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ハードディスクはどう選ぶ(月刊ASCII 1988年1月号10) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「勝手にMS-DOS」という連載記事
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ハードディスクが主たる話題だったのでスクラップする。34年前のことを思い出して、「ああ、そうだったよな」と感じることができる。記憶だけでは曖昧になるので、こうして記事をスクラップすることが当時のことを話すときの根拠とすることができる。
コンピュータは速いか?
 私はまず,PC-9801VM2を買った.それからソフトウェアとして,エディタと数種のユーティリティソフトを購入した.
●エディタと数種のユーティリティソフト
 エディタとは、画面上で文字を編集するソフトウェアのこと、ワープロに似てるが,ワープロよりもシンプル.また,私が買ったユーティリティは、MS-DOSのコマンドを拡張するものが2点.この他には,かな漢字変換辞書を揃えただけである。
 これらのソフトは,使いこなしにある程度の知識が必要ではあるものの,実にシンプルで小回りが利き,その価格も全部まとめてワ-プロソフト1本分にも満たないという,恐ろしくコストパフォーマンスの高いソフトなのである.仕事の一部は、マシンを買った初日にコンピュータに受け渡され,単純な手作業は,すぐにコンピュータに置き換えられた.
 だが,決定的な問題があることにも気づいたのである.それは,スピードの問題だった.
 コンピュータは,プログラムを実行するだけならバカみたいに速い.特に本体内部だけで行う計算処理などは,人間の想像も及ばないくらいの速さである.しかし,コンピュータの仕事はプログラムの実行だけで成り立っているわけではないのだ.プログラムが処理するデータはディスクから拾ってこなくてはならないし,そのプログラム自身だってディスクから読み込まなくてはならないのである.つまり,ディスクアクセスのための時間が必要なのだ.
 この時間がめちゃくちゃ遅い.たとえば日本語の文章を書く時は,入力した文章をかな漢字変換するためにディスク内の辞書データにアクセスするが,そのために1秒近くかかる場合がある.そして,その1秒で,それまでリズムに乗ってタイプしていたこちらの気持ちがかき乱されてしまうのである.
 また,こんな場合もある.私が仕事で使うデータは,ほとんどが本1冊分ぐらいの日本語ファイルなのだが,そういった長大なファイルを,カーッチャツ,カーッチャッと息継ぎしながらディスクから読み込まれるのを待ってると,「マシンのくせにのろのろしやがって」とイライラするのだ.
 中途半端な待ち時間というのは,精神によくない.買う前に,そのくらいのことは気がつかなかったかと言われても,こうしたスピードの実感は、いざ使ってみてはじめて気づくものなのである.
プロの物書きならそうだろうし、素人が仕事の文書を作るのも同じ感覚だった。ただし、素人が使うデータは前回使った文書だからそのフロッピーディスクとファイルを探すのに手間取っていた。
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アクセスの速い媒体
 ディスクのアクセスが遅いと感じるのは,フロッピーディスクドライブのアクセススピードが,人間の持つ作業のスピード感より遅いからである.解決策はディスクのアクセススピードを上げればよいのだが,扱う媒体がフロッピーである限り,技術的に何倍もスピードを上げることはむずかしい.
 じゃあ,フロッピーよりもアクセススピードの速い媒体は何かというと,ご存じハードディスクの登場となる.ハードディスクのアクセススピードは、フロッピーの10倍以上で、まさに画期的なスピードアップを図ることができる.また,最近では、ディスクのように機械的な構造を持たず,記憶部品を電子的にアクセスするRAMディスクも普及しはじめた.RAMディスクを使うと,ハードディスクよりもさらに数倍アクセススピードを向上させることができる.
●RAMディスク
 コンピュータ本体のメモリと同じ部品を使って作った,電子的な外部記憶装置,ディスクと名がついていても、回転する機|構や機械部分はなく,ICの並んだボードをマシンの拡張スロットに挿入して使う.
 さて,ここでちょっと考えてみたい.コンピュータの動作のうちで最も時間がかかるのはディスクアクセスであるから,このスピードだけを上げれば,トータルな処理スピードも上がるのだろうか.残念ながら,この解決案は技術面だけしか見ていない、現実のコンピュータの使われ方を考慮すると,アクセススピードをいくら上げても,思ったほど仕事の効率が上がらない場合が出てくるのである.

