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ラップトップ,PC-9801lX5C,DynaBook他(月刊ASCII 1989年9月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号の「特集 生まれ変わるラップトップコンピュータ」をスクラップする。
生まれ変わるとはカラー化と超軽量化だ。34年前のことだからこんなものだ。
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最初は概説的な記事だった。当時の状況が良く分かる。
ACT.1
小さくなければラップトップではない

昨年10月にアメリカで発表された日電のUltraLiteは,本体重量を2kgに抑えた本格的なブックサイズの携帯型16bitコンピュータである(写真1).

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 UltraLiteは,発表とほぼ同時に「フォーチュン」誌の“年間ベストヒット商品”に選ばれている。過去この栄誉に輝いたパーソナルコンピュータには,'83年のIBM PC jr,Lisa,'84年にはIBM PC/ATとMacintoshがそろって,そして,'86年のCOMPAQのDeskPro386がある.いずれも,市場を騒がせ,影響を与えた商品が名を連ねる.それほどに,このUltraLiteに寄せるユーザーの期待が大きかったということだ.
 UltraLiteの特徴は,名前が示すとおりのギリギリまで肉を落とした軽さとコンパクトさである.
 本体サイズは,298.5(W)×210.8(D)×35.6(H)mm,重量2kgと本当のA4判プックサイズのマシンといえる.また,フロッピーディスクドライブを持たず,ICカードによる外部メモリROMカードによってLotus1-2-3,Wordperfect,XywriteIII,Microsoft Worksなどが提供されるという点も注目された.
 ラップトップコンピュータの意味は、ご存じのように「膝の上に乗せて使える」コンピュータということである.しかし,実のところ、従来のマシンには6kgを超えるものも少なくなかった.というよりも,それがほとんどだったのだ。
 PC-98シリーズでいえば,軽いマシンの1つとしてPC-98LTがあるが,それでも3.9kgである.日電によれば,人間が持って歩ける重量は「1貫目」であろうという設定で作られたとのことだが,実際にPC-98LTを手で持って歩くのには骨が折れる.
 持って歩けるマシンといえば,かつてTandyから発売されていたTRS-80Model 100(PC-8201と同等のハードウェア)が重宝されていた.携帯して使えるサイズと重量の目安として引き合いに出されることもあるのだが,重量は1.8kgである.PC-98LTとTRS-80の間には,かなりの隔たりがあるといわざるをえない.
 TRS-80は,ワープロ,通信ソフト,BASICなどを内蔵した8bitマシンである。これでも実用的には,ある程度の仕事ができるはずだが,オフィスや自宅でIBM PCなどのデスクトップマシンを使っているのなら,同じ環境を持って出たいというのが人情だろう.
 UltraLiteは,このTRS-80に迫る重量を実現した,はじめての16bitマシンである.携帯して歩ける,あの快適な日々よもう1度というわけだ.

NECはなぜ日本版のUltraLiteを出さなかったのか。PC-98LTは除くのマシンでかつ重かった。これでは魅力がなかった。PC-9801との互換性を捨てたのならUltraLite並みのマシンを出さねばならなかった。
ACT.2
軽量ラップトップの2つの顔

 UltraLite以前にも,アメリカ市場では軽いマシンはあった.東芝のT1000(写真2)である.このマシンは,同社のTシリーズ(国内のJ-3100シリーズ)の末っ子的存在であり,フロッピーディスクドライブを1台内蔵しながらも,重量は2.9kgだ.TRS-80の1.5倍強の重量だが,それでも、従来のラップトップのことを考えれば画期的だった。

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 編集部を訪れた1人のアメリカ人が,鞄からT1000を取り出して見せてくれたことがある。彼は,「キャンディキャンディ」がフランスで作られていると信じて疑わないフランスの子供たちのように,得意気にT1000のことを我々に説明してくれるのだった。東芝が日本のメーカーであることを知らないはずはないのだが,なるほど魅力的なマシンである。
 しかし,UltraLiteの登場が持つ意味は,これとは別のものと見たほうがよいだろう.
 UltraLiteは,T1000よりも軽く,CPUパワーもあるが,それよりもむしろ,フロッピーディスクを本体に持たない,内部,外部メモリともにシリコンで固めた,フルシリコンのコンピュータであるという点だ.
 ICカードは,フロッピーとは比較にならないほど高価である.おまけに,この種のマシンでは,ハードRAMのバックアップ時間を長くすることやモデムを必須としているなどの点もあり,本体価格も高くなっているようだ(もちろん,それを抜きにしても価格の高い安いはある).しかし,それは現在のラップトップ環境にヒットした,新しいマシンの分野を切り開くものとして評価されたのではなかろうか。つまり,ラップトップコンピュータのユーザーが,この数年間に蓄積したノウハウや考え方の1つのスタイルを反映したものといえる。具体的にいえば,などである(図1略).
 もともと,携帯型,可搬型のコンピュータは,ポータブルターミナルの進化したものとして捉えることもできる。ネットワークへのアクセスもあるが,オフィスや自宅のデスクトップと何らかのデータの交換をする形になる.
 もちろん、出先で複数のフロッピーを入れ替えたいようなユーザーには,T1000のほうが好ましい。おまけに,T1000の場合,約800ドルという低価格で入手可能であり、その意味でも気軽に持ち歩ける.UltraLiteのほうは、使い慣れた3~4本のアプリケーションだけを出歩いて使うユーザーに向いていることになる.すでにデスクトップがあって,パーソナルコンピュータを使った自分の仕事のスタイルができあがっている人のためのものだ。
 ところで,ご存じのように日本でも,ちょうどT1000,UltraLiteに相当するマシンが発売された.東芝のJ-3100SSとセイコーエプソンのPC-286NOTEexecutiveである。前者は,T1000と同様の低価格,軽量マシン(ただし,内容は大幅にスープアップされており,エントリマシンとしても勧められる内容となっている)であり,後者は,9月中旬の発売予定だが,UltraLiteの98互換版をねらたマシンに仕上がるようだ.この2機種については,この後のページで詳しく紹介する.

