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特集「実力を発揮してきたRISCアーキテクチャ」(月刊ASCII 1988年9月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事のスクラップ3回目は「実力を発揮してきたRISCアーキテクチャ」
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前回のスクラップを読むと「実力」って「貧弱な実力」ではないか。それを発揮してもたかが知れている。「コンピュータソフト無ければただの箱」と言われてきたが「CPUもソフト無ければただの石」それに100万個売れなければ採算ベースに乗らないのも重大な欠点だ。
とは言ってもスクラップしてRISCのアーキテクチャの利点を味わう。

シンプルで高速なーアーキテクチャ
 RISC(Reduced Instruction Set Computer)は,非常に素朴な考え方から生まれたものである.
 いまから10年以上前のこと,コンピュトータの中では,実際にはどのようなことが起きているのかということに興味を持った人たちがいた.コンピュータの中で何が起こっているか?それは,CPUの命令セットと、オペレーティングシステムと,アプリケーションプログラムで書かれたとおりの動作をしているに決まっている.ところが,実際のプログラムの動作状況をさまざまな方法で観測していった結果,いくつもの貴重な事実が明らかになってきた.
 たとえば,プログラムによっては,サブルーチンのcall/returnが実行時間の50%にも達することがあるとか,実行にあたっての命令の出現頻度について,非常に頻繁に現れる命令は何か?滅多に実行されない命令はなにか?といったことなどである.
 こうした経緯の後,シンプルな命令セットによるアーキテクチャの方が,パフォーマンスが上げられるのではないかというアイディアが生まれたより具体的には,ほとんどの命令を1マシンサイクルで実行できないかということである(マシンサイクルとは,CPUの動作周期のことであり,従来のコンピュータでは1命令で数サイクル必要とする場合が多い).このためには,命令の数が少なく,命令そのものもシンプルな構成となっている必要がある.これを具体的に実現したものが,RISCアーキテクチャである.
 命令の数でいえば,代表的な32bitコンピュータであるVAX-11には,300以上もの命令があるのに対して,RISCでは,数十個の命令しか用意していない.また,命令そのものがシンプルな構成かどうかという点についていえば,命令フォーマットが限定されているかどうか,アドレッシングモードが限定されているかどうかということがあげられる.RISCでは,ほとんどすべての命令を同じサイズにしているし,演算はレジスタ間で行い,メモリのアクセスはロード/ストア命令に限定している.アドレッシングモードも単純で,8086のように煩雑ではない(図1).
 演算をレジスタで行うようにしていることは,レジスタの参照よりも時間のかかるメモリのアクセスをできるだけ避ける意味もある.このため,RISCの演算命令では,一般に2つのソースオペランドと1つの結果オペランドを持っているほか,call/returnなどの処理でも必ずしもメモリのアクセスが必要とならないように,レジスタ数を増やしている(図2).
 RISCアーキテクチャのCPUに比べれば,パーソナルコンピュータ用の8bitCPUなども,なお複雑な命令セットということになる.あるRISCプロセッサでは,掛け算命令さえ削除されている.これは,実際に実行される掛け算命令では,乗数の値が非常に小さいケースがほとんどであり,シフトと足算の組み合せで実現した方が,総合的にパフォーマンスが上がるからであるという.
 このように,命令の数を少なくし,さらにシンプルにしたことで,ワイヤードロジックで実現することも容易になる.通常マイクロプロセッサでは,命令がマイクロプログラムで記述されているが,ワイヤードロジックでは直接ハードウェア的に記述されているため実行が高速である.

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RISCなのかCISCなのか?
 最初のRISCマシンは、1970年代の終りに,IBMのトーマス・J・ワトソン研究所で,高速な電子交換機を開発するための研究から生まれた.このコンピュータは,プロジェクトの進められていた建物の名前をとって801ミニコンピュータと名付けられた.このマシンは、すべての命令サイズが同一であり,すべての命令が1マシンサイクルで実行されるように設計されていた.また,その結果として,パイプライン処理がスムーズに行われることが強調されている.
 パイプラインとは,プロセッサ内部での命令の解釈と実行を並行して行うことである.ある命令の実行中には,次の命令の解釈が行われており,前の命令の実行が終ったら,ただちに次の命令を実行できることになる.最近のマイクロプロセッサでは,より高度なパイプライン化が行われている.パイプライン処理のスムーズな動きは,現在のRISCチップでも重要なテーマの1つである.
 RISCという言葉は,801ミニコンピュータの後,カリフォルニア大学バークレイ校で作られたRISCIというチップに由来する.このチップを開発したクラスのDavid A. Patterson教授とスタンフォード大学のJohn Hennessey教授が,RISCの概念を広めることに大きな貢献をした.学生に作らせたチップが,1978年に鳴り物入りでデビューしたスーパーミニコンピュータVAX-11/780を上回るパフォーマンスを実現しうるというニュースは,物議をかもした.また,スタンフォード大学で作られたMIPS(Multiprocessor without Interlocked Pipe Stages)チップは商用化され,Mips Computer Systems社へ移行する.
 そして,RISCアーキテクチャが従来のCISC(Complex Instruction Set Computer)よりも優れたものなのか,あるいは,現実的なものではないのかといった議論が展開されるわけである.本誌でも,86年9月号「コンピュータアーキテクチャに“シンプルイズベスト”は通用するか?/RISCコンピュータの構造と展望」などで紹介している.しかし,依然としてRISCに対して疑問視する向きもあるようだ.高速性についても,RISCにおけるMIPS(Mega Instructions Per Second:1MIPSは1秒間に100万命令実行できることを表す単位)は“Meaning-less Index Processor Speed"であるとか,“RISC-MIPS"という言葉も生まれている.
 早くからRISCアーキテクチャに積極的だったのは,Hewlett-Packard(以下HPと記す)社である.また,801ミニコンピュータを試作したIBMも1986年になってRTPCというRISCアーキテクチャを採用したワークステーションを発表している.しかしながら,HPのSpectrumやIBMがワークステーション分野に新規参入したことは、大きなニュースではあったが,RISCアーキテクチャそのものの実力を知らしめたともいえない.
 RISCが現在注目を集めるにいたっているのは,“スーパーマイクロ”と呼ばれるワークステーション市場の急速な展開と,モトローラ,インテル,AMDなどの大手チップメーカーが,相継いで高性能のRISCチップを発表したことによるものである.Sun Microsystems社(以下サンマイク口と記す)のSun-4ワークステーションは,SPARCというRISCチップの採用で10MIPSを発揮するという.これは,現在のスーパーミニコンピュータ以上のパフォーマンスを意味する.各メーカーは、数年のうちに50~100MIPSのRISCチップを開発するとアナウンスしている.

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過去のスクラップは
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RISCコンピュータの構造と展望(1) 月刊ASCII 1986年9月号12) 
>参考にASCIIのWEBページにある大原雄介氏の「ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情」
で記事を探して復習する。
RISCコンピュータの構造と展望(2) 月刊ASCII 1986年9月号13)

Spectrumのスクラップは
ヒューレットパッカード(月刊ASCII 1985年9月号7)
https://cooblog.blog.ss-blog.jp/2020-09-27
でも書いたが
Spectrum関係の記事をASCIIネットから探すと
ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第527回 32bitプロセッサーの開発を続けたHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー
ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第528回 ワークステーションをRISC設計に移行させたHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー
があった。

さてSpectrumでのRISC開発のこと
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この記事では疑問符が付いている。この記事は1985年であり、その後の歴史を見ると惨憺たるものだった。

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第528回 ワークステーションをRISC設計に移行させたHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー
>さてそのSpectrum、PA-RISCという名称で1986年に製品が発表された。SpectrumはPrecision Architectureと命名され、これを実装したRISCプロセッサーということでPA-RISCというわけだ。
>これは一応8MHzで動作したそうだが、よく8MHzで動いたなという気すらする。それでも出荷されれば面目は経ったのだろうが、上で書いた通り実際の出荷は1987年にずれこんだわけで、踏んだり蹴ったりではある。
ソフトウェアに問題があり 立ち上げると数分ごとにクラッシュ

開発は難航し、なんと1990年にやっと

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第529回 HPの命運を変えた第一世代PA-RISCの誕生 業界に多大な影響を与えた現存メーカー MOSベースのプロセッサー PCXの開発に成功

RISCの系譜はIntelまで続き
ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第121回 CPU黒歴史 64bit CPU時代の主流になり損ねたMerced Itaniumの元となったHP PA RISCとは?
技術者の苦労が忍ばれる。

HP、Spectrumの発表を延期
パソコン業界関係(月刊ASCII 1986年4月号2)
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スクラップではRISCが失敗する記事だった。だが、ASCIIの記事ではそんなことはおくびも出さずRISCいいねの記事だった。

動きだしたRISCチップ
 RISCには,シンプルなアーキテクチャを追求した結果,ほかにも有利な点があらわれている.たとえば,チップ上の部品数は,CISCの場合に比較して大幅に少なくなり,製造コストを抑えられる.部品数が少なくなったことで,チップ上にMMU(メモリ管理ユニット)やキャッシュメモリ,FLU(浮動小数点演算ユニット)などの周辺回路を吸収してしまっているチップもある(図3).
 もちろん,RISCには何も問題がないというわけではない.一般にいわれている点としては,プログラムのサイズが長くなってしまうこと,高速なメモリが必要であること,そして,高度な最適化コンパイラが必要であることなどである(図4).さらには,従来のCPUとの互換性の問題もあり,HPのSpectrumでは,HP-300シリーズの従来機のエミュレーションも可能となっている.
 実験的に作られたRISCチップに比べ,最近になって商品として発表されたRISCチップは,RISCの特性を最大限に生かすための,さまざまな工夫がなされている.RISCの問題点といわれていたことを,なんらかの形で解消するようにしているといってよい.メモリの高速アクセスが可能なバスやキャッシュが採用されているものもあるし,高度な最適化コンパイラを用意したもの,分岐処理に対する特殊な機構が組み込まれているものもある.サンマイクロのSPARCプロジェクトでは実に80%のパワーが最適化コンパイラの開発にあてられたという.最適化コンパイラの仕事としては、レジスタを駆使した高効率なコードの生成などもあるが,パイプラインの動作がスムーズにはこぶための遅延分岐などが特徴的である(図5)。
 RISCアーキテクチャを採用したCPUは,多数発表されているが,今回は,サンマイクロのSPARC,モトローラの88000,AMDのAm29000の3つについて,その内容を見ていくことにする.

