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教育用BTRON(月刊ASCII 1988年1月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「CAI最前線」
「教育用コンピュータの試作仕様が決まる」の記事をスクラップする。
「OSはBTRONがベース」とのことだった。
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教育用のコンピュータが実際どうだったか何も覚えていない。スクラップしていき教育用のBTRONがどうだったか追ってみる。現時点での予想はポシャッタだが。
まずはじめの部分。
(財)コンピュータ教育センター(理事長・宮島龍興日本教育工学振興会会長)は,68年度に実施される文部省の学習指導要領の改定を前に、小・中・高校で使う教育用コンピュータの標準化作業を進めている.同センターに参加しているメーカー12社は,63年2月末までに試作機を作り、細部の統一を図って,64年度からの一部導入に間に合わせる計画だ。本稿では,このほど明らかになった教育用コンピュータの試作仕様の骨子を解説する.
はあ?昭和64年度に一部導入?そうだったか?心底記憶にないぞ。

教育用コンピュータの本格的な開発がスタート
 61年7月12日に通産省と文部省が共同所管となり,都道府県教育長協議会,松下電器産業,東芝,日本電気,アスキーなどが官民一体で設立した「(財)コンピュータ教育センター」(CEC:Center for Educational Computing)は,このほど,小・中・高校で使う教育用パーソナルコンピュータの試作仕様を取りまとめた.
 CECに参加している松下電器産業,日本電気,東芝などハードメーカー12社*1は,63年2月末までにこの試作仕様に基づいたマシンを作り,63年度中に仕様の統一を図る.そして,統一仕様に基づいたシステムは,64年度から一部のモデル校に導入され,67年度から小学校に,68年度から中学校の技術家庭科に,そして69年度には普通高校の技術家庭科にそれぞれ導入される予定だ.文部省の学習指導要領の改定が実施される68年度には,全国1万の中学校に統一仕様のマシンが,最低でも各々1教室分(約40台)導入され,本格的なコンピュータ教育が開始されることになる.
 これまで,民間レベルで進められてきたCAI*2(Computer Assisted Instruction:コンピュータ支援による教育)の研究・開発は、いよいよ国家主導型の認知事業になる。現在は100億円程度といわれているCAI市場が、3年後の65年には3000億円市場になると予測されている。
*1ハードメーカー12社:CECに参加しているハードメーカーは,沖電気工業,三洋電機,シャープ,ソニー,東芝,日本IBM,日本電気,日本ユニバック情報システム,日立製作所,富士通,松下電器産業,三菱電機の12社.
*2CAI: コンピュータ支援による教育全般を指す言葉,数学や英語,理科などの一般教科の中でコンピュータを副教材として使ったり,コンピュータサイエンス自体を教えるために主教材としてコンピュータを利用する場合などをCAIという。
なんだこれは、教育を名目にしてコンピュータ市場を拡大しようとしていると公言している。大体協議会にアスキーまで参加しているとは。子供たちの教育を建前に儲けようとしているのがプンプンとしている。本当に官民共同でやる事業は納税者の目から見ると税金をかすめ取ろうとしているように見える。

CECコンセプト・モデル'87
 今回の試作仕様「CECコンセプト・モデル'87」は、ハードメーカーを中心にしたCECのシステム技術専門委員会(委員長・塚本栄一)が審議・検討した結果を取りまとめたもの.基本的な骨子は,ハードウェア部分が13項目,システムソフトウェア(オペレーティングシステム)部分が6項目から構成されている(試作仕様は表を参照).
 CPUは80286を採用,メインメモリは512Kbytes以上を装備する.キーボードは,新JIS配列をベースに教育用に一部のファンクションキーを追加・変更している(図1を参照).フロッピーディスクは、児童の使用を前提にして3.5インチに決めた.日本語の表示は,正確な漢字表示ができるように24×24ドット以上としたが,小学校で使う教科書体は32×32ドット以上でなければ実現できないため,今回は教科書体を仕様に含んでいない.オペレーティングシステムには,マルチウィンドウ・マルチタスク機能,グラフィックス機能を持たせている.日本語処理は,文章と図形の混在が可能であることを条件に入れた.
 また,ローカルエリアネットワークの上位プロトコルや,プリンタのコントロールコード,アナログRGBディスプレイのピン配列・信号仕様などは、最終的な合意が得られなかったために,今後の検討課題として残った.課題については,63年度中に仕様統一する予定になっている.
フォントのことだが、できないなら時期尚早だということで待ちゃあ良かったんだ。80286というCPUでなんとかしようとしている点で間違えている。本当に8086系CPUは諸悪の根源だったと未だに恨んでいる。35年前にしなければ間に合わなかったなんてことはなかった。これは、その後の歴史をみると明らかだ。実際コンピュータ教育は成功してないだろう。本当に無駄金を使いやがって。
 ああ、そういえば職場にフォントにこだわる人がいて外部に提出する文書を和文タイプライターで清書している人がいてワープロを使っていなかったが、教科書体がサポートされたワープロが出たとき、和文タイプから移行した。明朝体が気に入らなかった人だった。

