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台湾香港パソコン事情(月刊ASCII 1988年12月号9) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特別読物として「亜州新興工業国電脳事情」があった。
34年前台湾がどうだったのかは貴重な資料となるのでスクラップする。記事を読んで日本がどうしてダメになったのかを考える資料となるだろう。
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世界に飛翔する4匹の龍
 NIESとは新興工業経済地域群の略称で,今年6月のサミットにおいて命名された地域のことである.以前はNICSと呼ばれてメキシコ,ブラジルなどのアジア以外の新興工業国も含まれていたが,NIESと呼称を変えてからは韓国,台湾,香港,シンガポールの4地域を指す。アジアに集中していることから「4匹の龍」とも呼ばれ,サミット出席国にとっても容易ならぬ存在に成長したわけだ.
台湾はNIESの長兄格で,NIESの貿易黒字の大半を占める.黒字解消策として世界最大の金の輸入国となっているが,それでも「焼石に水」.
 台湾は1971年に国連脱退後,日本,米国とも外交関係断絶.現在外交関係にあるのは韓国,サウジアラビアをはじめ23カ国にすぎない。この外交関係を埋め合一わせているのが経済力である.また,現在米国に在住する台湾系中国人は約30万人.そのうち5000人が博士号を有し,外国人としては最大の頭脳集団だ。これらの人的交流が台湾の地位を押し上げているといっても過言ではない.
 香港とシンガポールは典型的な都市国家である。領土が狭く,資源も持たないので,貿易や金融によって発展した.特に香港は中国からの期限つきの租借地で,1997年の返還を控えて企業や個人の動きが慌ただしくなっている.すでにいくつかの企業は海外に資産を移し,昨年1年間で約2万7000人が国外に移住している.中国は現在の香港の役割を重視,返還後も香港を経済力強化の推進剤とするために50年間は中国本土とは隔絶した経済特別区として現状を維持する方針だ。
 韓国は、朝鮮戦争においてその全土が戦場となった.破壊された産業基盤を立て直すために,政府が計画的に産業助成策をとり,奇跡ともいえる復興を成し遂げた。このため、開発途上国から希望の星として注目されている.

34年前のことすっかり忘れていた。読むと台湾がこの後も力を付けていったのは納得できる。「黒字解消策として世界最大の金の輸入国」だったとは知らなかった。私は、雑誌を買ってもろくに記事を読んでいなかったのか。台湾と比べ香港、シンガポール、韓国の評価部分が空虚だ。そんなものだったのか。
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コンピュータ特産地
 最近は,秋葉原でもNIES製のパーソナルコンピュータが目立ってきた。特に台湾はIBM PC互換機の世界最大級の生産拠点に成長し、昨年度の総生産台数210万台は日本のパーソナルコンピュータのそれをわずかながら上回っている.現在,台湾にはマザーボードや周辺機器メーカー等を含めて数100社のコンピュータ関連メーカーが乱立している。必然的に価格競争も激しく、「世界一安い国」が生まれたわけだ.国内のシェアはトップのACERが35%を占めているものの、上位の5~6社でやっと過半数を確保という激戦状態だ。
 ACERは現在月産4~5万台に達し,日電のPC9801シリーズの生産能力(年間60万台)にも匹敵する.2,3位のMITAC,DTKを含めると、台湾の生産の半分近くを占めるという.
 台湾のメーカーは日本との取引にも意欲的だ。コンピュータ業界団体TACと台湾の貿易推進団体CETRAの主催で,9月には東京と大阪で台湾メーカー10社が参加する展示会も開かれた。
今回は台湾のコンピュータメーカーの上位3社を訪問し,台湾のコンピュータ事情を探ってみた。

ガラパゴス化した日電のPC-9801が年間60万台の生産能力なら、日電はガラパゴス化で生き残れるだろうが、他社は絶滅しても不思議ではない。この時点で他社の生きる道は台湾のようにIBM PC互換機しかなかった。

台湾ナンバーワンのACER
 ACERが設立されたのは12年前,ちょうどアスキーと同じ時期である.このころにマイクロプロセッサが製品として出始め,新しい分野が開かれようとしていた。日電がTK-80という8080のトレーニングキットを発売したのもこの頃だ。
施社長:ACERの最初の製品は、「マイクロプロフェッサ」という名前の,マイクロプロセッサのトレーニングキットです。
 日電がTK-80から現在のPC-9801シリーズに成長してきたように,ACERも「マイクロプロフェッサ」から現在主力のACER900,1100シリーズへと発展し,ついには昨年の米国での販売実績第5位に食い込むまでの企業に成長した.
施社長:現在の会社を設立する5年前に,日本のある会社からマイクロプロセッサを使った機器の開発を依頼されました.このような仕事を手がけている間に,米国でマイクロプロセッサをコンピュータとして組み上げる会社が続々と現れました.コンピュータ市場がビジネスとして動き始めたので,これを期にACER(当時の名称はMultitech)を設立したのです.
 設立当時の資本金は2万5000米ドル,11名の社員からスタートし,現在ではACERグループの総資産1億4700万米ドル,社員約4000名にまで急成長をとげた.ちなみに,グループ内における開発部門の人員は560名,その内約半数が修士号を持ち,10名の博士を擁している。昨年のIBM互換機の出荷台数は26万台(OEMを含む)、今年はさらに増産体制をとっており,年商700億円を予定している.今や台湾のトップメーカーとして,出版や技術製品の貿易業務にも手を伸ばしている。また,直接的な生産活動だけでなく,さまざまな啓蒙活動にも力を注いでいる.
ASCII:ACERは国際コンピュータ囲碁大会を主催していますが,このコンテストを始めた動機は?

施社長:この大会は,ACERが世界中に持っている5カ所の支社を中心に行っています。世界中の各地で開催する大会は雑誌などの媒体に紹介され,ACERの名を人々に印象づけることができます。
 次に,人工知能への啓蒙活動です。囲碁のような適切な話題を提供することで人々が関心を寄せ,技術の進展を促進します。

 ACERは昨年高雄市に於て,1000台のコンピュータを1カ所に集めたセミナーを開いた.このセミナーには小学生から社会人まで1週間で10万人が参加した.これは一般家庭にコンピュータを知ってもらうために催したものだ。
 続いて,マーケティング部門担当の李副社長に現在の動向をうかがった.

