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特集CD MEDIA第1回 その1(月刊ASCII 1988年3月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号の特集は 「CD MEDIA CD+Computerでひらける世界」 だった。
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この号の特集は 「CD MEDIA CD+Computerでひらける世界」 だった。
CD-ROMの技術的解説は以前スクラップした。

特集CD-ROM(月刊ASCII 1986年4月号9)
特集CD-ROM(月刊ASCII 1986年5月号4)
EFM変調 特集CD-ROM(1)(月刊ASCII 1986年6月号6)
RF信号 特集CD-ROM(2)(月刊ASCII 1986年6月号7)
1フレーム 特集CD-ROM(3)(月刊ASCII 1986年6月号8)
エラー訂正符号(CIRC) 特集CD-ROM(4)(月刊ASCII 1986年6月号9) 
CIRCの復号法と訂正,補正確立 特集CD-ROM(5)(月刊ASCII 1986年6月号10)
Reed-Solomon符号の符号化と復号法 特集CD-ROM(6)(月刊ASCII 1986年6月号11)
用語解説 特集CD-ROM(7)(月刊ASCII 1986年6月号12)
一部重複気味のところもあるが、それは技術解説以外の部分がメインだったので、この号の記事もスクラップする。
CDはいかにして生まれたか?
 CD-ROMやCDIなどの基礎となるCDはもともと、デジタルオーディオ信号をディスクに記録して利用するというDAD(デジタルオーディオディスク)の一方式として誕生した.そこでCDを,光学式コンパクト・ディスク方式DADと呼ぶこともある。CD以外のDADとしては,VHD方式のビデオディスクを利用した静電容量式AHD方式DADなどがある.
 CDメディアの基本となった技術は,フィリップスが開発した光学式ビデオディスクの規格である,いわゆるLD(レーザ-ディスク)である.まず光学式ディスクに共通する特徴を見てみよう.
(1) 光学式ディスクは、ランダムアクセスが可能で、任意の位置を2~3秒以下のサーチ時間で再生することができる.
(2) 信号記録面は,保護層の内部に存在し,信号の再生は非接触のため,アクセスによりディスクが摩耗することはない(図1).
(3) レーザー光により信号を検出するオプチカルピックアップの寿命は,5000時間程度である(レコードは100回程度の再生で針が劣化する).
(4) 信号はピットと呼ばれる小さなくぼみの列としてディスクに記録され,ここで反射されるレーザー光の変化を読み取る.
(5) 光学式ディスクに生じる雑音は,記録再生方式の原理そのものから生じる.レコードでは,雑音は盤自体の形状によって発生する。
(6) 信号読み取りレーザービームの焦点は,信号記録面に合っているため,保護膜上についた微細な傷やホコリにはビームの焦点が合わず,レコードなどに比べ信号の読み取りに影響を与えにくい.
 さて,そもそもCDはフィリップスによって考案された規格である.従来のLPとCDの原材料を比較した場合,CDの方がはるかに少量ですむという点が買われ,音楽ソフト市場における省資源メディアとして,石油ショックの時期に企画された.
 そのころ,日本では1978年に発足したDAD懇談会のもとで,DAD規格の標準化が進められていた.その前年のエレショーに家電メーカー各社から参考出品されたDADが相互に方式の互換性がなく,このままでは共倒れになることを恐れた家電メーカー各社が,DAD懇談会を発足させたのである.懇談会によるDADの標準化は,ビデオディスクとの共用を第一に進められ,その時点ではオーディオ専用ディスクという考え方はなかった.ビデオディスクを使うことによって,再生システムが共用できること,ディスク製造設備を共用できること,1枚のディスクに数時間の楽曲を収録できることなどが評価されていたためである.
 しかし,フィリップスによるCD規格にソニーが賛同し,1980年,DAD懇談会にCD方式を両社共同で提案してからは,事態は急ピッチで進んだ家電メーカー各社もそれにならい、翌1981年のオーディオフェアにCDプレーヤが実験展示された.かくしてCDはDADの事実上の世界標準規格となっていったのだ.フィリップスがDAD委員会にCD規格を提案してからフォーマットが決定されるまで8カ月,CDが商品化されたのがその1年半後という,家電製品としては信じられないハイペースでCDは世の中に登場した.
 音楽をデジタル化して記録するということは、デジタルなデータならばなんでも記録可能ということにほかならない.そのため,当初から,コンピュータの外部記録としての利用が検討された.そして1983年,フィリップスによって発表されたデジタルデータ記録方式規格が,CD-ROMなのである.
 誕生当時は「CD」(シーディー)はメディア自体を指すと共に,そのメディアを利用した規格である音楽用CDの名称でもあった.ところがCD-ROMやCDVの登場によって,メディア自体の名称を確立する必要が生まれたのだ。かくして「CD」がメディアの総称となり,「コンパクト・ディスク」が従来の音楽用CDを指すものとされた.本稿もこの分類にならっている。