T1000の日本版ともいえるJ-3100SSのユーザだった私は、アメリカ人の気持ちがよく分かる。DynaBookは鞄に入れて常に持ち歩きたくなるマシンだった。
ACT.3
デスクトップ環境をラップトップ型で

 小さくなければラップトップではないとはいうものの、現状では6kg~9kgという重量級のラップトップも,依然として人気がある.これらは,ラップトップというよりも,ラップトップとデスクトップの中間のトランスポータブル(可搬型)マシンとして受け入れられているわけだ。携帯して歩くというほどではないが,会社の中で自分の机から会議室へ,書斎から居間へ運ぶという程度の可搬性だ.
 このクラスのマシンになると,デスクトップマシンにできるだけ近い機能を期待したくなる。たとえば,
・ハードディスクの内蔵
・操作性(テンキーの装備など)
・拡張性(拡張スロットなど)
・カラー表示
などだ.
 このうち,ハードディスクは重量6kgを超えるマシンでは,ほとんどが内蔵可能か内蔵モデルを有するようになってきた(PC-9801LVは例外である)。また,操作性の点でもテンキーパッドがオプションで装着できるなどの配慮がなされている.
 拡張性については,デスクトップ用の拡張ボードを使用できるラップトップが登場してきており,人気を集めている現在、この種のマシンとしては,セイコーエプソンのPC-286/386LS,東芝のJ-3100GX,三洋のMBC-17LTJなどがある.サードパーティのものも含めた豊富なボード類がそのまま利用できるのは大きなメリットだ。
 これらは,いずれもラップトップとしては,超重量級である.普段は,デスクトップのつもりで使っていて,いざとなったら折り畳んだり,移動したりできるといったところだ。その意味では,省スペース,低消費電力の新しいスタイルのデスクトップと呼ぶこともできるものだ.
 これらのラップトップなら、普通の事務机で十分だが,デスクトップでは机の上をパソコンに占領されてしまう。また,視覚的な圧迫感もかなり違う。キーボード部分も含めた占有面積でいうと,ラップトップはデスクトップの約75%(PC-9801RXが2052cm,PC-286VFが2095cmに対して,PC-286LSは1529cm),消費電力は,ディスプレイも含めたデスクトップに対して約30%(PC-9801RX2が60W,PC-286VF-STDが35W,ディスプレイが約60Wに対して,PC-286LS-STDは30W)ほどだ.
 拡張性については,マイクロシステムズ(株)のTheBookが,重量2.5kgとブックサイズながらアプリケーションユニットに各種オプションを装着できる(写真3).100%ではないがJ-3100シリーズ互換機能を有する点でも面白い設定となっている.


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 UltraLiteと同じ時期にアメリカ市場で話題となったCOMPAQ SLT/286(写真4)も,なかなか興味深い内容のマシンである.

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 名前のとおり80C286(12MHz)を搭載し,20,または40Mbytes(平均アクセス時間29ms)のハードディスクを内蔵しながら3時間のバッテリ駆動が可能だ。しかも,折り畳めば34.3(W)×21.6(D)x10.5(H)mmとランチボックスサイズ,重量6.3kgとなっている。国産の80286搭載のラップトップが,いずれもバッテリ駆動ができず,しかも大きいことを考えるとなかなか魅力的なマシンといえる.
 そして,このマシンにはデスクトップ拡張ベースと呼ばれるオプションが用意されているのだ。これは、名前のとおりラップトップの基地ともいえる設定のもので,SLT/286をデスクトップ拡張べースに乗せることで,拡張スロットを備えた通常のデスクトップとして機能するようになる.
 さて,デスクトップに近い環境を実現するという意味では,カラー表示が期待されている.そして,カラー液晶ディスプレイを搭載したラップトップがいよいよ登場してきた.これは,現在のラップトップや可搬型マシンのみならず,デスクトップの領域をも含めたコンピュータやターミナルの形を一変させるものとなるだろう.カラー液晶ディスプレイについては,この後のPC-9801LX5Cの項にゆずるとしよう.

自分の事務机の上にパソコンを置けるようになるまではまだまだ先のことだった。職場にはパソコンラック又はデスクがありパソコンを使うときは事務机を離れて作業していた。また、電話が来ると机に戻らなければならず、電話が長くなる時はパソコンの使用待ちをしている人にパソコンを譲るために、ファイルを保存してから電話に戻るということもあった。今のようにパソコンがペンと紙のようになったのはいつからだったか。
ACT.4
ポケットに入る超軽量超小型マシン