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先行きの暗いRISCだが、この記事では前途洋々の印象を与えている。


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特集「ソニー(株)土井利忠氏インタビュー」(月刊ASCII 1988年9月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事のスクラップ2回目。
ソニー(株)取締役スーパーマイクロ事業本部長
コンピュータサイエンス研究部長
土井 利忠 氏インタビュー
記事をスクラップする。
ASCIIはRISCに期待して持ち上げているように感じたが、土井氏は当時冷静にマイクロプロセッサ環境を把握し、未来を的確に予想していたことがわかる。
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この「現在は未知数だ」をどう解釈するかだ。ASCIIは未知数だから発展する未来が見えるというポジションに立っていたと感じられた。土井氏は未知数だから金を突っ込むわけにはいかないと引いたポジションに立っていたと感じられた。
Intel,Motorol,RISC 現在のCPUは3つに分類できる
――マイクロプロセッサ,特に32bitの市場をどのように見ているか?
土井:現在のマイクロプロセッサ市場は大まかに見ると,Intel系,Motorola系のCISC,それに各社のRISCプロセッサという3つの分野に分けて考えることができる.
 Intel系は80386が普及期を迎えているが,このCPUについて特にコメントするような点はない.当社がMotorola社の68000ファミリを採用しているという点を抜きにしても,市場にすでに導入されて成功を収めつつあるCPUだから,現時点で評価することはあまりない.それよりも,1989~1990年に発表される予定になっている80486については注目しているし,ある程度のデータを入手して検討を加えている.
 また,最近発表された386SXは,目新しいアーキテクチャを採用しているわけではないが,価格という点でなら注目できるだろう.
 一方のMotorola社は,まずCISC系の68040について,詳細なデータをすでに入手している.当社は,設計段階でMotorola社に対していろいろな要求を出している.特に,並列処理の部分の仕様については1990年代のワークステーション環境という観点から,各種の要求を出している.68040は,現行の68000ファミリの延長線上にあるCPUだが,大きく異なっているのは,RISCを非常に意識した設計になっているという点だ.守秘義務があるので,これ以上のことは言えないが,RISCの挑戦を受けて立とうという姿勢が明確になっているCPUだと思う。
――NEWSの次機種がCISCを採用するか,RISCを採用するのか,興味深いが?
土井:1990年代にRISCがどのような展開を見せるか,という点についてはまったく分からない状態だ.
――RISCを採用するのでは,という観測もあるが?
土井:NEWSの次機種については,もちろんCISCである68040を採用することにしている.68000ファミリというCISCでNEWSシリーズの製品展開を図るという戦略に変わりはないが,そこにRISCをどのように投入していくのか,という点が難しい.
このインテルCPUについて80486と386SXを的確に評価していた。こうして34年後に記事を読んでいると良く分かる。ソニーがモトローラに対して設計段階で要求を出せる関係にあったということは34年前読んでいたはずだが記憶に残っていない。あまり関心がなかったのか。この当時もう68000系CPUを積んだパソコンを買うことはないと思っていたからだろう。
インタビュアーがしつこい「―NEWSの次機種がCISCを採用するか,RISCを採用するのか,興味深いが?」「RISCを採用するのでは,という観測もあるが?」土井氏はRISC採用に消極的だろう。このインタビュアーはRISC推しだというのが感じられる。

RISCのメリットは、開発のサイクルタイムが早いこと
――RISCを採用するとしたら,問題になるのはどんな点か?
土井:RISCにおける技術的なポイントは,コンパイラの最適化という点だろう.80386や68030といったCISCベースのCPUでは,コンパイラは単純にコードを変換して,CやPascalなどの高級言語からマシン語へ1行ずつ翻訳していくだけだが,RISCでは,高級言語からマシン語の命令へコードを翻訳する時に,CPUのパワーを最大限に引き出せるようにコードの構成を組み替えている.これがコンパイラの最適化ということになる.
 ところが,現在のRISCで問題なのは、RISC自体のアーキテクチャの作成と最適化コンパイラの作成がキッチリと合致していないことだ.RISCは,とにもかくにもゲート数が少ないというメリットを生かして,非常に短いサイクルタイムで開発が進んでいる.サイクルタイムが短いからこそ,進歩が早いというのがRISCを使う時のメリットになっている.しかし,コンパイラの最適化という技術を抜きにしてはRISCを語ることはできない.RISCと最適化コンパイラは,表裏一体のものと言っても過言ではない.RISCの最適化コンパイラに関しては,ここ1~2年で格段に水準が向上しているが,RISCチップの開発が短期間でできるのとは裏腹に,長年の蓄積が必要であるため,急速に開発したものは成熟度が低いまま市場に出ている感じがする.
 RISCのアーキテクチャには,スタンフォード大学の流れ,カリフォルニア大学バークレイ校の流れ,IBM社の801プロジェクトの流れ,CRAYの流れという4つの潮流がある.Sun Microsystems社のSPARCは,レジスタ・ウィンドウイングというアーキテクチャに関してはバークレイ校の流れにあたるが,最適化という点ではスタンフォード大学の流れも取り入れている.AMD社のAm29000は,ごちゃごちゃとすべての流れを取り入れたような感じだ.Motorola社の88000は明らかにCRAYの流れだろう.CRAYは,命令をワイヤードロジックで実行しているから一種のRISCと見なすこともできる.

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過去に記事にはない実際にワークステーションを作っている技術部門の解説が良い。34年前は分からないことだったがこうして未来から過去を見ると土井氏の発言の精度が高いことが良く分かる。しかしインタビュアーの質問がうざい。

RISCをめぐる2つの問題点
――CISCか,RISCかという論議をする場合,ほとんどは処理速度や,プログラミングというレベルで両者を比較するのが一般的だが?
土井:RISCはアプリケーションによっては,高速処理ができるのは事実だ.逆に一部のアプリケーションではかえって低速になるという批判もある.しかし,本当に重要だと考えているのは,RISCが産業構造的に成り立つのかどうかという点だと思う。例えば,68020は年間150万個くらい製造されている.そのうち,ワークステーションに使われているのは10%以下でしかない.残りの90%以上は,各種の制御機器や周辺機器に使われている.Motorola社から見れば,こうした分野で売れなければCPUは商売にならない.こういった分野などで数量をさばいて,価格が下がったところでワークステーションに使えるようになる.CISCにしても,RISCにしても,こうした状況に変わりはない.半導体業界というのは,ワークステーション用の10万個や20万個という数量で成立するような産業ではないということだインテルの80386にしても,パーソナルコンピュータ用だけで同じくらいの数量を製造しているからこそ商売になる.
 以前に,ある会社が,ソニーにRISCチップを製造してほしいと申し入れてきたことがあった.彼らは「年間10万個は売れる」と意気盛んなわけだが,大量のコンシューマ商品の製造に慣れたソニーという半導体を製造する側から見れば,「たった10万個か!」という印象を持ったようだ.製造する数量が1桁違う)結局,この提携話はつぶれてしまったわけだが,彼らは,そうした数量の問題があんがい分かっていないのではないかと思う.そうしたことをちゃんと分かって,RISCを商売にしようとしているのは、Motorola社とAMD社くらいだろう.その他のメーカーでは,例えば,Sun Microsystems社やMIPS社が,SPARCやR2000などをコントローラ用に年間150万個売ろうとしても,まず第一にセールスチャネルを持っていない.はたしてコントローラ用などのリアルタイム制御にSPARCやR2000が使えるのだろうか,という技術的な議論の前に販売できないという力の問題がある.RISCが普及するかどうかという論議には,技術的なレベルでうんぬんする以前に,商業ベースに乗るかどうかという大前提があるわけだ.
 技術的に言っても,多くのRISCチップが,リアルタイム系のコントローラとしてはちょっと不向きだという意見もある.そうなると,ますます数量は望めないことになる.

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ここのあたりも34年前は頭に入っていなかった。「68020は年間150万個くらい製造されている.そのうち,ワークステーションに使われているのは10%以下でしかない.残りの90%以上は,各種の制御機器や周辺機器に使われている.」こういった事実も全く記憶していなかった。「インテルの80386にしても,パーソナルコンピュータ用だけで同じくらいの数量を製造しているからこそ商売になる.」大事なことだ。「半導体を製造する側から見れば,「たった10万個か!」という印象を持ったようだ.製造する数量が1桁違う)」なるほどなるほど。PC-9801が100万台売れたとしても日電のV30からV60に移行するとなるとまた100万台売れなければV60は商売にならないということか。日電が自社製のCPUを使っていくことができなかったのも分かる。

一番大きな問題は製造技術と歩留り
――もう一つの問題は?
土井:隠れた問題として,われわれがもっとも憂慮しているのは,実はイールド(歩留り)現在のところ,使えるRISCチップはすべて米国製で,だいたい1.2~1.5ミクロン・プロセスの製造技術を使っている.もちろん,すべてCMOSだ.こうした製造技術でイールドが高いのは米国内では数社しかないという話もある.Cypress社のCY7C601のような0.8ミクロン・プロセスの製造技術が必要なフルカスタム版のSPARCチップだと,イールドが低いために値段が非常に高くなる可能性がある.CISCよりも集積度が1桁くらい小さいRISCが,イールドで悩むというのは意外な感じがするかもしれないが,それほどギリギリのところで製造しているのがCPUだと言える.米国の半導体メーカーの中には,このようなイールドの問題で,評価版も出てこないという深刻な事態が考えられる.RISCについては,こうした半導体製造の問題が,もっとも大きいと考えている.
 まとめると,RISCには,(1)数量の問題,(2)イールドの問題――という2つの懸案事項があって,これらをちゃんと把握していない半導体メーカーが多いのではないか,というのがカスタマー側から見た感想だ.これらの問題が分からないまま,半導体メーカーは大キャンペーンを展開しているとしたら危険だ.
 技術的に見ても、(2)に関連して数量を増やそうとすると,コントローラ系に使えるようなチップでなければいけない.しかし,そうするとアーキテクチャが最適ではない.要するに,Cコンパイラで最適化できるチップと,コントローラ用に安く製造できるチップという両方の要求を満たすのはなかなか難しい.こうした落とし穴があるにもかかわらず,RISCのメリットばかりを強調するのは危ないのではないか,ということだ.
 結論を言えば,米国のワークステーション業界では,RISCマシンの評価はまだ定まっておらず,今後も注目していく必要があるだろう.

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34年後に土井氏のインタビュー記事を見ると精度の良い分析があったのに当時の私は何も知らないでRISCが主流になれば良いな。8086系CPUがなくなれば良いななんて能天気にも思っていた。

それでも|RISCの将来性は十分ある
――RISCが抱えている現在の問題点は分かったが,その将来性はどうか?
土井:今はCMOS全盛の時代だが,例えば,CISCには応用しづらいECL(Emitter Coupled Logic:バイポーラ形IC)やガリウムひ素の技術が,RISCであれば適用できる.10万ゲート規模のCISCをECLで作るのは非常に難しいが,1万ゲート規模の集積度であればCISCよりも楽に作れるということはある.そうなれば、処理速度は50~100MIPSという高速を実現できる.ゲート数が少ないというRISCのメリットは,そういうところに活路を見出すことになるのではないか。
――そうすると,現在のRISCはあくまで試験段階の域を出ないということなのだろうか?
土井:それは,冒頭で述べたように明確に言い切れない.事実,われわれは今年の4月にRISC研究の専門部隊を作った.RISCが今後,どのように展開するかは未知数だが,対応はきちっとしておきたいと考えている.ECLのRISCで100MIPSという処理速度は,そんなに難しくはないが,CISCで100MIPSを実現するのは難しい.だから,RISCの可能性を完全に否定することはできない.もちろん,CMOS全盛の現在でも,RISCが急浮上するような可能性が残っているかもしれない.ちなみに,当社でRISCを製造する場合は,コンパイラも自社製にする.現在のRISCでは,コンパイラの開発を他社に依頼しているところもあるが,これでは安心して使えない、あくまでRISC=コンパイラという図式は守りたい.現在のNEWSにしても,Cコンパイラは社内で開発している.
――MIPS値が出たところで,RISCの処理速度という点で何か問題は?
土井:これはRISCに限ったことではないが,各社が公表するMIPS値には一定の基準がない.NEWSのMIPS値は,Dhrystoneのベンチマーク値のVAX11/780との比をMIPS値の基準にしている.
 RISCの処理速度が速いとはいっても,各社のMIPS値が一定の基準にのっとって発表されているわけではない.それに加えて,特定のベンチマークだけに対してだけ速い結果を出すRISCもある.だから,処理速度という点だけでRISCを評価すると,結局,アプリケーション次第で変わるということになってしまう.
――SPARCなどのRISCチップを実際に評価して感じたことは?
土井:市場に出たRISCチップを見て感じたのは,コンパイラの最適化技術というものは,短時間で実現できるものではないということ、前述したように,当社でRISCチップを作る時は、コンパイラは必ず社内でキッチリと対応したい.
「それでも|RISCの将来性は十分ある」とは、このインタビューでどこに「十分ある」と感じられる部分があったのだろうか。「否定はできない」と感じるのではないだろうか。見出しによるミスリードもいい加減にしてほしい、これほどRISCを贔屓する記事とは。

1990年代は、ポストUNIXが焦点になる
――ソフトの開発といえば,RISCとUNIXをめぐる動きが活発だが?
土井:米国AT&T社とSun Microsystems社の連合に対してOSF(Open Software Foundation)が結成された.しかし,当社ではUNIXに対する投資は一切行わない.標準化をめぐるAT&Tを中心にしたグループに対しても,その他のグループに対しても中立の立場を堅持したい.業界標準が定まれば,それにキッチリと対応してサポートするというのが当社の方針だ.UNIXは,メーカー間のポリティカルな動きが目立ちすぎる.その政治の中に巻き込まれたくないというところだ.5~10年後にはUNIXは無くなっているかもしれない.そういった意味で,RISCをめぐるUNIXの動きについては,あまり期待していない.先頃,当社が設立した「コンピュータサイエンス研究所」は,UNIXの次のシステム環境を考えるために作った.
――UNIXの次はどんなものか?
土井:当然,水平型分散処理がテーマになると考えている.カーネギー・メロン大学の分散並列処理環境であるMachが浮上してくる可能性が強い.この研究所は,その次のオペレーティング・システム,特に商業用にも使えるオペレーティング・システムはどうあるべきかというテーマに基づいた研究を行う.最終的にはメインフレームに水平型分散処理が置き換わると考えている.
――最後にまとめると,ソニーとしてはあくまでCISC路線を継承しながら,RISCについても,ある程度の研究・開発はやるということか?
土井:その通りだ.現在,市販されているRISCチップは,鳴物入りで喧伝されている.ところがよく調べてみると,本来のRISCのメリットが,まだ完全に消化されていなかったり,商業的に成功する可能性を疑問視されるものが数多くある.だが,将来のCPUの大部分がRISCになってしまうという可能性も否定できない.当然,RISCの研究・開発は,鋭意取り組んでいく。
 また,水平分散型処理環境の将来を考えると本格的な分散処理オペレーティング・システムが重要になってくるし,コンパイラの最適化についても地道で継続的な研究が必要になるだろう.
 しかし,短期的には80386や68030,68040のようなCISCチップで地道なビジネスを進める.

