでの経緯
 今回の試作仕様は、1987年7月30日に,CECが開いた試作公募の説明会「CECコンセプト'87」の際に提示した性能要件がベースになっている.その内容は、(1) CPUは16bit,(2) メインメモリは512Kbytes~1Mbytes,(3) FDDは容量IMbytes,(4) ディスプレイの日本語表示文字数は40文字×20行,(5) グラフィックスの表示能力は640×400ドット以上――などの基本スペックが中心.試作希望メーカー12社は、この内容を受けてワーキンググループを結成,仕様の詳細を煮詰めてきた。
 話合いの中で日電を除く11社が,BTRONベースを主張したのに対し,日電は,MS-DOSベースを強硬に主張してきた.しかし、大勢がBTRONベースに傾いた時点で,MS-DOSにBTRON機能を付加した“アウターOS案”や,MS-DOS上でBTRONをエミュレーションする方式などを提案した。そして、通産省や文部省,CECと意見調整を図った結果,“マルチOS仕様”というかたちで,BTRONを採用することになった。
TRONが成功してほしいと思ったが、教育を利用しての動きは本当に官民とも金儲けに教育を食い物にしていたのだなとスクラップして確認した。


コラム記事をスクラップする。

なぜ技術家庭科に導入されるのか?
文部省は、教育用コンピュータの本格導入に際して,技術家庭科に「情報基礎」単元を設けることにしている.学習指導要領の改定は、15年ごとに実施される教育界の一大事業,68年度から実施される学習指導要領は、その後15年間継承されるため,ここで教育用コンピュータの位置付けを明確にしておかないと,さらに15年間待たなければならない、パーソナルコンピュータがまだ誕生していなかった前回の改定時には、こうした悩みもなかった。
教育用コンピュータと一口にいっても,数学や英語,理科などの補助教材として使う場合と,コンピュータ自体を教えるコンピュータリテラシー(コンピュータ教育)の教材として使う場合とでは、学習指導要領での扱いがまったく違う.基本的には,両方の目的を満たす方向で指導要領を策定することにしているが,まず,教師や子供へのコンピュータの普及・啓蒙を考慮して、当初は技術家庭科に導入する。普通教科への導入は、教師に対するコンピュータ教育やオーサリングシステムの開発状況をにらみながら徐々に行う方針.
中学校の技術家庭科は,「木工」や「金工」,「情報基礎」など11領域から構成されるが、生徒が選択できるのは7領域.「情報基礎」を選択すると,年35時間のコンピュータ教育を受けられることになる.
親がパソコンを買ってない家庭の子供たちにパソコンを触らせることが目的なら機種はなんでもいいではないか。それこそMSX2でもいい。MSX2だってパソコン通信できたし、チャットもできた。十分ではないか。80286でBTRONなんて無理筋だろう。

コラム記事をスクラップする。

CECが試作した一斉授業用の教材表示ツール
 62年5月にCECは、教室用の教材表示ツール*5を試作,発表した。これは、教師が現在使っている黒板やOHP,スライドなどに代わるプレゼンテーションツールシステム、ハードウェアの構成は,(1) 16bitマシン,(2) CD-ROMドライブ,(3) ビデオディスクプレーヤ,(4) ビデオテープレコーダ,(5) ビデオフロッピーレコーダ,(6) 各種機器の接続用コントローラ,(7) 37インチディスプレイ,(8) 透明タブレット――などからなる(図4を参照).
 教師は,各種AV機器のデータを統合的に扱いながら授業を進められる.この試作モデルは、本格的な導入を考えていない。
*5教材表示ツール:CECが,発足以来の成果を何らかの形にまとめようという目的で製作したシステム.16bitマシン本体はPC-9800,37インチの大型ティスフレイは三菱電機製.試作システムは600万円程度もするため,各教室に1システムを導入するには,価格を10分の1以下にしなけれはならない.

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納税者から見ると。自分の納めた税金がこのように無駄遣いされてきたのかとスクラップして改めて腹立たしい気持ちになる。


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ワープロその他(月刊ASCII 1988年1月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS からワープロその他の記事をスクラップする。

ASCII1988(01)b03_シャープワープロ_W520.jpg
シャープがカラー画像を取り込めるミニ書院など日本語ワープロ4機種を発売
WD-220Fが7万9800円(月産2万台)
WD-270FとWD-520が12万9800円(月産3万台)
WD-650が22万8000円(月産5000万台)
結構な台数を売っていたんだ。

ASCII1988(01)b03_東芝ワープロ_W520.jpg
東芝が12インチCRT付きの低価格日本語ワープロを発売
Rupo JW100Eが15万8000円

ASCII1988(01)b10_リコーワープロ_W503.jpg
リコー、20万円切る高機能ワープロ発売
リポート2100が19万8000円

ASCII1988(01)b12_エプソンワープロ_W502.jpg
エプソン、32bit CPU内蔵のワープロを発売
ワードバンクXRで21万8000円

ASCII1988(01)b06_クリエイト大阪中国語ワープロ_W505.jpg
クリエイト大阪が中国語ワープロに2製品を追加
これはどこに売ったのだろうか。N88-BASCI対応?日本人が中国と商売するときに使ったのか?

ASCII1988(01)b10_韓国語翻訳_W504.jpg
韓国語への自動翻訳システムが開発
日本語を韓国語に変換するのだそうだ。
35年前は中国、韓国との交流が本格化していたのか。

ASCII1988(01)b09_マイクロニクスPC-TRON_W520.jpg
マイクロニクスがPC-TRONの機能を拡張
PC-9801のMS-DOSで動作する?いっちどんなものだったのか。

ASCII1988(01)b10_コナミボクシングゲーム_W503.jpg
コナミ、ファミコンでボクシングゲームを発売
エキサイティングボクシングでエアバックが付いているという本格的?なものだが、記憶にない。
35年前から体を動かすゲームソフトがあったのか。

ASCII1988(01)_日本エーエムLPB_W520.jpg
日本エーエムが米社製PostScript対応LBPを発売
日本エーエムという会社知らなかった。で価格はとみるとVT600が375万円!なんじゃこれは。

ASCII1988(01)b03_日電新聞製作システム_W520.jpg
日電が新聞製作システムを発売
NEPROS1000で価格は4億円。3年間で20システムの販売を見込むとのこと。気になるのは非ノイマン型コンピュータNEDIPSを採用という点。全く知らない。

ASCII1988(01)b10_アクトロン半導体ディスク_W501.jpg
アクトロンが高速半導体ディスクを発売
アクトロンという会社も知らない。
半導体ディスクとは今でいうSDメモリのようなものか。
5Mbytesで29万8000円
20Mbytesで83万8000円。
私が最近買ったSDDのcrucial CT1000MX500SSD1/JP が10,728円(2021.12.09購入)だったので容量が5万倍になって価格が 78分の1になったということか。

ASCII1988(01)b13_立石電機MNPモデム_W520.jpg
立石電機がMNPを採用した2400bpsモデムを発売
MNP(Microcom Networking Protocol)が懐かしい。35年前は2400bpsでも高速だと思っていた。
MD2400Aが5万9800円
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