李副社長:ACERがいま力を入れているのは、ACER1100と900シリーズです.CPUに各々80386と80286を採用した(IBMPC/AT互換)機種です。
 台湾国内で販売しているのは中文機能を追加したモデルで,輸出品とは異なります。日本へはJEGAボードを組み込んだAX仕様のモデルを輸出しています。

 ACERの製品は、米国とヨーロッパに各々35%,台湾国内が10~15%,残りの10%程度がその他の国へ輸出される.日本への輸出はまだわずかだが,日本エイサーの活動が本格化したばかり、最近問題となっているメモリチップの品不足で、日本でのAX機の出荷を予定より3カ月延期した経緯がある.
李副社長:品薄な種類のメモリチップの使用を避け,入手が容易なタイプのメモリチップに合わせて設計変更しました。日本への出荷も6月の予定がメモリチップ不足で9月に延期しましたが,すでに(設計変更などの対策の結果)8月中に出荷を開始しています.しかし,このメモリチップの品不足のため、今年の売り上げが予定より20%近く下がっています.
米国や日本では,パーソナルコンピュータの上位に位置するワークステーションという市場が立ち上がりつつある.すでに高機能のパーソナルコンピュータとワークステーションとの境界が曖昧になっており,ACERも386や486マシンを投入する計画だ。「この領域がシェアを伸ばす好機」(李副社長)と見ている.
ACERの歴史が分かるインタビュー記事だった。それに付けても高学歴の社員が多い会社であることに今更ながら感心した。
「メモリチップ不足」今ならRAM不足、半導体不足か34年前からあった普通の出来事だ。
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老舗の実力者 MITAC
 MITACは1974年にIntelの販売代理店として出発した.1976年には中国語端末(商品名「漢通」)を発表し,コンピュータメーカーとしての基礎を築いた.台湾のコンピュータ業界では老舗である.1981年からIBM PC互換機の生産・輸出にも本格的に取り組み,現在月産2万台.年商は年率50%増加し,今年度は470億円を予定している。
 MITAC国際マーケティング部門の李副支配人にお話をうかがった.

李副支配人:MITACの代表機種はIBM PC互換機のパラゴンです.XT相当のパラゴン88,AT相当の286,最上位機種の386があります.PS/2互換の機種も開発しており,最下位のモデル30相当の1000Lを昨年の11月に発表しました。日本のAX規格に対応した機種も、来年の6月に発売を予定しています。
 また、CPUに80386を採用したマルチ「ユーザー/マルチタスクのシリーズ300もすでに出荷しています.これはOSにXENIXを載せたマシンで,3月に西ドイツの国際見本市で発表しました。

 パラゴンシリーズはヨーロッパで評判がよく,国際見本市ハノーバメッセにおいて工業デザイン賞「if Hannover88」を受賞している。
 コンピュータのユーザーとして,参考までに価格をたずねてみた.対象として,日本のPC ATともいえるPC-9801VXと同等の製品を推薦してもらった。

李副支配人:それに相当する機種は,ラゴン286です.解像度が640×400で16色以上のグラフィックスを表示するとなると,VGAカードを組み込んだ286Vという機種が最も近い仕様になります。さらにこの後ろに,EnhancedのEを付けた286VEという機種はCPUのクロック周波数を16MHzに上げているので、処理速度は386に匹敵します。
 台湾は世界中で最もパーソナルコンピュータの安い国です。このベースモデルも3万8000台湾ドル(1台湾ドルは約4.6円.日本円換算で約18万円)です。まだ日本ではIBM互換機の市場が小さいので,台湾よりもかなり高いようですね。しかし,これも市場が大きくなれば競争原理によって下がるでしょう。もしそれまで待てないのならば(台湾で)買って帰ってはいかがですか?

ASCII:ええ,航空運賃7~8万円をいれても台湾で買う方が安いでしょうね.でも、買って帰った場合のアフターサービスが心配なのですが?
李副支配人:アフターサービスは本来は販売店が窓口になります。残念ながら,今のところ故障した場合には,直接台湾に送ってもらうことになるでしょう。
 日米半導体協定によるメモリチップの品不足はメーカーとして頭の痛い問題だが,それ以上に日本の対米貿易摩擦に注目している。
李副支配人:メモリチップはほとんど全部日本から買い入れていますが,確保には大変苦労しています。日米間の貿易摩擦からこのような事態が発生したわけですが,日本に続く対米貿易黒字国の我々台湾も,日本の二の舞にならないように慎重に行動しなければなりません。 この「対策として、台湾では米国の圧力をかわすため、昨年からヨーロッパの市場を開拓しています。
 日本はいま米国に制約を課せられ,後ろからは台湾をはじめとしたNIESに追い上げられている.日本のメーカーは,いままで日本が得意としていた工業製品の市場をNIESに奪われることを懸念しているが,台湾のメーカーも上を突き崩すことばかりに専念してはいられない.
李副支配人:実は我々台湾のメーカーも,日本と同じ立場にあります。日本や台湾から学んだ技術で、香港やシンガポールなどがどんどん追い上げており,我々の脅威となっています。
そう言いながら,李副支配人は追いかけられる立場になった困惑を楽しんでいるようにも見えた。
なんとこのときの半導体不足、RAM不足は日米間の貿易摩擦が原因で作りたくても作れない事情があったのか。
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急成長をとげるDTK
 DTKはOEM主体のメーカーで,米国のIBM PC互換マザーボード市場で10%のシェアを占める.マザーボードが月産10万台,互換機が同じく3万台の実績を持ち,台湾国内の互換機市場ではNo.3のコンピュータメーカーである.
 台湾のコンピュータメーカーの社長は皆若いが,DTKの慶社長も32歳.1981年に4名で会社を設立,以後毎年の成長率が100%を越え,今年度の年商が200億円を突破する見込みの超優良企業である.

