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編集部から Windows, X-Window, 10周年(月刊ASCII 1987年7月号14) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

巻末にある編集部の記事が時代を感じることができたのでスクラップして味わうことにする。
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PC-9801オペレーティングエンバイロメント
MS-WINDOWS

WINDOWSって何のはなし?

 1983年の春、ちょうど4年程前の話ですが,皆さんは覚えておられるでしょうか.この業界で4年という歳月は,「スッゲー」大昔のような気がしますが,別にアンモナイトやサンヨーチューの話ではありません.Microsoft社がOEM向けにWINDOWSのデモンストレーションを行ったのは,4年前のことです。確か最初のリリース予定は1984年の5月だったのが,1984年の11月に延期されて、次に1985年の6月に延期され,結局ユーザーの手元に届いたのは,1985年の11月だったという,長い長い熟成の期間をおいた,どこぞのウイスキーのようなソフトウェアなのです.
 米国でIBM-PC用のWINDOWSがリリースされたのは,1985年の11月ですが,日本では,PC-9801用のWINDOWSがリリースされたのはそれから1年を経た1986年の10月,どちらのリリースのときも,「別にどうでもいいんじゃないの」という雰囲気があったのですが,最近ようやく「へ~なるほどネ~」という声も聞かれるようになり,WINDOWSもようやく春がきて「ヨチヨチ」歩き出したミヨチャンになったのではないでしょうか.

なんでWINDOWSがいるの?

 さて、4年もかけていったい何のためにWINDOWSを開発したのか,きっと最初の開発を始めた動機は,Apple社のLisaに触発されたんだと思いますが,それでも4年間もかけるなんて「フツー」じゃないと思うのです.そのへんの高層ビルだって,1年もあればできるのに,ソフトウェアの開発にそれだけの期間をかけるのは,やはりそれだけの「ワケ」があるのではないかと考えているわけです.
 WINDOWSは、オペレーティングエンバイロメントなどといわれますが,オペレーティングエンバイロメントとはいったいなんなのかといった疑問もあるかもしれません.これは,コンピュータの利用環境という意味なのでしょうが,「カチカチペロン」(カチカチがマウスのクリックの音で,ペロンがウィンドウが開かれるときの音)と単に画面に表示されているウィンドウのユーザーインターフェイスだけを指しているのではなく,ソフトウェアの仕様やデータの互換性,データの共有,ソフトウェアの流通性,開発環境,といったこともすべて含めたグローバルな環境を意味しているに違いないと、ぼくは考えています.

WINDOWSの特徴

 WINDOWSというソフトウェアは,ちょっとみるとウィンドウが「カチカチペロン」と開かれて,マウスで「こねこね」と操作するという,なんとなく「ヘロヘロ」した雰囲気のするソフトウェアなんですが,そのへんのただウィンドウを開いていればいいというプッツンしたソフトとは,まったく異なったコンセプトを持っており,なかなか「フムフム」といった奥の深いところがあります.要点だけ書いてしまうとなぜかつまんないのですが,おもな特徴としては,次の点があげられます.
●ユーザーインターフェイス
 WINDOWSはマウスを「こねこね」しながら使うのですが,その「こねこね」の仕方が統一されています.WINDOWSやそのアプリケーションでは,いずれのアプリケーションでもこの「こねこね」が同じです。ですから,1つのアプリケーションの「こねこね」に慣れてしまえば,どのアプリケーションでも簡単に「こねこね」できます.
●データの共有
 WINDOWSのアプリケーション間では、データが「ツーカー」です.どのアプリケーションとの間でも,グラフィックデータやテキストデータを「ツーカー」できます.ですから、ファイルのコンバートもいりませんし,「ツーカー」したデータを「ほにゃらら」することもできます.
●ソフトウェアの流通性
 WINDOWSのアプリケーションは、WINDOWSが走っていいるマシンであれば,どのマシンでも「スポポーン」です。IBM-PCでもPC-9801でも,WINDOWSのアプリケーションはデバイスインディペンデントに作成されていますから,「スポポーン」なわけです.
 とまあ、WINDOWSはこのように「びしばし」のソフトウェアですから,そのうちアプリケーションもMacintoshバリのものが登場するでしょう。ぼくはこのWINDOWSには,かなり期待しています.
 とりあえずこの原稿をよんでわけのわからなかった人は,WINDOWSの本をご一読ください。ちゃんとわけのわかるように書かれています。お値段も比較的お安くさせていただきました,どうぞヨロシク.
(今回の「ノリ」が受けないのではないかと結構ふあんがっているnobu-tでした)
受ける受けないではなく、Windowsの開発がすごく難航しているかが伺われた。Macという見本があるのになぜこんなに開発期間が長かったのか。私はこれは8086CPUが悪いからだと考えている。決してマイクロソフトの技術者が能無しなのではないと考える。互換性維持という大義名分がどれだけ技術者に苦労を掛けていたか。言い換えれば、インテルの営業が技術開発方針を決めたからこうなったのだ。売りやすいものを売るならだれでもできる。売りにくいものを売るのが営業の力ではないか。技術者を苦しめることでしか成績を上げられない者たちが憎い。インテルはIA-64で互換性を捨てたではないか。それならもっと早く16bitのときにすべきだったのだ。やっぱり8086が憎い。

次はX-WINDOW
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X-WINDOWは今!!

