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ハードウェアの進歩そしてOS環境の充実(月刊ASCII 1987年2月号9) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集「87年のOS環境を占う」の最後の部分をスクラップする。

縦書き部分をスクラップする。
OSを取り巻く状況にはさまざまな側面があります。たとえば、ハードウェアの変化やUNIXの普及、あるいは新しいCPUの登場なのです。ここでは、いくつかの側面にふれながら、87年とその後の展開を考えてみます。

以下本文のスクラップ。
ハードウェアの変遷

 かつては,各メーカーの最高位機種にしか使われていなかった80286CPUも,昨年末の日電のPC-9801VXシリーズの発表などに見られるように,各メーカーの主力機種のほとんどが採用し,今後は8086は主に低価格な下位機種で使われることになっていくと思われます.ほとんどの機種でメインメモリも標準で640kbytes程度となり,1MbitRAMデバイスの普及などにより,いずれメガバイト単位のメモリを持つものが普通になると考えられます。外部記憶もフロッピーデニィスクが2HDタイプでひとまず落着き,ハードディスクも普及しはじめ一般的になったといってもいいでしょう.
 大容量の外部記憶,そして大きなメモり,仮想記憶,マルチタスク機能を持つCPUが今やっとパーソナルコンピュータとして低価格で実現されるようになりました.そして,グラフィックスプロセッサや浮動小数点計算用のコ・プロセッサなど,ソフトウェアの負担を軽くするデバイスの登場で,パーソナルコンピュトータもスーパーミニコンやメインフレームのように本来の意味でのコンピらしくなったのです.
PC-9801VX2が登場してもOSはMS-DOSが主流のままでマルチタスクのサポートなどは何の話だ、メモリだって結局EMSメモリが主流じゃないか。80286では、ワクワクするような状況は生まれなかった。
ソフトウェア技術の進歩

 16bitパーソナルコンピュータが登場して数年がたった現在,ソフトウェア技術はかなり進歩しました.最初不可能だとも言われていたことも実現されつつあり,メモリの壁に阻まれていて従来は実用にならなかった大規模なソフトウェアも実用的なものとして登場しています.
 日本語処理については,現在「文章一括変換」と呼ばれる文法解析を行って変換を行うソフトウェアが登場し,その変換速度も十分実用速度になっています.またウィンドウマネージャを持ち,グラフィックスとテキストを一緒に表示しながら編集可能なソフトウェアも登場しています.これらはかつて,専用マシンでのみ可能だったことでしたが,現在では汎用のパーソナルコンピュータ上で実現されているのです.
 また,その開発期間も短くなっています.それはプログラマの習熟などによる面やマシンの普及によりプログラミングにかかわる人間が増えたことなどが原因です.
 しかし,高度なソフトウェアが比較的短期間で着実に登場している反面,ソフトウェアの寿命が短くなっているといった現象も現れています.
この辺はその通りだった。事務処理パソコンとしてワープロ、表計算ソフトは十分実用的な機能と速度を有し、EMSメモリによりMS-DOSであっても大きなデータを扱えた。
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UNIXの進出

 まず,OS関連ではパーソナルコンピュータ上のUNIXが注目されます.いままでは、サードパーティの製品だったり,あるいは専用のボードが必要だったりなどで,UNIXは手の出しにくいものでした.しかし,80286マシンではメモリとハードディスクさえそろえれば,UNIXを動かせる状況になったのです。現在ではまだ,オプションという性格が強いのですが,こうしたハードウェアの状況を考えるとUNIX専用パーソナルコンピュータの登場も近いのではないでしょうか。
 もちろんUNIXにも解決しなければならない問題があります.たとえばシステム管理者のいない状態での運営方法やあるいは,いままでのMS-DOSベースなど他のOSを使っているパーソナルコンピュータとどうやって一緒に使っていくかといった問題です.
 今年の動きとしてまず考えられるのは,各ハードメーカーによるUNIXのオプションによる提供,そして低価格のUNIX専用パーソナルコンピュータの登場ではないでしょうか.
これはハズレだった。一般ユーザがUNIXを手にするにはLinuxの登場を待たねばならなかった。そのLinuxでも大学生とか仕事でもコンピュータを使っているようなスキルの高いユーザーでなければ使えなかった。一般的な趣味でパソコンを使っているような層にはLinuxはUbuntuが登場するまでは敷居の高いものだった。
68000の動向