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試作仕様の特徴は“共同提案仕様”=BTRON
 試作仕様の大きな特徴は,設計に必要な最低限のガイドラインとインターフェイス部分だけを提示して、細部のスペックについては,ハードメーカーの裁量にまかせている点だ。例えば,システフトウェア項目中の入出力のシスール,フロッピーディスク記録フォーマットやファイルフォーマット,ディレイ制御コード,グラフィックスのシステムコールなどの項目が,“共同提案仕様”という不明瞭なかたちで提示されている.
 これは,システム技術専門委員会に参加したハードメーカー11社(独自路線の日本電気については後述)が,CECの試作公募を受けて,共同提案した仕様を指している.共同提案の内容は,東京大学の坂村健助教授が提唱した「BTRON」*3仕様に基づいたもの.この“共同提案仕様”を実現する試作機は,画面表示やフアイル構造などが,BTRONの実身/仮身モデルに基づいた非連続の構造体として画面表示・操作されることになる(図2を参照).しかし,現在のBTRON仕様は,ハードメーカーによって微妙な違いがあるため,同様の機能を実現していても内部処理は異なるといった可能性が出てくることも考えられる.
 また,オペレーティングシステム自体を特定していないため,MS-DOSやUNIX上でBTRONのエミュレーションをすることも可能だ.CECは、オペレーティングシステムを特定しない代わりに、BTRONのグラフィックス機能やファイルフォーマット,ファイル構造などを仕様に盛り込んだことになる.しかし,MS-DOSやUNIX上でBTRONのエミュレーションを行うとすると,16bitマシンでは実用的な処理速度の実現が困難になることも予想されるため、実質的にはBTRONがベースになっているといえる.
 一方のBTRON自体は,本来,32bitのTRONチップがなければ高速処理が望めない.このため,CECでは,“80286+BTRONベースのシステム”で実用に耐えられるかどうか,試作機の完成を待って検討を加えることになりそうだ.
*3BTRON:BTRONは,“ピュアBTRON”と“μBTRON”に分けられる.μBTRONは,80286など既存のCPUをプロセッサとして使用するが,ピュアBTRONは,日立と富士通が共同開発している32bitのTRONチップを使用する.ピュアBTRONの実身/仮身モデルが多段の階層構造を持っているのに対して,μBTRONは一重の実身/仮身モデルを採用している.これは,既存の16bitCPUを使用するBTRONのメモリ容量が小さいということに起因する.だから,教育用コンピュータで採用されるBTRONは、正確にはμBTRON.

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ああ、まだ正しい判断をする余地は残っていた。「CECでは,“80286+BTRONベースのシステム”で実用に耐えられるかどうか,試作機の完成を待って検討を加える」とあるが、PC-9801VX2を使っていた経験でいうけど無理ですから。PC-9801VXではturbo Pascalとturbo Cを使っていたが、重宝したのはインラインアセンブラだった。コンパイラでも必要なスピードはでなかった。