容量はスピードである
 たとえば,次のような場合だ.PC-9801VM2は,1Mbytesのフロッピーディスクを2枚挿入できるが,もし1枚のディスクに収まらないデータやプログラムを使って仕事をする場合は,どうするのだろうか.結局,頻繁に2枚のディスクの間を行き来して処理を行うことになる.また,そのための環境設定や整合性をとるのにも時間を要するだろう.
●仕事が2枚のディスクに収まらない
 パソコンに日本語を処理させるとなるとかな漢字変換辞書という400Kbytes~600Kbytesの大ファイルが必要になる.これにエディタやその他のツールを加えると,軽く1Mbytesを超してしまい,1枚目のディスクはいっぱいになってしまう.そうすると,2枚目のディスクはデータ専用となるが,これでさらに『Multiplan』などのアプリケーションを使わなくてはならなくなると,もう2枚には収まりきらず,ディスクをとっかえひっかえ使うという,みじめな状況に陥るのだ。
 それでは、仕事が2枚のディスクにも収まらなくなってきたら?考えるだけでも恐ろしいことに,手作業でディスクを入れ換えて仕事を処理しなければならないのだ。1枚のディスクの入れ換え時間は約5秒.この間,コンピュータなら何万回の計算ができるだろうか.
 つまり現実に,仕事のスピードアップの手段としてコンピュータを使うには,アクセススピードの向上に加えて,絶対的な大容量も必要になってくるということなのである.容量が大きくなれば,ディスクの入れ換えなどの無駄な操作がなくなるし,複数のディスク間の整合性を取るために貴重な時間をさかなくても済む,大容量の価値とは,実は容量そのものではなく,トータルな手順を短縮し,結果としてスピードを上げる点にあることがわかるだろう.単にばかでかい容量が欲しければ,1枚200円のフロッピーディスクを何百枚も買ってくればよいではないか.
 話は一般論にまで拡大するが,コンピュータを道具として評価した場合,その価値は,すべてスピードの向上という1点に向かっていることに気づくはずだ。つまり,フィット感とか,信頼性とか,構造などについて百言を費やしても,道具の本質的な価値は“スピード”を計るだけで済んでしまうのである.
●スピードを計るだけで済んでしまう
 これは,道具一般を判断する上で,誰にとっても明確な価値基準と言える.何かの道具(車でも,ノコギリでも,電動工具でも)を買おうかどうか迷ったら,その製品を使ったとき,どれだけ時間が節約できるかを,微にいり細にわたって検討するとよい.そうすれば,その道具がニセモノか本物かよくわかる.
 そう考えると,今のところハードディスクは,アクセススピードと大容量の両方を備えたベストの記録媒体であると言える.RAMディスクも十分魅力的な存在だが,容量あたりの値段を考えると,ハードディスクに1歩を譲ってしまうのだ(表1を参照).
 私の最初のプランでは、ハードディスクの購入は,PC-9801を買ってから半年以内に予定されていた。だが,フロッピーを中心にしたシステムが思いがけず遅いシステムだったので,私は購入を早めることにした.
読み返してみると34年前恐ろしい環境で仕事をしていたものだと感じる。当時よく、「ワープロを使わず手書きでよこせ」と言われたものだ。パソコンにばかり向かって仕事をしているようにはみられなかった。手書き文書を直しに直して清書するためにパソコンを使うものだった。これもすべてパソコンが発展途上で使い物にはならないからであった。さすがにHDDは付けていたからまあそこそこ使えたがデータはFDに置いておいた。私たちは、使い物にならなくともパソコンが好き、キーボードを触っているのが好きだったから冷たい視線を浴びながらでもパソコンを使っていた。
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ハードディスクはいくらするのか?
 最近では,ハードディスクの価格は非常に安くなった.便利な記憶装置なので買う人が増え,量産メリットが生じたからである.今後もまだまだ下がるだろう.私は,ハードディスクの実売価格は近いうちに8万円前後(20Mbytes/65~85msのもの)に落ち着くのではないかと思っている.