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水平型分散処理でMachが出てくるのか。まとめ部分を読むとRISCの未来は遠いと、歴史のとおりだと。このとき土井氏の見る未来が正鵠を得ていた。

コラム記事をスクラップする。
RISCをめぐるUNIXの統合化の動き
 UNIXの標準化をめぐって,米国AT&T社と米国IBM社の対立が注目されている.事の起こりは,AT&T社がSun Microsystems社と協力して,System VとSunOS(4.2BSDがベース)を統合したSystem Vリリース4.0を来年夏の完成を目標に共同開発すると発表したことに始まる.リリース4.0は,SPARCアーキテクチャに最適化したオペレーティング・システムになる見込で,両社は,今年9月から開発者向けの技術コンファレンスを開催するなど具体的な情報公開を開始する予定だ.
 これに対して,IBM社,Apollo社,DEC社,HP社など欧米のコンピュータメーカー7社は一斉に反発,今年5月にOSF(Open Software Foundation)を発足させた.OSFは,来年の末をめどに標準UNIXを完成させる計画で,現在急ピッチで開発を進めている.OSFを設立した当初にまとめた仕様であるLevel 0の機能を含んだバージョンの開発は各社が着手しており,Apollo社はDOMAIN/OSをLevel 0に準拠させて今秋にも完成させる計画だ。UNIXの標準化をめぐるこうした覇権争いの背景には,RISCチップの存在があることは無視できない.


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特集 「32bitマイクロプロセッサ最新レポート」(月刊ASCII 1988年9月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事をスクラップする。
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80386マシンについては
1990年のコンピュータ環境 80386CPU (月刊ASCII 1987年7月号8)
でスクラップした。私は林晴比古氏がブルーバックスで解説していた
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ブルーバックス32bit見返_W520.jpg
ので80286のような悪印象を持つことはなかった。ミーハーである。
こうして過去のスクラップと比較すると評価や予想が時間とともにどのように変化したのか確認することができる。
RISCコンピュータの構造と展望(1) 月刊ASCII 1986年9月号12) 
>参考にASCIIのWEBページにある大原雄介氏の「ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情」
で記事を探して復習する。
RISCコンピュータの構造と展望(2) 月刊ASCII 1986年9月号13)
CISC、RISC論争結局どうなったのか覚えていないのでスクラップ作業を続ける。

特集の緒言をスクラップする。
32bitCPUの覇権を争うCISCとRISC
――実用段階に入ったRISC――

 一昨年の後半に米国で産声を上げた80386マシンは,昨年4月にIBM社がPS/2シリーズを発表するや一挙に普及段階を迎えた。国内においても100万円前後だった80386マシンが,各社のAXマシンや日本電気のPC-9801RAシリーズの登場によって,急速に普及する気配を見せている.ハードウェアスペックだけで比較すると,今や,ワークステーションと32bitパーソナルコンピュータの境界線は,限りなく不透明になりつつある.処理速度が2MIPS(1MIPSは1秒間に100万回の演算処理を実行する)以上という高速パーソナルコンピュータが現実のものになってきたからだ。
 先頃,Intel社が発表した386SXは,80386と同じ32bitアーキテクチャを採用しつつ,現行の16bitマシンのアプリケーション資産をそのまま高速処理できるCPUとして注目される.また,ワークステーション分野や制御機器分野では,Motorola社の68030が普及段階を迎えている.パフォーマンスは68020の2倍以上あるが,初期出荷の価格は68020よりも低いという戦略が,68030の普及に拍車をかけている.
 これらのCPUを搭載した安価で高速処理が可能な32bitマシンが,今後,加速度的に登場してくる.こうしたCISC(Complex Instruction Set Computer)系の32bitCPUの躍進に呼応するように,最近になってRISC(Reduced Instruction Set Computer)系の32bitCPUが急速に注目されるようになってきた.「Reduced Instruction Set=縮小した少数の命令セット」を装備したCPUは,ほとんどの命令を1クロック・サイクルで実行できるため、処理速度はCISC系CPUに比べて格段に速い。
 毎年,倍々の処理速度を実現してきたSun Microsystems社が,昨年のSun4の発表に際して,Sun3シリーズで実現した4MIPSという処理速度を超えるために,RISCアーキテクチャを採用したSPARCチップを開発することで10MIPSを達成し,倍々ゲームの記録を塗り変えたことは記憶に新しい(Sun4は,発売から約8カ月で1000台を出荷している).同社がSPARCを開発した背景には,Motorola社の68030のサンプル出荷が遅れたうえに,大幅な処理速度の向上がCISC系の32bitCPUでは望めなくなってきたという判断があった.
 80386が27万6000個の集積度で5MIPS,68030が30万個の集積度で7MIPSという処理速度を持つのに対して,SPARCチップは5万5000個の集積度で10MIPSという数値を持つ集積度と処理速度で比較すると,SPARCチップは,現行のCISC系32bitCPUに対して処理能力の点で10倍以上も効率が高いことになる.集積度が1桁小さいうえに,高速処理が可能なRISCアーキテクチャは,32bitCPUに最適の処理方式だと言われる所以である.
 表に示したのは、主なRISCチップの仕様である.富士通マイクロエレクトロニクスのMB86900,Cypress Semiconductor社のCY7C601,Bipoler Integrated Technology社のECLは,それぞれSun Microsystems社からライセンス供与を受けたSPARCチップである.このうち,Bipolert社のSPARCチップはECL(エッター結合式論理素子)技術を採用しており,処理速度は50MIPSに達する(各RISCチップの処理速度は図を参照).ちなみに,Sun Microsystems社は,1992年に200MIPSという驚異的な処理速度を実現するガリウムひ素版のSPARCチップを出荷すると発表している.
 同様に,MIPS Computer社は,R2000のセカンドソースを,Integrated Device Technology社,LSI Logic社,Performance Semiconductor社に供与している.
 この他にも,Apollo Computer社が並列型RISCアーキテクチャ「PRISM」を搭載したワークステーション「DOMAINシリーズ10000」で,144MIPSという最高速を達成している.また,Apple社も独自のRISCチップの開発に乗り出しており,米国の主要半導体メーカーを始めとして,IBM社やDEC社,HP社などの主要ハードウェアメーカーもRISCチップの開発やマシンへの採用でしのぎを削っている.このうちIBM社は、つい最近,RISCチップを採用した32bitワークステーション「RT PC」シリーズに新たに3機種を追加している.
 開発段階では,Texas Instruments社が,集積度1万2895個のガリウムひ素版の32bitRISCチップを開発,処理速度100MHz(1秒間に1億命令を処理)を達成,来年末までに200MHzを達成する予定でいる。
 CISC全盛と言われる現在にあって,急浮上してきた感のあるRISCチップは,32bitCPUの本命になるのか本特集では,最新のCISCチップと、本命視されるRISCチップの詳細を解説する.

ASCII1988(09)c03図1_実用段階RISC_W520.jpg
表の行列を入れ替えスクラップする。
表 RISCチップの仕様
チップ名製造技術トランジスタ数汎用レジスタ命令数製造元
SF9010IU
(SPARC)
1.5μm
CMOS
5000012089富士通マイクロエレクトロニクス社
CY7C601
(SPARC)
0.8μm
CMOS
7000013689Cypress Semiconductor社
MB86900
(SPARC)
1.5μm
CMOS
5000012889富士通マイクロエレクトロニクス社
R20002μm
CMOS
10000032118MIPS Computer Systems社
Am290001.2μm
CMOS
200000192115Advanced Micro Devices社
VL86C0102μm
CMOS
270001544VLSI Techonology社
MIPS-X2μm
CMOS
15000032378Stanford大学
MC80001.5μm
HCMOS
16500032515Motorola社
なるほど
>今や,ワークステーションと32bitパーソナルコンピュータの境界線は,限りなく不透明になりつつある
だったのか。だからシャープのAX386をワークステーションと呼称してもいいわけだ。
> 先頃,Intel社が発表した386SXは,80386と同じ32bitアーキテクチャを採用しつつ,現行の16bitマシンのアプリケーション資産をそのまま高速処理できるCPUとして注目される.
当時この売り出し方が嫌いだった。わざわざ性能を落としたCPUを廉価版とすることが嫌いだった。逆だろうと思っていた。性能を上げたCPUを出す。従来品の価格を下げて新製品を出す。まあ、高速マシンを必要としない消費者も多かったのだろう。私はとにかく今より速くストレスを溜めない、人間を待たせないマシンが欲しかった。

今使っているマシンはCore i5 10400だから35,510~40,315MIPS
Core i5 10400Fをレビュー:インテルの6コア12スレが2万円台に・・・強い。
という化け物のようなCPUを使ているのか。そんな高速なCPUを使って何をしているかと思えば、なんというか残念な気持ちになる。

