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ビル・アトキンソンのインタビュー、その他(月刊ASCII 1989年5月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSの記事をスクラップする。

HyperCardを作ったビル・アトキンソンのインタビュー記事があった。貴重なのでスクラップしておく。
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グラフィックスの魔術師・HyperCardの開発者
ビル・アトキンソン インタビュー

 アップル・フェローの1人,ビル・アトキンソンが来日した.“グラフィックスの魔術師”の異名を持つ彼は,マウスベース・ソフトの基礎を築いたと言っても過言ではない米国屈指の天才プログラマである.Macintosh(以下Macと略)の中枢である描画ルーチン「QuickDraw」や,パーソナルコンピュータ用ペイント・ソフトの原型となった「MacPaint」を開発して一躍脚光を浴びた後,4年の沈黙を経て,1987年9月に次世代環境プログラム「HyperCard」を発表,その存在を世界に再認識させたことは記憶に新しい。

――HyperCardを開発しようと思った動機は?
ビル:Macは,最も優れたマンマシンインターフェイスを持ちながら,そのプログラミングは最も難しいとされています.そこで,素人でも簡単にプログラムができるような環境,つまり、抽象化されているものを可能な限り具象化して,把握しやすい形で見ることができる環境を作ろうと思いたちました。
――テッド・ネルソンが'60年代から提唱しているHypertextに触発されていますか?
ビル:先達の業績は私を鼓舞するし,彼らのコンセプトは非常に魅力的ですが,直接の影響は受けていません.HyperCardは,あくまでインターアクション(interaction)というポイントにウェイトを置いています。インターアクションとは,情報を集めてそれらをリンクすることで,情報が相互に作用し合う環境やプロセスを指しています。
 簡単に言えば,オモチャのレゴに似ています。ブロック形状の部品を組み合わせてトラックや飛行機が簡単に作れるレゴのコンセプトは,HyperCardにもあてはまることです.HyperCardでは,ボタンやフィールド,カードなどを組み合わせてスタックウェアを作ります。レゴの各ブロックが,ちょうどボタンやフィールドなどにあたりますね。こうしたブロック化によって,プログラミングの経験のないユーザーでも,既存のスタックウェアを少しずつカスタマイズすることが可能になっています。だから,プログラミングの未経験者にこそ,最も使ってもらいたいソフトなのです.HyperCardが発表されてから,Macのプログラミング人口は250倍になっているという調査結果も出ています。
 HyperCardは,Lotus1-2-3やWordPerfectのような高機能専用ソフトにはかなわないと言われますが,精巧なトラックや飛行機の模型が欲しいのであればプラモデルを買えばいいわけで,HyperCardはもっとユーザーディペンドの環境を提供するツールだと思っています。同じようなコンセプトを,ジョン・スカリーは「Knowledge Navigator」と表現し,アラン・ケイは「DynaBook」と表現していますが,私たちの思考の基本にあるのはインターアクションの世界なのです.HyperCardは,私なりに考えたインターアクションのワンステップに過ぎません。最終的な目的は,コンピュータが身体の一部になるような,トランスペアレントな環境を作ることです。

――HyperCardの今後の開発予定は?
ビル:まず,レーザーディスクやビデオカメラの動画情報をダイレクトに表示できるような「HyperTV」という環境を早期に作りたいと思っています.また,「Script Translator」と呼ばれるHyperTalkのスクリプト対応の翻訳ソフトを計画しています.HyperTalkはHyperCardが装備しているプログラミング言語ですが,スクリプトにあたるコマンドは英語です。そのコマンドを日本語や仏語,独語でも使用できるようにして,実行時にScript Translatorを通して英語コマンドに翻訳して動作させるような環境を計画しているわけです。これが完成すれば,米国人の私が日本語でプログラムしたスタックウェアの内容を,Script Translatorを介して理解できるようになります。
――その他には?
ビル:HyperCardは,もともとポータブルコンピュータを作ろうという計画の途上で出てきたものでした。そのポータブルコンピュータは最終的には商品化されなかったのですが,HyperCardには,その時に考えた夢を埋め込んであります。だから、次は「ポータブルHyperCard」を開発しようと考えています。これに対応するハードウェアのアイデアもあるんですよ。たとえば,ポケットサイズの「PostCard Transmitter」というハードウェアです.デザインは薄いノート形で,表側には住所や名前,郵便番号などが,裏側にはメッセージやグラフィックス,動画,音声などが入力でき、電話回線でデータを直接送信できるものです。
――既存のMacの環境で考えられることは?
ビル:HyperTalkをMacOSのレベルに落として,他のアプリケーションソフトとの連係を図ることが将来的には考えられます。実際には,アプリケーション側の対応も必須の条件になりますが,オブジェクト化したアプリケーションの機能をHyperCardで利用したり、逆にHyperCard側の機能をアプリケーションで利用するといったことですね.

