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特集CD MEDIA 第3回 その2(月刊ASCII 1988年5月号10) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集CD MEDIA 第3回 にあったコラム記事をスクラップする。
このコラム記事は全く知らないことばかりだ。化石のような記事の気がするが、一応スクラップする。

CD-RTOSとInVision
CDIのOSとユーザーインターフェイス
データフロー・インターナショナル(株)-James A. Parker

CD-RTOS
 CD-RTOSとは、CDIのいわばOSであり,80286マシンのMS-DOSのようなものだ。パーソナルコンピュータで使われているOSのうちでこれに最も近いのは、0S-9,OS-9/68000である.
 CDIはモトローラの68000系のCPUを採用しており,内部構成はパーソナルコンピュータそのものであり,実際OS-9/68000用のソフトは、画面関係の手直しだけで,CD-RTOS上で走らせることができる.
 CD-RTOSの構成は図1に示すようなものである.アプリケーションプログラムは,各種ライブラリを通してカーネルをアクセスする.I/Oのアクセスはマネージャと呼ばれるシステムを通して行われ,CD-RTOSには「CDRF」,「NVRFM」,「PFM」,「UCM」などが用意されており,これらの下に各種デバイスを制御するドライバが存在する.この他にシステムの基本情報を提供したり、タスク管理のために4つのモジュール(Init,Sysgo,CSD,Clock)がある。

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 カーネルはCD-RTOSの心臓部分であり,さまざまなシステム内の動作の制御や,メモリ管理などを行う.そのほか割り込みやI/O入出力の管理も行われる.
 以下に主要なものの解説を行うことにする。

CSD
 CSDとは「コンフィギュレーション・ステータス・ディスクリプタ」の略でCDIシステムに関する基本的な構成情報を保持している.たとえば,どのようなデバイスがあるか,または各デバイスはどのような能力を持っているかといった情報はここで管理されている.
CDFM
 CDFM――コンパクトディスク・ファイル・マネージャー――は,CD-ROMドライブから読みとられたデータをチェックし,そのタイプ――リアルタイム音声,画像,プログラム,通常音声を判別し,それぞれの処理ルーチンへデータを渡す働きを持つ。最初の3つのデータ形式の場合は,内部に設定されたバッファに格納され,通常音声は直接,音声処理部へ送られる。
UCM
 UCM(ユーザー・コミュニケーション・マネージャ)は,主にユーザーとの対話(インタラクション)に用いられる4つのデバイス(映像,音声,キーボード,ポインティングデバイス)を管理するCD-RTOSのファイルマネージャである。
 テキスト出力は,コード指定によるほかビットマップとして出力する方式もあり,国際性を考慮し,さまざまなフォントを管理できるようになっている.グラフィックには,点,線,円といった図形描画のほかに,表示色や描画線の太さ,塗りつぶしパターンの設定などの描画機能,そして領域コピーなどの機能がある.
 画面表示は,実際にはDCP(ディスプレイ・コントロール・プログラム)により制御され,ワイプ,フェード,スクロール,画面分割といった特殊効果が可能なほか,透過画面や優先順位,背景色,マスク色などを指定することができる.
NVREM
 CDIシステムには,8Kbytesの不揮発性メモリ(NVRAM)が装備されており、アプリケーションで使用することができる.これを管理するのがNVRFM(不揮発性RAMファイル・マネージャ)である.これは,OS-9でいうRBFM(ランダムブロック・ファイル・マネージャ)を簡略化したものだが,サブディレクトリはサポートされていない。
InVision
 InVisionは,CDIのユーザーインターフェイスだけではなく,マルチメディア・アプリケーションを制作するプログラマ向けのツールでもある。
 InVisionは,ディスプレイ・マネージャ,プレゼンテーション・サポート・ライブラリ,および,ビジュアル・シェルの3つのモジュールから構成されている.ディスプレイ・マネージャは、CD-RTOSのUCM用のサブルーチン・ライブラリで,これにより画像,音声,ポインティングデバイス,キーボードの各ドライバヘアクセスできる.また,画面上で複数のアプリケーションを走らせたり,動作領域を管理して入力を簡素化するなどの機能もある.
 プレゼンテーション・サポート・ライブラリは、ディスプレイの操作やユーザーからの入力のためのサブルーチン集合である.この中には各国語間の表現の違いを吸収するような仕組みが含まれている.
 ビジュアル・シェルは、CDIプレーヤーの制御画面であり,ユーザーが実際に目にするのはこの部分である.メーカーによりこの部分は完全にカスタム化できる.このシェルを通して,ユーザーはCDIマシンを制御することになる。
 CD-RTOSについて簡単ながら解説を行ったが,これからもわかるようにCDIプレーヤーは強力なコンピュータでもある.消費者には単なる高級CDシステムとして提供されても,この事実には変わりがない。高度な処理能力を持つCDIでは,事実上,アプリケーションは無限の可能性を持つといってよい.小型化して持ち運べるようにしたり,自動車に組み込む,さらにはカーナビゲーションに応用する,あるいは家庭で娯楽に加え,ホームオートメーション,ホームセキュリティなど,さまざまな可能性が考えられる.
スクラップしたが、役に立つのかどうか。このスクラップ作業の先に「ああ、そういえば、あのときこんな記事があったな」となれば幸い。とにかく今は将来記事をまとめるためのデータ収集作業と考えよう。

