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IBMパーソナルシステム/55(月刊ASCII 1988年7月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集最新機種レポート'88をスクラップする。
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PS/2互換の日本語マシン
日本アイ・ビー・エム
IBMパーソナルシステム/55
モデル5550-S/T
モデル5570-T
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表1 基本仕様(一部抜粋)
モデル名モデル5550-S
システム装置名5551-S09
CPUi80386(16MHz)
演算コ・プロセッサOP(i80387(16MHz))
メインメモリ2Mbytes(最高16Mbytesまで拡張可能)
HDD30Mbytes
システム装置価格82万円

モデル名モデル5550-T
システム装置名5551-T095551-T0A5551-T0B
CPUi80386(20MHz)
演算コ・プロセッサOP(i80387(20MHz))
メインメモリ2Mbytes(最高16Mbytesまで拡張可能)
HDD30Mbytes60Mbytes120Mbytes
システム装置価格94万円114万円149万円

モデル名モデル5570-T
システム装置名5571-T0A5571-T0B
CPUi80386(20MHz)
演算コ・プロセッサOP(i80387(20MHz))i80387(20MHz)
メインメモリ4Mbytes(最高16Mbytesまで拡張可能)
HDD70Mbytes115Mbytes
HDD70/115Mbytesの拡張ドライブを本体内に増設可能
システム装置価格148万円185万円

全モデル共通仕様
表示機能
キャラクタモード:1066×725ドット、グラフィックモード:1024×768ドット
262114色中16または256色を同時表示可能
FDD
1.4Mbytes対応の3.5インチFDD1台内蔵、2台目を本体に増設可能
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IBMは大型コンピューターの流れを汲んでいるのでユーザもパソコンユーザとはいえプロの人たちが多かったのではないだろうか。
表5の「5576-001型鍵盤」で笑ってしまった。確かに、IBMのカタログにはそう書いてあってもおかしくない。さらに「駆動機構」だ。鍵盤という文字は本で見たことがあったが、駆動機構は無かった。
そういえば、表1の「システム装置名」「システム装置価格」もIBMのパソコンなら納得できる。知人にこの当時のIBMのパソコンをポケットマネーで買った人はいなかった。
マイクロチャネル
and
OS/2 Ver. J1.0

 今回発表された5550,5570は、ともにアメリカで発売されているPS/2シリーズと互換性を持つマシンである.PS/2シリーズと従来のIBM PCシリーズとのハードウェア上の違いは、「マイクロチャネル」と「VGA」(表示デバイス)にある.ここでは,PSシリーズを特徴付けるマイクロチャネルについて簡単に解説するとともに,OS/2の日本語化バージョンであるOS/2 Ver.J1.0について簡単にレポートする。
日本のガラパゴス化したPC-9801を使っていたので米国のIBM PCの規格については興味がなかった。ただ、IBMが互換機を許容したので後発ながらパソコンの規格を自社のもので業界を制したが、それが自分自身を苦しめることになって互換機潰しとも言えるPS/2シリーズを出した。結局互換機にしてやられたのだが、どうしてそうなったのかをスクラップする過程で確認する。
 まずはマイクロチャネル
マイクロチャネルとは?
 「チャネル」というと、メインフレーム系では,入出力を行う機能単位を指す.つまり,チャネルとはそれ自体がCPUに代わってI/Oに対して入出力動作を行う機構のことであるが,PSシリーズのマイクロチャネルとはこのようなものではなく、パソコンでいう「バス」あるいは「拡張スロット」のことである。そして、このマイクロチャネルは、CPUを80286/80386に限定したバスであり、信号線のいくつかは,CPUからの信号そのままであり,あるいはCPUのメモリ,I/Oアクセスを考慮した構成となっており,CPUに依存しない汎用のバス構成というわけではない.マイクロチミャネルとは、一言で言うとマルチタスク動作するシステムでの入出力動作を効率よく行うためのバス構成である.
 さて,このマイクロチャネルの特徴としては,以下の2点が上げられる.
★バス使用権の調停を行うバスアービトレーション
★マイクロチャネルに接続されたボードの設定,管理をソフトウェアで可能にするPOS(Programmable Option Select,プログラム可能オプション選択)機能
 以下この2つの点からマイクロチャネルのアーキテクチャを解説する.
バスアービトレーション