 16bitパーソナルコンピュータにおいては,インテル系のCPUが大勢を占めていましたが,仮想記憶やマルチタスクの新しいDOS,UNIXなどが登場すると,ワークステーション分野で多く使われていた68000 CPUがパーソナルコンピュータ用のCPUとして採用されることも考えられます.
 インテル系のCPUが16bitCPUで大勢を占めた理由の1つとしてMS-DOSが登場したことが挙げられますが,もう1つの理由としてソフトウェアの蓄積といったことが挙げられています。つまり8bit系のCPUから移りやすいアーキテクチャにすることで,ソフトウェアの移植やマシンの開発を楽にしたのです.こうしたことが,ここに来て68000についてもいえるようになりました.68000は,高性能なワークステーションなどで使われ,UNIXの移植やその上のアプリケーションなどの蓄積があります.パーソナルコンピュータのワークステーション指向により,そういったソフトウェアが求められているのです.
 16bitパーソナルコンピュータ登場時には,単に小さなOS,手軽なOSが求められており,その期待に応えるものとしてはCP/M-68Kなどしかありませんでした.また,それ以上となるとUNIXなどの大きなOSになってしまうということが問題になっていました。当時はハードディスクもそれほど普及しておらず,メモリも128kbytes程度が標準だったので,パーソナルコンピュータでUNIXを採用できる状態ではありませんでした.しかし今のようにマルチタスク仮想記憶対応のOSが求められるようになると68000もパーソナルコンピュータのメインCPUとして考慮されるようになるわけです。
互換性を重視した86系が16bitの標準CPUとなってしまったせいで、革新的なソフトウエアが登場しなくなった。つまり、互換性を重視した過去のソフトウェアの流れを汲むものばかりであった。革新的なソフトウエアは68000を積んだMacでしか見ることができなかった。互換性を重視するということは新規のものの登場を妨げる壁になるということだった。
新しい周辺装置

 CD-ROMやネットワークインターフェイスなどの新しい周辺装置の登場は,それらをコントロールするソフトウェアを登場させています.
 CD-ROMは,単に大容量であるということだけでも,従来データ容量の壁に阻まれていたソフトウェアを解放します. ほとんどのマシンが日本語処理をサポー-トしている現在,その辞書はフロッピー,あるいはROMとしてシステムに組み込まれます.パーソナルコンピュータの日本語処理では単に漢字変換のための最低限の情報しかありませんが,辞書容量が増えることで,類語の検索や言い回しなどの情報までを持つことが可能でしょう.さらには,文法的な誤りを指摘することも可能になるかもしれません.いまは文法的に間違っていた場合,単に変換できないだけですが,その変換過程の情報を使うことで,文法的誤りを指摘することが原理的には可能です.しかし,かな漢字変換の辞書の大きさは,他のファイルを圧迫するところまできており,フロッピードライブが2台あっても,1台は辞書関係に占有されてしまうというのが現状です
 CD-ROMについては,すぐにも組み-込んだマシンが登場することはないと思います.しかし,音楽用CDの登場からCD-ROM規格の発表,そして現在までの動きをみると,従来のフロッピー,ハードディスクなどには比べ物にならないほどの速度で業界が動いていると言えます.音楽用CDが登場してあっというまに普及したように,CD-ROMの普及はかなり速いかもしれません。
 ネットワークは,その設置範囲により,いわゆるLANと専用回線,公衆回線を使ったものに分けられます。LANについてはすでにソフト/ハードともに各社から発表されており、どれを選ぶかといった段階になっていますが,問題は複数機種間のLANやその上のソフトウェアでしょう。すでにLAN対応のソフトウェアも出てはいますが,すべてのソフトウェアが対応しているわけではありません.しかし設置台数が増えることで徐々にその数も増えてくるでしょう。
 公衆回線を使うようなネットワークに-はBBSシステムがあります。すでにいくつものホスト局が登場していますが,そういったものとLANなどの結合や公衆回線を間にいれてLAN同士を結合することなどは,まだまだ未解決の問題があります。今年はこの辺りが議論の対象になりそうです。
ここもその通りだった。家庭でLANを使うということは、複数台のマシンを使っているということでそんなユーザはほとんどいなかった。コンピュータの専門家がいない職場で素人が複数のパソコンを繋いでデータを共有しようとネットワークの勉強を始めだしたのはやはりWindows95以降であった。
87年は……

 ここまでのことをまとめてみましょう.まず,現在問題になっていることは,
1 ハードウェアとソフトウェアの進歩の速さの違い
2 新しい周辺機器への対応
3 アプリケーションの対応
の3つに集約することができるでしょう.これに対して今考えられる対策としては,
1 マルチタスクや仮想記憶をサポートする高度なOS 2 アプリケーションの寿命を伸ばすようなシステム3ハードウェアに依存しないソフトウェア
などがあります。
 ハードウェアの進歩はある意味でソフ-トウェアの制限を取り除きます。今までのハードウェアの進歩は,ソフトウェアの負担を軽くすることはあっても,制限を取り除くところまではいっていませんでした.今ようやく価格的な問題を含めて,高度なソフトウェアシステムを構築できるようなレベルにハードウェアが到達したといえるでしょう.
 つまり,ここに来て初めてソフトウェアの充実を可能とする状況が整ったわけです。そういう意味で87年は,OSなどの基本ソフトウェアからアプリケーションに至るまでソフトウェアに大きな動きがある年と予測できるのではないでしょうか。
うーん。時代を先取りした記事だった。実際はこのようなOSとソフトウエアの進歩は何年も先でなければ実現しなかった。そういうことで、この記事を読んだときは全く現実味が感じられなかった。
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