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特集CD MEDIA 第3回 その1(月刊ASCII 1988年5月号9) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集CD MEDIA 第3回は「CDの明日を探る」だった。34年後に振り返ると後発の媒体にとって代わられた記録メディアだったと思うが、当時は未来のメディアで前途洋々だった。
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ソニーUNIX CD-ROM Extensions
 アメリカのCD-ROMビジネスはバーチカルマーケットで動き出したが,電子出版分野ではまだまだであり,CD-ROMの特徴を生かしたマルチメディアソフトが登場するのは,当分先のことになると予測されている.
 このように見通しをたてにくいCDメディアのマーケットに積極的に取り組んでいるのがソニーである.CD-ROM内蔵MSX2,ハーフハイトCD-ROMドライブに続いてソニーが発表したCD-ROMドライブ内蔵のUNIXワークステーションNEWS NWS-891は,何を目指したシステムなのか?ソニーはCDメディアの未来にどんな夢を描こうとしているのか?ソニースーパーマイクロ事業部CD-ROM事業開発本部の方々に,お話をうかがった.
ソニーのCDビジネスの戦略は?
 CDメディアのビジネスは、全体で見れば立ち上がりつつある.CDのスタンプやCD-ROMドライブは、従来のメディアの延長線上にあるので、ビジネスとしては予測もたてやすい。ところがCDIは,従来存在しない概念の製品なので先が読めず,まだ未来のビジネスであるといえよう.CD-ROM事業開発部の木村敬治氏によれば「CD-ROM事業は1990年代にはオーサリングやデータプリパレーション(注1)を中心に立ち上がるでしょう」という。
注1 データプリパレーション
CD-ROMアプリケーション作成でプリマスタリング以前の段階をいう.
 現時点では、CD-ROMはユーザーシステムから切り離せない存在である.ハードから独立して,CD-ROMソフトが一人歩きできるようになったときこそ,CD-ROMがメディアとして成熟したといえよう.その実現には、ディスクのタイトル数が多くなり,CD-ROMドライブが安くなることが不可欠である.今回発表のCD-ROMドライブをビルドインしたNWS-891システムは,CD-ROMの未来を占うトライアルなシステムで,これが即事業につながるとは考えていない.このシステムは企業のエレクトロニック・インハウスパブリッシングをメインターゲットに想定しているそうだ.CD-ROM普及のプロセスは,企業内ドキュメントの置き換え(リプレス)として進行するだろう.ユーザーが,そのドキュメントはCD-ROMに適切と判断すればリプレスされるだろうそれにはメーカーのサポートは不可欠だが,「いかにユーザーがCD-ROMを簡単に作成する環境を整えていくか,それがCDメディアの産みの親であるソニーのユーザーに対する企業としての責任です」との木村氏の言葉である。
 ソニーでは,UNIXエクステンションを他のマシンへ移植したり,MS-DOSエクステンションのようにライセンス供給することは考えていない.ただし要望があればOEMで供給することも考えられる「ソニーはエクステンションで商売をしようとしているのではありません.CD規格の提唱者として,マーケットが立ち上がるまでサポートするのが当然と考えているだけです」という木村氏の言葉に,ソニーの「市場を創造する企業」というポリシーを感じた.
 第1回に紹介したCD-ROM版「広辞苑」も,NWS-891のUNIX/X-Window上で動作しているが,ソニーではこれを使って日本語ワープロソフトを開発したいソフトハウスなどにアクセスメソッドをライブラリとして供給することを考えているという。