 ラットップコンピュータは,ハイグレードなトランスポータブルから,現在のラップトップの後継ともいえるミッドレンジのマシン,そして,携帯できるものにもいくつかのタイプが出てくるようだ(図2略)。普及型のマシンは,ノート型ワープロに近い設定のものも登場してくるかもしれない.実際のところ,割り切った使い方をするならば、通信機能付きやMS-DOSへのファイル出力機能を持ったノート型ワープロは,パーソナルコンピュータユーザーのサブマシンとしても使えるものとなっている.
 さて,そのように多極化してきたラップトップコンピュータだが,「膝の上」のコンピュータから,「掌」のコンピュータが見え隠れし始めているようだ。この春から夏にかけて話題にのぼってきたもの,に,ラップトップよりもさらに小さいポケットコンピュータがある.
 それは,ポケットコンピュータといっても従来からあるいわゆるポケコンとは一線を画するものだ。後で紹介するAtario PortfolioやPoqet Computer社のTHE POQET PCといったポケットサイズのIBM PC互換マシンである.文字どおり大きめのポケットに入るサイズで,重量は500g前後とブックサイズのラップトップの比ではないコンパクトさなのである.
 これらは,集積化技術や実装技術,低消費電力関係の技術によるものだが,UltraLiteなどのラップトップマシンとの差異は,外部インターフェイスをさらに絞ってある点だろう.Portfolioを例にあげれば,オプションのハードと組み合わせることで,初めて通信が使用可能になる.プリント出力もオプションのハードと組み合わせて,はじめて行なえるというものだ。つまり、パーソナルコンピュータの心臓部と表示まわりだけを持ったマシンである.
 アメリカでは,シャープの電子手帳WizardやWordFinder Software社のPocket WordFinder(三洋の電辞林のようにパーソナルコンピュータ上のソフトウェアを専用ハードにした)が登場しているほか,Appleが,近く独仏語辞書付きの電子手帳を扱うとの説もある。Portfolioなども,電子手帳的な色合いが濃く、標準で簡単なエディタや表計算ソフトのほかに,住所録やスケジューラをROMで搭載している。これらデスクアクセサリ(?)ソフトと,IBMPC用の好みのソフトをインストールして使おうという環境だ。
 Poqet PCは,一説にはTexas Instru-mentsの単語学習機「Speak&Spell」の開発スタッフによるものといわれ,なんと乾電池で100時間の動作が可能であるという.Portfolioが40桁×8行しか表示できないのに対して,標準的な80桁×25行表示するスクリーンを持つ。なお、このPoqet Computer社には,富士通が46%を出資しているという.


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 電子手帳のようなものには興味がなかった。あくまでもパソコン並みの端末が欲しかった。それにつけても今のスマホは凄いというか凄すぎる端末だとこの記事をスクラップして再認識した。

日電のPC-9801LX5C
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大きいし、74万8000円は高い。
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日本電気パーソナルコンピュータ販売推進本部長の高山 由 氏のインタビュー記事をスクラップする。日電が考えていたことが分かるかもしれない。
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98シリーズ販売の陣頭指揮にあたる高山氏に,ラップトップの今後についてうかがった.
高山 現在,LT,LV,LX,LSの4つのモデルがありますが,合計で98シリーズ全体の13%弱といったところです。今までの経過を見ると,最初に出したLTが一番出てまして、現在の主力はLXですね.特にLX5,ハードディスク付きが多い.
 据え置き型というのは,人間が動いてパソコンの前に来て使うものですが,ふつう人は,日常的に動きながらも情報を処理する。活動の中でパソコンが使える環境というのが重要になる.そういう路線で軽量化を考えたのが,LTでした.当時の技術レベルだったら、あのへんが一番の軽量化だったわけです。
 その後、東芝さんがアメリカで,据え置きでの利用を主体とするラップトップという形で製品を出された.持ち歩くというより、むしろ省スペース,省エネマシンですね。アメリカでそれなりの位置を取り、日本でも話題になり、ああいうものがラップトップの主流みたいになった.
 しかし,私は,LTを最初に出したときから,LTの比率はパソコン全体のせいぜい10%から15%ぐらい、業界全体でも20%はいかないと言っていたんですよ.なぜかというと,98の世界で一番大事だったのは、「日本語」と「カラー」「フロッピ-」です.この3つの機能性をソフトメーカーさんが,うまく盛り込んでくれたんです.ところが,これまでのラップトップには「カラー」という要素が抜けているんです。 ―― それでは,これからはどういう方向に進むのですか
高山 1つは「カラー化」で,もう1つは手帳サイズも含めた「超軽量化」です. 最終的には,カラーで軽量化できればいいんですけどまだ技術的な問題があります。
 液晶がCRTの価格帯と同じになれば,現在のデスクトップの領域を凌駕するぐらいに普及すると思います.カラー液晶の美しさや鮮明度は,CRTと同等かそれ以上のものが出ています.あとは表示スピードですね.CRTと同等の性能になれば,省スペースと省エネの面でデスクトップよりも優れたものになります。
―― 現行の形のラップトップは無くなると?
高山 今のモノクロのラップトップは,先ほども言ったように,われわれが築いてきたデスクトップ環境の「カラー」の部分が欠けているわけですから,マイナス方向なんですよね。
 だから,当面は「カラー化」と「軽量化」の2方向に加えて,0.5だけ現在のラップトップが残るでしょう.そして,0.5の部分は,0.4,0.3と,だんだん小さくなります。カラーラップトップを安い値段で出せるのは数年先でしょうし,超軽量といっても,それなりの機能制限が出るでしょうから、従来型のラップトップも当分残ると思います。
 それぞれの方向性,すなわち今のラップトップを継承したものもやりますし、カラー化ももちろんやるし,超軽量化もやります.ただ,今の形態のラップトップは,われわれが築いたパソコンの利用環境から見ると、我慢して使っていただいていると思うんです。だから,カラー化への期待,超軽量化の期待が大きい.じゃあ待とうかという人が多いのではないでしょうか.
―― 手帳サイズの98もありうるのですか?
高山 今の、いわゆる電子手帳は,シャープさんやカシオさんが頑張っていらして売れていますが,電子手帳に直接データを入力するのは、手で書くよりも大変ですよ。紙の手帳を電子化するより、むしろ98と融合させる方向のほうがおもしろいですね。
 もちろん、電子手帳の研究はしております.うちがやるとしたら,98との連動が重要だと思っています.デスクトップ,携帯用ラップトップ,電子手帳タイプをれぞれどういう役割を持たせるか.そのへんを勉強しながら,パソコンビジネスのプラットホームの一つの展開として研究しています。
 たとえば,パーソナルデータベース。機動性を持ったデータベースですね.いうのは,情報があり余っていますから,デスクトップやラップトップで収集・整理して,電子手帳で持ち歩くとかね。入力機能としての電子手帳は難しいと思います。
―― カラーは近いのでしょうか
高山 ええ.ただ,あくまでも1番バッターっていう意味での出し方ですから,据え置き型と完全に代わるような機能までは持っていません。いずれはそうなっていくだろうと思いますが.
 でも,省スペース,低消費電力というのは大きな魅力だと思います.インテリジェントビルなんかができますと,今のデスクトップ型というのは大変なんですよ.たとえば,このビル,ワンフロアにパソコン何台置けます?30台置いたら電源がパンクですよ.
 低消費電力というのは重要なことだと思うんですよ.じゃあ,モノクロだけでいいかというと,それでは利用環境の後退です.だから,カラー化と低消費電力は重要だと思うんです.
―― 超軽量マシンはいつごろでしょう
高山 ブックサイズは,これは東芝さんも出したし,エプソンさんも出したのでうちも早く出さなきゃいけないでしょう。しかし、重要なのは価格です。
 ブックサイズのパソコンはワープロ感覚ですから,単にハードを出せばいいというものではない.私どもは、いつもソフトメーカーさんとの関係を考えています。
 ハードとソフトの価格バランス,全体としての値頃感なども、実際にマーケットを開拓していく上では非常に重要だと思っています。98の世界はソフトメーカーさんと一緒に築いてきたものですから,そのあたりを十分に考えて,製品を出していこうと思っています。