特集記事最後の「本特集を補足するキーワード」をスクラップする。
マイクロプログラム(Microprogram)
 機械語の1命令は,CPUの内部ではさらにいくつかのステップからなっている.この過程をCPU内部の構成回路(演算,アドレス生成など)に直接作用するコード(マイクロコード)で記述し,チップ内のROMにプログラムとして格納しておく.マイクロコードによって書かれたプログラムをマイクロプログラムという.この方法は,各ステップをゲートで実現したワイヤードロジックに比べて開発が容易であり,複雑なオペレーションを実現可能という長所を持つが,速度の面では不利である.8086はマイクロプログラムによって,V33はワイヤードロジックによって作られている.VMテクノロジ-のPLAは2つの方法の長所を兼ね備えたものといえる.PLAでは,ワイヤードロジックとほぼ同様な論理回路も構成可能であり,かつ通常のプログラムに似た手法で,内部の論理設計も可能としている.
CMOS(相補型金属酸化膜半導体)
 大規模な集積回路を実現する際には,MOS(金属酸化膜半導体)によって構成することが多い.とくにCMOSは,消費する電流が小さく,したがって発熱も少ない.10万トランジスタを越えるLSIでは,発熱を抑えるためにCMOSを採用することが多い。
ECL(Emitter Coupled Logic)
 デジタル回路のゲートの種類は,大きく分けて飽和型と非飽和型がある.TTLやCMOSのようなゲートは飽和型であり,消費電力は少ないが,動作速度はやや遅いという特徴がある.これに対してECLのような非飽和型のゲートは,トランジスタが飽和しない領域で動作するため,高速な動作が実現できる.
GaAs(ガリウムひ素)
 ガリウムひ素を使用したゲートは非常に高速に動作可能であり,次世代の半導体技術として注目されている.
キャッシュメモリ(Cache memory)
 主メモリのアクセス速度の改善のために,主メモリとCPUの間に組み込まれる非常に高速なメモリ.メモリの読み出しの要求があった場合,キャッシュメモリ上に当該番地のデータがあれば,高速にCPUにわたすことができる.一般に,書き込みについては,かならず主メモリにも書き込まれるようにしている.頻繁に使用されるオペレーティングシステムのルーチンなどは,キャッシュ上に常にあるような形になるため,数Kbytesのキャッシュでも実行速度の向上が見込める.
RISC(Reduced Instruction Set Computer)
 RISCの基本的な考え方については,本文中で詳しく紹介したが,IBMは,このRISCに関しての基本特許が同社にあるとして,サンマイクロ,アポロコンピュータに対して特許侵害の警告を出しているといわれ,今後の動きが注目される.一方,HPは,IBMの801プロジェクトのマネージャであったJoel S. Birnbaum氏をスカウトし,Spectrumプロジェクトを遂行した.HPでは,RISCではなくPrecision Architectureと呼んでいる.マイクロプロセッサの2大勢力ともいえるモトローラとインテルのうち,モトローラが88000ファミリを発表したことで,インテルの動きが注目されるが,同社はすでに組み込み型の80960というRISCプロセッサを発表しているほか,汎用CPUでも開発中といわれる.さらに,最近では,RISCに消極的だといわれていたDECも,MIPS社とRISCプロセッサについて接触しているというニュースが伝わっている。
ABI(Application Binary Interface)
 サンマイクロはAT&Tとともに,UNIX System Vの次のバージョンの開発をすすめている.従来のUNIXでは、Cのソースレベルでの互換性しかうたわれていなかったが,このシステムでは,ABIというプロセッサごとのバイナリ形式を規定し,ちょうどMS-DOSのような扱いやすさをねらっている.パーソナルコンピュータのアプリケーションのように,誰もがシュリンクされたパッケージを買ってきたら,そのまま自分のUNIXマシンで安心して使えるようでなければならない.これにより,UNIXのユーザーのみならず,ソフトウェアを開発するメーカーもリスクを回避できるという考え方である.
Mach
 カーネギーメロン大学(CMU)では現在Mach(マック,マークともいう)計画なるプロジェクトが進行中である.Machとは,CMUで開発されているコンピュータ環境のOSの核(カーネル)で,並列CPUを意識して設計されている.また上位のインターフェイスはUNIXの4.3BSDと同じ呼び出しとなっているので,ユーザーはBSDを使用しているかのごとくプログラミングすることができる.このMachを採用したコンピュータには、Encore Computert社のMultimax310があり,最大20個のNS32332を載せ40MIPSを実現しているという.
懐かしい。V33がワイヤードロジックだと書いてある。確かi486もワイヤードにして高速化を図ったと記憶している。記憶が正しいかどうかはスクラップしていくと分かる。
Machは「マック、マーク」ではなく「マッハかマーク」ではなかったろうか。記憶違いかもしれない。
ECLとABIは全く記憶にない。


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ハード・ソフト他(月刊ASCII 1988年9月号3) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS からハード・ソフトその他の記事をスクラップする。

日電が132bit CPU, V60/70用のコ・プロセッサを出荷
ASCII1988(09)b05V6070用コプロセッサ_W520.jpg
残念ながらV60を載せた製品を触ったことも見たこともなかった。日電もこうした営業的に失敗したにもかかわらず倒産することもなかったということはPC-9801シリーズで相当利益を出したということか。

三菱電機LSI研究所がμITRON仕様のOSを内蔵したチップを開発
ASCII1988(09)b05三菱μTRON_W520.jpg
34年前はこうして各社とも新製品開発に注力していた。

日電がCMOSの4Mbit紫外線消去型PROMを出荷
ASCII1988(09)b05日電PROM_W520.jpg
世界で初めて4Mbitを製品化したとのこと。

富士通が世界最高速の256Kbit CMOS SRAMを発売
ASCII1988(09)b05富士通COMSSRAM_W520.jpg
これも世界最高速とか、当時は日本の技術が世界最高水準でありこれがずっと続くと思っていた。

シャープ,大型カラー液晶ディスプレイを開発
ASCII1988(09)b08シャープ液晶_W502.png
34年前の大型とは640×240ドットだった。液晶のシャープは世界最先端の技術を持っており、他の国に負けるとは思っていなかった。特に、中韓なんかには追い付かれるなんて想像もつかなかった。

東芝,静止画テレビ電話を発売
ASCII1988(09)b14東芝静止画テレビ電話_W508.png
テレビ電話は全く浸透しなかった。商品予測は難しいものだ。

LSIロジック,PS/2互換チップセットを発売
ASCII1988(09)b14LSIロジックPS2互換チップ発売_W501.png
IBMの互換機潰しを狙ったマシンであるPS/2も互換機ビジネスを撲滅することはできなかった。

シーシージー,Lotus 1-2-3用のアドインソフトを発売
ASCII1988(09)b08シーシージーLotus123アドイン_W498.png
この号には1-2-3用のアドインソフトの広告がいくつかあった。当時アドインブームがあったのだろうか。私はアドインは使わなかった。マクロである程度のことはできたからだ。

ダットジャパン,Lotus 1-2-3用のアドインソフトを開発
ASCII1988(09)b10ダットジャパンLotus123アドイン_W502.png
これはカード型データベース機能を実現するアドイン。この記事のタイトル空白の使い方変ではないか。ASCII EXPRESSの記事はやっつけ仕事が散見される。

AMR,Lotus 1-2-3用のアドインソフトを発売
ASCII1988(09)b14AMRLotus123アドイン_W501.png
これはデータコンバータか。

ロータス,Lotus 1-2-3などをB16に移植
ASCII1988(09)b16Lotus123B16に移植_W504.png
米国ならこんなことはしなくてもよかったのに、日本ではPC-9801の天下だったので他の会社のパソコン用に移植しなけれならなかった。MS-DOSで動くアプリなのに互換性はなかった。私たちはMS-DOSはOSでなくローダーだとバカにしていた。まあ、それも8086が8bitに毛が生えたような低性能のCPUだったからしょがないことだった。私は8086が天下を取ったことをが心から嫌だった。

マイクロソフト,Microsoft ChartをAXに移植
ASCII1988(09)b10マイクロソフトChartをAXに移植_W504.png
これもなんというかMS-DOSは困ったものだ。

IBM PC用ワープロソフトを98で動作させるソフトを発売
ASCII1988(09)b10ESJ98用エミュレータ_W502.png
ESJという会社が発売した。Word Perfect Ver.4.2をPC-9800シリーズ上で動作させるエミュレータだった。需要があったというのが不思議だ。素直にIBM PCを使っていればいいではないか。

ヴァルソフト販売,電車網案内ソフトをバージョンアップ
ASCII1988(09)b16電車網案内ソフト_W508.png
「駅すぱあと」のことだが、34年前は電車網案内ソフトと言われていたのか。

システムポート,文書コンバータをバージョンアップ
ASCII1988(09)b08システムポート文書コンバータ_W497.png
ワープロ専用機のデータをMS-DOSのテキストファイルに変換するPC-9801用ソフト。色々出ていた。

韓国標準データベースソフトに日本製ソフトを採用
ASCII1988(09)b10韓国日本製ソフト採用_W503.png
34年前韓国のパソコンソフト産業はまだ立ち上がっていなかったということか。

ソフトメーカー11社,米国にソフト会社を設立
ASCII1988(09)b06米国にソフト会社を設立_W505.png
ゲームソフトを米国向けに移植販売する組織でKyodai Software Marketing社。キョーダイね。なんとも微妙な名前だ。

IBM,X/Openに参加を表明
ASCII1988(09)b04IBMXOpen参加_W499.png
Linuxから入った私には分からない。

富士通,X/Openに日本で初めて株主参加
ASCII1988(09)b08富士通XOpen株主参加_W500.png

NTT,パソコン通信用の新ネットワークサービスを開始
ASCII1988(09)b04NTTパソ通料金_W507.png
使ったことがない。とにかく高そうだ。

IBMが世界で初めてベンゼン分子の映像化に成功
ASCII1988(09)b10IBMベンゼン分子映像化_W504.jpg
IBMの技術は飛びぬけていた。こういった基礎的な技術を持っているのが凄いと思った。「走査型トンネル顕微鏡」名前だけでも凄いと思ってしまう。

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コンピュータ・ワープロ(月刊ASCII 1988年9月号2) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS からパソコン・ワープロの記事をスクラップする。

沖電気,32bitパーソナルコンピュータを発売
ASCII1988(09)b04沖if800EX_W504.png
浅香唯パソコンのif800。80386(16MHz)でパーソナルコンピュータとなっている。シャープのAX386も同じCPUなんだけど広告ではパーソナルワークステーションといっている。どう違う?
if800EX110Fが74万8000円
if800EX120Fが81万8000円
if800EX110Hが106万8000円
if800EX120Hが113万8000円

NTTデータ通信が80386マシンを今秋から発売
ASCII1988(09)b13NTT80386マシン_W520.jpg
CPUは80386(16MHz)
標準モデルで113万円

YHPが68030を搭載したエンジニアリングWSを発表
ASCII1988(09)b07YHP68030WS_W520.png
CPUが16.6MHzの68030でエントリー構成で288万3000円
68030を使えばワークステーションか。

日本NCRが68020を搭載したWSを発売
ASCII1988(09)b07日本NCR68020WS_W520.jpg
CPUが16.7MHzの68030で51MbytesHDD内蔵タイプで147万円。2年間で1万2000台の販売予定。
YHPマシンとCPUのクロックが微妙に違うのはどうしてなのか。

日本アポロコンピュータが68030を搭載したWSを発売
ASCII1988(09)b13日本アポロコンピュータ68030WS_W520.jpg
CPUは80386(33MHz)で最小構成で425万円から

シャープ,52ドットプリンタを搭載したワープロを発売
ASCII1988(09)b04シャープワープロ_W501.png
ミニ書院WD-652 本体価格19万8000円。売りは52ドットプリンタ。

ミノルタ,日本語ワードプロセッサ2種を発売
ASCII1988(09)b08ミノルタワープロ_W500.png
MWP172が22万8000円。重量が約12kgとあるが、34年前のユーザは重量が気になったのだろうか。

リコー,HDDを内蔵した日本語ワープロを発売
ASCII1988(09)b12リコーワープロ_W505.png
リポート5300で本体が55万円。重量が15kg。

富士ゼロックスが文書編纂機能を強化した8083-JスターIIを発売
ASCII1988(09)b07富士ゼロックス8083-JスターII_W520.jpg
これはパソコンか?ワープロか?
26Mbytes HDD内蔵タイプが198万円

日電が企業内印刷用のDTPシステムを発売
ASCII1988(09)b13日電DTPシステム_W520.jpg
NECパブリッシングシステムEP-5000。価格は340万円。年間2500台の販売見込み。
企業内印刷用ってなんでそこにこだわったのか。

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パソコン広告(月刊ASCII 1988年9月号1) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

もう一度読み返し、スクラップする。
ASCII1988(09)表裏_W520.jpg
裏表紙はFM77AV40EX/20EXだった。

ASCII1988(09)見開ppt_W520.jpg
表紙見返しはいよいよ売れ筋のPC-9801VXの後継たる80386マシンのPC-9801RAが登場した。従来のMS-DOSアプリが高速で動くこういうマシンが一般ユーザは欲しかった。

ASCII1988(09)a01PC88VA_W520.jpg
PC-88VAの広告。斉藤由貴は前号の使いまわし。

ASCII1988(09)a02小沢なつき_W520.jpg
小沢なつきを前面に押し出している日電のモデムとプリンタの広告。前号の使いまわし。

ASCII1988(09)a03ペンタブPC-VAN_W520.jpg
左側の日電のペンタブは前号の使いまわし。

ASCII1988(09)a04AX386_W520.jpg
シャープのAX386の広告。ワークステーションだと言っている。

ASCII1988(09)a05X68000_W520.jpg
シャープのX68000は前号の使いまわし。

ASCII1988(09)a06J-3100SGT_W520.jpg
左頁が東芝J-3100SGT101の広告。前号の使いまわし。

ASCII1988(09)a07FM77AV40_W520.jpg
南野陽子の富士通FM77AV40。前号の使いまわし。

ASCII1988(09)a08FMR_W520.jpg
富士通FMRシリーズは前号の使いまわし。

ASCII1988(09)a09浅香唯if800_W520.jpg
久しぶりに見たif800の広告。しかし、これはもはや浅香唯の広告というべきだ。if800EX110・120が右隅に小さくあるだけだ。