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CD-ROMは単なるデータ保存用メディアとしか使ったことがなかったのでこの記事の意義とか意味とかがピンとこない。たかだが650MB程度の容量しかないCD-ROMにそんな未来を感じていたのか。まあ、当時使っていたHDDが20MBとか40MBだったのでその10倍以上の大容量に素晴らし未来を感じたとして当然だった。

エクステンションとは?
 CD-ROMの論理フォーマットがISOで認可されたことにより,アプリケーションが共通に利用できる基盤が確立されたといってよいだろう.OSを拡張してCD-ROMに対応させることにより,ユーザーはCD-ROMをトランスペアレントに利用できるのである.MS-DOSエクステンションに続いてソニーより発表されたUNIX CD-ROM Extensions(以下,UNIXエクステンション)は,MS-DOSエクステンションと同様にUNIX本来の機能を拡張してISO(現在はHSF:ハイシエラフォーマット)のCD-ROMに対応させている.UNIXエクステンションは、NWS-891用のオプションソフトウェアとして提供予定であり,4月発表バージョンはHSFのレベル1を実現し,将来的にはレベル2,ISO,JISと順次サポートしていくという。ただし,JIS化は2年くらい先のことだろう。
 参考までに,電子出版協会システム標準化委員会はJIS規格の母体となる日本語HSF案と,日本語文書ファイルのフォーマット規約「WING」(後述)を進めており,近日中に提案がなされる予定である。
トランスペアレントってなんだとググったら、要はユーザがCD-ROMを扱っているということを意識しなくても特別なことをしなくても普通に今までの環境で使っている周辺機器と同様に使えるということのようだ。つまり、CD-ROMのデータを読み込むための特別な命令を覚えなくてもCOPYとかTYPEとかができるということか。

エクステンションの構造
 UNIXエクステンションはどのようなものか,技術的な側面を同じくCD-ROM事業開発部の出村彰英氏からうかがった.
 エクステンションはデバイスドライバとOSの間に入るものだが(図1),UNIXエクステンションは、さらにNFS(注2)を利用して,UNIXファイルシステムにCD-ROMの管理機能を付け加えたものである.
注2 NFS
Network File System.
ネットワークを介して他のマシンのハードディスクのファイルを利用するためのシステム
NFSを使うことで,OSは仮想的なファイルを扱えるようになり,ネットワークにつながっているマシン間でファイルを共有できるようになる.このNFSの機能の一部を利用し,管理方法の違うCD-ROMを通常のファイルとしてアクセスできるようにしたのが,UNIXエクステンションである.
 CD-ROMランダムアクセス時のシーク時間を短縮するために,コマンドはへッド移動をオプティマイズして実行されるといった一般のUNIXデバイスドライバの技法もそのまま取り入れられているほか,通常のファイルアクセスと同様にCD-ROMを扱うことができるのである.「もしNFSが存在しなければ、同等の機能のソフトを開発しなければならなかったでしょう」との出村氏の言葉である.
 NFSが間に入ることによる実行速度の遅延は、CD-ROMのデータ読み出しの実行速度やシークタイムといった部分に比べると十分小さいので,さほど問題にならないという.

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UNIXの説明だからNFSは全く知らない。当時の記事は一般ユーザには難しすぎる。