Bill Atkinson:カリフォルニア州立大学サンディエゴ校化学科を卒業後,ワシントン大学にてエレクトリカル・エンジニアリング科修士課程を修了.1978年,米Apple Computer社に入社.AppleII用プログラミング言語の開発を担当したのち,Macの開発プロジェクトに加わる。同社に多大な功績を残した社員に贈られる称号「アップル・フェロー」を持つ。彼を含めたフェローは,アラン・ケイ,スティーブ・ウォズニアック,アル・アルコーンの4人.
高い評価を受けていたHyperCardをまさかAppleが捨てるとは思わなかった。当時そのようなことを予測した記事は無かった。未来予測はかくも難しいものか。

「米国ハイテク産業の動向」をスクラップする。
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米国ハイテク産業の動向
■UNIX20周年目のUniForumはRISCが中心
 UNIXがAT&T社ベル研究所で初めてインストールされてから,今年で20周年を迎える.20年といえば,ことコンピュータ業界にとっては気の遠くなるような時間だ。この間,LSI技術の急速な進歩によって,コンピュータは100分の1というサイズになり,逆に速度は数100倍に達した。今や,DEC社のPDP-11よりも格段に高速なマシンが各家庭に入り込んでいる.UNIXのショーである「UniForum」も今年で第6回目を数え,今までになく盛況をきわめた。その背景には,(1) 80386系マシンへのUNIX移植がほぼ一通り完了し,PCレベルのマシンでもUNIXが走るようになった,(2) 高性能なRISCチップの登場で,上位UNIXマシンの性能が飛躍的に増大しているといったポイントがある。これら2点は,ユーザーの立場から見た場合,UNIXマシンの選択幅の拡大という状態を生じさせ,その結果として,UNIXはワークステーションレベルのマシンを中心に,共通OSとして強力な地盤を確立するに至っている.
 RISCチップの採用は,単に目新しさだけを狙ったレベルから,純粋にシステムの高速化という点で語られるレベルにきている.表は,現在までに発表された主なRISCチップの一覧である.
 この中で,SPARCチップはSun-4シリーズで使用されているRISCチップで,処理速度10~20MIPSを誇るCPUである。そのアーキテクチャをそのまま採用したSun-4コンパチブルなマシンが,Solbourne社から発表された(同社は松下電器と提携関係にある)。同社のAllan Snellによると,「Series4」と名付けられたこのワークステーションは,「Sun-4とバイナリレベルで完全な互換性を持っているので,アプリケーションを変更することなしにそのまま動作させることができる」という.このマシンのOS部分であるSunOS,SunView,NeWS,NFS/ONC,Pixrectsグラフィックスライブラリなどは,Sun Microsystems社から直接ライセンス供与を受けている.Sun社は,Interactive社と提携してSunOSの拡販に乗り出すなど,SPARCチップを用いたシステムの普及に力を入れている最中で,SPARC陣営に新たな戦力が加わった形となった.
 System Vリリース3.3が80386CPUにインプリメントされて以来,同CPUをベースにしたUNIXマシンが続々と発表されている.今年中には,Intel社の最後のCISCチップである8086がリリースされる予定だが,このコンファレンスで同社が発表したのはi860だった.i860は,64bit演算が可能なRISCベースのプロセッサである.1ミクロンCMOSプロセスで製造されたチップ上には実に100万個ものトランジスタが集積されている.1チップにデータ/インストラクション・キャッシュ,整数演算部,浮動小数点演算部,浮動小数点乗算部などがコンパクトにレイアウトされている.ちなみに,SPARCは5個,88000は3個のチップで構成されている.内部には,スーパーコンピュータCrayのパイプライン処理とよく似た処理方法を採用し,演算速度は浮動小数点演算速度で最大80MFLOPS,整数演算で90K Dhrystones/秒と驚異的な速度を達成している(33MHz版SPARCが約40K Dhrystones/秒)。同社は,i860を搭載したPS/2用ボードを試作して画像処理を実演したが,その速度には目を見張るものがあった。すでに,i860対応のFortran-77とCコンパイラが完成しており,今年後半にはUNIXVリリース4.0の移植を完了させる計画である.今年末から来年にかけて,同チップを利用したシステムやボードが開発されるものと期待されており,“デスクトップ・スーパーコンピュータ”なるものが実現される日もそう遠くないかもしれない。
 今年のUniForumは,AT&T社とSun社が中心になっているUNIX International陣営とIBM社を中心とするOSF陣営の対決姿勢が強く前面に押し出された形となった。ほとんどのブースでは,自社が属する陣営のサインを掲げていた。これらの陣営とは別に,NeXT社のマシンにも採用されたカーネギーメロン大学の分散型UNIXであるMachも加わり,今後のUNIXの行方はまだまだ混沌としているようだ.