ASCII1988(09)a10HyperrCard_W520.jpg
アップルジャパンによるHyperCardの広告。前号の使いまわし。

ASCII1988(09)a11PanacomM1左_W260.jpg
ASCII1988(09)a11PanacomM2折_W520.jpg
ASCII1988(09)a11PanacomM3折_W520.jpg
ASCII1988(09)a11PanacomM4右_W260.jpg
Panacom M の広告。ソフトがたくさんありますよ。前号とほぼ同じだだが、最後のあおりが前号は「働き盛りの、ソフト1,000本です。」この号は「充実のソフト。すぐ役立つ32bit。」

ASCII1988(09)a12NAVI_W520.jpg
キヤノンのNAVI。独自ソフトがたくさんありますという広告。前号と少し違う。

ASCII1988(09)a13LASERSHOT_W520.jpg
キヤノンのレーザーショット。

ASCII1988(09)a14Mac_W520.jpg
キヤノン販売によるMacの広告。前号の使いまわし。

ASCII1988(09)a15PC-286_W520.jpg
エプソンのPC-286の広告あおりをスクラップする。
フォルクスワーゲン、T型フォード、日本でいえばさしずめ30年代のパブリカだろうか。国民車という使い勝手のいい安いクルマが登場して、クルマの大衆化へのきっかけを作った。パソコンにもそろそろそんな国民機が現れていい時期にさしかかったと思う。
▼国民機とはどんなパソコンなのか。まず、使えるソフトが豊富に揃っていること。ソフトあってのパソコンである。いま、日本でもっとも充実しているのは、98ソフトと呼ばれるソフト群である。その数およそ6000本。1本開発するのに、半年かかることを考えると、じつに3000年ぶんものエネルギーが投入されている。もはや貴重な国民資産といっていい。これを無駄にする手はない。むしろ、これがそっくり使えるマシンを作れば、使う人のメリットはもっと大きくなる。はやい話が、ソフトに合わせてマシンを開発すればいいのである。となれば。できてくるマシンは当然、より速い、使いやすいものになるはずだ。また、そうでなければ作る意味はない。もっとも、これを成し遂げるにはハード分野での高い技術の裏付けが不可欠なのだが。エプソンにはそれがある。
▼国民機としてなによりも重要なのが、値段が手頃なことだ。かつてクルマが、ビデオがそうだったように、先端技術は手頃な価格の製品となってはじめて多くの人々の生活に根づいていく。より多くの人に先端技術のメリットを手にしてほしいから。エプソンがパソコンの国民機を世に問う意味はここにある。もうパソコンは一部のマニアや技術系の人のためのむずかしげなメカではない。たくさんの人が、仕事に、暮らしに役立てることができる素晴らしい道具である。そういい切っていい時代になってると思う。
なかなか面白いあおりだったと思う。
 さて「コンピュータ、ソフトなければただの箱」とよく言われていた。34年前のパソコンは今とは違いソフト無しの状態で売られていた。今でも箱だけパソコンを売っているところもあろうが、ほとんどはソフト付きで買えば一応のことはできる。34年前はBasicは添付されているがMS-DOSは付いてなかった。当然MS-DOSを買って始めるわけだが、コピーが蔓延していた。アプリもゲームもだ。そのコピーが手に入りやすいのはPC-9801だった。だから他社がうちの機械でもソフトはこんなにありますよと言ってもダメだった。コピー品が蔓延しているソフトがどれだけあるかが勝負だった。PC-9801で動くゲームはできが良かった。ハードに依存したプログラムを書いていたからあの速度がでた。そういったわけで、沢山あるコピーソフトが動きますよがエプソンのPC-286だった。完全互換とは言い難く、ゲームソフトでは動かないものもあった。ゲームをしたい人はやはり本家のPC-9801シリーズを買っていた。ビジネスソフト系をメインで使う人はPC-286で問題はなかった。

ASCII1988(09)a16WORDBANKnote_W520.jpg
左頁がEPSONのWORD BANK NOTE2の広告。前号の使いまわし。

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ジャストシステムのduet。

ASCII1988(09)a18シルエット_W520.jpg
ジャストシステムのシルエット

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ジャストシステムの一太郎。

ASCII1988(09)a20花子_W520.jpg
ジャストシステムの花子。

ASCII1988(09)a21FUJIFILM_W260.jpg
裏表紙裏はFUJI FILMのフロッピーディスクの広告で前号の使いまわし。

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命令キャッシュ・割り込み・パソコン通信他(月刊ASCII 1988年8月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

「なんでも相談室」ではハード関係で結構良い解説記事があった。読み返すと懐かしい。この号からは「命令キャッシュの仕組み」と「割り込みということ」をスクラップする。

命令キャッシュの仕組み
Q:MC68020などのMPUではチップの中に命令キャッシュを持っているそうですが,そのような命令キャッシュは具体的にはどの様な効果があるものなのですか?
A:元来キャッシュ・メモリは、低速な記憶装置と高速な記憶装置の間にあるアクセスタイムの差(ギャップ)を吸収して,実行速度を向上させることを目的として考案されたものです.対象となる低速の記憶装置よりも高速・小容量の記憶装置(メモリ素子)で構成されます.例えば,ディスク・キャッシュでは低速な記憶装置にディスク装置が該当し,高速な記憶装置には主記憶装置が該当します。モトローラ社のMC68020(以下68020)などに搭載されている命令キャッシュでは、高速なMPUの実行速度(内部レジスタ)と低速な主記憶装置との仲立ちをしていることになります.
 1987年2月号のこのコーナーにディスク・キヤッシュについての記事が掲載されましたが,オンチップ・キャッシュ・メモリも基本的には同じ考え方に基づくものです.キャッシユ・メモリの基本的な動作原理や置換アルゴリズムについては今回はふれませんので,そちらを参考にしてみてください.
 さて,ご質問の68020に内蔵されている命令キャッシュは、プログラム・コードのみを対象とし,データはキャッシュとは無関係です.68020では主記憶へのアクセス方法がプログラム・アクセスとデータ・アクセスに分かれています.プログラム・アクセスによる書き込みは禁止されているので,この命令キャッシュではメモリへの書き出しの必要がありません.
 68020のオンチップ・キャッシュの構成は図4のようになっています.全容量は256bytesで,ロングワード64個のエントリから構成されています。各エントリは2ワード(32bit)の命令データ(コード)が格納される場所と,その命令が主記憶上でどのアドレスに該当するものであるかを示す認識票のようなものと,1個のV(valid;有効)ビットから構成されていると考えてください認識票はタグと呼ばれるもので,プリフェッチ・アドレス(命令先読みアドレス)の上位24bitとFC2の値から構成されています.FCとは,各バス・サイクルのアクセスの種類を表す3bitからなる信号です.FC2の値によって,そのアクセスの対象がUser領域かSupervisor領域がを判断することができます.また,アドレスの下位8bitのうちbit2からbit7までの6bitをインデックスとして用い64個のエントリから1つを選択し,bit1で2ワードのうちのどちらを選択するかを決定します.
 このように命令の格納されているアドレスから,キャッシュ中で格納される位置が決定される方式をダイレクトマッピング方式と言います.ダイレクトマッピング方式の利点は、複雑なアルゴリズムをもって命令データの置換動作をするわけではないので,ハードウェアが簡潔なもので済み、オンチップ化しやすくなります.キャッシュがオンチップ化されれば、外付けすることと比べてその分ハードウェアの設計が単純化されます.
 次に,動作の概要を説明しましょう.図4をごらんください。次にアクセスされる命令のアドレスから前述の方法でエントリを選択し,タグとアドレス(およびFC2)を比較した結果がマッチしていて、かつそのエントリが有効である場合にキャッシュ・ヒットとなり,マッチしない場合や無効である場合はミスになるというものです.ミスした場合は,その命令が格納されているアドレスから得られるインデックスが適合するエントリに新しい内容として書き込まれます(古いデータは捨てられます)
 ヒット率は,プログラムを次のように2つのグループに大別して示されます.プログラム・グループ1は,プログラム・アクセスの頻度がデータ・アクセスに対して2倍以上のもので,プログラム・グループ2はその逆に2倍以下のものです.グループ1に対するヒット率は約65%で,グループ2では約30%となるそうです.
 命令キャッシュ(をRAMと見立てた場合)のアクセス・タイムは動作クロックやMPU周辺のハードウェア構成に左右されるので一概にどの位の速度であるとは言えませんが,クロック20MHzの68020が理想的な状態で使用されるとしたら,だいたい20n秒~30n秒のSRAMを外部に備え付けた場合と同等の速度になるようです.内部的には、キャッシュのアクセスは2サイクル・タイムで行われるので,命令のパイプライン処理によって,実際のアクセスにかかる時間がその前の命令の実効時間に吸収されてしまい、外から見るとアクセスに掛かる時間がほとんどゼロになってしまうこともあります.
 また,この命令キャッシュの使用、未使用はプログラムから専用のレジスタを介して制御可能です。
 図5は、MPU上のキャッシュ・メモリを含んだコンピュータシステム全体の記憶装置の構成を表しています.低速大容量のディスク装置から高速小容量のキャッシュ・メモリまで,記憶装置が階層構造をなしていることが解ると思います.このように,記憶装置を階層構造化することのメリットには,マルチタスクOS(仮想記憶)への対応とコストの問題があるわけです.
 コスト面以外のメリットとして,もう一つ忘れてはならないことがあります.それは,バスの開放時間の増加です.オンチップ・キヤッシュ・メモリを持っていると,キャッシユ中でヒットしている限りは,MPUからのバスアクセスが激減します.MPUのバスの使用時間が減ることは,そのまま他のバスマスタがバスを占有する時間が増えることになります.他のバスマスタとは、DMAC(ダイレクト・メモリ・アクセス・コントローラ)などに代表されるものです.
 その時間の増加は,システム全体のスループットが向上することに他なりません.コンピュータシステムはMPUと記憶装置だけでないことは周知の事実です.MPUの演算処理能力もそうですが,周辺機器へのI/Oが効率良く稼動されてはじめて優れたコンピュータシステムと言えるので,バスが開放されている時間が増加することは非常に大切です.
 こうしたキャッシュ・メモリは、システム全体を通してコストの面と性能の向上に盛ながら役立っているものであることが解ります.そして,これからのマルチタスクのシステムを考えるときには,コンピュータシステム全体を通して微妙なバランスを保持することができなくては,実用的なシステムとして通用しません.オンチップ・キャッシュなどは,そうしたバランスを保つためのアイデアの1つとして捉えることができると思います.(梅田)
参考文献「MC68020ユーザース・マニュアル2ndEditions,MotorolaInc,CQ出版資料提供日本モトローラ(株)

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CPUのキャッシュメモリはこの頃から用いられ始めた。CPUが高速になりメモリが追いつかない時代になってきた。8bit機の時代はただでさえ遅いCPUをWaitをかけて減速して動かしても売れていた時代があった。こうしたときNo Waitが売りだった。なんだか情けない感じがする。