NEWS上のCD-ROM利用形態は?
 従来のUNIX環境は,ユーザー自身がディスクを自由にマウント/アンマウント(ディスクをシステムに接続,切り離すためのコマンド)することを考慮していなかった.ところがワークステーションの発達で、ユーザーの利用形態は大きく変化した.こうなると,必要に応じてユーザーの使うCD-ROMディスクを交換できないと不便なので,NEWSではフロッピー同様,スーパーユーザー(注3)でなくともCD-ROMのマウントやアンマウントを実行できるようになっている.
注3 スーパーユーザー
システムの管理者.ユーザーの管理や各種メンテナンスを行う必要から,通常のユーザーには禁止されているような操作も行える.その1つにディスクのマウント/アンマウントがある.
ただし,EJECTボタンによりCDROMが自動的にアンマウントされるようにはなっていない.
 ネットワークを使い,違うマシンのファイルをアクセスするといったことも可能だが,このUNIXエクステンションでは,ネットワークを介してCD-ROMをリモートマウントし使用するアプリケーシションは,考慮されていない.そのため,リモートマウントしたディスクを,他のユーザーが交換することを禁止する機能はない.そもそも,離れたところにあるディスクを自動的に取り換えることが不可能だからである。
 ネットワークに直結してファイルサーバとして使用するCD-ROMドライブは,現時点では考えていないとのことである.ユーザーがネットワーク経由で利用するには、CD-ROMは遅すぎるということもあるが,いずれドライブやメディアも低価格になることが見込まれているものであり,共有するメリットが少ないからであろう。
それはそうだろう。ネットワーク越しにCD-ROMを使うなんて考えたこともなかった。プリンタはネットワーク越しによく使ったけど。

ワークステーションとCD-ROMアプリケーション
 NEWSのCD-ROMは、どんなアプリケ-ションを想定しているのか?
 まずは従来ハードディスクに保存されていた読み出し専用のファイル――オンラインマニュアルやソースコードなど――を格納するという単純な用途が考えられる.ワードプロセッサなどの書体や書式集のデータベースなど,動作が遅くてもさしつかえない分野もある.単純なUNIX環境に限定してもCD-ROMの用途は限りない.さらに次の段階でワークステーション上でユーザーが使う時だけ必要なCD-ROMディスクをマウントして使用する,電子出版を指向するソフトが現われることになるだろう.
こういった用途にCD-ROMが使われた他、ゲームソフトのように画像や動画データの保存領域に使われてきた。
検索ソフトの標準化
 当面のCD-ROMの主要なアプリケーションは、インハウスパブリッシング分野であると考えられているが,それにはユーザーがCD-ROM出版を実行できる最低限の環境が提供されねばならない.そのためにソニーは,現在手元にあるデータをとりあえずCD-ROM化したい、という差し迫ったニーズを持つユーザーに向けて,標準の検索ソフトと,その検索ソフトが要求するフォーマットでデータ加工を行うツールを供給する予定である.
 CD-ROMアプリケーションに検索ソフトは不可欠だが,マシンごとに移植するのは費用が膨大になり、到底ペイしない.機能は少なくとも,どのマシンでも実行できる共通の検索ソフトが存在する方が,ディストリビュータ(供給者)にとってメリットは大きい。そこでソニーはNEWの標準的な検索ソフトとしてナレッジセット社のナレッジリトリーバルシステム(以下「KRS」)をオプションソフトとして供給しようとしている.
 KRSは現在IBM PC上で動作しているが,NEWS版としてX-Windowの環境下で動くKRSを開発した.これが実現すれば,GEMとX-Windowの環境下で同じCD-ROMを利用することも可能となる.夏にはNEWS対応KRS英語版を,その後日本語版を発表する予定である。
 KRSはテキストだけでなく複数形式のグラフィックスデータを扱える.これにより,フルテキストサーチはもちろん,ハイパーテキスト(注4)にも対応できる.
注4ハイパーテキスト
階層構造を持つ文書.通常のテキスト(文字)のほか,グラフィックス(絵)や音楽などが混在できるもの
KRSの要求するデータフォーマットはフレキシブルで、色々なデータ形式に対応できる.他の形式のデータはデータ加工フィルタを作って通せばよい.カスタマイゼーションが必要なのはそれだけなので,ディストリビュータは画面デザインなど,本来のソフト制作に専念できるのである.このようにKRSを利用すれば,ディストリビュータにとって毎回のソフト開発の負担が軽減できる.
 ソニーではKRSをNEWS+CD-ROMのベースツールの一つとして提供するが,検索ソフトはこれ一種類だけでよいと考えているわけではなく、とりあえず検索ソフトまで開発できない,する必要もないというユーザーのためにKRSを用意する必要があると考えている.
 以上のように,あるデータフォーマットに合わせてCD-ROMを制作すればNEWSで再生できる環境が実現されたことは、ディストリビュータ側から見れば大変ありがたい.こうした環境がそろわなければ,CD-ROMは普及していかないであろう.逆に,ツールが整備され容易にCD-ROMを作れる環境が実現されれば,ソフトの作り方も変るであろう。ペーパーメディアでは実現できないマルチメディアソフトやハイパーテキストも時間がかかるだろうが増えていくであろう.