あまり有用なことは話してなかった。職場環境の未来のことについても普通の発言だった。

DynaBookは私が発売日に購入して使いこんだマシンだった。私の使用体験による考えとどう違うのか記事をスクラップする。
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 ラップトップユーザが思わず「待ってました」と声を出しそうなニューマシンが登場した。ラップトップで独自の地位を築く東芝のブック型コンピュータ,J-3100SSである。J-3100シリーズは,80386,80286CPUを搭載したハイグレードなマシンを中心に,企業ユーザーに人気が高いが,今回のSSは,16bitとしては破格の19万8000円という低価格であり,個人ユーザーをも狙った戦略的なマシンだ。
ラップトップユーザーではない私たちが「待ってました」というマシンだった。私は、Vzエディタを入れパソコン通信とjgawkを入れて使っていた。データを整形し、文字修飾して印字するときはMAXLINKを使ってPC-9801を使いDynabookを外部記憶装置として使っていた。知人は、一太郎を入れてスタンドアローンとして使っていた。
A4ファイルサイズ約2.7kg
 J-3100SSは,フロッピーディスクドライブを内蔵するものとしては,国内では,最初のブック型コンピュータである(写真1).
 本体サイズは,「A4ファイルサイズ」と表現されており,310(W)×254(D)×44(H)mm,A4判よりも奥行きが40mm程度長い.普通の靴なら,たいていスッポ入ってしまう大きさだ。厚さは,本号の厚さが約16mmであるから,これを2.75冊分の厚さということになる.これで,おおよその大きさがイメージできるだろう.従来のJ-3100シリーズ中の最下位モデルであるJ-3100SLよりも,2まわり以上小さく,まさにブック型コンピュータといった印象だ.
 ラップトップマシンとして気になる重量は,約2.7kgである.いわゆるノートワープロのカテゴリに入れてもよい範囲ではなかろうか。同社のノートワープロJW90Bは,313(W)×225(D)×40(H)mm,2.3kgだ。これでフロッピードライブが1台内蔵されており,エントリマシンとしても使える内容となっているというのだから、画期的といって差し支えないだろう.
 画期的といえば,20万円を切る低価格を実現している点も,まさに画期的というべきである.価格でもノートワープロの仲間入りをしそうだが,中身は,J-3100シリーズそのものである.J-3100シリーズは、もともと,同社が海外で発売しているIBM PC互換マシン(Tシリーズ)をベースに、独自に日本語モードを追加したものであるため,IBM PC用の豊富なソフトウェアも使える(別売の英語版MS-DOSが必要)
 日本語モード用のソフトウェアは,16/32bitでトップシェアのPC-9801シリーズほどの豊富さはないものの,一太郎,Lotus1-2-3,TheCARD,MIFESなどがインプリメントされている。ソフトウェア,ハードウェアに何があるかは,ショップで配布されている小冊子「ソフトウェア/ハードウェアダイジェスト」を見てみるのもよいだろう.また,J-3100SSの発売とほぼ同時に(株)クレオから、ワープロ,表計算,カード型データベース,通信,そしてスケジューラなどのデスクアクセサリを統合化したBUSICOMPOが発売された.4万円という低価格ながら,機能は充実しており,まさにJ-3100SSのためのソフトウェアといった感じだ(写真2).