廖社長:当社の出荷の55%が米国,ヨーロッパが30%,台湾国内が5%,その他の国への輸出が10%です。日本へもあるメーカーにOEMで納入しています。すでにIBMのPS/2に関するライセンスを取得しており,開発も進めています。
IBM PC互換機に欠かせないのが,ASICチップセット,IBM PCの数十個のICの機能を数個で置き換える専用のLSIだこのチップセットのおかげで製造コストを著しく抑えることが可能になり,互換機市場ができたわけだ。
廖社長:ASICチップセットは,日本の沖電気のものを使っています.その他のICは米国のメーカーのものですが,米国本国からではなく,シンガポールや香港から調達しています。ICの80%を海外から調達しているので,最近のメモリチップの品不足は最大の関心事です.
 互換機でもう1つ重要なのが、MS-DOSとハードウェアの間で基本的な操作を行うBIOSと呼ばれる基本ソフトウェア(ファームウェア)だ。BIOSには著作権も絡むため,互換機の出始めた初期には、IBMと互換機メーカーとの間で裁判ざたまで起こった.最近では,新たにプログラムを書きおこし,IBMの著作権に抵触しないBIOSを開発する専門のソフトハウスまで出てきている。互換機メーカーでは著作権の問題をクリアするために,このようなソフトハウスからBIOSを購入するのが一般的だ.
廖社長:DTKではハードウェアの他に自社でBIOSも開発し、他社にも供給しています。
 台湾では私のように30代の若い世代がコンピュータ関連の会社をたくさん作っています。主にハードウェアメーカーが中心ですが,日本ではどうですか?

ASCII:日本でもやはりマイクロコンピシュータの発展期に興味を持った世代,即-ち30代前半の層がソフトハウスをたくさん作っています.しかし,コンピュータ本体は総合電気メーカーがすでに市場を押さえており、ハードメーカーを新たに作っても入り込む余地は少ないです.
廖社長:台湾では日本のような巨大なハードメーカーが少ないため,我々のように若いものがコンピュータメーカーを作っているのです。米国の優れたソフトが大量に入っているため、台湾のソフトハウスがこれと競合するソフトの開発を行うのは得策ではありません.台湾のソフトハウスは米国製の既存のソフトと競合しないような中文化を中心とした業務に集中しています。
 今回取材した台北の電気街では、米国製のゲームで遊ぶ学生をよく見かけた.台湾では小学校から英語を教科として取り入れており,英語のコンピュータソフトでも何ら違和感なく使いこなせるようだ。台湾でのコンピュータはIBM PCが圧倒的なシェアを有しており,米国をはじめとする英語圏のソフトがそのまま使えるため新たに自国でソフトを開発する必然性があまりない.この傾向は会社で使われる業務用ソフトに限らず,ゲームソフトにまで及んでいるわけだ。
なるほど、日本ではパソコン本体を作る大企業が先行して競争の結果PC-9801の天下となり、ソフトハウスもPC-9801用を作れば商売になるという環境になってしまった。そのため米国製の英語ソフトが入ってこれなかった。日本語に対応しないと、日本製の類似ソフトに敵わない。英語のゲームだってそう。日本語のゲームが売れるのでどんどん競争が進みすっかり日本製のゲームで遊ぶため英語のゲームをあえて遊ぶ時間などなかった。
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香港については企業の記事がなかった。
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ブレードランナー的近未来都市
 香港は中国大陸の南側に位置する九龍半島と,その先に浮かぶ香港島からなる、香港島の官庁街セントラル地区には、根元が細くなった英国海軍省のビルをはじめとしてユニークな高層ビルが並ぶ一方の九龍側は空港があるため,建造物の高さを制限している。工場などは九龍側に集中し,内陸部にはコンピュータメーカーの工場もある.九龍の通りには辛うじてバスが通り抜けられる高さまで看板がせりだす。近代的な高層ビルと看板の群れの対比は、映画「ブレードランナー」の舞台となった未来都市を連想させる。
 香港といえば買物と料理が人気の的.パーソナルコンピュータも日本よりはずっと安く、旅費を出しても割安な商品の1つだ。輸出入に関する規制が非常に緩やかな自由港なので,韓国,日本などの製品が本国よりも安い。香港にもコンピュータのメーカーはあるが,数は多くない.そこで台湾とは趣を変えて、実際のパソコンユーザーへの取材を行った.

以下スこの特集のクラップは省略する。

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EMSボード(月刊ASCII 1988年12月号8) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号のSHOW CASEではメルコのEMS-2000が紹介されていた。記事には開発の経緯、技術的な事項があったのでスクラップする。
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 メルコが発表したPC-9800シリーズPOEMS(Expanded Memory Specification)方式のRAMボード「EM-2000」が届いたので、紹介しよう.
メモリ拡張の歴史
 EMSとは,MS-DOS上で640Kbytes以上のメモリを利用する方式で,米国のLotus社,Intel社,Microsoft社の3社が提唱しているもので,最高で32Mbytesまで利用することができる.
 PC-9801用のRAMボードは、最初,メインメモリを標準(128Kbytesや384Kbytes)から640Kbytesへ増設するものだった。やがて,メモリの低価格化にともなって,大容量のRAMボードが出現し,現在では1~4Mbytesのものが発売されている.これらは、メインメモリの1バンク(128Kbytes)を切り替えて使うもので,「I・Oデータ方式」として統一されている.
 ソフトウェア(ドライバ)も,最初は単純なRAMディスク用だったが,キャッシュ機能やプリンタスプーラが付加されたり,FDDと同様にdiskcopyができるものまで出てきた.SRAMを使った不揮発性ボードでは,ボードからMS-DOSを起動できるものもある.
 次に出てきたのが、プロテクトモード用のRAMボードだ.80286や386でないと利用できないが,MS-DOSVer.3.1にも,プロテクトモード用のメモリ(100000H以上の番地に位置する)を利用するための「RAMDSK.SYS」というドライバが付属するようになった.
 プロテクトモード用とはいっても,RAMディスクやキャッシュとして使う分にはバンク切り替え方式のメモリと同じだが,将来,OS/2などのプロテクトモード用ソフトウェアを考えて,出現したものだ。
 そして,PC-9801RAとMS-DOSVer.3.3の発売によって,EMS方式によるメモリの拡張が「公認」された.

EMSの利点
 EMS方式によるメモリ拡張の利点は,MS-DOSのシステムメモリ(ノーマルモードでは640Kbytes,ハイレゾモードでは768Kbytes)の制限を取り払える点にある.EMSに対応しているアプリケーションは,MS-DOSのシステムメモリに対するアクセスと同様に拡張メモリを使え,ソフトウェアを配置したり,データ領域として利用できる.
 具体的には、図1のように,アドレス空間(1Mbytes)内にウィンドウを設置し,そこから拡張メモリをアクセスする.この物理アドレス上のウィンドウは,「ページフレーム」と呼ばれ,その中に16Kbytes単位の「物理ページ」が定義される.対して,拡張メモリ側は「論理ページ」と呼ばれ,物理ページに割り付けることによって,アクセス可能となる.方法からいうと,いわゆるバンク切り替え式ボードと同様だが,1ページは128Kbytesではなく,16Kbytesである.
 現在,EMSに対応しているアプリケーションとして有名なのがLotus1-2-3である.この場合,データ領域として拡一張メモリを利用するので,大きなスプレッドシートが利用できる.
 また,MS-DOSVer.3.3のAIかな漢字変換も対応している.こちらはプログラムの一部を拡張メモリ上に配置するので、約60Kbytes分メインメモリを解放することができる.MS-WINDOWS Ver.2.0/386も対応しており、より多くのアプリケーションを同時に起動できるようになる.WINDOWS用の日本語マルチフォントROMは,拡張メモリがないと利用できない.