「文書ファイル標準化のアプローチ
 CD-ROMのファイルフォーマットが標準化されたとはいえ、どのシステムでも共通にソフトを利用できるわけではない.そのためには、CD-ROMに記録されるデータをアプリケーションレベルに立ち入って標準化する必要がある.日本電子出版協会のシステム標準化委員会のサブワーキンググループで技術者が集まって,CD-ROMの文書ファイルの標準化に関して検討を開始したのはそうした背景がある.その後CD-ROM版「広辞苑」,「現代用語の基礎知識」等の開発ノウハウをもとに,汎用化したのが『WING』規約提案である.検討メンバーの富士通株式会社情報システム事業本部の坪倉孝氏に,WINGの構想をうかがった.

CD-ROMの特徴
 辞書に代表される出版物は,人間がページをめくって必要な項目を探さなければならないが,CD-ROM化することで色々な項目を色々な方法で簡単に検索でき,索引の展開が格段に拡がるという特徴がある.こうしたメリットを最大に活かせるCD-ROMは電子出版に最適である.
 「CD-ROM辞書の特徴は,本に比べ省スペースで,印刷ページ数の制限を受けないさまざまな索引付けができる.しかし、印刷物と異なって再生するためのビューアとでも呼ぶソフトを開発する必要があり、市場性については不安が大きいという声がある.開発費用に見合う利益が期待できるようにする必要がある」と坪倉氏は述べる.リスクが大きいことがCD-ROMを専門分野向けにし,価格を高くしてしまい,その結果市場性を狭めてしまうことを心配している.たしかにCD-ROMはまだ高価で,システムを全部そろえると本なら数千円の情報が100万円くらいになってしまう.便利さを特徴として現存の本より高い価格は設定できるだろうが,データのタイトルを増やすことがCD-ROMのマーケットの拡大につながるだろう。ところが今までは出版業に向けたCD-ROMソフト開発の基本技術が確立されておらず,コンピュータソフト開発能力を持つ一部の出版社しかCD-ROMソフトを出せなかった。WING規約の提案は,「音楽用コンパクトディスクとプレーヤーの関係をCD-ROMに適用させたいという主旨で,CD-ROM化のメリットが明確と思われる辞書検索を中心に記録形式の標準化をすることでCD-ROMが容易に開発できるとともに開発コストの引き下げが実現できる」ものであるという.1つの検索ソフトで複数のCD-ROMが検索できることは費用の面で有利である.
 つまり,坪倉氏の言葉を借りれば「専用機市場向けの検索ソフトには専用機能が必要ですが,一般向けの検索ソフトは,機能は多少制限されても色々な種類のものが自由に選択できて、安く手にはいる必要があるでしょう.そのため検索ソフトを個別に開発したのでは割高となり,ユーザーはデータごとに再生ソフトを購入しなければならなくなってしまい、気軽にCD-ROMに手をだせなくなってしまう悪循環に陥ってしまいます.それよりもひとつの検索ソフトで一通りの検索が可能で,さらに専用の検索ソフトを購入するとより便利に使えるように」ディスクに記録される文書ファイルのフォーマットを考えたものである.
検索性の容易化とか柔軟性はCD-ROMというかデジタルデータに軍配が上がる。広辞苑とかでは項目の検索しかできない。説明の中に使われている用語を検索語として利用したり、AND検索、OR検索とか今普通にしていることが34年前はできなかった。
WINGの目的
 WINGはISOのCD-ROM上の検索を対象とした文書ファイルのフォーマットの標準化提案であるが,従来は存在しなかったCD-ROM出版物に対する「出版業界と電機業界という価値観の異なる業界の意見調整」という意味ももつメディアの立ち上げは,いかにたくさんのソフト(タイトル)が早期に用意できるかで普及の度合が決まるであろう.CD-ROMのコンシューマ向けマーケットを立ち上げるには、出版業界と電機メーカーがうまく協力する必要があるが,両者が歩み寄るたたき台が,WINGの目指すところであるという。

