SSブログ

失敗しないハードディスク選び’88光ディスク(月刊ASCII 1988年6月号8) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集の「失敗しないハードディスク選び’88」には光ディスクの解説もあった。
ASCII1988(06)d07HDD_図1_W520.jpg
 光学式ディスクの記録原理は上記分類とは別に以下のような3つの方式にわけられる。
(1) ピットで記録を行うもの
(2) 化学的,物理的変化を利用するもの
(3) 磁気を併用したもの
 (1)の方式は,薄い金属箔上の小さな穴(ピット)の有無で記録を行うもので,再生時には光を当てその反射率の違いでピットの有無を検出する(図2).記録タイプとしては読み出し専用,または追記型となる.一度ピットを作ってしまうと,あとからは,訂正が不可能だからである.しかし,読み出し専用のものは、レコードと同じようにスタンプ方式で大量に複製できるという利点をもっている。

ASCII1988(06)d07HDD_図2_W340.jpg
 (2)の方式は、光を使い物質に化学的,物理的変化を与えて,反射率,透過率を変化させる方式である.具体的にはレーザー光により物質を加熱し,化学変化により光学的特性(反射率,吸収率,透過率)が変化する,あるいは物質を蒸発させるなどして記録を行う(図3).このうち,物質を蒸発させるものは,記録タイプとしては追記型になる.光学的特性を|変化させるものは,それが可逆反応かそうでないかによって,追記型,または読み書き可能型になる.この方式は,ピット方式のようなデータの大量複製はできない.しかし,ピット方式の追記型と比較した場合,化学変化方式の追記型は,レーザー出力が小さくてすむという利点を持っている。

ASCII1988(06)d08HDD_図3_W329.jpg
 磁気を併用する(3)は,「光磁気ディスク」と呼ばれている.記録自体は磁化の向き(ディスクに対して垂直な方向で行ういわゆる垂直磁気記録方式)で行うが,光を使って磁化する場所を指定する.光を使うため、物理的な大きさを持つ磁気ヘッドを使った従来の磁気記録メディアと違って,記録単位を小さくすることができる(この記録方式の原理を図4に示す).記録タイプとしては、読み書き可能タイプになる.この方式は,読み書き可能タイプとしては,有望であると目され,いくつかの製品発表も行われている.

ASCII1988(06)d08HDD_図4_W520.jpg
 ここで,次世代のコンピュータ用,外部記憶として有望視されている光磁気ディスクを詳しく見てみよう.

光磁気ディスクとは

 光磁気ディスクの原理を説明するまえに,通常の磁気記憶の原理を簡単に復習しよう磁気記憶は,磁性体の磁化の向きでデータを記録するが,コンピュータなどで使われている磁気記憶では,磁性体のヒステリシス特性を利用する(図5(1)).これは,磁性体にある一定以上の磁界をかけると,磁界がなくなってもその方向に磁化が残ることを利用したものである.つまり,どちらかの向きに磁界をかければ,その方向が記録でき,再生時にはその磁化の方向を検出すればいいのである.しかし、方向を変えるには,現在記録されている磁化以上の磁界をかける必要がある(図5(2)).記録密度を決定するのは,記録単位の大きさであり,この場合それは記録ヘッド(小さな電磁石と考えてよい)の大きさに比例する.このため,記録密度には限界がある.

ASCII1988(06)d08HDD_図5_W500.jpg
 光磁気ディスクは、やはり磁化の向きで記録を行うのだが,小さな磁界で記録できるような工夫がこらされている.それには磁性体の温度と磁化の関係を利用する.一般に磁性体は,温度が高くなると磁化を失う.しかし,温度が下がるにしたがって,磁界の影響を受け磁化される.まったくゼロの状態から磁化されるので,このときに必要な磁界は,磁化を反転させる磁気記憶より小さくてすむ.
 ディスクはあらかじめ,どちらかの方向にすべて磁化されており,レーザーをオン/オフすることで,磁化の変化するところしないところができ,記録が行われる(図4).しかも記録単位は,光のスポットの大きさに比例するので,非常に-小さくできる(通常umのオーダー).
 こうして記録したデータを読み出すのにもレーザーを使う.光の偏向角度(光の振動する角度)が,磁界(記録単位の磁化)によって変化すること(Karr効果)を利用して,記録単位の磁化の向きを検出し,データを読み出す(図6).
 現在の光磁気ディスクの欠点としては,オーバーライトする前に,一度データを消去しなければならないという点がある.つまり,消去,書き込みといった2つのプロセスが必要で,そのために書き込み時間を短縮できないのである。最近では,オーバーライト可能にする研究が行われており,記録層を2層とすることで実験に成功したというニュースも伝わっている.パーソナルコンピュータレベルにまで普及するころには解決されているのではないだろうか。

ASCII1988(06)d08HDD_図6_W492.jpg
ASCII1988(06)d10HDD_写真1_W343.jpg
ASCII1988(06)d10HDD_写真2_W357.jpg
ASCII1988(06)d10HDD_写真3_W293.jpg
ASCII1988(06)d10HDD_写真4_W395.jpg
光ディスクについては過去にも特集があった。これからもあるだろう。まとまったら光ディスクの歴史としてまとめる。それにつけても34年前はこういった先端技術は日本のお家芸だったのに現在の凋落ぶりが悲しい。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:パソコン・インターネット

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。