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利用方法
 EM-2000で利用する物理ページ領域は,C0000Hからの拡張ROM領域なので,サウンドボードを利用している場合は,ボード上のスイッチを変更し,ROMをKILLにしておく必要がある(N88BASICからはサウンド機能を利用できなくなる).それ以外のサードパーティから市販されているボードでも,この領域を使っている場合は変更が必要だ。これは,日本電気のボードとMS-DOSのEMSドライバを利用する場合も同様である.EM-2000側の設定はほとんど必要なく,PC-98XL/XLではジャンパの変更を,2枚目以上で利用する場合は枚数指定をロータリースイッチで行う.
 次にソフトウェアだが,EM-2000は,ボード上でハードウェア的にEMSをサポートしているが,制御用のドライバをMS-DOS上で組み込む必要がある.これは,「MELEM.SYS」という名称で,従来のドライバと同様にconfig.sysで指定する.簡易設定プログラムが付属しているので、メニューに従って自動組み込みも可能である。
 ハードウェアの違いのため,MS-DOSVer.3.3に付属している「EMSDRIVE.SYS」は利用できない.I・Oデータ方式やプロテクトモード用メモリでは,異なるメーカーのボードとドライバを組み合わせて利用できたが,EMSではそうはいかない.ただ,ボードとドライバの組み合わせは切り離せないが,アプリケーションから見ると同じになるので,支障はない。
 また,EM-2000には,EMS方式の拡張メモリを使ったキャッシュディスクやRAMディスクのドライバも添付している.2Mbytes分をそれぞれに割り当てて,効率よく活用できるようになっている. 従来方式のメモリ拡張ボードと組み合わせて利用する場合は,以下のようになる.

○バンク切り替え方式のボード
★揮発型
 EM-2000に付属のドライバを使って,EMSメモリ領域として利用することができる.EM用のドライバで両方を一緒に管理できるわけだ。キャッシュやRAMディスクを使用したい場合,バンク切り替え方式のボードを優先して割り付け,EMSによる拡張にはなるべくEM2000を使うようになっている.バンクメモリの一部をユーザーズメモリの拡張に利用している場合,そのまま利用できる.
★不揮発型
 不揮発型ボードの特性を生かしたい場合は,既存のドライバをそのまま利用し,EM用ドライバと共存が可能、揮発モードで利用する場合は上記と同じ.
○プロテクトモードのボード
 既存のドライバやMS-DOSに添付のドライバで利用でき,EM用ドライバと共存可能。

 以上のように,どのメモリを利用していても,それらが利用不可能になることはない。ただし,既存のキャッシュディスクとEM用キャッシュディスクは共存できない。
 従来のRAMボードでもEMSエミュレータがあったが,EM-2000との違いは以下の3点だ。
(1) ソフトウェアエミュレートとハードウェアの速度の差がある.
(2) エミュレータと比べて,128Kbytes分メモリを多く使える.
(3) EMSのバージョンがエミュレータは3.2だったが,4.0となり,WINDOWSで利用できるようになった.
 さて,どういう目的で,このボードを選ぶかということになるが,まず競合するのは,プロテクトモード用RAMボードということになる.286や386を搭載したマシンでは,MS-DOSVer.3.3に付属のEMSドライバが使えるからだ。OS/2を利用する可能性があるのなら,プロテクトモード用を選んだ方がいいだろう.
 次に8086やV30のみを搭載している機種でEMSを使うには,純正ボードではPC-9801-53(1Mbytes,8万9000円),同54(53増設用1Mbytes,6万円)を買って,MS-DOSVer.3.3でのみ利用可能となる.それに比べて,EM-2000は2「Mbytesで7万4800円と安価で、MS-DOSのバージョンは選ばない、つまり,MS-DOSVer.3.1上でWINDOWS Ver.2.0を使いたい場合はEM-2000を使うしかないわけだ。
 また,MS-DOS上のアプリケーションも大型化の傾向があり,EMS対応のものが増えてくる.ジャストシステムのAACはすでに対応が決まっており,一太郎 Ver.4と花子 Ver.2を統合環境で使うには,EMSが不可欠である.Frame Work IIもEMSに対応の予定という.
 また,AIかな漢字変換のように,メモトリに常駐するユーティリティ類も,メモリを圧迫しないように,EMSに対応することが考えられる.逆に,そういった対応を,どのソフトにも行ってほしくなるボードである。

懐かしい限りだ。16bitマシンといえども、8086系ではそのままでは使い物にならない酷いものであった。まず、TEXT VRAMを付属して日本語の画面表示を使い物になるレベルまで速くし、EGCとかのグラフィックチャージャーを付属してグラフィック描画を速くして、もちろんテキスト画面とグラフィック画面はハードの方で重ね合わせてとめっちゃ工夫しなければ使い物にならなかった。それが8086というくされCPUであった。なんでこんなものを使わなければならなかったのか情けなく思っていた。
そういった情けないCPUを採用したマシンを事務仕事に使うためにはさらにEMSというメモリの拡張が必要であった。単にメモリを増やすだけで使えればいいのだが、そこは8086の腐れぶり。創意工夫をしてやらねばならなかった。なんと情けないCPUだったのだろうか。8086が16bitではなく(8bit+16bit)/2だと揶揄されてもしょうがないCPUだった。