WINGの構成
 WINGは、ISOファイルフォーマット上に、文書を格納するときの規約である(図2~4).文書といっても,通常の本-をみれば,図や表といった文字以外の情報が含まれている場合がほとんどであるため,それらのデータの混在をどう管理するかが問題となる.しかし,CD-ROM文書の標準化においてはパソコンやワーエクステーションの各機種に対応させるために,従来の印刷物にあるようなレイアウトは期待できない.編集者(制作者)の指定どおりに画面表示できないことの方が多いであろう.低い表示能力のマシンが、高レベルの表示能力に設定されたCD-ROMを再生する場合でも、問題が生じない規格を設定する必要がある.そこでWINGは,機種のレベルに応じて指定の一部を再生時にバイパスすることも許している。
 外字の扱いも問題になる出版業界の現在の出版物と同じ文字表記をCD-ROM出版物でも実現すべきとの主張もあるが,現実のパソコンの共通項はJIS標準までである.フォントの強調や書体,文字サイズについては,画面表示はできないがプリンタには印字できるなど要求と現実のギャップをどう埋めるかが問題である.WINGでは、再生する機種に応じて対応できる形で解決することが提案されている.
 グラフィックスについても、パソコンの画面表示は標準化されていないため,WINGはデータをフルグラフィックスやISOに準拠した方式で記録することを提案している。

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34年前はbmpはあったかな?jpgはなかった。PC-9801ではこれらは使ってなかった。V-RAMのデータをそのまま保存していた。各自勝手に圧縮していて汎用の圧縮ソフトもなかった。
CD-ROMはソフトの流通を変える
 標準の検索ソフトでは,各種のCD-ROMデータが検索でき,別売の専用検索ソフトを買えば,もっと便利に使えるといったやりかたの方が,最初からCD-ROMごとに高い専用ソフトが必要な方法より購入しやすいこれを実現できるように,専用アプリケーション用のインデックスなどを記録する部分もWINGには用意されている。
 出版物に近い流通を考えた場合,標準再生ソフトを1つ持っていれば後はCD-ROMタイトルのなかから好きなものを買ってくるだけという方式が一般ユーザーには受け入れやすいのではないかと坪倉氏は説明する。

WINGの今後
 電子出版の時代を迎え,従来の組版やレイアウトとCD-ROM他の電子メディアの両方に対応するエディタを準備し,作成したファイルをコンパイルすることでCD-ROM化あるいは印刷データとすることが可能になった.ただ,これまで行われてきた出版業界における作業方法に対して,このようなエディタが受け入れられるか難しいものがある.CD-ROMへの加工を考慮した編集作業の電子化やWING規約に準拠したCD-ROMの試作などはこれからである.坪倉氏によれば「まずは各社で技術的検討をすすめながら,WINGに賛同する出版社・電機メーカーを増やそうとしている」段階であるという.
 現在のWINGは,辞書に代表される検索対象となる文書の標準化を想定しているが,これをベースにマルチメディアへ対応することも検討しているとの話である.坪倉氏によれば,WING提案はCDROMの特徴を活かせる作品を対象にする文書の標準化を目指したものとのこと。WINGとは別に電子化文書の標準化の動きもあり,それらとどのような関係をとるのかという課題もあるが、賛同する出版社や電機メーカーと協力してタイトル揃えに努力したいという.
検討しているということばかりだった。記憶ではここに書かれていることを体感したのはWindows95からだったような気がする。
CDメディア現状の問題と展望
 世界標準規格である音楽用コンパクトディスクに比べ,CD-ROMはいまだハードの呪縛から解き放たれていない、けれどもコンピュータの周辺機器としてCD-ROMが真価を発揮するには,機種間による違いから自由でなければならない.ISO化を契機に様々に進行している標準化によって,どのコンピュータでも利用できるCD-ROMソフトウェアというユーザーの理想が実現できるのだが,標準化は早すぎれば相手にされず,遅すぎれ ば無意味で非常に難しい.
 ソフトウェア環境の整備も早急に解決すべき重要な問題である.例えばワープロソフトの文書形式が標準化されても,オペレーションは統一できず,操作説明までを含めてソフトから独立した辞書や書式集などのアプリケーションを流通させるのは難しい。
 マルチメディアCD-ROMの標準化はプレゼンテーションレベルのシステムの機能差が障害となる.特定のハード用に作成したデータを他のハードで再生するにはコンバージョンが必要となるのである.例えば,色を24ビットで記録しシステムにあわせて圧縮表示することも可能だが,ユーザーシステムの負担が大きく,動作の遅いCD-ROMには不利である.加えてマルチメディアCD-ROMはマーケットが立ち上がっておらずニーズが不明確で,方針を立てること自体難しいのだ。
 今後の動向を見るといった点では,今年も3月1日からMicrosoft主催の「第3回CD-ROMコンファレンス」がシアトルで開催され、続いて,同じ会場で「Apple CD-ROM開発者会議」が開催された(本誌217ページ参照).朝8時から夜7時半までの密なスケジュールの中で,ハイパーカードの環境下でのソフト開発の問題点や,マルチメディアのデータ作成法まで,CD-ROMの開発に必要な幅広い情報が紹介された、未来指向型のMicrosoftの国際会議と異なり,マルチメディアのCD-ROMソフトを現時点で開発しようとしているソフトベンダーとっては、意味のある現実的な会議であったといえよう。
 ここでは,Appleの純正のCD-ROMドライブである「AppleCD SC」が注目を集めた.このドライブは,インターフェイスがSCSI規格で,オーディオ出力を有している.展示では,Macintosh/SE/II,AppleII GSに接続され、数社のCD-ROMハイパーメディアがデモされていた(発売は5月頃で,価格は1,199ドルの予定である).CD-ROMは,マルチメディアを念頭に作られるようになったときこそ真価が発揮されるといえよう.紙の出版物を単純に置き換えるといった発想では、CDROMのメリットが活かせないのだ.
 CD-ROM出版物に期待されている姿は,データをCD-ROMで,コントロールソフトをフロッピーで供給する形態である.ペアでディストリビューションされることで,さらにソフトの付加価値を高められるわけである.これこそ電子出版本来の姿であるといえよう.

