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’89年のパーソナルコンピュータ市場(月刊ASCII 1989年1月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事「見えてくる90年代のパーソナルコンピュータ」
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から当時の状況が解説されている部分をスクラップする。
'89年のパーソナルコンピュータ市場
CPUと周辺機器、OS

 4年ごとに到来すると言われるシリコインサイクルの当たり年だった'88年は,空前の半導体ブームだった.この好景気を「引っ張ったのは,もちろんパーソナルコンピュータ市場である.80386や68020を搭載した32bitマシンが低価格路線を打ち出し始め、IBM PC/AT互換のAXマシンが市場に姿を現し,HDD内蔵の高級ラップトップが一堂に会した。同時に,DRAMの主流は256Kbitから1Mbitへと順調に移行しつつあり,メモリ大量消費時代を迎えた.
 90年代にあと1年と迫った'89年は,本,格的な32bit時代の幕開けの年である.CPUはもちろん,メモリ,周辺機器,オペレーティングシステム,アプリケーションなどが,32bit環境に突入する元年として位置付けられよう.本特集では,パーソナルコンピュータ全般における'89年のトレンドを、2大対談,2大インタビューを交えて概観する.

'89年の286/386マシンの出荷台数は約116万台
 '89年には1年間で,過去5年間に出荷した総計と等しい80286/80386マシンが国内で出荷される.内訳は,80286マシンが84万3000台,80386マシンが31万5000一台で,合計115万8000台.
 この予測数値は,OSベンダーのマイクロソフトが明らかにしたもので,誤差は非常に低いと思われる.世界的に見ると,80386CPUの台頭が顕著だ.米国Intel社は,ニューメキシコ,オレゴンの両工場を合わせた生産規模を年間350~400万個に拡大しており,90年までには32bitCPUの市場規模は年間1000万個になると見ている.これにともなって,現在,16MHzの80386は1個3万円台と30%近く価格が下落している.16MHzの80286にいたっっては1個7000円台まで落ちている.'89年中に,80386は1~2万円台に落ちることが確実視されており、32bitCPUが高いという常識は,わずか1年で崩れ去ってしょまったことになる.
 メモリ大量消費時代を迎えたDRAMは,256Kbitから1Mbitへの過渡期にある.'87年に256Kbitが深刻な品不足になった一時期が幸いして,1Mbitの先取り導入が目立つ.
 CPUとメモリの安定供給が実現しつつある状況下では,16~32bitマシンの低価格路線がさらに進むことになるだろう.

HDDの装着率が躍進する
 3.5インチFDDの世界市場は日本メー,カーが独占しているが,'89年は新製品に搭載される割合が急増しそうだ.これには,ラップトップ型マシンの躍進が無視できない.3.5インチFDDを標準搭載したPS/2シリーズの出荷台数が全世界で300万台を越えており,米国では'90年には全パーソナルコンピュータにおける3.5インチFDDの搭載率が75%を越えるという予測もある.一方の日本国内では,PC-9800シリーズなどのデスクトップ型が5インチFDDを標準にしていることもあって普及率は米国の約半分とも言われている.しかし,'89年後半に,3.5インチFDDへの移行をスムーズにする中核マシンが"登場するかもしれない.ただし,FDメディアは、HDDの低価格化によってマシンに占める比重が相対的に低下してきており,外付けの低価格3.5インチFDDも好調なことから,移行はもっとスローテンポになる可能性が高い.
 一方,外付けHDDの主流になっている20Mbytesタイプは、実勢価格が'88年に10万円を切って,現在は40Mbytesタイプが10万円台を切る勢いだ。
 HDDの生産量は,ここ2~3年間で見ると30~40%増のペースで推移しており,今年は300万台の大台に乗ることが期待されている.価格は,逆に30~40%安になっており,80Mbytesタイプが10万円台になるのも時間の問題だろう.20~40MbytesHDDを標準で内蔵した低価格マシンは,'88年後半から出荷台数が著しく伸びている.'89年はHDDの標準デバイス化に拍車がかかりそうだ.
 これに関連して,書き換え可能な光磁気ディスクやDAT(デジタル・オーディオ・テープ)を利用したストリーマなど,HDDのバックアップ機器も本格的な立ち上がりが予想される.特に,DATは,'88年に数社がすでに商品化しており,ソニーと米国Hewlett-Packard社の統一規格に歩調を合わせた製品の登場が期待される.価格は,量産段階で30万円台といったところで,現行のカセットストリーマに比べると割安だ.