相談室にもEMSの解説記事があったスクラップする。
EMSのソコが知りたい
Q1:EMSとバンク切り替え方式の違いを教えてください。
Q2:ハードウェアEMSとは、どんなものですか.ソフトウェアEMSとはどう違うのですか
A:今回は、EMSに関する質問を2つまとめてとりあげてみます.
 8086,8088,80286(リアルモード)などのCPUは,アドレスが20ビットである関係でメモリ空間が1Mバイトに制限されています.またMS-DOSなどの基本ソフトにも,扱えるメモリ空間に制限があります(PC-9801ノーマルモードの場合は640Kバイト).
 このようなメモリの限界が存在することによって,パーソナルコンピュータが取り扱うことのできるデータの大きさが限られたり,処理速度が極端に落ちるといった障害が発生することがあります.
 たとえば,MS-DOSのアプリケーションで大きなデータベースを取り扱う場合を考えてみましょう640KバイトからMS-DOSやアプリケーション本体を除いた部分に収納しきれないデータは,通常ディスク上に置くことになります。そのためデータの検索などの際には、ディスクのアクセスが頻繁に起こり,極端に実行速度が低下してしまいます.
 このような障害を避けるため,メモリを拡張する方法がいくつか考えられています.その代表的なものがバンク切り替え方式とEMS(Expanded Memory Specification)です.
 バンク切り替え方式とは,拡張したメモリを一定の大きさの「バンク」という単位に分け,特定のI/Oポートにバンク番号を指定することでそのバンクをCPUがアクセスできるアドレスに割付ける方法です.PC-9801の場合,バンクの大きさは128Kバイトで図3のようにMS-DOSのユーザーズメモリ領域に割付けられます.このため,MS-DOSで使用できるプログラムエリアがその分狭くなります。また一度に選択できるバンクの数は1つだけなので,バンクの大きさより離れた位置にあるデータが必要になる場合には、バンク切り替えが頻繁に起こって実行速度が低下します.また,切り替えるメモリの単位が比較的大きいので,あるバンクで実際に使われているメモリの量がバンクの大きさに比べて少ない場合,空き領域は使用できない無駄なメモリ空間となります。
 一方EMSは,Lotus/Intel/Microsoftの3社が規格化した拡張メモリのアクセス方式で,いくつかのバージョンがあります.最新のVer.4.0は最大32Mバイトのメモリを16Kバイト単位の「論理ページ」に分け,そのうちの任意の複数ページ(4ページが一般的)を,CPUが直接アクセスできるアドレスに割付けます.EMSによって拡張メモリが割付けられた領域を「ページフレーム」と呼びます.ページフレームの中に割付けられた論理ページを「物理ページ」と呼び,プログラムはこの物理ページのアドレスに対してアクセスをする形になります(図4).
 EMSはバンク切り替え方式に比べて取り扱うメモリの単位は小さいのですが,同時に複数のページを参照できるのでページの大きさに関係なく離れたデータを同時にアクセスすることができます.また,バンク切り替え方式より無駄になるメモリの量の少ないので,メモリの利用効率が上がります(図5).
 さらに,EMSは各物理ページに連続したアドレスが割付けられるので,実際には離れている論理ページも連続している普通のメモリと同様にアクセスすることができます.このおかげで,プログラムの一部を拡張メモリの上に置くことも可能になります.
 従来のバンク切り替え方式のメモリでも,ソフトウェアでEMSをエミュレートすることができます.これがソフトウェアEMSと呼ばれているもので,メルコのXBシリーズRAMボード用に発売されている,MX-1StarVer.4.0(メガソフト)に付属のEMSエミュレータなどが代表的です.
 しかし、ソフトウェアEMSはバンク切り替え方式と同様にページフレームのアドレスがMS-DOSのユーザーズメモリ領域と重なってしまい,また1ページの大きさも128Kバイトになってしまうのでメモリ効率の低下を避けることはできません.それにソフトウェアによるエミュレーションなので,CPUの負担がその分増えてしまいます.
 これに対して、ページの切り替えやアドレスの割付けなどをハードウェアで行うのがハードウェアEMSです.ハードウェアEMSではページフレームをユーザーズメモリ以外の領域に割付けることができるので,EMSの利点を最大に生かすことができます.
 PC-9801用に発売されているハードウェアEMSボードには日本電気のPC-9801-53,54,メルコのEM-2000,I・Oデータ機器のPIO-PC34Eなどがあります。これらのボードはいずれも2~4物理ページを表1に示すアドレスに割付けます.実は,このアドレスには、グラフィックVRAMやFM音源ボードのROMなどが割付けられています.FM音源ボードのROMなどは、EMSと同時に使うことはできなくなりますが,VRAMは後述するEMMの機能を利用することで,アプリケーション側から随時切り替えて使用しています。
 バンク切り替えにはないこれらのEMSの各機能を直接コントロールするのは,「EMM(Expanded Memory Manager),?呼ばれるデバイスドライバです.アプリケーションプログラムが拡張メモリの割当てを受けたり,論理ページを物理ページに割付けるなど,EMSの機能を利用するときは,ソフトウェア割込みによるファンクションコールの形でEMMを呼び出します。EMSボード自体のハードウェア構成やEMMの中身はメーカーによってさまざまで,あるボードに付属するEMMで他社のボードを使用することはできません.しかし,EMMのファンクションコールはEMSの仕様で統一されているので,アプリケーションからの使用法はまったく同じになります。
 EMSに対応したソフトウェアは,Lotus1-2-3,MS-WINDOWS Ver.2.0を始めとしてワードプロセッサやCADソフト,データベースソフトなど多数発表されています.また,PC-9801用のMS-DOS Ver.3.3は,正式にEMSをサポートしています。OS/2が本格的に普及するまでの間,EMSは8086系CPUを持ったパーソナルコンピュータのメモリ拡張方式の1つとして広く使われるでしょう。
(竹田)



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この記事でも最後には「OS/2が本格的に普及するまでの間」と書いてある。いつまでOS/2が普及すると思っていたのだろうか。今後のスクラップが楽しみ。

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NeXT, ジャストシステムのAAC(月刊ASCII 1988年12月号7) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