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CD-ROM以前の音楽CDの発売について歴史的経緯がまとめられている。こういうものは残す価値があると思う。
おもなCDメディア
 CDメディアには後述するように各種の規格,フォーマットが存在するが,そのうち,コンピュータとの関連で最も注目を集めているのは、CD-ROMとCDIだろう。
 CD-ROMは,その名前からもわかるように,CDに,大量のデータを入れようというもので,当初からコンピュータとの接続を意識して企画された.想定される用途としては、DTPなどで必要となるフォントデータやデータベースにあるデータの配布,グラフィックスデータの格納などがある.その容量は500Mbytesもあり,ちょっとした大型機のディスク容量に相当する.書き換える必要のないデータ,あるいはごく一部であれば,その部分のみをフロッピーなどに記録することによって,いままでにない大量のデータを,通信などに比べて格段に低いコストで利用できるようになったわけだ.
 しかし,CD-ROM規格は,物理フォーマットを決めてあるだけで,これは,規格に準拠したドライブがデータを「読める」ということが決っているにすぎない.データを意味のあるものとして取り出すには,この上にさらに論理フォーマットを規定する必要がある.その方式の1つとしていま注目を集めているのがハイシエラと呼ばれるフォーマットで,米国Microsoftが中心になって提唱している.この論理フォーマットは、フロッピーで「いえば,ディレクトリやFATに相当し,この部分が統一されて初めてどのコンピュータ,OSでも利用できるようになるわけである。
 しかし,CDを提唱したフィリップスは、この互換性をさらにつきつめ,CD-ROMの中に格納されるデータの形式,そしてその再生装置などをも規定した「CDI」を提唱した.システム全体を規定することで,ソフトウェアを共通化し,コントロールするためのソフトウェアもCD-ROMの中に入れてしまおうというわけである。ここで意識されている用途は,教育やエハンターテイメントなどのホーム指向のもので,音楽を聴くように,ゲームや電子百科事典などを使ってもらおうというものだ。
 これに対して,コンパクト・ディスクのようにコンピュータを必要としないCDメディアもいくつか登場している.画像の再生が行えるCD,CDVである.すでに国内メーカーから,LDとCDとCDVが再生できるマシンも登場しており、手に入れた方もあるかもしれない.
 CDVの音声記録は,コンパクト・ディスクと同じだが,その容量を削って残りの部分に映像を入れたものだ。このほかCDを小さくして低価格化を目指したシングルCDも発表されている.