ページプリンタ元年になる
 '88年は,日電が日本語PostScriptプリンタ「PC-PR602PS」を発売したのを始-め,各社がページプリンタを一斉に発表したアップルコンピュータジャパンも「LaserWriter II NTX-J」を発表して,ドキュメント処理の中核としてページプ・リンタが急浮上している。焦点は,どの程度の低価格化が図れるかという一点にある.PostScriptに代表されるページ記述言語(PDL)搭載プリンタは90~120万円の価格レンジから出発しており,急激な低価格化は望めそうにない.一方,PDLを搭載していないページプリンタは20~30万円台が期待される.普及の鍵を握るアプリケーション側の対応は,ワープロソフトを中心に'88年後半から進んでいるため,グラフィックス系ソフトの展開がポイントになるだろう.'88年のDTPブームは持続すると見られるが,本格的な市場の立ち上がりにはもう少し時間がかかりそうだ.
OSはもちろんMS-DOSが主流
 オペレーティングシステムは,OS/2が普及への第一歩を踏み出している.'89年の普及率は116万台の286/386マシンのうち1%程度だろう、動作するアプリケーションの出荷は'90年に入ってから本格化すると見るのが一般的で,プレゼンテーションマネージャ対応となると,さらに普及時期は後退するというのが妥当だ.したがって,'89年は、OS/2のさらなる周知期間として位置付けることができるだろう。とは言っても,米国では400以上のアプリケーションがリリース予定になっており,秋以降にOS/2のプレブームが到来する可能性は否めない.
 マイクロソフトのWindowsやジャスト・システムのAAC構想が市場に及ぼす影響については未知数である.ただし,一太郎Ver.4については、ワープロ中心のアプリケーション市場を考慮すると,ある程度の予測が立つ,AAC構想という正面からの捉え方よりは,一太郎のバージョンアップというユーザーサイドに立った視点で捉えると,普及に際しての足かせはあまり見あたらないのではないだろうか.

1989年の記憶を探ると職場はもちろんのこと一般ユーザでもHDDの装着、メモリの増強は当たり前の状態になっていた。3.5インチFDDの増設もしていた。なにしろPC-9801は5インチFDDのマシンが全盛だったのでそれらのうちの一部に3.5インチFDDを増設した方が合理的だった。PostScriptプリンタの導入は職場でも進んでいなかった。ドットインパクトプリンタがメインだった。
 OSの動向が「OSはもちろんMS-DOSが主流」と「もちろん」がついているところが良い。大多数のユーザがそう思っていたはずだ。OS/2を使っているとか使おうと思っている人を知らなかった。雑誌等のOS/2推しは33年後の未来からみると滑稽というか読んでいて恥ずかしくなる。

CD-ROM市場はまだ黎明期
 CD-ROMは、ハードウェアとソフトウェアを合わせた市場規模が'88年度で約12億円と小幅の展開だった.'89年は、出荷台数が1万台程度と見込まれており,市場規模は約25億円と倍増しそうだ。本格的な展開は,やはり90年代前半からだろう。
表 CD-ROMの市場規模予測(日電HEほか調べ)
年度 出荷台数 金額 ソフト市場
'88年 4000台 6億円 6億円
'89年 1万台 10億円 15億円
'91年 10万台 70億円 120億円
'96年 120万台 600億円 1000億円
このころはCD-ROM搭載のパソコンはまだだった。CD-ROMを意識しだしたのはFM-TOWNSの登場からか。外付けでCD-ROMドライブを買うことの検討はまだしてなかった。キラーコンテンツがないのにドライブを買ってもしょうがない。
 この表はどの程度予測があったたか確かめるためにスクラップしておく。

IBMのシェアは低下の傾向?
 米国IBM社のPS/2シリーズのジリ貧傾向は'89年も続くのだろうか.全米最大のコンピュータディーラーであるComputerland社では、PS/2関連で年間4億ドル以上を販売しているが,Compaq社やApple社の健闘が目立つという.Solomon Brothers社のアナリストによると,IBM社は2年前に40%のシェアを確保していたが,ここにきて10ポイント以上も落ちているという.
 IBM社のエントリーシステムズ事業部のウィリアム・ロウ社長は,「MCA(マイクロ・チャネル・アーキテクチャ)を使っていないモデル30の需要が供給に追い付いていない」と述べて,MCAベースのPS/2の不振を暗に示唆している。
 一方では、MCAに対して新たな業界標準を打ち出したCompaq社やIntel社,ASTResearch社など主要メーカー9社が推進するATバスの32bit拡張仕様「EISA」に基づいたマシンが登場してくる.Del社やTandy社が,MCA互換機路線を一部修正するなど,PC/AT見直し機運も根強い。'89年の米国パーソナルコンピュータ市場は波乱含みで推移しそうだ。