現地取材・緊急速報としてジョブスのNeXTについての特集記事があった。
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表1を抜粋する。
表1 NeXTComputerSystemの基本スペック
CPU MC68030(クロック周波数25MHz)
RAM 標準:8Mbytes
(最大16Mbytesまで拡張可能)
VRAM 256Kbytes
画面表示 17インチモノクロCRT
解像度1120×832ドット
4階調グレイスケール表示
外部記憶 標準:256Mbytes光磁気ディスク×1台
CPUが68030だというのが凄い。反対意見を無視して時代を先取りするのがジョブスだった。成功するためにはハードウエアの進歩が不可欠だった。ジョブスのこういったコンピュータが欲しい、パソコンはこうあるべきだを実現するには当時のハードウエアでは力不足だった。
 価格は6500ドル(当時は1ドル128円前後)でスペックの割には十分安かったが、パソコンとしては高額だった。
スティーブジョブズについてのコラム記事があった。
Steve Jobs:パーソナルコンピュータの生みの親
 コンピュータ関係者でSteve Jobsの名前を知らない人間は皆無に近いだろう.Steve JobsとApple社の歴史は,パーソナルコンピュータの歴史そのものである。
 1976年、彼はもう1人のSteveであるWozniakとともにApple社を設立した。彼らが世に送り出したAppleⅡは,またたく間に世界中に広がり,数年のうちにパーソナルコンピュータ業界(思えば業界そのものを創り出したのが彼ら自身だった)最大の企業に成長した。現在,同社が販売しているAppleⅡGSはCPUが16bit版になったものの,驚くべきことにアウトラインはなんら変わっていない。
 1984年,Apple社はMacintoshを開発,発表した.Macは,その前年に販売を開始したLisaのマイナースペック・マシンであったが,グラフィックスを基本にしたユーザーインターフェイスは,当時としては衝撃的なスペックを実現していた、Macの開発に際してJobsは指導的(独裁者的とも言われる)役割を果たし,周囲の少なからぬ反対を押し切って開発を進めたと言われる.現在では,Macの売り上げは10億ドル,同社全体では20億ドルという売り上げを記録している。
 時代は前後するが,1983年にJobsはペプシコ社からJohn SculleyをApple社に迎え,長引くコンピュータ不況からの脱出を2人で模索する.Apple社がもっとも苦境に立たされていた時期である。2人は同社の再建に尽力する.しかし,この蜜月期間は長く続かなかった。1985年,JobsはSculleyによって同社を追われる.その後,自己資金をもとにJobsはNeXT社を設立,当初から教育市場を・ターゲットにしたマシン開発を進めてきた。彼の栄光と挫折に満ちた記録は,自伝「AccidentalMillionaire」に詳しい.

このコラム記事があることは、1988年の読者にはこういったことを知らない人もいたということを示しているのだろう。
以下写真をスクラップする。
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ASCII1988(12)d03NeXT写真2_W520.jpg
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なんとMOが標準装備だった。

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ASCII1988(12)d04NeXT写真5,6_W520.jpg
カラーでなくても良いというこの潔さが良かった。
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ジョブスの製品はひとつひとつがいちいち格好いい。
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で、ジョブスももちろん格好いい。

NeXTについては編集室からでもコメントされていた。スクラップする。
ASCII1988(12)g04編集室から_W520.jpg
クリエイターとしての技術者
 本号スペシャルレポートでもお伝えしたように,NeXT社が新型ワークステーションの発表を行った.あのスティーブ・ジョブスが発表したニューマシンは、日本では本誌のような専門雑誌での話題でしかないが,米国では記者発表の模様が3大ネットワークで報道されるなど,大変な話題だったというアップルの創設者の一人で,パーソナルコンピュータを初めて作った男ともいえるジョブスの動向は,コンピュータ業界関係者に限らず,広く米国国民全体の関心を呼んだのである.
 マシンの詳しいスペックは本誌記事に譲るが,たしかに,現在考えられるさまざまな先端技術を統合したその仕様は、注目に値する.
 とはいえ,このように技術者(経営者?)個人の名前がクリエイターとして前面に出るアメリカ社会の体質は,日本人には理解しにくいよくいわれるアメリカン・ドリームの具現者としての評価かもしれないし,クラフトマンシップを尊重する社会的背景によるものかもしれない、単に,パソコンの普及率が高いから注目されていると解釈できなくもないが,やはり,それだけではあるまい.
 いずれにせよ,今回のマシンがジョブスの強い個性の下で作られたのはたしかに、ジョブスの強い意志がなければ,単価6000ドルの光磁気ディスクドライブを組み込んだマシンが6500ドルで発売されることはなかっただろうそうした意味で,クリエイターとしての技術者が注目される米国社会には,新しい何かをもった製品を輩出する土壌がしっかりと存在するように思える.また,そうした土壌を羨ましがる日本の技術者も多いことだろう.
 とはいえ,特出した才能をもつ人間によってコーディネートされた製品のみがクリエイティブだというわけではあるまい。むしろ大切なのは,開発にかかわる技術者一人一人が創意工夫を惜しまず,そのためにユーザーの声にもよく耳を傾けることだと思う.トップダウンも魅力的だが,ボトムアップの蓄積もまた,重要であろう.
 読者の方からのお便りの中に,最近の日本のパソコンは面白くないという意見が散見される.そして,その原因を日本的な土壌に求める声も少なくない.しかし,単にアメリカ的な方法論を真似るのではなく,さまざまな議論の中からクリエイティブな製品を誕生させることも可能であろう。そうした過程で,本誌も何等かの役割を果たせるのではないかと考えている.
(土田米一)

そうなんだよな。同意する。自宅でワープロを使っていて面白いか?結局PC-9801でもゲームだろう。趣味のプログラミングも発表というか誰かに見てもらえないと面白くなかった。だからPC-9801で書いてフロッピーを送付して使って貰ったりとかしていた。