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重量2.7kgだが予約購入特典のショルダーバッグにもなるズック製(?)の鞄に入れて移動する分には全く不満はなかった。また、定価が19万8000円はモニタ付きパソコンとしてはとにかく安かった。
モデム内蔵可能バッテリで2.5時間駆動
 J-3100SSは,CPUに80C86(9.57MHz),メインメモリは1.5Mbytesを標準装備する.このうち,MS-DOSのシステム領域となる640Kbytesを除いた空間は,ハードRAMと呼ばれる領域になり,ハードディスク的な使い方が可能になっている.
 表示部は,バックライトつきのSTN液晶で,青地に白文字の表示となる(反転も可能)薄暗い電車の中や、深夜のバス停など,ところかまわず引っ張り出せるはずだ。当然のことながらバッテリ駆動が可能で,バックライトにもかかわらず,動作時間は2.5時間(FDD10%使用時)となっている.
 キーレイアウトはほかのJ-3100シリーズとまったく同じで,ファンクションキーがスペースの都合で小さくなっている.薄い割にキータッチは配慮されている.
 背面には,RS-232C,外部FDD/プリンタ共用端子,拡張コネクタがある。拡張コネクタの形状や規格はほかのJ-3100シリーズと同等だが,本体内にカードを装着するスペースがないため,本体背面に端子が出ている(写真3).J-3100用の拡張カードなどを接続する場合は,本体から飛び出した形になるようだ。また,モデムを内蔵した場合のためのモジュラジャック用の穴がある。2400bpsのモデムが10月に発売予定とされている.モデム組み込み時のバッテリ駆動時間も気になるところだが,現在のところ明らかになっていない.


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私はバッテリの持ちを長くするためモデムは内蔵させなかった。乾電池で動くモバイルモデムを使っていた。バッテリは予備を買って2個持ちで使っていた。
知人は外付けの5インチFDDを買ってPC-9801へデータを持って行った。
 レジューム機能は素晴らしかった。それがなければ捨てていた。FDDからDOSを起動するともう起動ディスクは要らない、データ保存用のFDに入れ替えて使っていた。ハードRAMにはよく使うユーティリティソフトを置いていた。そうするとスィッチオンですぐに使える状態になり便利だった。
「バッテリがフル充電の状態で約1週間,ローバッテリの状態からは約12時間で消えてしまう。これは、いささか短いのではなかろうか。」とあるが何を言っているのか。ローバッテリになったら充電しろ。ああ、もしかするとニッカド電池のメモリ効果を心配しているのか?それならそう書けよと思う。
1週間実際に使ってみた
 システムには,日本語MS-DOS Ver.3.1,および日本語入力フロントプロセッサのATOKが標準で添付される.ATOK7の辞書はROM化されており,単独でDドライブを構成している.変換速度は,フロッピーディスクに辞書がある場合とは比べものにならないほど速い。なお,学習結果やユーザー登録語は,ファイルに記録される.
 J-3100用に現在販売されている一太郎は,Ver.3であるため,ATOK7では動作しない.そのため,J-3100SSのシステムディスクには,標準で“7TO5","5TO7"というコマンドが用意されており,これによってATOK7の辞書を使いながら一太郎を利用することもできるようになる.また,一太郎Ver.4の発売も予定されている.
 辞書がATOK7用であるのは,ほかの日本語入力フロントプロセッサを利用しているユーザーには,少々残念である。ROM辞書をVJE-βなどで利用できるようにするコマンドなども用意してほしいところだ。
 さて,約1週間にわたって,実際に触り,家と会社の間を往復してみた.使い心地は,J-3100SLに近いが,やはりサイズが小さく,軽い点が大きく印象を変える.約2.7kgという重量は,普段から携帯して歩くというほどの軽さではないが、必要だというときに,とくに意気込むことなく持って出かけられる.ちょっと分厚い資料でも持ったといった感じだ。 プログラムの実行速度は,V30(10MHz)よりも多少遅い程度の数値となるはずである.J-3100用の一太郎は,80286のJ-3100GTでもけっしてビキビ動くとはいえなかった.それが,80C86のSSになって,さぞのんびりしたスピードになるだろうと思って使ってみると,意外やあまり変わらない感触で使うことができた.これは,J-3100の日本語BIOSの特性によるものだろうか.
 MIFES Ver.4.0も使ってみた.カーソルの移動や画面スクロールは,PC-9801シリーズよりもかなり遅い。キーリピートなどの問題もあるが,標準の状態では3倍ほど遅い.ただし,これはクリティカルなホワイトスクロールや稲妻のようなカーソルのフットワークを期待するからであって,むしろPC-9801だけが特殊な文化を持っているというべきなのである.
 普段,80286や80386のマシンを使っているユーザーには、もたつく感触はあるが,ハードRAMを有効に使えば,そのもたつき感はかなり解消されるだろう.何といっても,パーソナルコンピュータならではのデータ処理機能や日本語環境を気軽に持って歩けるということを考えれば,スピードはそれほど気にならないはずだ。バランスの取れた,大きさと重さ,性能,価格.従来のパーソナルコンピュータのイメージを大きく変える1台であることは間違いない.