割り込みということ
Q:「ハードウェア割込」とか「ソフトウェア割込」という言葉をよく耳にしますが,この二つはどう違うのでしょうか.またi8086などの機械語命令に「割込命令」というものがありますが,何をする命令なのでしょうか.
A:割込とは、簡単に言うとCPUが外部機器から信号を受けたりCPU内部でエラーが発生したとき,その時点で実行中のプログラムを中断して,一時的に他のプログラムを実行する動作のことです.このうち、外部機器(ハードウェア)からの信号で発生する割込を「ハードウェア割込」や「外部割込」といいます.これに対して,CPU内部のエラーや,ある種の命令を実行することで発生する割込を「ソフトウェア割込」または「内部割込」といいます.
 まず,ハードウェア割込がなぜ必要なのか,どのように使われるのかについてお話ししましょう。
 コンピュータの動作はごく簡単にいうと,入力機器から入力したデータを,CPUが加工・計算し,結果のデータを出力機器に送ることの繰り返しです。ところが,入力機器や出力機器などの外部機器とCPUは、動作する速度がかなり違います。CPUが外部機器の動作を待っているのでは、効率が悪くなってしまいます.そこで,必要なときにだけ外部機器がCPUを呼び出して,データのやり取りを行えるように考え出されたのが「ハードウェア割込」なのです.
 CPUは外部機器から割込要求の信号を受けると,その時点で実行している処理を中断し,割込を要求している外部機器とデータのやり取りをする処理を行います.その処理が終った後は、さきに中断されていた処理を再開します。割込が発生したときに呼び出されるサブルーチンのことを,「割込処理ルーチン」や「割込ハンドラ」と呼びます.
 割込ハンドラはCPUに対して割込を要求する機器ごとに必要となります.実際のコンピュータでは,システムソフトウェアであるオペレーティングシステムやBIOS(Basic Input/Output System)の中に含まれています。
 ハードウェア割込の簡単な例を挙げてみましょう.
 PC-9801シリーズのキーボードは、キーが押されると,本体へ割込を起こす電気的信号が送られ,同時にキーの番号とキーが押されたことを示すデータがI/Oポートに送られます.CPUは割込の信号を受けると,その時点で実行している処理を中断し,I/Oポートからキーデータを受け取ってキーバッファと呼ばれるメモリ領域に保存します.その処理が終わると,元の処理の続きに戻ります.プログラム中でキーボードからのデータが必要なときは,キーバッファの内容を読み出します.
 このように,割込を利用することによってキー入力をバッファに蓄え,必要な時点にすぐ読み出せるようにすることを,「バッファリング(buffering)」と言います.バッファリングを行わないと,CPUがキー入力の処理を行っているとき以外に押されたキーのデータは無視されてしまうので,キーの反応がたいへん悪くなってしまいます.
 また,外部機器の中には一部のデータ通信装置のように外部との同期をとりにくいものがあります.このような機器とデータをやり取りする場合,できるだけ速やかに行わなければいけません.もし,このような機器からデータを受け取っている最中に割込が発生すると,データが抜け落ちてしまうことがあります.そのようなことがないよう,ハードウェア割込では外部機器の性質に応じて優先順位を定め、優先順位の低い機器からの割込を後回しにすることができます.
 このほか一時的にある機器の使用を止めたいときなどに,その機器からの割込を無視したりすべての割込を同時に禁止したりすることもできます.これを,割込のマスクと言います。
 例えば,PC-8801シリーズでCRTコントローラからの割込をマスクすると,画面書き込みを高速に行うことができるようになります(もっとも,書き込んでいる間は画面が真つ黒になってしまいますが...).
 8086系のCPU(i8086,i80286,V30など)では,機器毎に優先度を定めたり割込をマスクする,割込コントローラと呼ばれるICを使います,8086系CPUに使われる割込コントローラ8259Aは,1個で最大8つまでの外部機器を接続できるようになっています.また,複数個を図6のように接続することによって,もっと多くの割込信号を取り扱うことができます.8259Aは8本の割込信号の優先度や任意の割込信号のマスクを,CPUから設定できるようになっています.
 通常の外部割込は,割込コントローラのマスクレジスタや,CPUの割込マスクフラグをセットすることによって,マスクできますが,電源の異常やCPUが暴走状態になった場合など、緊急時に割込がマスクされていると,CPUを正常な状態に戻すことができなくなってしまいます.そのため,マスクされることのないNMI(Non Maskable Interrupt)と呼ばれる割込が用意されています。NMIは,CPUのNMI端子に電気的信号が送られたときに発生します。NMIと通常の割込は、マスクできるかできないかの点以外は,ほとんど同じと考えてよいでしょう.
 ハードウェア割込の話はこのくらいにして,次にソフトウェア割込について簡単に説明します。 ソフトウェア割込には,「割込命令」を実行した結果起こるものと,その他の命令を実行した結果CPU内部に例外的な状態が発生した場合に起こるものがあります.
 ご質問の通り,8086系CPUには“int n”という割込命令があります.この命令を実行すると,CPUはオペランドで指定した番号の割込ハンドラに制御を移し,その処理が終つた後は元のプログラムの実行に戻ります.つまり,普通のサブルーチンコールとほとんど同じことをするわけです.サブルーチンコールと違うのは、サブルーチンのアドレスを指定するのではなく,割込ハンドラの番号(割込ベクタ)を指定することと,サブルーチンを呼び出すときにCPUの内部状態を示す「フラグレジスタ」をスタックに退避する点です.
 MS-DOSではOS内部のサブルーチンを利用するファンクションコールに割込命令が使われています.割込命令では、サブルーチン(割込ハンドラ)のアドレスが,「割込ディスクリプタテーブル」と呼ばれるメモリ上の領域にまとめて書かれているので,ユーザープログラマはOSの具体的なアドレスを知らなくてもよいのです.そのためサブルーチンコールを使う場合に比べるとプログラムが解りやすくなり,命令のバイト数も少なくて済みます(int xxhは2バイト,call [segment:offset]は5バイト).一方,CPU内部でエラーが起こったときに発生するソフトウェア割込を,「例外割込」といいます.例えば,除算命令で除数を0にしてしまった場合や,デバイスの存在しないアドレスにアクセスしようとした場合など,プログラム実行中に致命的なエラーが起こるとCPUがエラー状態のまま止まってしまうことがあります.そこでこのようなエラーが起こった場合に,CPUが自分自身に割込をかけてエラー処理のルーチンを起動するのが例外割込です。
 68000系のCPUは,CPUの内部に実装されていない命令を実行すると,例外割込が発生します.これを特に「トラップ(trap=わな,落し穴)割込」といいます。MC68000などをCPUにもつ,MacintoshのOSでは,命令コードがA000hからAFFFhまでのトラップ割込をOSコールに使用しています.16進表示で最上位の桁が“A”であることから,これを「Aライントップ」と呼びます. 同じく68000系のCPUでは,数値演算コプロセッサの制御に未実装命令コードF000hからFFFFhまでの「Fライントラップ」を使用します。従って,Fライントラップの割込処理ルーチンでコプロセッサの機能をエミュレートすることによって,数値演算コプロセツサを装備していないシステムと装備しているシステムで,速度の差はあるものの,全く同じプログラムを実行することが可能になります(余談ですが,モトローラ社ははじめ、MC68000のAライントラップを命令セットの拡張用にと考えていたのですが,アップル社がMacintoshのOSで使ってしまったため,Aライントラップの使用をあきらめたという話もあるそうです).
 MC68020,i80286,i80386といった,最近の16~32ビットのCPUでは,複数のプログラムを見かけ上同時に実行できるマルチタスクのOSが走るようになっています.マルチタスクOSでは,例外割込を巧妙に利用することで,実行するプログラムを切り替えたり,不当なメモリアクセスが行われないように監視したりします.
 この他,よく使われるソフトウェア割込に「シングルステップ割込」があります.シングルステップ割込とは,1つの命令を実行する度に発生する割込で,主にプログラムのデバングに使われます。
 以上,割込の種類と働きについてざっとお話ししてきましたが,割近に関する話はまだたくさんあります.簡単なアプリケーションプログラムを書いたりする限りでは割込のことを意識しないで済みますが,ハードウェアを直接操作するプログラムを作るときには割込の知識が必要になります。割込の処理のしかたはCPUによって,また同じCPUを使っていても機種によって少しずつ違いますので,各機種のマニュアルやCPUのマニュアルなどを参考にしてみてください。(竹田)

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「速度命」を信条としてプログラムを書いていたので当然割り込み命令も使った。たまに割り込み禁止をするのを忘れるバグを発生させしばらく悩んだことを思い出す。

パソコン通信が広まってきた時代の入門記事をスクラップする。
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面白いと感じた部分は
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今では当たり前のネットでの買い物、34年前はパソコン通信でやっていた。パソコン通信で買い物ができるとは凄いことだと思っていたというかできることを知らない人たちがいた。
パソコン通信は敷居が高かった。大前提としてパソコンが必要だった。パソコンを持っていない人が興味を持って参加することがあり、私たちは宣教師よろしく買い物に付き合い、初期設定をしてパソコンの使い方を教えることから始めた。私たちは、なんとおせっかいな奴らだったのだろうか。
パソコン以外にモデム代
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通信ソフト
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ネットワーク
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とかなり金がかかった。そのうえ電話代テレホーダイが懐かしい。
昔のパソコン通信は電話代が高かったし、アクセス料金というものもあった。まあ、今でも「ギガが足りない」だとか言っているし、課金があるので同じことか。
アクセス料金と電話代・・・
つきあい方しだい

 イニシャルコストがCDプレイヤー代だとすると,CDのディスク代に相当するのが,アクセス料金と電話代だ.アクセス料金は,実験運用期間中には気にならなかったが,現在では,ほとんどのネットワークサービスでなんらかのアクセス料金が徴収される.アクセス料金には,大きく分けて,固定料金制と従量制の2つの体系がある.各ネットワークの料金体系については,表4に示した.従量制で予算よりもアクセスし過ぎるとどうなるかはわかりますよね.
 そして,ネットワークユーザーが,アクセス料金とともに恐怖しているものが電話料金だ(その前に電話がないと話にならないのだが,これはむしろイニシャルコストの方に入る).3分10円なら1時間でも200円じゃないかという油断が,破綻を招く.メールを読んで返事を書いたりして,いつも見ているボードをざっとながめたら,最低でも15~30分はかかるし,興味のあることをちょっと調べてみたり,プログラムのダウンロードやVOICEなどを始めたら1時間,2時間で済まないこともしばしばである.さらに長距離となると,あっという間に10万,20万というオーダーになってしまうこと請け合い.だから,首都圏以外の地域に住んでいる人は,アクセスポイントが近くにないBBSでは,情報の入手などを中心に気をつけて使うようにし,ホームグラウンドは、近くにアクセスポイントのあるBBSにするのが賢明かもしれない.


「三馬鹿大将」TVで観てた。
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とにかく笑った。エピソードは一つも覚えていないけれど、腹を抱えて笑った記憶がある。
歌も覚えている。「うひはーへんちくりんへんちくりんのどんぷかどん」で始まる歌。「ラリーだモーだカーリーだ」

最後は映画の「アキラ」34年前だったのか。
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「わずか48秒のCGパフォーマンス」だと。
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実写と違いアニメならCGを使わなくてもいいように思った。どれだけ効果があったのかは分からない。
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シャープAX386・Excel(月刊ASCII 1988年8月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

PRODUCTS SHOWCASEのパソコンはシャープAX386だった。
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前回のスクラップ「Windowの向こう側・OS2・編集部から(月刊ASCII 1988年8月号5)」では
>以前のハードウェアであれば,こうした処理は,大変な負担だった.グラフィック処理中心のアプリケーションを動かすと「画面がズルズル」と動き,お世辞にも「快適」とはいえない,というのがユーザーの印象であった.しかし,10MHzの80286なら実用的な速度で,80386ともなると,グラフィックであることさえ意識させない速度となる.
なんて記事にあったが、そんなことはない。結局AX386でもGSPを搭載して高速なグラフィック処理をしていた。それほど86系のCPUは力不足だった。そこでアセンブラでゴリゴリハードウェアを直接操作するプログラムを作らなければ満足のいく速度が出なかった。
シャープはここでMZ-2861による独自路線を止めAXに乗り換えたのだろうか。この後MZの新機種は登場したのか。今後もスクラップを続けながら確かめる。