ジャストシステムのAAC構想。
ASCII1988(12)d11AAC構想_W520.jpg
結局手に触れることのなかったAAC構想とはなんだったのか記事の一部をスクラップする。
操作環境の共通性
 パーソナルコンピュータには一般にデスクトップ型とラップトップ型があり,キーボードの形状など,ハードウェアの仕様が異なる.また,同一シリーズ内のデスクトップ型同士でも,ハードウェアの細部が異なることがある.これに対してAAC対応のソフトウェアは,操作方法を特定のキーボードに依存しないようにするなどの工夫をはじめ、複数機種間でもアプリケーション操作に統一性を持たせるような配慮がなされるという.
 また,AACではマルチスクリーンと呼ばれる機能により,マルチウィンドウおよび疑似マルチタスク環境を実現する(写真1).これにより,アプリケーションの実用レベルでの操作性を向上させるとともに,AAC対応アプリケーションからシェル(仮称)のウィンドウに移ることで,MS-DOSに戻ることなく,コピー,削除,検索などのファイルに対する操作を直接行うことができる.
 これを実現するには,アプリケーションを直接MS-DOSの上で走らせるのではなく,アプリケーションのうちハードウェアを直接操作する部分を分離し,その上に統一的な操作環境を実現するというソフトウェア構造的なアプローチを取っている.この構造は,マイクロソフトのMS-WINDOWSやOS/2のPresentation Managerと同じものである。
 ただし,これらのような,OSの延長,あるいはその機能として提供されるOE(Operation Environment)とは違い,AACの操作環境は自社アプリケーションである「一太郎」や「花子」を中心に設計されたものである.同様の発想を持つアプリケーションは従来からいくつかあり,ダイナウェアのupシリーズなどが代表的である.アプリケーション指向のOEの一般的な利点としては,汎用のものに比べアプリケーションや移植機種を想定できるので,比較的効率がよい点をあげることができるだろう.
 こうしたソフトウェア構造をジャストシステムが採用した理由の一つとして,一太郎などの同社の製品が多機種に移植され始めたということも考えられる.現在一太郎Ver.3は,PC-9801シリーズの他,東芝J-3100シリーズ,日本IBMのPS/55シリーズ,富士通FMRシリーズ,松下Mシリーズなどに移植されている.これらのすべての機種にアプリケーションを移植する場合,その作業量は膨大なものになり、度重なるバージョンアップもむずかしくなる.AACでは,アプリケ-ションから機種依存部分であるI/O処理部分(画面管理やプリンタ制御など)を分離する構造が採用されたため,このような問題も解消しやすくなった。たとえば1回のバージョンアップ作業で,多機種にわたるバージョンアップも可能となるのである.
 とはいえ,実際の商品パッケージは,AACアプリケーション単体とはならず,機種依存部分であるI/O処理部分(後述のマルチスクリーン)が含まれ,機種ごとに別パッケージとなるだろう.また,アプリケーションの一部は,効率を重視して、機種依存する部分を残す可能性もある.このあたりも機種独立性を保証する汎用ウィンドウシステムと違った部分である.つまり,分離されたI/O処理部分がユーザーに提供するのは,あくまでも操作性の統一と一部のデバイスの変更に対応する機能なのである.
 AACに基づくアプリケーションの実行環境は,図1のようなものになる.この図で「マルチスクリーンシステム」となっている部分がAACのOE部分である.この部分は,画面関係の処理を中心に,ウィンドウ管理やプログラム間の連係といった処理を行う.また,画面やプリンタといったデバイスの制御はドライバ形式となっており、新機種や新しいデバイスへの対応はドライバを変更,追加することで行えるのである.
 なお,AACのアプリケーション・インターフェイスは公開される予定である.


ASCII1988(12)d12AAC構想図1_W520.jpg
ASCII1988(12)d11AAC構想写真1_W512.jpg
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米国のようにPC互換機が市場を制覇していればソフトハウスが各機種用にプログラムを開発することはなく、Apple社のように単なるパソコンという機械を製造するメーカーではなくハードとソフトを開発していれば日本のようなことにはならない。たとえるならば日本のパソコンがすべてPC-9801互換になっていればAAC構想なんて必要なかった。私は8086憎し、PC-9801憎しなのにPC-9801VX2を買った軟弱ものだった。米国のようなコンピュータ環境にならなかったのは皆PC-9801が悪いと思っていた。自分の使っているパソコンの悪いところを見つけ、悪口をいうのが憂さ晴らしというゆがんだパソコン人生だった。年収が2倍もあれば何台もパソコンを買って違う人生を歩めたのにと残念だった。

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MS-DOSユーザーズ・ワークベンチ(月刊ASCII 1988年12月号6) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

この号からすらぞうじ氏のMS-DOSの解説漫画が連載開始された。
ASCII1988(12)d01MS-DOS漫画_W520.jpg
解説はスクラップせず、図と漫画をスクラップする。
ASCII1988(12)d02MS-DOS図1_W520.jpg
ASCII1988(12)d03MS-DOS図2_W520.jpg
ASCII1988(12)d06MS-DOS図3分解結合_W265.jpg
ASCII1988(12)d07MS-DOS図4_W520.jpg
ここから解説するのかと当時思った。ASCIIの読者想定は幅広い層だったということが分かる。

漫画部分をスクラップする。
ASCII1988(12)d02MS-DOS漫画分解結合1_W510.jpg
ASCII1988(12)d02MS-DOS漫画分解結合2_W506.jpg
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初心者向けの漫画だった。
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PC-8801MA2/FE,FM77AV40XS,X1turboZⅢ,AX(月刊ASCII 1988年12月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

最新機種パソコン主力機種レポート2から8bit機とAXの記事をスクラップする。

PC-8801MA2, PC8801FE, FM77AV40SX, X1turboZⅢ
ASCII1988(12)c16PC-8801他写真1~4_W363.jpg

各マシンの仕様を抜粋してスクラップする。
表 最新8bitマシンの主な仕様
PC-8801MA2 PC-8801FE FM77AV40SX X1turboZⅢ
CPU μUPD70008AC-8
(4/8MHz)
MBL68B09E
(2MHz)
Z-80A
(4MHz)
メインメモリ 192Kbytes 64Kbytes 192Kbytes 128Kbytes
VRAM 48Kbytes 192Kbytes 96Kbytes
320×200ドット なし なし 26万色1画面
4096色2画面
4096色1画面
64色2画面
320×400ドット なし なし なし 4096色中64色1画面
640×200ドット 512色中8色1画面
1色3画面
8色4画面
1色12画面
4096色中64色1画面
8色2画面
640×400ドット 1色1画面 8色2画面
1色6画面
4096色中8色1画面
日本語 最大40文字×25行 最大40文字×50行 最大40文字×25行
漢字ROM JIS第1,第2水準
辞書ROM 512Kbytes
約6万5000語
なし 256Kbytes
約4万語
なし
本体価格 16万8000円 12万9000円 17万8000円 価格未定
各社画面表示の種類が特徴ある。画面表示の種類は過去のゲームソフトに対応させるためだろうか。PC88の画面表示の種類が少ないのが目立つが、他の解像度のゲームがなければ問題ない。このとき私らおじさん連中はゲーム用に8bit機を買うことはなかったがPC-9801でゲームはしていた。

シャープAX286L
ASCII1988(12)c18AX286L写真1,2_W329.jpg
ASCII1988(12)c18AX286L写真3_W319.jpg
AX286L-FはCPU80286(10MHz)で42万8000円
AX286L-FH3はCPU80286(10MHz),HDD 30Mbytesで59万8000円

Acer915X,1100/20X
ASCII1988(12)c20Acer915X_W333.jpg
915X-0211はCPU80286(12MHz)で33万5000円
915X-401はCPU80286(12MHz),HDD 30Mbytesで49万8000円
1100/20X-401はCPU80386(20MHz),HDD 40Mbytesで88万9000円
1100/20X-701はCPU80386(20MHz),HDD 70Mbytesで115万2000円
1100/20X-131はCPU80386(20MHz),HDD 135Mbytesで142万2000円
35年前のパソコンは物凄く高かった。