書いてある通り、遅くて使えないという感想にはならなかった。不思議な感覚だった。まあ、カラーじゃないしな当然かということもあったと思う。大体職場ではまだPC-9801VMが現役だった。
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コンピュータ営業推進部部長の伊藤 修 氏のインタビュー記事をスクラップする。
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31階にJ-3100関連のチームが集結するという,浜松町駅前にそびえる東芝ビルを訪ねた.
伊藤 J-3100を発売したのは1986年の10月ですが,この前年の暮れに,ヨーロッパでT1100というのを出したのが,その原型です.ラップトップという言葉は,翌年に出したT3100がイギリスなどで,そういう呼ばれ方をしたのが最初ではないでしょうか.Lotus1-2-3が動いて,ハードディスクも内蔵できるクラスのポータブルマシンを指したようです.
―― 現在の出荷台数はどれくらいですか.
伊藤 国内、国外合わせて,9月で100万台を超えます.
―― 今回のSSは,Jシリーズの中ではどのような位置付けで,また,どういう市場を狙って設計されたのでしょうか.
伊藤 この製品はラップトップの一部ではありますけれどもラップトップのコンセプトを拡張することで,新しいマーケットを同じくらいの規模で作れると思っています。台数ベースでいえば,単価が安いですからけた違いに伸びるのではないでしょうか.我々は,市場を作ることを常に心がけて今までやってきまして,この新しいブックコンピュータというマーケットも,自社製品がどうというより,どう大きくするかということを相当程度意識してやってきています.SSはまったく新しい,つまりポータビリティを最優先に,同時に個人ユースを狙って作っています。ユーザー層でいうと,ビジネスマンだけではなくて,ビジネスマンでもまだパソコンをあまり使えない人、あるいはたまに触っている人、会社にはあるけど自分では持っていない人.自分で買うほどそんなに必要ではないけれど本当はあったら便利だなと思っているような、そういう個人ですね.
 でも,小さかろう,安かろう.機能が低かろうというのでは,これは絶対受け入れられないということで,J-3100シリーズ互換にして,ソフトも使えるし、ビジネスユースに実用になる.PC/XTなど海外のソフトもちゃんと使えるとい うものにしました。

―― 値段もかなり衝撃的ではないでしょうか.
伊藤 ポータビリティと機能が揃っても.個人で買えるプライスでないとやっぱりだめだという認識がありました。これはいろいろな調査をしましてやっぱり20万を切るというのがマジックナンバーであるという結論になります。この機能なら25万30万で十分であるという意見も当然ありましたが.そうではなくて,つまり、価格もマシンのコンセプトの一部分なんです.
―― SSが狙っている市場というのは,いわゆるパーソナルワープロを使っていて、物足りなくなってきたユーザーを吸い上げようというのでは.
伊藤 それはあまり意識していません。パソコンユーザーはワープロユーザーとは違うと思いますし、パソコンユーザーのニーズを追究した結果がこれであると考えて作りました。
―― ラップトップでは、現在日本電気のUltraLiteのような,小型化をつきつめる方向と、カラー化という流れがあると思うのですが,これらについての東芝のラップトップの方向はどうでしょうか.
伊藤 世界的な視点から見て、事実上の標準というのは3.5インチFDD内蔵のIBM PCだと思います。我々は市場が望むものを提供するというのが基本的な立場ですから、別のメディアを使えばもっと小さくできるからといって,それを今すぐ作ろうとは考えません.カラー化については,すでに3種類試作機を出しています。製品化については価格と品質の釣り合いもありますし、もう少し市場の動向を見ながら考えたいと思っています。
―― どうも有難うございました.
インタビュアーがちょっとピンボケしている。一般ユーザのことを知らない。ワープロユーザのことを知らない。デスクトップを置換するラップトップが欲しいのではなく、一部機能が低くても持ち運べるパソコン、移動先で使える端末が欲しかった。だからDynabookを望んでいた。インタビューを読んで19万8000円という価格はチャレンジングな価格だったんだということを思い出した。25万円ならダイナブックは買わなかった。

単語テーブルにダイナブックのことが書かれていたのでここにスクラップする。
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【ダイナブック】

 東芝から発売されたJ-3100SSには,「Dynabook」という愛称が付けられています.このDynabookという言葉,もとはといえば,現在AppleにいるAlan Kayという人が,10年以上前の論文で用いたものです。こういうふうにいうと,何やらとても難しいもののように思われるかもしれませんが,少しだけ詳しく,その由来を見てみることにしましょう。というのは,このDynabookという言葉には,「理想のパーソナルコンピュータはどうあるべきか」という意味が込められているからです.
 Alan Kayは,1966年,ユタ大学の大学院でFLEXというシステムのプロジェクトに参加しました.FLEXは,米国国防総省のARPA(Advanced Research Projects Agency)の資金援助を受けて開発が進められていたシステムで,視覚や聴覚で得ることができるもの,文章化された記録,絵やアニメーション,音楽などを自由に操作できることを目的としたものでした.
 当時のコンピュータの利用環境は,大型のコンピュータを何人もの人でタイムシェアリング(時間を細かく割って,見かけ上,複数の人がそれぞれコンピュータを占有する方式)して使うことが主流となっていましたが,このシステムは,各人が個人用の強力なコンピュータを持つことを目的としていました。これを説明するのに,「パーソナルコンピュータ」という言葉が初めて使われたのだといわれています.
 その後,彼は,XeroxのPalo Alto研究所というところに移り,FLEXの思想をさらに進めたシステムの開発に携わりました.それは,子供から大人まで誰もが使える,人間が知的な活動を行なうための器ともいうべきもの(Personal Dynamic Media)としてデザインされたものです.やがて,それをノート程度の大きさで実現することが,これに携わる人達の夢となりました。これを,Alan Kayは,「Dyanbook」と名付けたのです.
 Altoというコンピュータがこのプロジェクトで開発されました。彼らは,Altoを,「interim Dyanbook」(暫定的 なDynabook)と呼んでいます。
 この間の経緯は,彼の論文「Personal Dynamic Media」(Alan Kay and Adele Goldberg,IEEE Computer,March 1977)で詳しく紹介されています.
 XeroxのAltoは,高解像度のグラフィックスやポインティングデバイス,音楽の演奏機能などを備えていましたが,当時の価格で3万2000ドルと高価であったこともあり,2000台あまりしか出荷されませんでした.しかし,その後,Xeroxは,Altoの流れを汲む商用機Starを開発しました。この思想は,Appleに移り、Lisaを経て現在のMacintoshに受け継がれています。
 Macintoshに限らず,Altoのシステム環境は,現在のパーソナルコンピュータに多くのものを示しています。オブジェクト指向のプログラミング環境として注目されているSmalltalkも,Dynabookと人間の間の溝を埋めるツールとして開発されたものです.
 このように見てくると,「Dynabook」という言葉の前提として「Personal Dynamic Media」という考え方があり,それは,単に小さいノート程度のサイズのコンピュータを指すのではなく,記号や文字,あるいは絵や音などの情報を自由に扱う,ひいては人間の知識や情緒的な活動を増幅するソフトウェアをも含めたシステム全体を指すものであることが分かると思います.
 暫定的なDynabookから10年以上たち、WIMP(ウィンドウ,アイコン,マウス,ポインタ)を使ったGUI(グラフィックユーザーインターフェイス)や,アニメーションや音楽を扱うことも一般的になってきました.しかし,Dynabookが目指すところのPersonal Dynamic Mediaにまでは,少し距離があるといわざるをえないでしょう.
 ところで,東芝のJ-3100SS以外にもDynabookという名前を冠せたマシンが,アメリカで発表されました。会社名もズバリ「Dynabook Technologies社」から発売された「Dynabook286」です.名前のとおり80286(16MHz)を搭載しており,本体がいくつものユニットに分かれるというユニークな構成を持ったマシンです。本体にバッテリユニットと液晶ディスプレイを装着した標準的な構成で,重量約6.3kg,本体だけなら2.9kgになるとのことです。
 「Dynabook」は,パーソナルコンピュータの理想的を描いた1つの姿であり,今後ますます話題にのぼることが多くなるかもしれませんね。