「123への挑戦 統合化ビジネスソフト Microsoft Excel」の記事を抜粋してスクラップする。
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 今月はMicrosoftのExcel(IBM PC版Ver.2.0)を取り上げる.Excelはスプレッドシートを主体とする統合型ビジネスソフトウェアで,強力なマクロ機能をそなえたスプレッドシートに,簡便で種類の豊富なビジネスチャート作成機能と,簡易データベース機能をあわせ持つ優れた製品である.
 Excelは,最初Macintosh用としてリリースされた.どちらかというと実用的なソフトの手薄だった初期のMacであるが,Excelの登場によってビジネスユースでも非常に大きな威力を発揮できることが証明され,ExcelはMacの販売台数を伸ばす大きな牽引力となった.強力な機能とMac特有の扱いやすいユーザーインターフェイスがあいまって,非常に高い評価を一貫して受け続けてきたソフトである.Mac版Excelの売行きは発売以降もずっと衰えを見せておらず,現在でもMac用ビジネスソフトの売上チャートの1~3位あたりを常に占めている.
 今回紹介するのは,そのExcelのIBM PC版で、昨年の11月に発表されたものである.PC版のExcelはMS-WINDOWS Ver.2.0上に移植されており,Mac版のマウス・オリエンティッドなユーザーインターフェイスを100%そのままにして,さらにいくつかの機能強化と速度向上が図られている。
Excelや1-2-3は表計算ソフトとかスプレッドシートとか呼んでいたが、統合型ソフトとは思っていなかった。そうだったのか統合型ビジネスソフトだったのか。DOS用のソフトとしてはマルチプランがあったのでWindows版しかなくて当然だった。だから、PC-9801を使っていたユーザにはMac版のソフトとしか認識していなかった。

1-2-3という名の機械
 さて,Excelが非常に優れたビジネスソフトであることは,すでにMacintosh上で十分証明されているが,いざこれがPC市場に乗り出すとなると,たいへんな強敵が待ち構えている.
 周知のとおり,IBM PC上のスプレッドシート型統合ソフトは、世界で最も成功したパッケージソフトといわれるLotusの1-2-3のシェアが,ほとんど独占といってよい状態にある.1-2-3は全世界に350万人の正規ユーザーがいるといわれ,文字どおりPC用ビジネスソフトの代名詞的存在である.PCユーザーの1-2-3依存度はたいへんなもので,ビジネスユースではワープロの他にはこれしか使わない,というユーザーが大半を占めるといわれるくらいだ。
 こうしたPC上でのLotus 1-2-3の普及ぶりを示すエピソードとして(私事で恐縮だが)面白い話がある.筆者の友人の1人が3年ほど前にアメリカに留学したときのこと,統計のレポートを出すのにどうしてもパソコンを使わされるハメになった。彼は文系出身のまったくのコンピュータ素人で,それまでは英文タイプライター以外にはキーボードを触ったこともなかったのだが,1-2-3の使い方を教えられて,なんと便利なものがあるのだろうと感動した.ところが,彼は帰国するまで,自分が使っていたのがLotus社の1-2-3という名前の「機械」だとばかり信じ込んでいたらしい.筆者が「あれはマシンの名前じゃなくてソフトの名前ですよ」といくら説明しても,彼は「だってみんな1-2-3と呼んでましたよ」とキツネに「つままれたような顔をするだけだった.
このような「1-2-3」一色のPC用スプレッドシート市場に対して,過去にもいろいろなソフトが斬り込みにかかったが(たとえばアシュトンテイトのFrame Workなど),この趨勢を突き崩すことに成功したソフトはいまだに出現していない.むしろ最近では,1-2-3をベースにしたアドインソフトが続々と流通しており,BorlandのQuatroのように,1-2-3との完全互換性をうたい文句にしたスプレッドシートが登場するなど,1-2-3の「小判鮫」としてのマーケティング戦略が目立つ。
まさにその通りだった。流石に日本では1-2-3という名の機械とはならなかったが、パソコンと言えばPC-9801で一太郎と1-2-3とゲームしか使わないという感じだった。

下の噂話が面白い。記憶に残っていた。
 けれどもMicrosoftのようなソフトウェアメーカーの立場に立ってみれば,Macとは比較にならないくらい大きなPCとその互換機市場に,Excelのような優良ソフトを投入することは,当然すぎるほど当然の戦略であろう.Appleがマウス操作主体のグラフィック・ユーザーインターフェイスをMacというハードウェアで実現したのに対して,MicrosoftはMS-WINDOWSというソフトウェアでそれを実現した.ハードウェアの差異をOSで吸収して,一大ソフト互換帝国を築き上げようというMicrosoftの一貫した野望からみれば,今回のExcel移植もむしろ遅すぎた感があるくらいだ.
 これについては,ウソかホントか,Appleのジョン・スカリー社長が,その自伝の中で,Microsoftとの間で交わされたExcelをめぐる裏取引にまつわる話を公開している.それによると,Macの登場後間もないころに,Appleは独自のMac用BASICを発表しようとしていたが,ビル・ゲイツはこれに強く反発して,自社のMicrosoft BASICのMac版のみが独占的に販売されるよう要求した.対するApple側は,MicrosoftがPC版Excelのリリースを向こう2年間行わない,ということを条件に,この要求を受け入れたという.
 この取引がどちらにとって有利であったかはにわかに判断し難いが,その後MicrosoftはWINDOWSの熟成に手間取ることになる.結果として、昨年末にようやくWINDOWS Ver.2.0がリリースされ,ちょうどPC側のハード的な普及条件も整ってきたところで,満を持して自信作Excelを発表できるところまでこぎつけたわけだ.
至極当然な話だと記憶に残った。エンドユーザーの私はこういった噂話が好きだった。

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Windowの向こう側・OS/2・編集部から(月刊ASCII 1988年8月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号の特集は「Windowの向こう側」と題してOS/2とWindows関連の記事だった。
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あおり部分をスクラップする。
Windowが開く
Open The Window

 1986年秋に日本で,PC-9801用のMS-WINDOWS Ver.1が登場して以来(アメリカではその前年に登場),いくつかのソフトハウスがWINDOWSのアプリケーション開発をアナウンスしただけで,あまり大きな動きはなかった。それは、そのあとすぐOS/2やWINDOWS Ver.2の発表(1987年春)が予定されていたため、メーカーによっては、MS-WINDOWS Ver.1を飛ばして,WINDOWS Ver.2やOS/2の移植にとりかかった所もあったためである.
 また,当時のアメリカと日本の状況を比べてみると、ハードディスクの装着率や80286CPUのマシンの数などで隔たりがあり,MS-WINDOWSをすんなりと受け入れる体制にはなっていなかった。そのため,WINDOWSを移植するならVer.2から,と考えたメーカーも多かったようだ。
 それから1年たった今年,ウィンドウとそれをとりまく環境はどうなっているのだろうか?
一般ユーザというかエンドユーザーの私たちは全く相手にしていなかった。雑誌で見るだけでショップで動いているところなど見たこともなかった。
以下違うなと思う部分をスクラップする。
向上するCPUパワーで何をすべきか
 現在では,国産メーカー各社の主力マシンは10~12MHzの80286,その上位機種では,16~20MHzの80386が使われている.16bitマシン登場時は,6MHzの8086あるいは8088であり、当時と比べてクロック比で2~3倍以上,CPUの処理能力では4倍以上にもなっている.
 さらに,メモリのサイクルタイムが高速化し,その容量も大きくなるにつれて,パーソナルコンピュータのシステムとしての処理速度も向上した.従来,外部記憶装置を使いプログラムをいくつかに分割しオーバーレイとして実現しなければならなかったプログラムも,すべてメモリに置けるようになったのである.
 これらに加えて,描画デバイスや高速な周辺装置などの登場も,システムを高速化している.ハードディスクを導入しただけで,プログラムの起動や処理時間が速くなった,というような部分である.
 ハードウェアの進歩により,負担だったグラフィック処理も比較的高速に行え,文字をグラフィックで表示してもテキストVRAMに表示した場合とあまりかわらない速度で処理できるようになった.グラフィック表示にすると,テキストVRAMで行う場合に比べ表示位置やフォントなど、自由度は大きい。特に最近のワープロソフトでは,画面イメージを印刷イメ-ジに近づけるようにしているため、このような処理が必要となる.
 以前のハードウェアであれば,こうした処理は,大変な負担だった.グラフィック処理中心のアプリケーションを動かすと「画面がズルズル」と動き,お世辞にも「快適」とはいえない,というのがユーザーの印象であった.しかし,10MHzの80286なら実用的な速度で,80386ともなると,グラフィックであることさえ意識させない速度となる.
 ウィンドウ環境との関連でいえば,そのオーバーヘッドが気にならない程度になってきた.従来は、アプリケーション本来の作業をするだけで,CPUは手いっぱいで,これに更にグラフィック処理を行わせていたため、遅かったのである.現在では,こうしたアプリケーション本来の処理に加えて,グラフィック処理を行っても,なんら問題のない状態なのである.
いやいや嘘だから。8086では使い物にならない位遅いので日本はテキストVRAMを考案し使えるようにした。テキストVRAMを使っていいのなら8bit機のX1-turboだって98のワープロ並みに使えるものだった。MS-DOSのプログラミング解説本はMS-DOSをバイパスして直接テキストVRAMを扱うテクニック等が書かれていた。グラフィックRAMなら当然物理アドレスに直接データを書きこんだりEGCを使ってプログラムを書かねばくそ遅いプログラムになっていた。MS-DOSのアプリがやっと仕事に使えるようなる、使い物になったと実感したのは80386を積んだPC-9801RAだった。その後発売された安価なPC-9801RXが職場に導入されたが、PC-9801RAが空いていないときしょうがなく使っていた程80386と80286の差があった。「向上するCPUパワーで何をすべきか」だと。今まで使っていたMS-DOSで快適に仕事をすることだ。何が悲しくてグラフィックなどを使ってエンドユーザがストレスを溜めねばならないのだ。この記事を読んで昔のストレスを溜める遅いマシンで仕事をしたことを思い出した。
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すべてのアプリケーションに同じものがある
 いままでのハードウェアの進歩は,主としてソフトウェア側からの要請の結果である.計算やグラフィックス表示といった処理を実用時間内に処理するには,高速なシステムが要求されたのである.
 BASIC中心の利用形態であったときには,まずグラフィックスの表示速度に要求が集中した.一部のマシンではCPUの負担を軽減するために描画デバイスを装備したり,複数プレーンに同時に書き込みが行えるようなハードウェアを装備していた.しかし,CPUの能力が上がるにつれ,CPUが直接描画したほうが高速で,また細かい操作もやりやすいとなると,高速な表示を望むアプリケーションは、描画ハードウェアを使わずそれ自身が表示を行うようになった.現在のアプリケーションのほとんどは,多かれ少なかれ、このようなグラフィック描画ルーチンを抱え込んでいる.さらにテキストVRAMに関しては,BIOSやOSのファンクションコールを使っているものは希で,ほとんどのアプリケーションにそのためのルーチンが組み込まれている.
 実は,我々のハードディスクの中には,同じようなルーチンが山のように詰まっているのである.アプリケーションによっては,処理本来の部分よりグラフィック処理のルーチンのほうが多いものさえあるのだ。
 作る側からいえば、同じようなものを何回も作る手間があり,使う側から見れば,同じようなルーチンがメモリやディスクを占有しているのである.
 こうした技術的な問題とは別に,パーソナルコンピュータが普及するにつれ,それらはどんどんオフィスに進出し,誰でもが使えるように,ヘルプシステムやわかりやすい表示をする必要が生じた.
 それらに加えて,以前から使い続けていたユーザーは,さらに高度な機能を要求するようになる.画面イメージを印刷イメージに近付けたり,コマンドを増やす,強化する,あるいは一度に扱うデータ量やファイル数を増やす,といった要求である.このため、アプリケーションはどんどん大きくなっていくのである.
 こうした問題を解決するには,アプリケーションから共通部分である表示,ユーザーインターフェイス部分をモジュールとして独立させ,それを中心に各機能モジュール(プログラム)と連動させるという方式を取ればよい(図2).
 こうしたモジュールがウィンドウシステムである.このシステムは個々の機能モジュールからは,画面表示や相互の連係を行うOSの側に属したモジュールのように見える.
 そのためアプリケーション開発者は,画面表示のためのファンクションコールを行えばよい.各モジュールは,それぞれの機能のみを実現すればよく、画面制御や他の機能との関係をそれほど考慮しなくてすむのである.
ここは同意できる部分だ。「一部のマシンではCPUの負担を軽減するために描画デバイスを装備したり,複数プレーンに同時に書き込みが行えるようなハードウェアを装備していた.」まさにPC-9801がそれだ。だから使える機械になった。ここに書いてあることは各ソフト会社が対応してきた。各社のライブラリの出来の良い悪いがそのままアプリの性能になった。まあ、しいていえば欲しいのはオーバーラップウインドウに対応したグラフィック描画ルーチンだった。高速化のためにはもちろん各機種専用になるのは仕方がない。
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CPUのパワーは余っている
 アプリケーションの実行速度は,ハードウェアの進歩により確かに速くなった.しかし、アプリケーションのうち,CPUの負荷が大きい部分はそのごく一部である.ワープロソフトでいえば,画面表示の部分などは,かなりCPUの速度に影響される.しかし,文字入力や削除などの部分は,それほど負担にはなっていない.さらに,キー入力やファイルの入出力については、CPUの速度にほとんど影響されない。ほとんどの場合,CPUの能力はまだ,余っているのである.
 大型機のバッチ処理のような形態や,純粋な数値計算のみならば,CPUを待たせることなく働かせることが可能だが,人間が直接操作するパソコンでは,こうしたCPUの「遊び時間」をなくすことはできないのである.
 CPUの「遊び時間」を有効に使う方法の1つは「マルチタスク」である.1つのプログラムを見ると,かならず何かの事象が終わるまで待つという部分が存在する.そのときに別のプログラムを動かすという発想である.このマルチタスクは、前述のアプリケーション間のインターフェイスとも密接に結びつくもし同時にアプリケーションを動かすことができなければ,それらの間のインターフェイスもあまり役にたたないのである.
 逆にOSがマルチタスクだった場合,複数のタスクからの出力をどう管理するべきだろうか?すべてのタスクが同じ画面に出力したのでは,何の出力だか分からなくなってしまう。そこで画面出力するタスクにそれぞれウィンドウを割り当てれば,出力を互いに分離して管理できるようになる.
 複数のプログラムを同時に動かすには、なんらかの仕組みが必要になる。1つはOS自体をマルチタスク化することである.OS/2(そしてPM)はまさにその方向を狙ったものであり,MacintoshのOSも制限付きではあるが,このような機能を最初から実現していた.そして,もう1つの方法は、OSとアプリケーションの間にマルチタスク化のための機構を導入する方法である.MS-WINDOWSは,こうした機構の1つである(図5).
 WINDOWSの場合,MS-DOSという限られた世界の中で,マルチタスクと疑似的な仮想記憶を実現している.
 ウィンドウシステムには,マルチタスクシステムを効率よく使うためのユーザーインターフェイスとしての側面もある.ウィンドウシステムとマルチタスクは表裏一体の関係にあるのだ.
何を言っているのか。全然違う。CPUの遊び時間をなくしたいだと。逆だ逆。人間の遊び時間をなくすべきだったのだ。パソコンなのだ。どうせ、一人一台しか使えないのだからCPUが遊んでいても何ら問題はないのだ。律速段階は人間なのだ。パソコンが空いていなければ他の仕事をして使用順番を待っていた。マルチタスクになったってパソコンを使用する業務時間は短縮されない。
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マルチタスクの実現
 WINDOWSで実現されているマルチタスクは、OS/2などのマルチタスクとは多少違っている.まず,大きな違いは,タイマ割り込みによる強制的なタスク切り替えが起こらないことだ.
 WINDOWSでは,タスクの切り替えは,MS-DOSでいうファンクションコールの発行時にのみ起こる.つまり,アプリケーションが内部で処理を続けている間は,他のアプリケーションは停止したままになる(図3).通常のアプリケーションは,キー入力やマウスの移動,ボタンの押下といった事象の発生を待ち(これも事象が発生するまで待つというファンクションコールで行う),それをもとに動作するといった形態となり,それらの事象が起こるまで処理を先に進められないので,このような方式でもそれほど問題はない.
 CPUの速度が遅いと,このファンクションコールを発行する時間間隔が長くなり,単位時間内にタスクが切り替わる回数が少なくなる.そうすると、処理が止まっているのが目に見えるようになってしまう。このため6~8MHzの8086などでは,かなり遅く見えたのである.だが,CPUが80286や80386の場合には,実用上問題はない.