 I/O入出力をDMA転送で行う場合,バス上の1つのデバイス(ボード)だけがデータ転送を行え,同時に2つのデバイスがデータ転送を行うことはできない.このため、複数のデバイスを動かす場合には,そのデバイスのデータ転送タイミングに注意する必要がある.このため、従来のバス(IBM PCシリーズのバスなど)では、任意の複数のデバイスを同時に動作させることが,基本的には不可能だった.
 マイクロチャネルの場合,転送を行うためのバスの使用権は,そのボード自体が要求し,受理されたのちにデータ転送を行うという形式となった.このため、複数のボードに同時にコマンドを与えて入出力を行わせた場合,各ボードが動作しデータ転送が必要になれば,バスの使用権を要求し,使用権が与えられるまで,データ転送を行わないのである.各ボードには,優先権が設定されており、どのボードが使用権を得るかは、その優先順位に基づいて行われる(図1).この使用権の決定をアービトレーション(調停)というなお,このアービトレーションは、DMA転送を行うデバイス間で行われ、ソフトウェアでデータ転送を行うデバイスや,メモリボードなどは対象とならない。
 バスのアービトレーションは,ボードに設定された優先順位で決定するが,これでは,優先度の高いボードがバスを占有しつづけてしまう.この問題に対し,マイクロチャネルでは,1つのデバイスが長期間バスを独占しないようにするための「フェアネス」機能がある。あるデバイスがデータ転送中にバスアービトレーションが起こった場合,この機能により現在バスを占有しているデバイスは、アービトレーションから外され、連続してバスを占有することができなくなるのである.このフェアネス機構は,優先度が高くデータ転送量の多いデバイス(PS/2,PS/55シリーズではハードディスクコントローラボード)に対して設定される.
 入出力動作の中には,実際にデータを転送しない時間(これが入出力動作の大部分を占める)―たとえばディスクのシーク時間や目的のセクタを読み出すまでの回転時間があり,この間はバスを占有している必要はない.この間に他のボードがバスを使ってデータ転送を行うことで,各種の入出力動作時間の一部をオーバーラップさせることが可能である。
 バスアービトレーションは、OS/2などのマルチタスクOSと組み合わさった時に威力を発揮する.つまり,独立したタイミングでフロッピー,ハードディスクなどのボードがアクセスされ,両者のアクセスが同時だったとしても、2つのデバイスは相手の空き時間を交互に使って転送を行い,他のプロセスに与えるI/O処理の影響を最低限に押えることができるのである。
マイクロチャネルのバス構成

 マイクロチャネルには,データバスが32ビット(アドレスバスも32ビット)と16ビット(アドレスバスは24ビット)のものがあり,16ビットのものは,補助ビデオコネクタのあるなしの2種,つまり合計3種類のバスコネクタがある.32ビットコネクタは、CPUが80386である機種(PS/2モデル80,PS/55モデル5550S/T,5570S/T)にのみついている.
 補助ビデオコネクタは,各国語対応に一番影響される表示回路を拡張するためのコネクタである.PS/2シリーズの表示回路(VGA)は、メインボード上にあり,表示回路だけを交換することはできない(IBM PCシリーズは拡張スロットにあったため可能だった).
 そこで,設置されたのが補助ビデオコネクタである.このビデオコネクタには、メインボード上のVGAからの,水平,垂直信号やドホットクロック,メモリ読みだしデータなどの信号(これらは出力用DAコンバータ直前の信号である)が来ており,VGAの出力とボード上で作成した信号を切り換えて,あるいは合成して、ボード背面のコネクタから出力することが可能なのである.
 本文でも解説したように,マイクロチャネルボード上に日本語表示機能ボードを持つ5550,5570は、ソフトウェアでメインボード上のVGAの出力に切り換えることで、PS/2シリーズと互換性を持たせることができる.