 さて,現実に今の価格はいくらくらいだろうか.アスキーの巻末の広告には「ハードディスク激安祭り!」などという通信販売の広告が載っているが,実際に秋葉原に行って店頭でおもいっきり値切った価格と,これらに掲載されている価格はあまり違わないことに私は気がついた。値段にこだわるならば,ハードディスクをどれほど安く買えるかは,ズバリ,通信販売の表示を見れば見当がつくのだ。
 値引きの論理も,パソコンなどとほぼ同様である.新しい製品が出たと言っては,旧タイプの値を下げる.他社の新製品が安いと言っては,自社製品の値を下げるのである.私はロジテックのLHD-320Nを5月に買ったが,その時は定価19万8000円に対して,実際には15万3000円で購入した.だが,昨日秋葉原に行って様子を見ると,なんと12万8000円の値札がさげられていた.最近の新製品が,どれも低い価格設定になっているので,旧タイプのハードディスクも実売価格を下げざるをえないのであろう.
 ただ,ハードディスクの場合ありがたいのは,旧モデルだからといってパソコン本体のように極端に性能が違ったりしないことである.新タイプが続々出るのは,ほとんど価格競争のための手段であって,変わった点はデザインだけだったりすることも多い.つまり,旧タイプであっても割と安心して買えるのである.現在流通しているハードディスクのモデルと定価は,一覧表を掲げておいた(表2).実際の価格は,自分で調べて,ぜひとも安いハードディスクを手に入れて欲しい.
安くなったと言っても20Mbytesで10万円以上した。趣味のパソコンにこんなに金を掛けてどうなんだろうと思うが、当時は病気のようなものだった。現在の人がスマホゲーム等でガチャを回して金を使うのをバカにすることはできないと自分は思う。
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20Mbytesか40Mbytesか
 パソコン用に売られているハードディスクの容量は,ほとんどが20Mbytesと40Mbytesのものである.ひと昔前は5Mbytesや10Mbytesのものもあったが,今ではほとんど見かけない.カタログにはアンフォーマット時26Mbytes,フォーマット時20Mbytesなど書かれていることもあるが,ディスクはフォーマットしなければ使えないから,フォーマット時の容量で実際の容量を判断する必要がある.単純に計算すると,20Mbytesのものは日本語を1千万文字,40Mbytesのものでは2千万文字記録することができる.
 この容量は,使ってみるとどの程度の実感となるのだろうか.私の場合,単純に1年の仕事量を日割りすると,1日平均400字詰め原稿用紙3.3枚の完成原稿を書き,その原稿を書くために2.3枚分の,その他の情報をコンピュータに入れている.つまり、1日あたり約5.6枚(=2200字=4.4Kbytes)の記録容量を使うのだ.では,このペースで20Mbytesのハードディスクを買って仕事を続けていくと,何日でディスクがいっぱいになるか.なんとデータだけなら,12年間もかかってしまう.
 実際には,使うソフトのために2Mbytesぐらい取られてしまうし,ディスクには,空きがあっても使えない領域が発生するから,計算のとおりには行かないが,それでも少なく見積もって,6年分ぐらいの仕事は支えてくれそうだ私の3倍くらい仕事が好きな人でも,2年はもつのである.
●ディスクには空きがあっても使えない領域が発生
 MS-DOSがディスクのデータを管理している最小容量は,フロッピーディスクの場合,1024bytesである.20Mbytesのハードディスクのそれは8192bytes,40Mbytesでは16384bytesになってしまう.もし,40Mbytesのハードディスクを買ってきて、内容が「bytesのファイルを作ったとしても,なんとディスク上では16Kbytes分の領域を消費してしまうことになる.
 ●仕事が好きな人には2年はもつ
 プログラムを組む人は,ハードディスクを買ってもすぐいっぱいにしてしまい,「狭い,狭い」と言っている.プログラムを完成させるまでにはいろんなファイルが生まれるので,完成プログラムの何百倍もの容量が必要になるのだそうだ.
 そんなわけで,20Mbytesはでかい.だが,ハードディスクの価格を見ると,20Mbytesと40Mbytesの差がそれほどないものもある.ここが迷うところだ。いくら容量がでかいといっても,2年でディスクをいっぱいにしてしまっては,また買うはめになる.だったら今のうちに40Mbytesを買っておこうか.それとも,ディスクが一杯になった時点で追加購入すれば,その頃は価格もさらに安くなっているからトクだろうか.