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ダイナブックを使っているというのが嬉しかった。J-3100SSじゃ嬉しくない。この記事を読んでマシン名の由来がアラン・ケイのダイナブックだというのが分かりウキウキした。

エプソンのPC286NOTEexective
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スペック的には妥当なんだろうが458,000円は高すぎる。この性能でデスクトップより高いのはないわ。
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セイコーエプソン電子機器事業部副事業本部長の内藤 興人 氏のインタビュー記事をスクラップする。
PC-286シリーズを技術面で育ててきた氏にNOTEを含めた今後をうかがった.
―― PC-286L以降,発表会などではっきりとラップトップを中心にした軽薄短小路線を追求していきたいということをおっしゃってますが.
内藤 いまラップトップとしてLEとLSを出していますけど,LSが予想以上に大きいウエイトを占めています。デスクトップと同じように使えるというラインナップですね.デスクトップの場合ですと,私どもはプロユースのPC-386,PC-286Xといった機種,それからVシリーズ,あるいは3.5インチのUシリーズといった形でラインナップを作っています。それで,ラップトップの場合には,まずポータブルとしてLSを強化しようというイメージがありました。これが,予想どおり,あるいは予想以上に反響が大きい.LSは,ポータブルといっても拡張ボードを2枚まで使用できますから,デスクトップの代替として使うことができるわけです。
―― LEとLS,それにNOTEが加わったことになりますが.
内藤 ラップトップでは、先行して出したという経緯もありますから、そのラインナップを強化することが,われわれの重要な戦略の1つになっています。LSの中でもバリエーションを増やすということが,すでに進行中といった段階です.デスクトップと同じように使えるマシンというのはとくに日本のようにオフィスのスペースが狭いところでは,今後もさらに強化していくことになるでしょうね。そういった中には,カラー化も当然入ってきます。
―― J-3100SSのようなもの,3.5インチFDDがついて,一回り大きいんだけどぐっと安いというようなマンンも欲しいという声も強いと思うのですが.
内藤 当然,私どもにも,東芝さんのような携帯で98のソフトがそのまま走るマシンを作ってくださいという声はすぐあがってくるでしょうね。それに対して私どもは「いやもちろんそういうことは考えています」という話しかいまはできませんけど.
 ただ,J-3100SSの場合は,IBM PC/XT互換ですから,ハードウェア的には98で言えばPC-98LTなんですよ.LTは,23万8000円ですよね.あのクラスのものが,薄型になったということなんです.XTの場合ですとVRAMにしても32Kbytesですから.だからそれができないとかそういうことはないですけれど、要するに事情が異なるわけです。

―― J-3100SSとNOTEでは,目指しているものも違うと思いますが.
内藤 大きさ,重さもありますが、私どものものは本当に使えるソフトをバンドリングしていますからね。普通に使われる用途ならそれで十分,新たな投資をしなくてもできるようになっています。その意味でも.いままでにまったくなかった環境を提供しています。東芝さんの場合は,従来のラップトップにより近いですよね。それと、ワープロユーザーなどのマーケットを喚起するかもしれませんが.
 デスクトップと同じように使えるポータブル,そして,ヘビーユースのACコードのないところでも使える,あるいは停電対策,異常対策になるようなLEの延長のものや、NOTEのようなトゥルーラップトップですね.全体としては3系統に分かれてくるでしょう。ですからLEタイプ,LSタイプ,それからNOTEの範疇に属するもの。そういったものが,それぞれ技術の進化とともに中身も進化していくことになると思います。