ASCII1988(08)c09Window_図3_W497.jpg
恐ろしいことを書いている。ファンクションコールがなければタスクが切り替わらないだと。重たい処理をしているとき、配列を走査して沢山計算して、結果をメモリに書き込むような処理ではファンクションコールなどしない。これではフリーズしたように思われても仕方がないのではないか。これでは使えないと思う。このときのWindowsはこんなものだったのか。酷い。「このため6~8MHzの8086などでは,かなり遅く見えた」かなりとはどのくらいなのか。リセットボタンを押したくなる時間ではないのか。8086は使えないCPUだった。思い出すのはPC-9801Fでマルチプランを触らせてもらったときのこと。普通にカーソルがオーバーランした。8bit機にも劣る性能だと思った。こんな製品をよく売っていたものだとマイクロソフトを嫌いになった一因だった。16bit機のソフトは8bit機を使うときとは違い、キーボードをゆっくり押す、押したら離す、反応を確認したらまた押すというように恐る恐る使わなければならない機械だと思った。
 Windowsはi486のWindows95になってやっと使えるものになったと思っている。Windows 3を使ったが良く落ちた。だが、PageMakerなどWindowsじゃなければ使えないアプリがあったのでこまめにファイルをセーブしてドキドキしながら使った。もちろんMS-DOSで動くアプリがあればWindows版なんて導入しなかった。

Windowsの開発環境についてスクラップする。
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ASCII1988(08)c12Window_ACTOR写真_W327.jpg

この号の「OS/2がやってきた」は特にスクラップしたい内容は無かった。
ASCII1988(08)c01OS/2_W520.jpg

編集部からもウィンドウについてだった。
ASCII1988(08)g07編集部からWindow_W520.jpg
ウィンドウ環境への期待
 先日,大学時代の仲間の集まりがあった.「マイクロコンピュータを作る会」というサーークルの同期の集まりで,メンバーは7人.12年前にモトローラの6800を使ってワンボードマイコンを作ることから活動を始めたサークル仲間で,現在でも全員がコンピュータ関連の仕事をしている.集まれば,もちろんコンピュータの話題が出る.
 その席で一つだけ驚いたことがあった.メンバー7人のうち3人がMacintoshユーザーだったのだが,これは,6800からこの世界に入った人間の集まりだから,それなりに納得がいくそれより驚いたのは、Macのどこに良さを見いだすかだ.
 以前であれば,Toolboxがどうだとかいったことが話題の中心になるはずだった.それが,マン・マシン・インターフェイスに賛辞は集中したのだ「いまさら,いろいろなコマンドを覚える気はしない.プルダウン・メニューでコマンドを選べるのはいいね」などという意見が圧倒的だったのだ。確かに,コンピュータの仕事をしているとはいえ,普段は大型計算機を相手にしている人間も多い.30過ぎて少し疲れが出ているのかなとも思えるが,それでも,予備知識なしに,すぐに使えることに良さを見いだすのは、悪くないだろう.12年前,我々がマイコンを触り始めた頃,それで遊ぶためには,さまざまな事柄を覚える必要があった.また,たくさんの事柄を記憶している人間が偉いかのような時代でもあった。そうした頃に活躍したホビーストが,いま,マン・マシン・インターフェイスにこだわっていることに驚いたのである.
 今月号で特集したウィンドウ環境には,記事中にもあるように,さまざまな要素がある.とはいえ,その大きな目的の一つにマン・マシン・インターフェイスの向上があることは間違いない.そして僕自身,その普及がパーソナルコンピュータを従来になく,多くの人に親しまれるものへと変身させてくれるのではないかと,期待している.
(土田米一)

これは納得できた。多くの人に親しまれるようになったのはWindows 95からだった。これから7年後だ。

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ワープロその他ハード(月刊ASCII 1988年8月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESS からワープロその他ハードの記事をスクラップする。

エプソンがA4サイズの日本語ワープロマシンを発売
ASCII1988(08)b07エプソンワードバンクノート2_W520.jpg
ワードバンクノート2の価格は7万4800円。売りはRS-232Cを通してPC-286、PC9801とデータをやり取りできるということ。可搬マシンというかセカンドマシンとして使えるというのが売りだったか。

日電が3.5インチFDD内蔵のA4サイズ日本語ワープロを発売
ASCII1988(08)b07日電ワープロ_W520.jpg
文豪mini5CARRYWORDの価格は9万9800円で月産5000台予定。これはPC-9801のフロッピーを読めるのが売り。

富士通がOASYSシリーズに5機種を投入
ASCII1988(08)b07富士通OASYS_W520.jpg
OASYS 30AFIIIの価格が22万8000円
同30SFIIの価格が19万8000円
同Lite F・ROM 11の価格が12万8000円
同Lite F・ROM 11Dの価格が13万8000円
同Lite F・ROM 10Sの価格が9万4800円
以上5機種で月産5000台予定。

松下電器、CRT付き日本語ワードプロセッサを発売
ASCII1988(08)b10_松下ワープロ_W518.jpg
パナワード FW-K103の価格が10万円。
大手4社からこうして新製品が発売されていた。34年前はまだまだ専用ワープロが売れていた時代だった。

インテルジャパンが80358アーキテクチャをベースにした32bitマイクロプロセッサ386SXを発表
16bitの外部データ・バスを装備
ASCII1988(08)b05_386SX_W520.jpg
34年前はどうしてこうやって性能の劣る廉価版を作っているのか分からなかった。CPUを安くというよりも、データバスを16bitにすることがシステム全体を安価に作るのために重要だったのだ。

日本モトローラ、68030の33MHzバージョンを開発
ASCII1988(08)b04MC68030_W506.jpg
この頃になって私はやっと68000シリーズに対するあこがれが消えていった。80386が結構いいと思っていた。

マイクロボード、68030アダプタボードを発売
ASCII1988(08)b04マイクロボード68030_W505.jpg
こういったCPUを差し替えることができるボードというかCPUそのものは数年たってi486のころから増えていった。私も実際買うようになった。

シーゲート、複数機種に接続可能なハードディスクを開発
ASCII1988(08)b04シーゲートHDD_W517.jpg
今も生き残っている米国HDDメーカーのシーゲート。このころウエスタンデジタルとか他のメーカーの記事はまだ見られない。

ロジテック、20/40Mbytes HDDを発売
ASCII1988(08)b10ロジテックHDD_W505.jpg
価格は
LHD-32NR(20MB)が11万8000円
同32HR(20MB)が15万8000円
同34HR(40MB)が19万8000円
同34SR(40MB)が24万8000円

アイシーエムが20/40bytes HDDユニットを発売
ASCII1988(08)b13アイシーエムHDD_W520.jpg
MC-20EX(20MB)が12万8000円
MC-40S(40MB)が18万8000円
MC-20EX(L)(20MB)が13万8000円
MC-20S(L)(40MB)が19万8000円
私たちは34年前よくもこんな高いHDDを買ったものだ。今なら東芝 MN09ACA18T 2台組が買える値段だ。

シャープが14型のTFTカラー液晶ディスプレイを開発
ASCII1988(08)b13シャープ14型TFTカラー液晶_W520.jpg
世界で初めて開発に成功したとの記事。34年前シャープはカラー液晶の技術で未来を生き残れると思っていた。どうしてダメになった。未だに残念に思う。

シャープ、4インチTFT型液晶モジュールを開発
ASCII1988(08)b08シャープ4インチTFT液晶_W506.jpg
これは販売できる製品。4インチ(480×240ドット)でサンプル価格3万8000円

オー・ティ・シー、PDSのCD-ROMを販売
ASCII1988(08)b10PDSのCD-ROM_W501.jpg
インターネットが無い時代、このようなサービスが成立した。

アイワがMNPクラス5を搭載した2400bpsモデムを発売
ASCII1988(08)b13アイワMNP5モデム_W520.jpg
MNPが懐かしい。2400bpsが主力だった時代が懐かしい。記憶では、結構長い期間2400bpsの時代だったような気がする。

立石電機、ハンディイメージスキャナを発売
ASCII1988(08)b04オムロンスキャナ_W502.jpg
こうしたハンディタイプのスキャナを使っていた。フラッドベッドタイプは高くて買えなかった。

日本電気HEがPCEngine用のCD-ROMシステムを発表
ASCII1988(08)b13日電PCEngine用CD-ROM_W520.jpg
やっとゲーム機にCD-ROMが登場するようになった。これはハドソンと共同開発したと記憶している。

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