なぜBTRONになったのか?
 MS-DOSが共同提案されなかった背景には,日本語入力の中核になるカナ漢字変換システムやプリンタの制御エスケープシーケンス*4などを,MS-DOSが仕様の中に含んでいないといった技術的な問題がある.各メーカー,製品によって異なる部分は,仕様の統一にとって足かせになるからだ。
 その点,BTRONは,日本語を表現できる2bytesコードを採用している上に,カナ漢字変換システムや日本語ワープロ機能などを標準装備している.さらに,教育用コンピュータが32biCPUに移行した時点で,MS-DOSがどのように変化しているか予測が困難だ,という点も考慮対象になっている.
 こうした問題点とは別に,松下電器や東芝などのTRONプロジェクト参加メーカーが,日本電気の独走態勢を切り崩すためにBTRONベースを共同提案にした,と見る向きもある.
 ハードメーカー12社中,唯一,MS-DOSベースを提案していた日本電気は「具体的な製品がないBTRONは不安材料が多い」(水野常務)として,当初から“共同提案仕様”に強い難色を示していた.しかし,最終的には、MS-DOSとBTRONの両オペレーティングシステムをスイッチャーで切り換えられる“マルチOS”仕様を固め,MS-DOSを搭載したまま“共同提案仕様”に歩調を合わせることで合意した.
 CECは,今回の試作仕様について,「あくまで暫定的なもの.試作の過程や試作機完成の時点で,修正される可能性は否定しない」(堀池喜一郎CEC研究開発室室長)と,含みを持たせている.また,「今後,新しい提案があれば委員会で検討したうえ,追加することもある」(同氏)と,“既存オペレーティングシステム+α"が,今後,浮上する可能性があることも否定していない。
*4プリンタの制御エスケープシーケンス:教育用コンピュータの試作仕様では、日電のエスケープシーケンスが標準案として盛り込まれている.BTRONは,もともと沖電気のシーケンスが標準規格になっているため、試作仕様がBTRONベースとはいっても,それは画面関係やシステムコールなど限定された部分だけを指す.CECでは,インターフェイスを規定しただけでオペレーティングシステムについては何も特定していない、『教育用コンピュータはBTRONに決定』という一部報道は、正確ではない.
うん?「あくまで暫定的なもの」か。となるとASCIIの記事は若干勇み足的な感じがする。まあアスキーが参加しているためこういった援護射撃的な記事が必要だったのだろう。教育現場を自社の製品販路にしたいという企業の戦略が見て取れる。こうして教育を上ける側が犠牲になってきた。文部省によりモルモットとか実験材料にされてきたのだ。

教育用コンピュータに必要な3つの互換性
 CECが試作仕様でもっとも重視した点は,(1) ソフトウェアの互換性,(2) 周辺装置を接続する際の互換性,(3) 操作の互換性――という3つの互換性確保だ.
 BTRONベースとはいっても,仕様はインターフェイスの規定がほとんど、「CECで決めようとしているのはオペレーティングシステムとアプリケーション,周辺装置などとのインターフェイス部分だけ」(堀池喜一郎CEC研究室室長).だから,基本的には日電の“マルチOS”仕様でも,互換性さえ確保していればよいということになる.
 こうした互換性の確保に関連して,CECでは,オーサリングソフトとアプリケーション間のインターフェイス部分である学習実行システム(エグゼキュータ)の設計も,62年度中に完了させる計画だ.オーサリングソフトは,ハードメーカーやソフトメーカーによって仕様や機能が異なるため,それを使って作成したアプリケーションは互換性を確保できない.そこで,各社のオーサリングソフト間のギャップを埋めるエグゼキュータを規定して,アプリケーションの操作互換を実現しようというわけだ(詳細は図3を参照).


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こんなコンピュータを使って一体生徒に何を学習させようとしたのか。そして、社会にどのような寄与したのか。その後の日本をみると役に立っていないことは明らかだ。だいたい、パソコンを学校で教えなくてはならない社会とはどのようなものを想定していたのか。だだ使うのなら未就学児の子供だって遊びで覚える。興味がある子供は習わなくても自分でプログラムが作れるようになる。
ああ、思い出した。小学生のころBASICでアセンブラを作っていた子がいた。そういう子はきちんと国公立大学に進学していた。文部省が手を出す必要はない。生徒の邪魔をしないことが肝要。つまりは、何もするなということ。文部省がやったことで子供たちが幸せになった事業があったか。今の子供たちは昔より幸せか。俺たちの方が幸せだったと思う。その後の子供たちをみると可哀そうだと思う。

今後のスケジュールOSの1本化調整が焦点
 試作仕様は,11社による“共同提案仕様”と日電の“マルチOS仕様”との調整作業が長引いたため,当初の予定より1カ月以上も遅れている.本来なら,63年1月末に各メーカーの試作機が完成するはずだったが,結局は2月末まで延びてしまった.CECでは、「スケジュールは厳しいが,試作機が完成すればあとは早い」(同氏)と判断しているが,実質的な調整期間は1年もない.
 CECでは、3月初旬から,試作機の互換性を中心にモニタテストを行ったあと,細部の調整作業に入ることにしている.それと並行して,63年度中に未決定部分の仕様を統一し,64年度から中学のモデル校に試験導入する予定だ.“共同提案仕様”と“マルチOS仕様"の1本化作業は,試験機が完成してから本格的な調整に入ることにしている.そして、決定的な判断はモデル校に導入する64年度以降に持ち越される気配が濃厚だ.どちらの仕様に落ち着くかは予測できないが,“両方式共存”路線が現在のところもっとも有力だ.
 しかし,「BTRONベースとはいっても,結局,現場ではMS-DOSベースで使うことになって,“共同提案仕様”は有名無実化するかもしれない」(CEC関係者)という危惧が早くも出ているのは事実,今後の焦点は、オペレーティングシステムの実質的な主導権をどちらが握るのか,という一点に絞られたかたちだ.
なるほど。これはダメだわ。結局MS-DOSパソコンを教室に置いて終わりだわ。だいたい、先生より生徒の方がコンピュータに詳しいと思うぞ。子供たちのおもちゃになって終わりそう。まあ、それなら無駄にはならない。おもちゃでもましだ。最悪は、電源を入れずに埃まみれになることだ。