 Xとは,いわゆるpds(パブリック・ドメイン・ソフトウェア)のウィンドウ・システムであり,重ね合わせ可能であること,サーバ/クライアントモデルであること,それからネットワーク対応であるなどの特徴があります。
■Xの基本
 サーバ/クライアントモデルでは,常駐プログラム(サーバ)がハードウェア資源を管理し,それぞれのウィンドウ・アプリケーション(クライアント)は、サーバと通信することで入出力を行います.サーバは巨大になりますが,各クライアントが機種の違いを意識しなくてよくなり,サイズも小さくなります.さらにXの場合,クライアントはネットワークにつながれたどのマシン上のものでもかまいません.また,ほかのマシンにログインしたウィンドウをいくつも開いておくこともできます.
■最新"X"
 Xは,マサチューセッツ工科大学(MIT)と米DEC社の共同研究であるアテナ計画(Project Athena)の成果の1つとして共同開発されたウィンドウ・システムです.現在バージョン11が試運転中ですが、手に入りやすいのはバージョン10のリリース3か4です.
 リリース3と4の大きな違いは、4ではウィンドウにスクロールバーやタイトルバーを付けることができ,アイコンの内容もグレードアップされ,さらにネットワークゲームなどが追加されていることです。ちなみに,メニューライブラリはリリース3ですでにサポートされています。開発はCかCLU言語で行います.
■ワークステーションとパソコン
 まず表x.1をみてください。
 これらが,現在あるさまざまなウィンドウ・システムのおもだったものです.
 さて,これから主流となるものは?というと,X,Sun NeWS,MS-WINDOWS,Mactoolsの4つに絞られるでしょう.
IX vs News
 XとSunNeWSは今,激烈なトップ争いを展開しています.現在のところXが先行していますが(なにしろNeWSは今年の9月にならないと正式版が出てこない)、どちらもサーバ/クライアントモデルを採用しており,通信プロトコルの違いが争点になりそうです.NEWSの方は,Xに比べて高度な制御構造を持っており,Xのプロトコルを取り込むことは容易です.一方XもNEWSのプロトコルを取り込む意向があり,現在かなりシェアが広がっていることや,手に入りやすいので移植作業も進みやすいことなどが,将来に向かっての有利な条件です。
■日本におけるXの現状
 東大の石田晴久教授のグループによる研究と移植が進んでおり,PC9800シリーズ用のサーバ(pds)もリリースされそうです.現在,株式会社SONYの"NEWS",米SunMicroSystemsの"SUN”でXが動いています.
 Xは,OSがUNIXであることを前提としている節もありますので,パソコン用としてはMS-WINDOSが主流になるでしょう.MS-WINDOWは今後Sun NeWSの機能も取り込みますから,そちらも見逃せないところです.
(masao-k)

pds(パブリック・ドメイン・ソフトウェア)とは懐かしい。さて、マイクロソフトのWindows開発が難航しているのにpdsが登場しているのはなぜか。しつこいけど8086じゃないからだ。と言いたかったがPC-9800シリーズ用?まじか。
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最後は10周年
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10周年を迎えて

 今月号の編集作業もようやく終り,読者の一方々からの反応を心待ちにする時期が近づいてきた。10周年記念号だから,何か特別な企画をたっぷり盛り込みたいそう思いながらスタッフ一同頑張った結果が,この分厚いアスキーである.今月号では、近未来のパーソナルコンピュータ像を探るとともに,パソコンの楽しさを改めて見直したいと考えていた.特集,特別企画を中心に,そうした記事を取り揃えたつもりでもある.とはいえ,それがどこまで表現できたか,そして読者の方々にどう受け止められたかが,大変に気になる.
 10年ものあいだ続いた雑誌を編集していると,ともすればマンネリズムに陥る危険がある.それを救ってくれるのが,読者の方々から届く,各種の反響である.特に,毎日届くアンケート葉書は,編集の指針を考える上で,大変に参考になる.多くのお誉めの言葉もいただくが,中にはきびしい叱咤,激励もある.そして,そういった様々な声が,スタッフの励みにもなり,反省のきっかけにもなる.よく言われることではあるが,本当に雑誌は,読者の声に支えられているものだと思う.
 そうした葉書で最近よく見かけるものに,「月刊アスキーは,もっとオピニオン誌として,明解な意見を打ち出すべきではないか」といった声がある.このところ,注目すべき新製品が続々と登場し,本誌の誌面の多くを,そのレビューに使ってはきた.しかし,編集部の中では、パーソナルコンピュータの新しい使い方,楽しみ方について、つねにディスカッションを重ねている.そして,そうした中から生まれた企画を誌上に掲載するケースも,たびたびあった.一人よがりの主張ではない,パーソナルコンピュータの新しい世界の提案は、当誌の使命と考え,今後も積極的に掲載していきたいと思っている.
 現在の日本のパーソナルコンピュータ業界が,米国のそれに較べて,まだまだ立ち後れているのは事実だろう.そのため、米国から学ぶべきことはまだまだ沢山ある.しかし,当誌では単なるモノマネではなく,日本の状況を踏まえた,独自の視点をもった新しい話題を提供していきたい.
 10周年を迎え,さらに充実した誌面を目指し,スタッフ一同決意も新たにしている.そして,そのためには、読者の方々にも,様々な意見をお寄せいただきたいと考えている.これからも,どうぞよろしく.
土田米一

ASCIIは普通のパソコン雑誌ではなく、総合誌という立ち位置の雑誌だった。だから、まだ見ぬ新技術の開発記事とか未来志向の雑誌だった。そのため、実現しなかった記事もあった。予想だ外れることもあった。34年前は未来予測などすぐに忘れて新型パソコン、CPU、OS、アプリケーションソフトに興味を奪われたため外れたことすら気がつかなかった。こうしてスクラップすると答えが分かっているので上から目線で記事を読み返すことができ面白い。

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