CDメディアのオーサリング環境
 いかに安価にCD-ROMソフトを開発できるかは、一口にオーサリングシステムの充実にかかっているといって良かろう.
 日本に輸入されている代表的CD-ROMプリマスタリングシステムに「CDパブリッシャー」(メリディアンデータ社),「TOPIX」(OMI社)などがあるが,こうしたシステムを利用することにより効率良くソフト開発を進められる.
 CDIオーサリングシステムとしては、ソニーがNEWSのADPCMエンコーダを今年中に発売する予定である.TOPIXもCDIに対応するという.

CDI/DVIのスケジュール
 CDメディアのうちこれから動きだそうとしているいる2つの規格がCDIとDVIである.
 CDIビジネスは動き始めたが,システム開発は順調とはいえない.CDI機能の-すべてを実現したディスクがAIM社から発表されたが,ユーザーからは冷静に受けとめられていた.まだ,プレーヤーが機能モデルだったこともあろう。気になるスケジュールだが,10月のエレクトロニクスショウにデモ機が発売され、来年5月頃に業務用機が発売されるという。コンシューマ向けプレーヤーは89年秋に発売の予定である.まだグリーンブック最終版は今年夏に発売される予定である.
 DVI技術は「第3回CD-ROMコンファレンス」でGEとMicrosoft,Intel,Lotusがジョイントして進めることが発表された.ハードはIBMPC本体の内蔵ボードで供給される予定である.今月から,一部デベロッパーに向けてアプリケーションデベロップメントキットが出荷予定であるなど,DVIの実用化は間近いという印象を受けた。

 3回の連載の中で述べてきたように,現在,着々とCDメディアは,普及の準備を整えつつある.我々の目前にCDメディアが登場するまではあと一歩である.その反面,それらが成功するかどうか,登場した後の社会的動向など,未解決,というよりやってみなければ分からない問題もある.その一歩がどう踏み出され,どこに向かっていくかは、今年中にはっきりするのではないだろうか.