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34年前は今とは違い通信に係る経費がかなり高く、通信で600MBものデータを配布するなんて考えられなかった。だから、CD-ROMは多数に配布する手段として画期的な技術だった。
以前のスクラップに
次世代デスクトップと…(月刊ASCII 1987年8月号7
の「CD-ROM Syndrome」に
>ハイシェラフォーマットは名前だけは記憶にある。名前の由来がHigh Sierra Casino and Hotelという名のホテルだったとは。うんちくになるかもしれないからスクラップした。
とあった。
CD-ROMとCDI
ライセンス
 CDメディアの規格決定の中心となっているのはフィリップスとソニーの2社である.そのため各種の規格を採用するメーカーはライセンスをとる必要がある.ライセンス契約を結ぶと支給される規格書は3冊あり,それぞれの表紙の色によってレッドブック,イエローブック,グリーンブックと呼ばれている.これら3色の規格書が,CDメディアの基本をなしているのだ.レッドブックを前提として,その延長線上にイエローブックが,イエローブックの延長線上にグリーンブックが規定されているため,グリーンブックこのライセンスだけをとることはできない.
 レッドブックはコンパクト・ディスクの規格を定めている(CDVはレッドブックの拡張版に規定).ディスクに記録される信号の規格から始まり,エラー訂正符号の規格,ディスク表面に記載する事項(ロゴマークなど)についてまでが細かく規定されている.レッドブックに沿ったオーディオデータ記録の方式(つまり,コンパクト・ディスクと同じ信号記録)|は,「CD-DA」と呼ばれているが,規格書の色から「レッドトラック」と呼ばれることもある.
 イエローブックにはCD-ROMの規格が定められており,1983年に発表された.これはレッドブックを基本として,どのような構造でデータを記録するかを規定しており、エラー検出,訂正コードを含む規格「モード1」とこれを含まない「モード2」を定めている(物理フォーマット).なぜ「モード2」が必要かというと,|データに高い信頼性が必要とされない時など、ディスク容量を有効に利用するためである
 CD-ROMのモード2上で、ディスクに記録する画像や音声のデータの構造から,再生用ハードの機能,OSやCPUの定格までをくわしく規定したものがCDI規格である.これによって,広い互換性を保証しているわけである.これらCDI規格は1986年に発表されたグリーンブックに定められている.しかし,これは完全なものではなく,最終版は1988年夏頃までに発表される予定である.

CD-ROMって何だろう?
 イエローブックで規定されたCD-ROMとは,音楽用コンパクト・ディスクのデジタルで音楽を記録している部分に,コンピュータデータを記録したものである.信号処理から見れば,CDの誤り訂正がなされた後で,もう1度CD-ROMの誤り訂正が施される構成になっているが,コンパクト・ディスクとはディスクの物理的構造や製造工程に互換性がある.CD-ROMの再生システム(CD-ROMドライブ)は、コンパクト・ディスクプレーヤにCD-ROM特有の誤り訂正回路とインターフェイス部分を加えたもの,となっている.
 1枚のCD-ROMの記録容量は,500Mbytesであり,これを換算すると漢字で2億7000万文字となる(おおよそ広辞苑の20倍の情報量).
 さて,一般に「CD-ROM」というと,CD-ROM規格のディスクを指す場合と,コントロールソフトも含めたアプリケーション全体を指す場合がある.
 CD-ROMもCDメディアとしての互換性を有しているので、CD-ROMドライブにオーディオ出力端子が装備されていれば,音楽を再生することも可能である(ただし,そのためのコントロールソフトが必要).なお,逆にCD-ROMディスクをコンパクト・ディスクプレーヤにかけた場合どうなるかというと,据え置き型プレーヤでは,ほとんどの機種では何も音がしない.これはプレーヤ側で信号の種類を判別し,音声出力をカットするためである.ただしポータブル型プレーヤにはこの回路が省略してあるものがあり,その場合はCD-ROMのデータ音(?)を聞くことができる.
 CD-ROMの画像や文字出力は,基本的にパソコンを経由してディスプレイに表示される.CD-ROMドライブとパソコンは,従来メーカーごとにまちまちなインターフェイスで接続されていたが,最近はハードディスクの接続に使われているSCSIが主流になってきている.ソフト面から見ればCD-ROMディスク,コントロールソフト,OSの他にCD-ROMドライブを制御するためのソフトが必要だが,通常これはデバイスドライバとしてOSに組み込まれる.
 音声出力は,CD-ROMドライブの音声出力を直接アンプに入力する.これには例外があって,音声データがADPCM形式でディスクに記録されている場合は,専用の再生用ハードに出力されなければならない。

