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新しいCPUはなぜ速い?TBN他(月刊ASCII 1988年2月号12) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号のTBNはCPUのクロックの記事があった。それをスクラップする。
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新しいCPUはなぜ速い?
Q:最近のi80286やMC68020などにはクロック周波数20MHzといったものがあるのに,なぜZ80や6809などの周波数は4MHzや8MHzどまりなのでしょうか.
A:まず始めに,CPUのクロックについて説明しておきましょう.
 CPUは,ある単位時間(クロック)を基準にして動作する仕組みになっています.CPUの内部では,この単位時間ごとに,ある時点ではAという状態,次にはB,Cという状態へと変化してゆきます.そして,このようなCPUの動作を内部的に正しく行うために必要な時間が,CPUのクロック周波数です.
 ただ,ここでひとつ気をつけなければならないのは,クロックの周波数イコールCPUの速さではないということです.つまり,CPUは必ずしもクロックの1サイクルごとに命令を1つ実行するのではなく,一定のクロック数をまとめたものを単位として(これをマシンサイクルといいます),それを基準に命令を実行するのです.さらに,命令の種類によっては,実行に必要なマシンサイクル数も異なります.また,周辺装置の設計によっては,1マシンサイクルごとにnクロックサイクルのウエイトを入れている場合もあります.
 たとえば,Z80の場合は,1命令の実行に4~20クロックサイクルが必要です.一方,同じ8ビットCPUの6809の場合,1命令の実行には2~15クロックサイクルが必要になっています.
 それでは次に,実際にCPUのクロック周-波数を決定する要因を考えてみましょう.
 基本的に,CPUのクロックはそのきざみ幅をどこまで短くできるか,つまりスピード的にも一番すぐれたものを目指して作られます。
 速度を上げることで考慮しなければならないのは、CPUもその内部はある物理的な回路になっているということです.このため,内部の設計の都合によって,また,電気の流れる速度には上限があること(光速度以上にはなれない)などから,内部の状態が変わるためには、ある時間がかかります.つまり,CPUのクロックはCPU自体の複雑さ,内部の物理的距離,デバイスの種類(C-MOS,_N-MOSなど)による影響を受けます.
 図1はN-MOSトランジスタの素子構造です.ゲートとは、電圧をかけることによって半導体結晶の薄い表面層の伝導率を制御するもので,Lはその長さ,Wは幅です.このトランジスタの寸法を1/xに縮小すれば,HighレベルとLowレベルの間の遷移時間は1/×2になります。
ASCII1988(02)g01CPUクロック_図1_W356.jpg
   このため,デバイスの寸法を縮小することは集積度を向上させ,また,CPUの高速化に対して大きな役割を果たします.10年ほど前の8ビットCPUの最小トランジスタのゲート長Lは5~6μmだったのに比べて,最近の32ビットCPU(i80386やMC68020)などでは1.5~2μmと,かなり小さくなっています。
 この他,CPUのクロック周波数は設計の段階で回路の複雑さや何に使うかによって,またその時点での各メーカーの製造プロセス,ノウハウなどによって、だいたいこれが上限であるという数値が決まってきます.そうなるとあとは,この目標に基づいて作ってゆくことになります。
 そして,実際に作って,それを評価してみて,たとえばある信号経路が目指す動作速度を達成できていなければ,そこを改良するなど,様々なことをして完成させるわけです.さて,ここまではCPUのクロックを速くすることについて考えてみましたが,一方,CPUは単純にただ速ければ速いほどよいというものでもありません.CPUのクロック周波数をやたらに上げてしまうと、今度は周辺の回路がそれについてゆけないことになるからです.また,速いCPUを使うならば,メモリなどにもそれだけ速いものを選ばなければならず,部品のコストもかかってしまいます.CPUのクロック周波数を決める際には,こういったことも考慮されなければなりません。
 最終的には、まず実際にそのCPUの性能からみてどういった使われ方をするかによります,極端な例ですが、炊飯器や洗濯機に32ビットCPUを組み込んだり,スーパーコンピュータに8ビットのCPUを採用しても意味がありません.それぞれのCPUには適したアプリケーションのエリアがあり,その中で最も汎用性が高く,速さが必要十分であると判断されたクロック数が決められるわけです.
 またその他にも,半導体市場の状況も影響します.たとえば,以前は高価だった高速なスタティックメモリが安くなって多く使われるようになったというようなことも,クロック周波数を決める要因となっています.