 私自身の経験では,20Mbytesは個人ユーズとして十分な大きさであると思う.それに,20Mbytesがいっぱいになったからといって,2年も前の仕事なんかフロッピーディスクに移して保存すればよいわけだから,何も新しいハードディスクを買い足す必要もないわけだ。
 また,“買い足し”というのは,何につけても非常な割り高になることを知っておくべきだろう.増設専用の2台目のハードディスクも売られているが,あまり需要がないので値引き率が悪い.数年後,ハードディスクの主流が40Mbytesに移ってしまうと,20Mbytesの増設用ハードディスクは、品薄で入手が困難だったり,ようやく見つけても,めちゃくちゃ割高だったりすることも考えられるのである.
 複数の人でハードディスクを共有したり,本当に処理するデータ量が20Mbytesを越えそうならば,迷わず40Mbytesを買えばよい.40Mbytesのハードディスクは,20Mbytesのものに比べ,容量あたりの価格もずいぶん安くなるのである.
物書きならそうだろうね。趣味とはいえプログラムを作っているとバージョン管理も必要だし、昔作ったライブラリもどきを使うこともあるのでハードディスクの中はそういったガラクタで占められていた。
アクセススピードは?
 ハードディスクを導入すれば,アクセスのためのスピードは一気に10倍以上速くなる.これは飛躍的な向上だから,誰でも実感できる.じゃあ、同じハードディスクでも,より速いものを使うとどうなるか.
 現在,ハードディスクの平均アクセススピードには,25msから85msまでの幅がある.40ms以下のアクセススピードが特に速いものは,高速タイプと呼ばれている.
●25msから85ms
 1秒=1000ms(ミリセカンド).当然,数字の小さいほうがアクセスが速いディスクのアクセスタイムは平均が表示されるのが普通だ,目的のデータまでのディスク上の距離によってアクセスにかかる時間が違うから,いろんな位置での平均を取るのである.
 つまり,ハードディスクにも,機種によって3倍もスピードが違うものが存在するのである.この違いは,フロッピーからハードディスクに変わった時ほど画期的ではないが,それでもやっぱり高速タイプは“速いっ!"と思う.私は,200Kbytesほどの文章を書いたファイルから,ユーティリティソフトを使って特定の言葉を捜し出すような操作をよく行うが,85msタイプのハードディスクでは1分少々かかってしまう.これが高速タイプになると(検索ソフトの処理時間は変わらないので,単純に3分の1にはならないが),半分くらいの時間で済んでしまうかもしれない.
 ちょっと前までは高価で手が出ないと思っていた高速タイプのハードディスクも,最近では85msタイプに迫る価格で売られるようになった。もし今度,私がハードディスクを買うとしたら,きっと高速タイプを買っていると思う.
 なお,アクセスの対象となるファイルが限られたものであるなら,RAMディスクを使って,さらに高速なアクセスが可能である.起動時に目的のファイルをRAMディスクに転送しておいて使えばよい.85msタイプのハードディスク+RAMディスクで,高速タイプハードディスクの処理スピードを上回る可能性がある.20Mbytesや40Mbytesの容量すべてにわたって高速のアクセスが必要な場合は実際には少ないから,現実的な方法とも言えるだろう。
 ●起動時に目的のファイルをRAMディスクに転送する。
 MS-DOSには,コマンドやプログラムの自動実行機能(バッチ処理)がある.そこで,たとえば,MS-DOSを起動したら自動的にディスクの辞書ファイルをRAMディスクにコピーし,ワープロなどを使う際にはRAMディスクの辞書を使って変換すれば,高速になる.RAMディスクの内容は電源を切ると消えてしまうものが多いので、ワープロが終了したら,RAMディスクの辞書をディスクに戻す操作も自動化しておけば,ワープロ使用中の単語登録などもきちんと保存できる.
アクセスタイムね。今では速度はMB/sで表されていてアクセスタイムは見もしない。またメモリが余っているからキャッシュが効いてるので速度については気にならなくなった。
ハードディスクを選択する上で知っておきたいこと
 ハードディスク選択の決定的な要素は,20Mbytesか40Mbytesかの判断が中心となるが,それ以外の細かい要素にも気になる点はある.ざっとまとめてみよう.
