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モデムの速度変調方式、VAX(月刊ASCII 1988年10月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

なんでも相談室から「モデムの速度の表し方」、「モデムの変調方式」、「VAXってなに?」をスクラップする。
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モデムの速度の表し方
Q:モデムなどの速さを表す単位に「ボー」と「bps」の2つがありますが,これらは同じものなのでしょうか.
A:パソコン通信のように,公衆回線を使って通信(データの交換)を行う場合,電話回線内ではその特性にあったアナログ信号でデータが送られています.つまりモデムやカプラを使って,デジタル信号を音声信号(アナログ信号)に変換して転送しているわけです.
 ちなみに,「モデム(MODEM)」という言葉は,Modulation(変調),DEModulation(復調)の合成語です.
 bps(Bit Per Second)という単位は、1秒間に何ビットのデジタルデータを送るかという転送速度を表す単位で,コンピュータから見たデータ転送の実質的なスピードを表します.例えば,2400bpsのモデムは1秒間に2400ビット,つまり300バイトのデータを送ることができるわけです.
 一方ボー(Baud)とは1秒間に何回デジタル信号をアナログ信号に変調するかという変調速度を表す単位です.この単位は,カセットインターフェイスなどでおなじみの人もいると思います。カセットテープにデータを記録する方式は,基本的にモデムによるデータの転送とおなじ原理を使っています.
 実際のモデムでは,送りたいデジタル信号に合わせて、ベースとなるキャリア(搬送波)と呼ばれる正弦波の音声信号の振幅や周波数を変化させることでデータを送っています(図1).これは、ラジオやテレビが,電波を変調することで音声や画像を送っているのとよく似ています.
 モデムの変調方式にはいろいろありますが,300bps~1200bpsのモデムではデータのO/1に合わせてキャリアの周波数を2段階に変調します.つまり,キャリアの1回の変化がそのままデータの1ビットに対応しているわけです.この場合,変調速度と転送速度は等しくなります.
 高速なモデムでは,キャリアを何段階にも変化させて、1回の変調で何ビットものデータを送れるようにしています.例えば2400bpsのモデムでは、キャリアを4段階に変化させることにより1回の変調で0~3までの数,つまり2ビット分のデータを送ることができるようになります.このとき,データの転送速度は変調速度(2400bpsのモデムでは1200Baud)の2倍になるわけです.
 一般に,キャリアをn段階(nは通常2のベき乗)変化させると,log2nビットのデータを1回の変調で送ることができ,転送速度と変調速度の関係は次式のようになります.
転送速度(bps)=変調速度(Baud)×log2n

 逆に,転送速度と変調速度から1回の変調で何ビットのデータを送っているかが分かります.
1回の変調で送られるビット数=転送速度÷変調速度

 転送速度と変調速度がおなじ場合は、当然n=2になります。
 モデムといっても300bps~1200bps程度のものしかなかった頃は、転送速度をBaudで表示していたものが多かったのですが,2400bps以上のモデムが普通になってきた現在では、実際の転送速度を表すbpsで表示している機種がほとんどのようです.
(竹田)

パソコンが趣味だったからこんな記事も喜んで読んでいた。パソコン通信をするには必要のない知識だが、趣味でする人間にとってはこのような知識得て理解をすることが楽しかった。