Mac II cxの評判は上々
 Apple社が「MacintoshIIcx」を発表した.NuBus拡張スロットが3つになったほかは,MacintoshIIxと基本的に同じスペックである.John Sculleyは先頃、「我が社は1000ドルから6000ドル台の機種を中心に展開して,ワークステーションとは一線を画す」との方針を明らかにしたが,Mac II cxも価格的には40MbytesHDD内蔵で5369ドルと低価格路線を採用している。ユーザーの反応は,現在のところ非常によいようだ。いよいよ激化するワークステーション分野を避けて,あくまでパーソナルコンピュータで勝負するという同社の思惑がどこまで当たるかは、やはり'90年代にならないと結果は出ないかもしれない。
各社のRISCチップ
CPU メーカー クロック
(MHz)
MIPS
採用メーカー 発表年
R3000 MIPS 25 20 DEC,Silicon Graphics,ソニー 1988
SPARC Cypress 33 20 Sun,AT&T,Xerox,富士通 1988
88000 Motorola 25 17 Data General,NCR Tektronix,Stratus 1988
29000 AMD 25 17 ―― 1988
SPARC 富士通 25 15 Sun,AT&T,Xerox,富士通 1987
PA HP 15 9 HP 1988
RT IBM 12 7 IBM 1988
(ザイロンコーポレーション代表脇山 弘敏)


いったいどうしたのだろうか。このi860に対する高評価。実際に動いているところを見てないでカタログスペックだけで判断したのではないだろうか。

i860の記事をスクラップしたばかりだった。ここに再掲する
CPU、ハードウェア他(月刊ASCII 1989年4月号3
-------------- 以下再掲部分 --------------
インテルが100万トランジスタを集積した64bitMPUを発売
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このCPUについてはあったのかどうかすら忘れるほどの可哀そうなCPUだった。
以下の記事を思い出した。
ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第116回
忘れ去られたCPU黒歴史 渾身のRISC CPUが駄作 i860

 Parallelism in the i860 microprocessor is not transparent; rather, programmers have complete control over parallelism and therefore can archive maximum performance for a variety of computational problems.
「i860マイクロプロセッサーでは、自動での並列処理は一切してくれない。そのためプログラマーは処理にあわせて最大の性能を引き出すためには、完璧に並列処理できるように制御する必要がある」

 つまり、「制御方法は用意するから、後は勝手にやってね」という発想だ。RISCの思想はまさにこれであり、その思想を忠実に体現したアーキテクチャーとも言える。
 だが、物事には何事も程度というものがある。RISCプロセッサーも最初はシンプルな命令体系だったのが、次第に命令が複雑化していって、いろいろな性能改善のメカニズムを内蔵していった。これは「何でもかんでもソフトウェア任せにすればいい、というものではない」ことを、RISCプロセッサーベンダー各社が身をもって体験した結果でもある。

