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特集「サンマイクロSPARC」(月刊ASCII 1988年9月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事のスクラップ4回目は「サンマイクロSPARC」

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スクラップの前にググってみると「 ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第368回 」に記事があった。「業界に痕跡を残して消えたメーカー UNIXの覇者Sun Microsystems」、RISCプロセッサー「SPARC」を開発全盛期を迎える
このSPARCは富士通も開発に着手し、技術はスパコンの「京」に引き継がれているとは知らなかった。
富士通のUNIXサーバー、かく戦えり 第1回 UNIXサーバー、プロセッサ事業の歴史と変遷を豊木則行氏に聞く 富士通はSPARC/UNIXサーバーをどう作ってきたか
製品化は1991年だからこの記事の3年後になる。
以下記事をスクラップする。

UNIXのためのマイクロプロセッサ
 1982年に設立されたサンマイクロのハドウェアに対する考え方は,他のコンピュータメーカーのそれとは趣を異にしている.コンピュータの世界の勢力図は,すなわちオペレーティングシステムのそれであるという考えであり,同社は同社のUNIXを市場に出すことを目的としている.ハードウェアはそのための手段ともいうべきものだというのだ.
 UNIXの特徴は,何よりその拡張性と共通オペレーティングシステムならではの操作性の良さや開発環境の充実である.そのため,現在ではパーソナルコンピュータから大型コンピュータまでもUNIXを利用できるようになってきている.
 SPARCは、このUNIXの拡張性に耐えるアーキテクチャとして,サンマイクロが開発したアーキテクチャである.SPARCという名前も“Scalable Processor ARChitecture"(拡張性のあるプロセッサのアーキテクチャ)に由来する.マイクロプロセッサにおいて拡張性に優れるということは,すなわち,高性能を発揮しうるということを意味している.このアーキテクチャによるチップは,サンマイクロと契約を結ぶことで,他のメーーカーも製造販売することができる.
 SPARCは,Sun-4に搭載された動作クロック16.6MHzのものが,オーソドックスなCMOSゲートアレイによるものであるのに対して,1989年にかけてCypress Semiconductor社,BIT(Bipoler Integrated Technology)社が2倍~4倍のパフォーマンスのものを出荷するという.Cypress Semiconductor社のものはCMOSカスタム,BIT社のものはECLという半導体技術によって実現される.また,LSIロジック社がコアセル型のSPARCを開発中という.
 こうした飛躍的な高性能の実現は,回路幅の縮小と,より高速動作可能な素子によるものである.1990年代のはじめには,さらに高速なGaAsの実用化が期待されているが,こうした新技術の採用において,シンプルなRISCアーキテクチャは非常に有利である図1.

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図にあるGaAsはCPUに使われているという記事があった記憶がない。どの程度使われたのかスクラップを続けると ASCII EXPRESS で発見できるだろうか。

SPARCのアーキテクチャ
 SPARCは,単純化を徹底しており,今回紹介する他のプロセッサが,キャッシュメモリや浮動小数点プロセッサなどをチップ上に載せているのに対して,SPARCは基本的な演算ユニットだけからなっている。
 正確にはSPARCは,これに2つの浮動小数点プロセッサとこれを制御するためのコントローラチップを加えた形で構成される(図2).浮動小数点ユニットは,チップメーカーによって異なるものを準備しており,対応するコントローラチップも用意される.
 SPARC(SF9010IU)自身は,4つのユニット,すなわち,レジスタファイル,実行ユニット,命令フェッチユニット,制御ユニットからなる.
■レジスタファイル
 レジスタファイルは,ゲートアレイの4分の1をも占めるという120個のレジスタからなるものである.これは,2つの読み取りポートと1つの書き込みポートを持っており,RISCの演算命令における,2つのソースオペランドと1つの結果オペランドに対応して,1命令,1クロックでの実行を可能にしている(現在の命令オペランドの取りだしと,以前の命令の結果の書きだしが同時に行える).
 レジスタファイルは、高水準言語のプロシジャを意識した構成になっているのが特徴である.120個のレジスタのうち,8個はどのプロシジャからも参照できるグローバルレジスタであり,残りの112個は,24個ずつのプロシジャに対応する7階層のオーバーラップフレーム(レジスタウィンドウ)に分けられる.プロシジャ呼び出しが深くなっていくにしたがって,このレジスタウィンドウが1つずつ消費されていく.レジスタウィンドウは,さらにins, local, outsの各3個ずつに分けられており,呼び出しプロシジャのoutsレジスタは,そのまま被呼び出しプロシジャのinsレジスタとなる(図3).こうすることで,プロシジャ呼び出しの効率化がはかられるわけである.
 なお,レジスタファイルのレジスタ数120は,インプリメントに依存しており,将来的に拡張可能という.
■実行ユニット
 すべての算術,論理演算命令が1サイクルで実行されるように設計されている.より正確には,命令は4段パイプラインによって解釈実行されている.すなわち,1つ1つの命令は,フェッチ,デコード,実行,書き込みの4つのステージを経て完了することになる.
 ところが,これではある命令のソースオペランドが,直前の命令の結果に依存している場合には、直前の命令の書き込みステージの完了を待たないことには,命令を実行できないことになってしまう.SPARCでは,このような事態にそなえて,実行ユニットのデータパスに特別のバイパスを設けてあり、直前の命令の結果を実行ユニット内で直接受け取れるように工夫されている.これにより,1命令の1クロックでの実行が保たれているのである.
■命令フェッチユニット
 パイプラインの4つのステージに対応するプログラムカウンタと,命令/データアドレス生成回路からなる.
■制御ユニット
 プロセッサの中心的な役割をはたす部分であり,各ユニットに対する制御信号のほとんどが,このユニットで生成される.また,キャッシュや浮動小数点制御のインターフェイスなどを受けもっている。