IBMのMCAは確かポシャッタという記憶がある。OS/2とともにMCAがどうしてダメになったのかスクラップして確かめる。

続いて古川 享氏の予測をスクラップする。
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軽量・コンパクトなラップトップとフロッピーベースの統合ソフトが目玉
マイクロソフト(株) 古川 享氏
 第1に,軽量・コンパクトなラップトップマシンが市場に出てくる.現在の重装備ラップトップマシンの対極にくるようなスペックが求められるだろう.その先鞭を付けるものとして,日電が'88年秋のCOMDEX'88に出品した「UltraLite」や,最近の電子手帳型ワープロ(写真1)のような軽量・コンパクトのマシンがあげられる。
 これらのマシンに必要なのは,コンパクトなアプリケーション.占有するメモリサイズが小さくて,機能やスペックをある程度絞り込んだソフトが注目されるだろう.たとえば,MS-Works(写真2)やPC-Worksのような既存の統合ソフトを進化させたようなアプリケーションが考えられる.ワープロ,表計算,作図,通信などがそれぞれ単体でも使用でき,ユーザーが必要に応じて各ソフトを選択・統合できるような環境が求められるだろう.ワープロを中心にして,ニーズに適した機能をフロッピーベースで使えることが,キーポイントになる.そのためには,アプリケーションのROM化といった手法も積極的に採用されるだろう.
 OS/2やWindowsが大きいメモリスペースを必要とする環境に向かっているのに対して,コンパクトなラップトップマシンと統合ソフトの組み合わせは,データエントリーマシンとして,デスクトップ環境を側面からサポートすることになる.日本語ワープロ専用機が200万台,パーソナルコンピュータが150万台という市場では,その境界線を埋める位置付けを持ったマシンの存在意義が出てくる.これまで蓄積してきた高機能ワープロ専用機の開発技術も要請されることになるだろう.
 統合ソフトの具体的な内容は、ワープロ専用機を例にとると、MS-Worksからワープロ機能だけを抜いたようなもので,表計算はMultiplan Ver.2クラスの機能が必要だ.オーディオを例にとると,従来の統合ソフトがコンポーネントステレオだとすると,新しい統合ソフトはラジカセのような感じかもしれない.コンポーネントステレオほどの音質は求められないが,コンパクトディスクを内蔵した可搬性が魅力になるようなコンセプト.仕事で使いたい人が求めるようなパーソナルコンピュータは,本来,そうした機能を持っていなければいけないと思う.
 マイクロソフトでは,5月から秋にかけて,このようなコンセプトに基づいた統合ソフトの製品化を考えたい.
 第2に,ネットワーク環境の整備が進むだろう.Ethernetでもツイストペアでも,ケーブルやプロトコルを気にせずに接続して,各サーバを自由にアクセスできるような通信システムを作る元年が,'89年になるのではないかたとえば,サーバとしてデータを提供しつつ,クライアントとして他のサーバのデータを共有できるような環境.OS/2上のバックグラウンドのアプリケーションが,MS-DOS互換ボックス上のデータを吸い上げて処理したり,それをさらにLANマネージャを使って他のクライアントがアクセスしたり,1つのサーバ上で並列に動作している複数のデータベースをネットワークで共有したり,といった並列分散の環境作りが始まる年になる.
 第3に,テキストベースからビットマップベースへの展開が本格化するだろう.電報やテレックスなどのテキスト系コミュニケーションがファクスのようなグラフィックス系に変遷したように,MS-DOSにはWindows,OS/2にはプレゼンテーションマネージャといったビジュアル環境が定着する.それにともなって,ドットプリンタの代わりにレーザービームプリンタが本格的な普及段階を迎える.こうしたイメージデータ主導によって,ワープロやデータベース,表計算などがグラフィックスベースで処理されるだろう.ネットワーク環境と考え合わせると,グラフィックスによるイメージ通信が浮上することも考えられる.