AX用一太郎が完成
ASCII1988(12)c19AX用一太郎_W332.jpg
OSは各機種用、ソフトも各機種用で困ったコンピュータ環境だった。
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PC-386,PC-9801VM11,PC-9801RX,PC-286X/VE(月刊ASCII 1988年12月号5) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

最新機種パソコン主力機種レポート2のデスクトップ記事をスクラップする。

エプソンのPC-386
ASCII1988(12)c10PC-386写真1_W520.jpg
ASCII1988(12)c11PC-386写真2,3_W376.jpg
80386クロック周波数20/10/5MHz(ノーウェイト)のマシンで価格は
STDが59万8000円
H20が72万3000円
H40が81万3000円

PC-9801VM11
ASCII1988(12)c12PC-9801VM写真1_W520.jpg
記事ではPC-9801VM2のバージョンアップと書いてあるが、CPUがV30で変わらないため私たちは安物のVMが出たと言っていた。大体VM2の一番いいところであったキーボードをチープなものに変えるとは何事だ。ユーザーをバカにしているのかと怒ったものだった。
表からV30マシンの価格をスクラップする。
PC-9801VM11が32万8000円
PC-9801UV11が26万5000円
PC-9801LV21が34万5000円
PC-9801CV21が35万5000円

PC-9801RXのコラム記事をスクラップする。
ASCII1988(12)c13PC-9801RX写真a_W447.jpg
 9月末に発売となったPC-9801RXが届いたので,ベンチマークテストを行った.対象としたのは,前任者のPC-9801VX21と,先輩のPC-9801RAである(表a).上半分はおなじみの機械語によるベンチマークで、下はCで作ったCコンパイラの速度比較用ベンチマークである.
 まず,VX21との差を見てみると,機械語で1.25倍,Cで1.24倍速くなっている.VX21は286の10MHzノーウェイトで,対するRXは12MHzのノーウェイトだから,ちょうどクロックの差が出ていることになる.特出している部分はないが,画面スクロールは1.33倍の速度になっている(scrl1k).
 RAとの比較では,クロックは16MHzと12MHzで,0.75倍である.結果は,0.6倍~0.8倍という多少ばらつきがあるものになった.特に差があるのは,機械語べンチマークのかけ算命令で,半分以下のパフォーマンスになっている.逆に言うと,RAの方が倍以上速い.16bitと32bitの差といったところだろうか.
 VX21は43万3000円だったが,RX2は39万8000円と3万5000円安くなった.その上,省スペース、省電力,メモリ専用スロットの設置,1.2倍の高速化などが実現されている.VX41とRX4の価格差は6万4000円で,シークタイムが速くなった上,2万9000円安くなったことになる.
 RAとは10万円の差で、メインメモリが1Mbytes少なく,速度差は20~50%である.RX用の内蔵メモリは,RAと同様の8万円だから,メモリ量を合わせると2万円の差になる.2万円の差なら,少なくとも20%速いRAの方が得な気がする.ただし,プロテクトモードで動作するOS類を使わないのなら,メモリは必要ない。周辺ハードウェアでは,演算コプロセッサの種類と価格に差があるだけで,他は共通だ。ソフトウェアは,WINDOWS/386が動作するかしないかの差があるが,OS/2はどちらでも動作する.
 このへんを考えて,実勢価格と相談しながら,どちらにするか決めることになる.

80286と80386はクロックが速度を決めていた。ベンチマークで特定の命令の速度を比べても多様な命令を使ってソフトは動いているので実際に使ったときの体感速度には参考にならない。「プロテクトモードで動作するOS類を使わないのなら,メモリは必要ない。」なんて書いてあるがそんなことはない。EMSメモリとして活用できるのでMS-DOSで使っていても640Kbyte以上のメモリは必要だった。

PC-286US
ASCII1988(12)c14PC-286US写真1_W520.jpg
80286クロック周波数10/6MHz(ノーウェイト)
価格は
STDが26万8000円
H20が39万3000円

PC-286X/VE
ASCII1988(12)c15PC-286X写真_W280.jpg
ASCII1988(12)c15PC-286X写真a_W520.jpg
コラム記事をスクラップする。
 前号でも紹介したように,80386は,80286の上位のCPUであり,独自の32bit命令があるほかに,80286や8086と共通の命令を用意している.現在,PC-9801/PC286シリーズ用に普及しているアプリケーションのほとんどは、この共通した命令だけによって作られているのである.
 この共通の命令については、CPUのクロック周波数が,そのまま演算速度に反映してくるといってよい.同一クロック周波数では,80286と80386を比較した場合,目安として,3分の1の命令について実行速度が同じであり,やはり3分の1について80386の方が高速であり(おもに演算命令),残りの3分の1について80286の方が高速である(おもにI/O命令).もっとも,これらの命令は,実際のアプリケーションによって使用頻度が異なるので,一概に同一クロック周波数の80286と80386で同じ結果が出るとはいえない.PC-286Xは,その発表会で,32bitマシン並みの処理速度を実現しているとし,PC9801VX用のデモプログラムや一般のアプリケーションを実際に走らせて、むしろ高速であるケースも多いことが示されていたようである.

このように80386は高速な80286として利用されていた。それならば高速な80286を作ればいいではないか。それをAMDはやった。しかし、AMDのCPUを搭載したパソコンを使っている知人はいなかったというか店頭でみたこともなかった。結局高価な80386を使ったパソコンが売れていた。

前にも書いたがPC-9801VX2(8086,8MHz)はPC-9801VM2(V30,10MHz)より遅いことがあってがっかりした。
>記事によれば「80286は8MHz固定だが、これと10MHzのV30を比べて、発表資料によると1.7倍程度高速になるとしている。」とあったが知人の作ったプログラムを実行してみて愕然とした。VM2より遅かった。
>知人はソフトのオープニングでグラフィックを使った上下に動く格好いいアニメーションを作った。G-VRAMはR,G,B各48Kbytesでありこのオープニングアニメーションはセグメントレジスタを変化させて使った。
> このプログラムをPC-9801VX2で動かすと隣のPC-9801VM2より遅い!

命令によって違う種類のCPU間で速度差があるのは当然だが、グラフィックスとか特定の処理をするときには上の例のように目に見えて速度に差がでてくることがある。

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