CDIとCD-ROMの違い
 CDI,IdCompact Disc Interactiveの略で,対話性のあるマルチメディアのCD-ROMソフトとでもいうべきものである.これはCD-ROMのモード2の上に規定されており,ディスクに記録する,画像データ(表1),音声データ(表2),文字データの形式およびコントローフトを、すべて定義している.これによって、ディスクとシステムのメーカー間の互換性を保証しているわけである.
 単に「CDI」といっても,CDIフォーマットのディスク自体を指す場合,そこに記録してあるCDIソフトを指す場合,あるいは再生装置,またはソフトハードを含んだシステム全体を指す場合の4つがあるので,注意する必要がある.
 CDIプレーヤとは、CD-ROMドライブ,映像、音声,文字,コンピュータデータの各再生回路と,CPUに68000系を用いたコンピュータを一体化したものである。入出力装置としては、ポインティングデバイスが標準とされており,キーボードは含まれていない.またフロッピーディスクドライブのような他のメディアも標準では接続されていない、つまり「パソコンにしてパソコンにあらず」,これがCDIの正体である.
 メーカーによって商品としての位置づけが違うことが,CDIのイメージを混乱させている.高級AV機器と考えるか,ホームコンピュータと考えるかによって,アプリケーションの分野が異なる.
 CDIソフトのマーケットは,ここ2~3年の間こそ特定分野向けが中心だが,遅くとも5年後にはコンシューマ向けのマスマーケットが立ち上がるであろう,と予想されている.アメリカのソフトベンダーの間では、CDIシステムの商品化に対して,日本よりもはるかに大きな期待がよせられている.この熱い期待の理由は,CDIという標準的規格が登場することにより,ソフト開発にとって最大のネックとなる多機種へのソフトの移植が不要となり,単一のソフトで一般マーケットに向けて販売できるという点にメリットを感じているからにほかならない.

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この当時はMS-DOS全盛の時代でパソコンで処理するデータは文字データが主で画像データを表示させてインタラクティブに人とパソコンがやり取りする時代ではなかった。Windows3.1にならなければ広まらず、Windows95になってやっと普通の姿になった。
CDIはどんなことに使えるか
 CDIは技術としては優れているが,商品として考えた場合には,さらに検討が必要という声も上がっている.それはどういうことであろうか?
 従来,新しいメディアの登場は、常に過去のメディア上に蓄積されたソフト資産を再利用する形で行われてきた.ビデオテープやビデオディスクのほとんどが映画作品であったり,LPがコンパクト・ディスク化されている現状が,これをよく示している.しかし,CDIのようなデジタルのメディアの場合には、状況はだいぶ違ってくる.メディアの性質上,過去のソフト資産をそのまま利用できない,というハンデを背負っている.
 ところが,ゲーム以外の分野で,インタラクティブなソフトを制作・供給する体制は,まだできていないのだ。さらにCDIシステムを動かすOSの問題がある.CDIは,OS-9の改良版であるCD-RTOSを使用するが,OS-9の経験があるソフトハウスは限られており,開発時に新たに修得する必要がある.
 CDIの「インタラクティブ」とは,日本語では「対話性」と訳されるが,平たくいえば,機械がやり方を人間にあわせてくれるということではなかろうか.メディア上の情報を自由に操作できる環境,それを支えるものが「インタラクティブ」である。
 人間はかつて機械の提供する情報を,一方的に受け入れるだけであった.ビデオテープしかり,テレビ放送しかり.情報は受け手に送り出される前に既に完結しているものであった.
 コンピュータの登場によって,ようやく情報を自由に扱えるようになった.メディアの受け手である人間が,コンピュータと力を合わせ,対話することで,情報を完結させることができる時代がきたのである。

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CDIをデータベースとして利用できるだろうか?
 CDIでは,標準の入力装置がマウスやリモコンのようなポインティング・デバイスと指定されている。つまり,標準ではキーボードが使えないのである.そのため,自由語検索を必要とするような文字型データベースなどでは,文字入力が難しいと考えられる.マウスを使って画面から1文字ずつひろって入力していく手間は並大低のものではない(ファミコンゲームのドラゴンクエストの復活の呪文の入力を経験された方ならどんなにたいへんかがわかると思う).
 そこでCDIのアプリケーションソフトとしては、Macintoshのソフトのようなメニューやアイコンで選択する方式のものが最適と考えられる.

続きは次回のスクラップにする。
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