 またi860は、コンテキストスイッチが極めて遅いという欠点もあった。Windowsでも何でもマルチタスクのOSは、複数のプログラムをきわめて短い時間で切り替えながら処理を進めていく。こうした処理の切り替えがコンテキストスイッチだが、切り替えが入ると当然パイプラインの中身は全部破棄されて、新しいプログラムをロードする必要がある。こうした処理はそもそも性能の最適化が難しいため(最適化を主とするなら、やってはいけないような処理の塊)、i860では極端に性能低下が起きることになった。
ASCII EXPRESSの記事を見てもこんなことは想像もできない。スクラップしていくと当時ASCIIを読んでi860の性能について間違えていることを知識として蓄えていったかがわかる。おそらく私は知人らにこのような間違えた知識を偉そうに話していたに違いない。
-------------- 再掲終わり --------------
RISCの本質とも言える「制御方法は用意するから、後は勝手にやってね」を額面通り作ったCPUなので失敗したということのようだ。
パソコン関係の記事とは当てにならないものだ。

アップルコンピュータジャパン社長に武内氏が就任
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なぜこの記事には武内重親氏を載せたのか?武内重親氏についてググってみるとそれ相当の経歴の人だった。Apple Japanの募集広告がASCIIに載っていたのもうなずける。

米Apple社,今四半期の収益低下を予測
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この後もApple社の低迷が続いたのかどうかスクラップして確かめる。記憶では独禁法に抵触しないようMicrosoftがAppleを助けたのだったか。OSはMS-DOSだけではないです。Mac OSもあります。という根拠にすべくAppleを倒産から救っただったろうか。

2つのAppleが商標権争い
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これはは前号のスクラップで「HDD拡張フォーマット訂正ビートルズとApple訴訟他(月刊ASCII 1989年4月号7)」編集室からの記事にあった。今でこそリンゴはApple Computerだが、昔はというかもともとはビートルズだった。あれほど確立していたビートルズのリンゴをよくもまあApple Computerは手に入れることができたものだ。弁護士の力なのだろうが、米国のやることといったら気に入らないことだらけだ。

米国,日本製ディスケットをダンピングと判断
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日本製品のダンピング問題は日常茶飯事だった。
ディスケットという用語懐かしい。厳密にいえばディスケットは8インチ、それもIBMのものを指していう用語であって5インチや3.5インチに使うのは正しくないと突っ込む知人がいた。

スペースシャトルへファクシミリ通信成功
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なんとも懐かしい、歴史を感じる記事だ。スペースシャトルは古臭く感じないが、ファクシミリはもう死語に近いものを感じる。

ソ連がエキスパートシステムを英から購入
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「ソビエトが独自にアプリケーションソフトを作成することは禁じられている。」とあるが、どのように検証したのだろうか。

ハッカー・スパイ事件にKGBが関係か?
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もはやなくなった組織のKGB。私たちはカーゲーベーと言っていたが、いつのころからかケージービーと英語読みになった。ゴルゴ13を読んでいたころカーゲーベーだった。話はずれるが、昔はBMWをベーエムベーと言っていたが、いつの間にかビーエムダブリュになった。両社とも、カーゲーベー、ベーエムベーの方が格好いいというか迫力があると思う。英語読みは軽いと感じる。

日電と松下,西暦2000年までにフロン全廃
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昔はフロン、今は二酸化炭素。

日立,ISDN対応テレビ会議システムを投入
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価格 タイプIが1800万円。今はWebで会議ができる。価格は1000分の1まで下がったとしていいか。

ASCII EXPRESSの扉は富士通の電脳遊園地
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扉の写真だけで記事は無かった。

学研,Lotus1-2-3用マクロ集を発売
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価格は3万5000円。学研が出したということでスクラップした。1-2-3のマクロは自作するのが当たり前だと思っていた。各社それぞれ仕様が異なるのだろうからこのようなものを買って使えるのだろうか。それに修正するとしてもExcelのVBAと違い1-2-3のマクロは可読性が悪いので大変ではなかろうか。自作した方が早いと思う。

日本マイコン販売がTOWNS用日本語ワードプロソフトを発売
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TOWNSをただのゲーム機にしないためにもビジネスソフトは必要だった。

ソニー,UNIXの両組織に参加
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UIIとOSFの戦い。結果はどうなったのか、これも今後のスクラップの楽しみ。

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