(1) DMS-DOSのバージョン
 ハードディスクも,パソコンに接続すれば,そのパソコンをコントロールしているOSの管理下に置かれる.MS-DOS上でハードディスクを使う場合の注意点を述べよう.前回書いたとおり,MS-DOSにはVer.2.11とVer.3.xxが存在している.ところが,Ver.2.11の方はハードディスクの容量を1ドライブあたり20Mbytesまでしかサポートしていない。それ以上の容量で使う場合は、別のドライブとして使うことになる.よく40Mbytesのハードディスクのカタログには“20Mbytes×2でも使用可能"とか書いてあるが,これはVer.2.11のことを考慮してのことなのだ.1ドライブ40Mbytesで使いたいなら,Ver.3.xxを用意する必要があるし,どうしてもVer.2.11で使いたいなら,20Mbytes以下のハードディスクか,20Mbytes以下に容量を分割できるタイプのハードディスクを買う必要がある。
●Ver.2.11では20Mbytesまでしかサポートしていない
 Ver.3.xxでは40Mbytesのサポートとなった.また,ハードディスクを使う上で必要となるbackup/restoreなどのユーティリティも用意された.
(2) メーカー純正か,コンパチ品か
 ハードディスクは、パソコンメーカーが出している純正品の他にもたくさんのメーカーから発売されている.そして,もちろんコンパチ品の方が安い.
 コンパチ品は,信頼性が劣るのではないかと心配する人がいるかもしれないが,私の知るかぎり特に劣ったという話は聞かない.中にはハードディスクを専門に作っているメーカーもあり,そういったメーカーはハードディスクに命をかけているので,純正品よりも品質がよいという噂もある.
(3) パソコンとの接続関係は?
 ハードディスクを実際にパソコンにつなげて使うには,たいていの場合,ハードディスク本体の他にケーブルとインターフェイスボード(以下IFボード)が必要だ(図1).ケーブルは,ほとんどの場合,本体を購入すると付属してくるが,PC-9801では,メーカー純正のハードディスクを使おうとすると,別売のIFボードを用意しなくてはならない(ただし,ハードディスク内蔵型を除く).
 その点,コンパチ品の場合はIFボードも付属品として含まれていることが多い.これらは,IFボードをハードディスクメーカーが独自に開発し,純正品にない機能を持たせた製品に多い.だが,IFボードから出ている信号は,そのメーカーのハードディスク本体にしか通用しないことがあるので,メーカーの違うIFボードとハードディスクは,接続できない場合もある.
 それに対して,パソコンメーカー指定のIFボードから出る信号に完全に準拠した,フルコンパチのものはハードディスク本体だけで売られていることが多い
 なお,PC-98LTに接続できるハードディスクはまだないようだ.
もう読んでいて懐かしさがこみ上げ来た。MS-DOSの容量縛り、分割フォーマットとか使いにくかったが、それが当たり前だと思っていた。だから、Windows95以降になってもHDDは分割して使っていた。それに、この記事の時代PC-9801VM4のHDDがよく飛んだ(データが失われた)。FDDでバックアップしていたのだが、今度は途中でFDのエラーで泣いた。だから、昔は2重にバックアップした。たとえば、10枚目のFDでエラーが発生したらもう一つの10枚目を挿入してデータを復旧した。HDDのデータは失われるものだということを体で覚えたので大容量HDDになると自分のデータは自分のFDで保存するようになった。その後、雑誌の記事でプロの絵描き、物書きがHDDのデータがデータが飛んだとかで泣いている記事を見て「ケガをしなければ痛みは分からないものだな」と思った。データをバックアップしておきなさいというアドバイスを聞かない人が多かった。同僚の名言で「大切なデータはHDDに保存しない。大切なデータはパソコンで扱わない」があった。確かに、印刷した紙を保存していたので最終的には紙ベースなのかなと。デジタルデータはウォータマークをはじめとした原本保証ができるもにすべきだと今でも考えている。
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(4) ハードディスクを増設する場合
 まず1台目のハードディスクが増設可能なものであることが第一条件である.
 PC-9801の場合,最初からパソコン本体にハードディスクを内蔵している機種や,すでに,純正のハードディスクを持っていて,2台目を追加する時は,純正品かフルコンパチのハードディスク(エプソンのHDD-20E)を購入する必要がある.しかし,電話で問い合わせたところ,ほとんどのメーカーの増設用ハードディスクは純正のハードディスクに接続できるようだ.IFボードは1台目のハードディスクを接続する時に買ったものが共用できる(ハードディスク内蔵タイプはIFボードも内蔵)ので,新たに買う必要はない.