以下コラム記事をスクラップする。

試作仕様が固まるまでの経緯
 今回の試作仕様は、1987年7月30日に,CECが開いた試作公募の説明会「CECコンセプト'87」の際に提示した性能要件がベースになっている.その内容は、(1) CPUは16bit,(2) メインメモリは512Kbytes~1Mbytes,(3) FDDは容量IMbytes,(4) ディスプレイの日本語表示文字数は40文字×20行,(5) グラフィックスの表示能力は640×400ドット以上――などの基本スペックが中心.試作希望メーカー12社は、この内容を受けてワーキンググループを結成,仕様の詳細を煮詰めてきた。
 話合いの中で日電を除く11社が,BTRONベースを主張したのに対し,日電は,MS-DOSベースを強硬に主張してきた.しかし、大勢がBTRONベースに傾いた時点で,MS-DOSにBTRON機能を付加した“アウターOS案”や,MS-DOS上でBTRONをエミュレーションする方式などを提案した。そして、通産省や文部省,CECと意見調整を図った結果,“マルチOS仕様”というかたちで,BTRONを採用することになった。
TRONが成功してほしいと思ったが、教育を利用しての動きは本当に官民とも金儲けに教育を食い物にしていたのだなとスクラップして確認した。


コラム記事をスクラップする。

なぜ技術家庭科に導入されるのか?
文部省は、教育用コンピュータの本格導入に際して,技術家庭科に「情報基礎」単元を設けることにしている.学習指導要領の改定は、15年ごとに実施される教育界の一大事業,68年度から実施される学習指導要領は、その後15年間継承されるため,ここで教育用コンピュータの位置付けを明確にしておかないと,さらに15年間待たなければならない、パーソナルコンピュータがまだ誕生していなかった前回の改定時には、こうした悩みもなかった。
教育用コンピュータと一口にいっても,数学や英語,理科などの補助教材として使う場合と,コンピュータ自体を教えるコンピュータリテラシー(コンピュータ教育)の教材として使う場合とでは、学習指導要領での扱いがまったく違う.基本的には,両方の目的を満たす方向で指導要領を策定することにしているが,まず,教師や子供へのコンピュータの普及・啓蒙を考慮して、当初は技術家庭科に導入する。普通教科への導入は、教師に対するコンピュータ教育やオーサリングシステムの開発状況をにらみながら徐々に行う方針.
中学校の技術家庭科は,「木工」や「金工」,「情報基礎」など11領域から構成されるが、生徒が選択できるのは7領域.「情報基礎」を選択すると,年35時間のコンピュータ教育を受けられることになる.
親がパソコンを買ってない家庭の子供たちにパソコンを触らせることが目的なら機種はなんでもいいではないか。それこそMSX2でもいい。MSX2だってパソコン通信できたし、チャットもできた。十分ではないか。80286でBTRONなんて無理筋だろう。

コラム記事をスクラップする。

CECが試作した一斉授業用の教材表示ツール
 62年5月にCECは、教室用の教材表示ツール*5を試作,発表した。これは、教師が現在使っている黒板やOHP,スライドなどに代わるプレゼンテーションツールシステム、ハードウェアの構成は,(1) 16bitマシン,(2) CD-ROMドライブ,(3) ビデオディスクプレーヤ,(4) ビデオテープレコーダ,(5) ビデオフロッピーレコーダ,(6) 各種機器の接続用コントローラ,(7) 37インチディスプレイ,(8) 透明タブレット――などからなる(図4を参照).
 教師は,各種AV機器のデータを統合的に扱いながら授業を進められる.この試作モデルは、本格的な導入を考えていない。
*5教材表示ツール:CECが,発足以来の成果を何らかの形にまとめようという目的で製作したシステム.16bitマシン本体はPC-9800,37インチの大型ティスフレイは三菱電機製.試作システムは600万円程度もするため,各教室に1システムを導入するには,価格を10分の1以下にしなけれはならない.

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納税者から見ると。自分の納めた税金がこのように無駄遣いされてきたのかとスクラップして改めて腹立たしい気持ちになる。


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