モデムの変調方式
Q:電話回線の周波数特性は,規格で300Hz~3.4kHzに定められていると聞きました.ならば、最近出回っている9600bpsのモデムの信号は,なぜ送ることができるのでしょうか.コンピュータのデータをそのまま送ったとすると,信号の周波数は9.6kHzになってしまうと思うのですが.
A:この前の質問でもお話しましたが,モデムはコンピュータからのデジタル信号を,電話回線の特性にあった電気信号(音声信号)に変調してやり取りするための装置です.その変調の方法は、モデムの種類(規格)によっていろいろなものが使われています.
 1200bps以下の転送速度のモデムでは,FSK(Frequency Shift Keying:周波数遷移キーイング)という変調方式が使われています.FSK方式とは、キャリアの周波数をデジタルデータの1ビットごとの0/1に応じて変化させるもので,ラジオのFM放送に似ています(図1).この方式では1回の変調で1ビットのデータを送っているので,変調速度と転送速度の値は等しくなります.
 FSK方式で転送速度を上げるには,変調速度を上げなければなりません.ところが,キャリア周波数を変えずに変調速度だけを上げていくと,あるところから雑音や歪みの影響が急増して正しいデータの転送ができなくなります(キャリア周波数の約2倍が限度).したがって変調速度すなわち転送速度を上げるにはキャリアの周波数も上げなければなりませんが、キャリアの周波数は電話回線の周波数特性によって制限されてしまいます.
 そこで,1回の変調で2ビット以上のデータを送ることのできる,別の変調方式が使われるようになりました.
 2400,4800bpsのモデムではDPSK(Differential Phase Shift Keying:差分位相遷移キーイング)と呼ばれる変調方式を採用しています.DPSK方式は,キャリアの波形の時間的なずれ(位相)を,4段階や8段階に変化させることで,1回の変調で2ないし3ビットのデータを送ります(図2).例えば,変調速度が1200Baudの場合,4段階のDPSK変調では1200Baud×2=2400bpsの転送速度を実現できます.
 また9600bpsのモデムでは,DPSK方式をさらに進めたQAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)という変調方式を使っています.QAM方式はかなり複雑な変調を行うので,誌面の都合で詳しい原理の説明はできませんが,簡単に言うとキャリアの位相と振幅を同時に変化させることで,DPSK方式よりも多くのデータを1回の変調で送れるようになっています,9600bpsのモデムでは、キャリアを16段階に変化させ,4ビットのデータを1回の変調で送ることができます(図3).変調速度は2400Baudなので,2400×4=9600bpsの転送速度になるわけです.
 さらに高速な14400bpsのモデムでは,128段階の変調を行うQAM方式で一度に7ビットのデータを送ります。変調速度は9600bpsのモデムと同様に2400Baudなので2400×7=16800bpsになる計算ですが、データの他にエラー訂正のためのビットが含まれるので,実際の転送速度は14400bpsになります.
 DPSK,QAMなどの変調方式は,無線によるデータ通信や電話のマイクロウェーブ回線などでも使われていて,少ない回線数で大量のデータを送るのに役立っています.
 以上,代表的なモデムのデータ転送方式についてお話ししてきました.モデムの様々な規格は,CCITTという機関が中心になって「勧告」という形で規定しています.CCITTについては,本誌6月号の「何でも相談室」に詳しい話が載っていますので,そちらの方も参照してください。
(竹田)



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自分が何を使っていたかは思い出せない。ダイナブックを使っていたときオムロンのモバイルモデムを使っていたが、それは2400bpsMNP4だったような気がする。それでもパソコン通信では十分な速度だった。今のように画像を送るなんてことはしていなく、現場で打ち込んだテキストをアップすることがメインだった。さすがに公衆電話でチャットをするわけにはいかなかった。