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「日本語ワープロ専用機が200万台,パーソナルコンピュータが150万台」そうだった。33年前はパソコンは難しいがワープロなら使えるという世代がいた。まだまだパソコンユーザは変わった人という認識を持たれていた。
「ネットワーク環境の整備が進むだろう」とはいってもLAN環境はまだまだ先の話だった。フロッピーを手渡しするような環境が続いていた。
 全体として古川 享氏の予想より市場の進みは遅かったということだった。パソコンはドッグイヤーと言われるように進歩が速かったが、古川 享氏の予想はそれより速すぎた。

続いて西 和彦氏の予測。
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HDDを内蔵していないマシンは売れなくなる
(株)アスキー 西 和彦氏
 第1に,外部20MbytesHDDが10万円を切るようになったのを受けて,HDDを内蔵しているパーソナルコンピュータが標準的なスペックになるだろう.かつて,FDDを搭載していないマシンが使いものにならなかったように,HDDを内蔵して|いないマシンは売れなくなるかもしれない.極端な言い方のようだが,ユーザーの意識はそこまで来ていると思う.これに関連した外部記憶装置として,光磁気|ディスク(写真3)に注目する人もいるが,価格がまだ一般化していないし,規格統一の問題も残っている.'89年中に有望な外部記憶は,DAT(デジタル・オーディオ・テープ)を用いたストリーマドライブ(写真4)だろう.これは,標準で内蔵されるHDDのバックアップデバイスとして浮上してくる.DATは,アクセススピードが現在のストリーマに比べて格段に速く,コンパクトなカセットテープにGbytesオーダーのデータが記憶できる点が魅力だ.OS/2が本格的に導入される環境では,重要なデバイスとして位置付けられるだろう.
 第2に,ネットワーク環境を標準で搭載するようなパーソナルコンピュータが登場するだろう.たとえば,Ethernetのトランシーバを内蔵したようなマシンが考えられる.OS/2の普及が本格化すれば,コーポレートユーザーにとっては,LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)の機能をサポートしたマシンが不可欠になる.UNIXの普及を唱える人もいるが,ビジネスユースではOS/2が確実に主導権を握る.コンピュータのすう勢は,グラフィックスに向かっている。OS/2にはプレゼンテーションマネージャがあるが,UNIXには統一的なビジュアル環境がない.X Windowは,操作が複雑でビジネスユースで主流を占めることは当分ないだろう.期待されるのは,開発中の80386ベースのOS/2だ.現在の80286ベースのOS/2ももちろん有望だが,プレゼンテーションマネージャとその上で動くアプリケーションが市場に出てくるまでは一般化しないだろう.つまり,当分はMS-DOSベースで推移するということだ.32bitCPUはRISCを有望視する向きもあるが,やはり80386SXや80386が市場をリードすることは確実だ.
 ホームユースマシンは難しい局面を迎えると思う.特に,高価格の8bitマシンは,先頃発表されたスーパーファミコンなどに相当食われるだろう当分の間は混沌とした状態が続くだろうが,先行きが明るいとは言えない.
 第3は,これまでにない分野だが,「パソコン放送」と呼べるようなもの.つまり,JCSAT1のような放送衛星が持っている高速・大容量のデータ伝送能力を,パーソナルコンピュータとドッキングした環境だ。JCSAT1を使って6Mbit/秒という高速データを実現するプロジェクトがある。これに対応するアダプタをパーソナルコンピュータに接続すれば,あたかもHDDを増設したかのような大容量外部記憶の環境が得られる。
 また,ISDN対応のモデムを内蔵したパーソナルコンピュータとスキャナ,LBPといった構成も有望だ。前述のLAN環境と合わせて考えると,画像中心の通信環境が浮上してくると思う。


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「HDDを内蔵しているパーソナルコンピュータが標準的なスペック」’89年はこうなるではなかったのか。90年代のことを語っているのか。HDDが標準搭載なのは1995年のWindows95のころか。そんな未来のことを語っていたのか。ピンボケではないか。33年前まだまだHDDは外付けするのが普通だった。内蔵のマシンより外付けの方が良かった。HDDを追加購入して容量を拡張するのが普通だった。
 DATも職場では数年後に導入したがそんなに普及はしなかった。一般ユーザには必要のない装置だった。だいたいOS/2が普及するとなんて考えているから予想が外れるんだ。OS/2は普及しないと誰も言わなかったのか。
 8bit機については「スーパーファミコンなどに相当食われるだろう」そうかスーファミはこの頃か。8bitパソコンによるゲームはグラフィックが美麗な恋愛ゲーム等しか生き残れなかった。
 総じて90年代後半、氏はこの記事の10年近く未来に実現するようなことを想像していた。もっと身近な未来を予想してほしかった。まあ、OS/2しか考えていないようでは仕方がないことだ。

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