 もし仮に今の技術で以前のCPUと同じ機能を持ったCPUを作れば,クロックの周波数は何倍にもあげることが可能です.現にZ80などでも、最初発表された時のクロック周波数は2MHzでしたが,現在では8MHzのものまで商品化されています.これらは機能的にはまったく同じものなのですが,前にも言ったように,物理的な面積などはまったく異なっているわけです.ちなみに,現在の技術では8MHzがZ80で実現できる最高の速さなのかをザイログ社に問い合わせてみたところ,「技術的にはまだまだ上げることはできるが,現時点ではその必要がない」ということでした.これは,こういったCPUはあくまでも“汎用品”ですから,できるだけ多くの人が使うということを念頭において作られるということです.つまり,Z80においては今のところ一番速く,また,ある程度数の見込める上限が8MHz版であるという判断がなされているわけです.
(Micha)

自分は賢くないから「技術的にはまだまだ上げることはできるが,現時点ではその必要がない」という点、つまり市場が、ユーザがそれを要求していないというところを理解していなかった。個人的には高速なZ80があればそれを使ってみたいという趣味ユーザーというかごく少数派のオタクだった。オタクの価値観は一般人とは違うものだ。

この号の編集部からも納得のいくものだった。
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128号を意識して
 今月の編集作業も半ばを過ぎた頃,ふと,今月号が創刊128号だということに気付いた.多くの読者の方もご存知だろうが,コンピュータと付き合い始めると,8,16,32といった2の乗数に親しみを感じるようになる.たとえば,パーソナルコンピュータ用のCPUは,8ビット,16ビットと進み,現在では,32ビットのパーソナルコンピュータが注目されている.僕自身の経験では,友人たちと初めて作った8ビットのマイクロコンピュータシステムのメモリ容量が128バイトであったと記憶している.一方,現在の16ビットパソコンのメモリ容量は,640Kバイト程度である.いまさら10年以上前と比較しても意味がないとはいえ,それでも,急激な技術進歩に改めて驚かずはいられない.先日,ある週刊誌を読んでいたら,最近では,多くの人が「以前のものより,よりいいもの」を追い求め,それを「カッコイイ」と思うことにバカバカしさを感じているのだという.しかし,パーソナルコンピュータの世界では,まだまだ追い求めざるを得ない側面がある.64ビットのマイクロプロセッサの話がすでに存在しているし,それがパーソナルコンピュータに搭載される日も,それほど遠くはないかもしれないのだ.
 64ビットの次は128ビットだ,などと話を進めるつもりはない。が,今月号のProducts Showcaseで扱った32ビットマシンと新連載のOS/2の組合せは,現在,最先端であることに間違いはない。そしてそれらも,3年以内にかなり普及するものと僕は考えている.
 一方,一般的なユーザーとしては、そろそろ個人レベルでのデータ処理の道具としてパーソナルコンピュータを活用しようと考える人が増えるのではないかと思う.カード型データベースの特集は、そういう人にこそ読んいただきたい.あまり突っ込んだ解説ではないが,それでも参考になる話を散りばめることが出来たのではないかと思っている.
 さて,128号だというのに特別な企画が一つもないのは淋しいということで,最後にちょっとした遊び心で,'87年の本誌総索引をディスクサービスにした.これには,今月掲載した内容のままのテキストファイルの他に,カード型データベースなどでも容易に利用できるように,SYLKとCSVの両形式のファイルも入れておいた.データ処理の練習程度にでも利用していただければ幸いである.
(土田米一)
OS/2は普及しなかったが、確かにハードディスクが普及してからは個人がパソコンでデータベースを利用することが増えていった。34年前、パソコンの未来を考えることは楽しかった。
このブログ制作作業をしているマシンのCPUは64bitだし、RAMは32GBだ。趣味のパソコンはメモリの増加が著しい、最初にパソコンを買ったとき選択の最重点項目はメモリだった。フリーエリアが32KBと大きいMZ-80Cで固定小数点でデータを整形し少しでも多いデータを扱いたかった。この記事のころパソコンのメモリ容量を表現する単位はKBからEMSメモリとかを使ってやっとMBになった。メインメモリがMB単位になったパソコンを買ったのはいつだったか。スクラップ作業で確かめる。
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