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何回も書いたが、こうした汎用性に優れたメディアも貧弱な86系CPUを使っていてはどうにもならなかった。特にPC-9801が市場を制覇していた日本ではPC-9801のハードに依存したシステムでなければ速度的に全く使い物になかった。当時確か一太郎はCコンパイラで書かれていたので遅かったという話を聞いたことがあった。たかがワープロひとつどうしてこんな動作が遅いプログラムで作らなければならないんだとイライラしながら使っていた。その憂さ晴らしに速度命のプログラムを書いて遊んでいた。
ただでさえ遅いCD-ROMを機種依存ではなく汎用のソフトを作って使い物になるのかと思っていた。大体OS自体MS-DOSは機種依存だったのだから、応用ソフトが機種依存で作っても当たり前ではないか。

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PC-9801LV21/UV11,X68000ACE他(月刊ASCII 1988年5月号8) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

PRODUCTS SHOWCASE から PC-9801LV21/UV11, X68000ACE, PC-8801VA2, MBC-17JH の紹介をスクラップする。
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PC-9801LV21 と UV11 の使用レポートだった。基本仕様については前号参照とのことだった。とりたててスクラップする内容は無かったので写真だけをスクラップする。
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左がPC-9801 LTmodel11, 中央がPC-9801 LV21, 右がPC-286L

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PC-9801LV21

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PC-9801 UV21と同UV11

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PC-9801LV21とアナログRGB画面との比較

コラム記事をスクラップする。
ライバル286Lとの比較
 LVを,そのライバル機である286Lと比べてみよう。3.5インチ2台内蔵で,バックライト付きという,ほぼ同じ仕様のSTDNと比べてみる.CPUが10MHzのV30でノーウェイトというところから,メモリ,端子,スイッチ類の有無までほとんど同じである.ただし,その設置位置はかなり異なり,286Lではスイッチ類や端子の多くが背面にあるのに対し,LVは左右に振り分けといった感じだ。また,286LはFDDが左と右にあるが,LVは右側2台である.設置場所や入れ換えの動きを考えると,LVの方が便利だろう.
 サイズはほぼ同じで,LVの方が奥行きが20mm短く,重量は286Lが約10%重い.バッテリ駆動時間はともに1時間だが,充電時間が異なり,LVは8時間で,286Lは15時間とほぼ倍の時間がかかる.また,LVは簡単にバッテリが取り外せる.長時間屋外で利用したい場合,複数のバッテリを購入しておいて,取り換えて利用することもできるだろう.
 表示部は、LVが8階調なのに対して,286Lは2階調である.各種ソフトを使ってみたが,やはり286Lでは,ディップをうまく組み合わせても、表示できないものがある。逆にグラフィックや色付きの文字を使わない場合は,286Lの方がディスプレイが明るいので見やすいだろう.
 あとは「黒+曲線」と,「白+直線」という対象的なデザインが大きく異なるが,これは好みの問題である.


X68000のHDD内蔵モデルX68000ACE-HDの紹介。CPUのクロックは変わらず内部回路の高集積化を図ったモデルだった。以下、写真をスクラップする。
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X68000ACE外観

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X68000ACE内部

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X68000ACE基板

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X68000ACE画面



PC-88VA2もCPUの変更は無くサウンドボードII(PC-88VA-12)を内蔵したモデルだった。ハードウェア的にはスクラップするべき内容は無く、写真をスクラップする。
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AX仕様マシンの三洋 MBC-17J の紹介記事。AXはDOS/Vマシンが出る前の前座のようなマシンだった。AXがPC-9801シリーズと全く勝負にならなかったのは当時のCPUが低性能だったからで80486程度の速度は必要だったということだ。80286は本当に中途半端なCPUだった。そんなCPUを私は呪いながら使っていた。マゾタイプな人間だったから呪いながら使えたのだろう。以下これも写真をスクラップする。
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MBC-17JH20の画面

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MBC-17JH20の画面


記事の最後にはMBX-17Jシリーズの評価として「プログラミング環境やEGA対応のゲームなどを中心に、個人ユーザでも日本語ATの潜在的は利用価値は大きなものがあると思われる。そうした意識の浸透にともなって、一般ユーザー層へはどのように展開していくのだろうか。」とまとめてあった。これは否定的は意見をオブラートに包んだいい表現だと思う。「一般ユーザー層」といういうキーワードでまとめると、潜在価値は顕在しなかった。しなかった価値は価値無しだ。またなんでわざわざAXマシンでプログラミングしなければならないのか。またEGA対応ゲーム?PC-9801のゲームとは勝負にならなっただろう。Windows95というソフトウェアを使えるレベルで実行できるCPUが出るまではPC-9801の天下だった。

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