VAXってなに?
Q:アスキーを読んでいると,よくVAXという名前が出てきますが,これはいったい何なのでしょうか.
A:VAXとは,米国DEC社(Digital Equipment Corporation)が製造,販売しているコンピュータの名称です.日本国内では米国DEC社の100%出資子会社である日本DEC(日本ディジタルイクイップメント株式会社)が取り扱っています。
 DEC社は,ケネス・オールセン,ハートランド・アンダーソン,スタンリー・オールセンの3人によって,1957年に創設されたコンピュータメーカーです。創立当初は,論理回路モジュールを製作販売していましたが,1959年に自社開発の論理回路モジュールを使用したコンピュータ,PDP-1を発表しましE.PDPとは,Programmed Data Processorの頭文字をとって名付けられたものです.PDP-1は18ビットアーキテクチャで,32Kのコア・メモリ空間をアクセスできる能力を持って,12万ドル(当時の外貨換算レートで約4300万円)という価格でした。これは,競合する同クラスの他のコンピュータに比べて50分の1程度の価格であったと言われています.
 その後もPDPシリーズには様々なビット幅をベースにした製品が発表されました.UNIXが最初に載せられたといわれているPDP-7や,世界で初めて、“ミニコンピュータ”と名乗ったPDP-8などが,その代表的なものです。現在では,1970年に登場したPDP-11ファミリが,MicroPDP-11を中心にサポートされています.
 おたずねのVAXは,それ以前のPDPシリーズの弱点を克服するべく,80年代の技術を睨んでデザインされたアーキテクチャを持つて開発されたコンピュータです.
 VAXEld,Virtual Address eXtensionの各文字をとって名付けられたもので,仮想アドレスのサポートを意味しています.これをうまく日本語になおすことは困難ですし登録商標にもなっていますので,“VAX”という固有名詞だと考えていいと思います。
 1978年に最初に発表されたVAXは,VAX11/780(価格6000万~1億5000万円)でした.
 11/780のカタログスペックは、処理速度が約1MIPS,最大実装可能メモリ容量は32Mバイト,最大でサポートできるユーザー数が256というものでした。当時のミニコンクラスのコンピュータでは初めての32ビットアーキテクチャであったこと,他には見られない広いメモリ空間をサポートしたことなどから,高い評価を受けました.またDEC社のコンピュータ製品全般に言えることですが,価格が他の競合機種と比較して,常に低く抑えられているという点も、評価されたそうです.
 現在のVAXシリーズは、ワークステーションクラスのものから汎用大型機に分類されるものまで、多種多様な大きさ,用途をもつた製品が展開しています.その中核をなしているのはVAX8000,6000ファミリで,スーパーミニコンピュータからメインフレームにあたる製品群です.
 MicroVAX IIに代表されるMicroVAXファミリはVAXアーキテクチャをチップ化したものです.クラスとしてはスーパー・マイクロコンピュータと呼ばれるもので,小型で保守性に優れ,オフィスにそのまま備えることが可能になっています.中でもMicroVAX2000は、デスクトップサイズで11/780とほぼ同等の処理能力をもっているそうです.VAXstationファミリは,MicroVAXの技術を応用して更に小型化を推し進めたワークステーションクラスのVAXコンピュータです。参考までに,主要な機種の簡単な系統図を掲載しておきます(図6).
 ところで,VAX-11/780を開発するに当つて,DEC社では,次のような事柄を指針にしていたと言われます.
 まず初めに,先ほど述べたように80年代に通用するコンピュータシステムであるということ、次に,対話型の処理を行うこと(現在のパソコンを使っている皆さんならば,当り前のことだと感じられるかと思いますが,コンピュータの歴史を振り返ってみると,対話型処理は比較的最近に実現されたことなのです).つづいて,部門コンピュータであるということ、これは言い換えると,コンピュータを専門としない人達が,仕事をするために共有して使えるコンピュータであるということです.そして,ネットワークへの対応が挙げられます.また技術面では,VAXファミリ間で共通のインストラクション・セットの確立などもありました.
 こうした指標を持って,“コンピュータは人間が使う道具である”という哲学に基づいてデザインしたものが“VAXアーキテクチャ”であるということだそうです.
 VAXで標準に使用されるOSとしては,VAXファミリで共通の汎用OSであるVMSと,UNIX 4.2BSDの拡張版であるULTRIX-32がDEC社から提供されています.この他サード・パーティーからも,VAX上で稼働するUNIXが非常に数多くサポートされてます(アスキーからも日本語UNIXが販売されています).また,ネットワーク関連では、代表的なものにDECnetという製品がサポートされています。
 ここからは、ちよつと余談になりますが,コンピュータの性能を表す数値としては,よ  VAXが高い評価を受けて,代表的なミニコンとして広く認識されているのは、時代を先取りした高性能と,低価格にあったと言えるのではないでしょうか(ちょっと,ほめすぎかな?).
(樋田)

資料提供日本ディジタルイクイップメント株式会社


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流石にVAXがミニコンの名前だとは知っていたけど、どうしてもてはやされていたかは分からなかった。VAXよりもPDP-11の方が良く目にしたと思う。PDP-11はありがたい機械だと敬っていた。私のような素人ユーザはお馬鹿であったので名前で評価をしていた。

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