とにかく価格が全てだったと思う。

まとめ部分をスクラップする。
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超軽量マシンの技術動向
 パーソナルコンピュータという言葉が初めて使われたのは,1968年のことだという。パーソナルコンピュータは,誰でもが使え、持って歩けるものと考えられ(377ページ「単語テーブル」参照(前記ダイナブックのスクラップ))。その意味で,持って歩くことのできないデスクトップマシンは,まだ未完成品であると見ることもできる.
 ラップトップ,拡張性や表示機能が制限される.それをカバーしようという方向が,PC-9801LX5Cによるカラー化や,PC-286/386LSによる拡張スロットの装備であるわけだ.しかし,別の部分,ポータビリティを高めることで,デスクトップとは違った形で理想のパーソナルコンピュータに近付けることもできるのではなかろうか.
 ラップトップマシン本来の方向である,小型軽量化の技術動向について見ていくことにしよう.
 外部記憶装置の小型化,あるいはICカードの採用などを別にすれば,まずあげられるのは,カスタムゲートアレイなどによる実装デバイス数の低減だ.最近のマシンでは,これは常識化してきているわけだが,ラップトップではさらに集積化をすすめる必要がある。従来のパーソナルコンピュータは,CPUとメモリを中心に,論理素子と周辺I/Oデバイス(プリンタ用の8255,シリアルI/O用の8250や8251など)を組み合わせて基板を構成していた.しかし,最近のラップトップでは,CPUやメモリを見つけることはできても個々のI/Oデバイスを発見することは難しい。1円切手程度の大きさの黒いゲートアレイと,それを4分の1に分割した程度の大きさのメモリがいくつか見られるだけである。これらのデバイスは表面実装パッケージといわれており、従来のDIP(デュアルインラインパッケージ)に対して実装面積と高さの上でかなりの小型化が達成されている.
 さらに,ポケットコンピュータのクラスでは,シリコンチップのまま基板に接着し,その段階でチップ間のボンディング(シリコン上の端子と金属の足の間を金属の線で接続する)を行なうものも出てきている。つまり、通常のICでは個別のチップ単位で,リード(ICの足)とチップ間のボンディグを行ない,その後セラミックやプラスチックで被う(モールドする)。そして、個々のデバイス間の電気的な接続は基板に実装した後にパターンを介して行なわれる.それが,この手法では,チップ間の電気的な接続を基板を介さずに行なうものであり、基板上でパターンの占める面積が不要になる.
 携帯型コンピュータでは,低消費電力も大きなテーマとなる.内部回路の消費電力を抑えるための手段として,Poqet Computer社のTHE POQET PCでは,画期的な技術が採用されているという.それは,BIOS化されているソフトウェアによるダイナミックな電源制御によるものである.THE POQET PCでは周辺装置とのインターフェイス用デバイスはCPUと密に結合したゲートアレイによって実現されている.アプリケーションがキーボードの入力待ちになると,その時点でのCPUのコンテキストが保存される.そして、実際にキーボードとのインターフェイスを制御するゲートアレイは,CPUその他の電源をOFFにしてしまうのである。RAMにはバックアップ用の微小な電流が供給され,液晶に対しても表示保持用のためだけの電流が与えられる.つまり,THE POQET PCがキー入力待ち状態に入っまた段階で,主に電力を消費するデバイスは、キーボード入力などの外部事象を監視するためのゲートアレイだけになるのである.THE POQET PCでは,キーボード以外にもさまざまな要因に対してこの省電力機構が実現されているという.
 パーソナルコンピュータの小型、軽量化は,とくにカスタムゲートアレイによる集積度の向上を中心に急速に進みつつある。外部記憶装置として何を採用するか,外部I/Fをどこまで持つか、あるいはキーボードや表示ディスプレイのサイズなどによって決まるようになりつつあるともいえる。このような背景で,どのようなマシンがデザインされるのか、これからが楽しみなところではなかろうか.


編集室からをスクラップする。
カラー液晶マシンの登場
▲今月号の特集でも詳しくレポートしたが,ここにきてラップトップの新製品発表が相次いでいる。そのポイントの1つは「超軽量」とでも呼ぶべき小型・軽量化への動き,そしてもう1つはカラー液晶の搭載である.
▲「超軽量」タイプのマシンが東芝,セイコーエプソンからそれぞれ発表されたことはすでにお伝えしたが,もう1つのポイントであるカラー液晶ラップトップコンピュータが日本電気から発売になった.8月号のスペシャルレポートで「見えてきたカラー液晶」という記事を作っているときには今年の秋口から暮れにかけての商品化を想定していたのだが,予想に反する速攻といっていいだろう.カラ一液晶ラップトップは春のビジネスショウで各社から参考出品されていたので,今後続々と製品化されることが予想される.
▲実際にカラー液晶搭載のラップトップに触れてみると,初めのうちこそさまざまなソフトを動作させたくなるが,慣れてくると,あたかもそれが当然のように感じられてくる.それもそのはずで,見方を変えればデスクトップでは普通のことがラップトップでも可能になっただけだと考えられるのである.
▲とはいえ,この「ただそれだけ」的なさりげなさがラップトップの普及に対して果たす役割は小さくないだろう.今まで,ラップトップといえばモノクロという印象が強かったが,カラー液晶技術がこのまま進歩すれば,いずれはラップトップもカラーが当たり前の時代がやって来るのではないかPC-9801LX5Cで採用された2層STN液晶も実用には十分であるが,TFT液晶のコストの問題が解決すれば,パソコンのディスプレイは液晶が当然という時代がやって来るかもしれない.
▲パーソナルコンピュータとは,その名が示すように、本来極めて個人的に利用できるコンピュータのことを指す。今月号から始めた「単語テーブル・わからない・わかった」のDynabookの項でも解説したが,それは小さいことが望ましく、また当然,カラー表示であってほしいのである.
(土田米一)

ディスプレイのカラー液晶化は予測というか予想どおりになったのだが何年も時間がかかった。ASCIIをスクラップしていくとカラー液晶生産技術の進歩が分かると思うので楽しみだ。

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