 さて、1台目がハードディスクメーカー独自のIFボードを使ったものの場合は,メーカーごとに事情が異なっている.たとえば,工プソンのHDD-20Sの場合は,1台目2台目に関係なく,同じものを買ってきて、付属のIFボードをそれぞれ拡張スロットに差し込む必要がある.
 また,私の使っているロジテックLHD-320Nなど多くの場合では,メーカーごとに増設用の型番の違ったハードディスクが用意されている.2台目のハードディスクにはIFボードはいらないが,だからといってその分だけ安いかというと,決してそんなことはないようだ.おまけに,2台目はあまり注文がないから,入手するまでに時間がかかったりする.
 また,2台目に他社製品も接続できるのかとか,20Mbytesのハードディスクを2台連結して使った場合,40Mbytesの1ドライブとしても使用できるかどうかなども気になるところだ。
 このあたりのことは、私が買いに行った時も秋葉原のショップの店員に聞いてみたのだが,さっぱり要領を得なかった.自分でメーカーに電話をかけて聞くのが一番早そうだ.なお,増設関係の情報は,わかった範囲で表2に加えておいた.
(5) 3.5インチか5インチか?
 ハードディスクには,外からこそ見えないが,内部のディスクの直径が3.5インチのものと5インチのものがある.5インチのものは大きく重く,3.5インチの方が小さく軽い.どちらが信頼性が高いかは、5インチの方がやや優勢だ面積あたりの記録密度が3.5インチよりも低いので,クラッシュした時などのデータの損失も少なくなる.だが,現実にはそれほど気にするほどの差とは思えない.価格は3.5インチタイプの方がやや安いし,市場でも主流となりつつある.
(6) その他の機能
 停電などで電源がいきなり切れた時に,きちんとディスクを保護する機能のあるもの,対衝撃性の強いもの,保証温度の幅の広いものなど,信頼性を向上させる機能や性能がカタログに書かれることがあるが,実際には何も書いていなくてもきちんと考慮してある製品もある.実際の信頼性は,価格が同じならそれほど変わることはないとみてよいだろう.
 また,カセットストリーマへの接続コネクタを持つものや,8インチフロッピーディスクなんかと一体化されたもの,ディスクがカセット式に交換できるものなど,ハードディスクの基本機能に別の機能を付加した製品もある.これらを選ぶのは,はっきりとその機能に対する要求がある場合に限られると思う.
●カセットストリーマ
 ハードディスクの内容を,まるごと磁気テープにコピーする装置,主にバックアップに用いる。
この記事の何年か後、ストリーマが職場に導入されたが、そのときにはHDDのデータが失われたことがなかった。なかったときにはあれば良かったと思い。あれば使うことがなく無くてもよかったと思う。皮肉なことだ。
ハードディスクを買ってきたら
 ハードディスクを選択する上で,知っておきたいことは,だいたい以上である.自分のコンピュータの使い方やプランと照らし合わせて,最小コストで最大効果が得られる買いものをして欲しい.もっとも安いTH-20K(テックパーツ)は,PC-9801の片方の5インチドライブを外して,代わりに接続するもので,ちょっとした改造がともなう.フロッピーディスクも一台減ってしまうが,基本機能だけ満たせばいいという人には十分だろう.また,13万(実価格)ぐらいの予算でハードディスクからIFボードまで揃えるとしたら,ロジテックやキャラベルあたりが普通の選択になるかな?なお,マヤ電気やソフマップなどの激安店では製品選択の幅に限りがあるが,私が行った時には両店ともロジテックとエプソンの製品を扱っていた.
 さて,来月はハードディスクの正しいフォーマットの方法と,各種の設定上の注意点についてである.待ち切れずに買ってしまった人は、頑張って取扱説明書をたよりに使いはじめて欲しい.その際,ぜひとも注意して欲しいのは,回転中のハードディスクにショックを与えないことと,電源を切るとき,必ずSTOPキーを1回押してから切ること,それから電源を入れるときは,パソコン本体に連動させるか,電源が別々の場合はハードディスクの方を先に入れること,の3点である.
今ではもう存在しない注意点だ。34年前はHDDを導入するには知識が必要だった。だから、友人のアドバイスとかが必要だったし、こうしたコンピュータ雑誌の記事が必要だった。



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