 パイプラインを効率的に利用するために,命令バッファをデュアルで持つとともに,必要に応じて内部命令を発生させている.命令バッファは,1サイクル以上を必要とする命令(マルチサイクル命令)の実行中に命令を先読みしておき,データバスを効率的に利用しようというものである.一方,内部命令は,マルチサイクル命令をシングルサイクル命令の集まりと看做すためのものである.この他,SPARCでは、将来的に並列処理に対応可能とするためのアトミック命令と呼ばれる命令群も用意されている.
 先にも述べたようにSPARCは,基本的な演算ユニットと浮動小数点プロセッサのコントロールチップだけからなっている.サンマイクロでは,キャッシュやMMUは,インプリメントに依存するためとしているが,SPARCチップを開発する場合の工数を最小限にとどめることにも貢献しているだろう.ただし,SPARCのシンプルさは反面,これを使ってシステムを作る場合に,これらの周辺ユニットを別途用意する必要があり、コストを引き上げる要因になるのではないかという見方もあるようだ.ーところで,6カ月以内にもこれを積んだハイエンドなパーソナルコンピュータも登場するという(サンマイクロ社内では,SPARCintoshと呼ばれるものである).

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コラム記事をスクラップする。

ストラテジーとしてのSPARC
日本サンマイクロシステムズ(株) 村野 雄一
 SPARCの発表により,市場ではワークステーションメーカーであるサンが半導体ビジネスを行うかのような捉え方を多くされた.
 サンにおけるSPARCテクノロジーは,半導体ビジネスのためでもなく,また,高性能のワークステーションを他社に先駆けて開発するためのものでもない.これは,従来クローズドアーキテクチャを当然としていたコンピュータビジネスについての理解を越えるものであり,サンの設立当初の思想であるオープン思想の延長線上にあるものだ.
 サンは、ワークステーションの世界で数多くの標準化を提唱し,実行してきた.その中心であるUNIXで先進的な役割をはたしてきたわけだが,AT&Tとの提携もその一環であり,SPARCはその中心的なテクノロジーとして開発されたものである.つまり,SPARCは,これとUNIX,ABIで構成されるOAA(オープンアプリケーションアーキテクチャ)思想の中で語られるものであって,単にRISCのCPUを開発したのとは大きく異なる.
 OAAとは,互換性,拡張性の異なるコンピュータの世界で,上下左右のアプリケーションが,異なったメーカー,異なったクラスのマシンで使えることを意味する.パーソナルコンピュータからメインフレームまで、1つのバイナリが使えるということである.また,そのためには,これがインダストリスタンダードとして誰もが利用できることが必須となるだろう.これを実現しうるソフトウェアがUNIXであり,ハードウェアがスケーラビリティを持つSPARCである.
 OAAは,サンのオープン戦略を,UNIXの世界の共通戦略とするため,UNIXの統一化を行い,SPARCを含むすべてのテクノロジーがオープンマーケットで入手できるようにしている.これは,OAAの最大のポイントであるUNIXの世界にさらに一歩すすんだスタンダードを定義し,ユーザー,ソフトハウスに対し,UNIXへの投資を拡大させることで,UNIX市場の安定と拡大をめざすものである.

今後のスクラップ作業でこれが必要になるかもしれないのでとりあえずスクラップした。
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