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当時は全く理解できなかったものが素人でも理解できるようになったのはこのような知識が昔は先進的な知識だったのが普通になったからだろう。なんか、当たり前に感じてどうしてこれが互換機潰しになったのか逆に分からなくなっている。
マッチドメモリサイクル
 32ビットバスは,さらに「マッチドメモリサイクル」という,メモリアクセス専用の動作が行えるようになっている.
 CPUによる,メモリアクセスは,通常のコンピュータでは最も頻繁に行われるものであり,このアクセス時間がシステムの動作速度を決定する.PSシリーズでも,標準実装メモリ,および最初のメモリ拡張は,専用のメモリコネクタを使って行い,なるべく高速で動作できるようにしてある.それ以上のメモリ拡張に関しては,マイクロチャネル用のボードを使って行う。その時にシステム速度をなるべく落さないよう,このマッチドメモリサイクル機能がある.マッチドメモリサイクルでは,データ転送時間が通常のI/Oデータ転送時間より短く(1クロック分)なる.
 マイクロチャネルコネクタを使ってメモリ拡張を行うと,専用のコネクタを使って行うものに比べ,コスト(マッチドメモリサイクル用の回路などが必要)が上昇するのが欠点だが,後述のPOS機能により基本設定などをソフトウェアで柔軟に行うことが可能になるという利点を持っている.
POS機能
 POS機能とは,従来の拡張ボードにあったDIPスイッチやジャンパーピンといった設定をすべてソフトウェアで行おうというものである.PSシリーズには,バックアップされたRAMが装備されており,装着されているボードに関する情報がこの中に保持されている.システム起動時に自己診断ルーチンが、マイクロチャネルのすべてのボードを調べ,その後このメモリの内容に従って初期化を行う.ここで,ボード状態に異常が認められれば,動作可能になるように対策を講じるか(メモリボード割り付けの変更など),あるいはシステムからの切り離しを行う.
 このような自動設定のため,すべてのボードには,初期設定やボード情報読み取り(ボードの種類を表す固有のID番号)のためのレジスタ(POSレジスタ)がある。原則的に各ボードには、初期設定のための「アダプター設定ファイル」の入ったフロッピーが付属する.このアダプター設定ファイルには、アダプターの名称やボードの標準設定,アービトレーションレベルなどが記述されており,「シシステム装置構成ユーティリティー」はこのファイルを基にボードをシステムに登録する.

OS/2 Ver.J1.0
 今回レポートするのは,日本IBMの提供するOS/2 Ver.J1.0である。米国IBMの提供するOS/2には,バージョン1.0,1.1があり,そのそれぞれに「基本版」,「拡張版」がある(つまり、4種のOS/2がある).このうち,すでに市場に登場しているのは,1.0の基本版で,日本IBMのOS/2Ver.J1.0(以下日本語版OS/2と呼ぶ)はこれに相当する(写真).
 OS/2自体は,基本的に多国語対応となっており,下位のデバイスドライバやリアルモード部分をPS/55シリーズ用に変更し(日本語版OS/2のコンパチボックスはPS/55用日本語DOSとの互換),システムメッセージの日本語化を行ったものがJ1.0である.OS/2には,複数bytes構成の文字(これをDBCS,Double Bytes Character Setと呼ぶ)を扱える機能がそなわっている.そして,複数国語を切り換えて使用するために,コードページという概念が導入されている.ファンョンコールにより,現在のコードページにDBCS文字があるかどうか,そしてその第1bytesのコードは何かといったことを知ることができる.
 このコードページを切り換えることで、PS/55シリーズは、日本語と英語モードが切り替わる.システムメッセージなどは,すべてファイル中に格納されており,コードページの切り替えによって,日本語メッセージと英語・メッセージが切り替わる.
 日本語の入力についてだが,MS-DOSと同様に日本語入力FPが付属している.ただし,日本語入力FPは、デバイスドライバではなく,デバイスモニタ(デバイスドライバと通信し,入力データを加工する特殊プロセス)として実現されている.
 5550S/T,5570は、ハードウェア的には,PS/2シリーズの上位互換となっており,PS/2用のOS/2(英語版OS/2)を動かすことも可能である.また,OS/2上では、プロテクトモードでは、特別の場合を除いてハード_ウェアを直接操作することが不可能なので,英語版OS/2用のソフトウェアも原則的には動作可能である.そのためには,前述のコードページを切り換え,さらに表示回路のモードを変える必要がある.
OS/2自体は,ビデオ表示BIOSに相当する機能をファンクションコールでサポートしているが,モードによりアトリビュートなどの定義が異なる.このため,多国語対応になっていないアプリケーションを動かすためには,手動で前記のモード切り替えなどを行う必要がある.もちろん,アプリケーションから現在のコードページやそのマシンで使用可能なコードページを知り,ビデオの表示モードを取得することが可能であるので,英語,日本語両方,さらには多国語で動作するアプリケーションの作成も不可能ではない.
結局日本ではOS/2は広まらなかったのでこういった記事も忘れ去られてしまった。
分析装置の制御パソコンがOS/2だったものがあったが、触ったことはなかった。
分析装置の制御パソコンのCP/M86は触ったが大した感動はなかった。
先進のOSはそれが実現する機能を必要とする人たち、それを利用して製品を作る人たちがいたのだからそれなりに意義があったと思う。

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