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特集「AMD Am29000ファミリ」(月刊ASCII 1988年9月号9) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事のスクラップ6回目は「AMD Am29000ファミリ」
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この頃初めてAMDという名前を目にした。Intelの80286のセカンドソースの会社だったのか。34年も経っているので忘却の彼方にある。「CPU黒歴史」はASCIIのWeb記事だが、Am29000が登場していた。

ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第122回 CPU黒歴史 対Pentiumのために放棄されたAm29000

組み込み分野やワークステーションに 幅広く採用されたAm29000
上の記事を読むとこのAm29000は性能は良かったがAMDの経営戦略のまずさに黒歴史CPUとなったようだ。せっかくアドビシステムズの「PostScript」等に組み込み用途として採用されたほか、ワークステーションなどでも広く採用されていたのにPentiumに対抗するため「直ちにAm29000の部隊は、ほぼ全員がK5の開発に移動させられ、Am29050をベースに「AMD K5」の開発に携わることになった。この結果として、Am29000シリーズは突然に生産中止になってしまったのだ。」これで採用していたメーカーは「結局Am29000を使って製品を開発していたメーカーは、採用製品をすべて廃番とし、別の製品を代替品として提供することを余儀なくされた。」というとんでもないことになった。「国内某社は「絶対にAMD製品を組み込みに使わない」と断言している。」のも当たり前だ。

この号の記事をスクラップする。

高性能と同時にコストを重視
 Am29000ファミリは,マイクロプロセッサであるAm29000のほかに,Am29027 Arithmetic Accelerator,Am29062 Integrated Cache Unit,Am29041 Data Transfer Controllerからなる.
 88000が浮動小数点演算ユニットをCPU内に持っていたのに対して,Am29000ではキャッシュの一部とMMUを1チップ内に持っている.ただし,浮動小数点演算はAm29027と直結して高速化することができる(Am29027とAm29000はオペランドと命令のままインターフェイスする).これは,Am29000が高性能なワークステーションに限らず,コストが重視される組み込み型のコントローラや低価格なマシンをもねらっていることを意味する.また,メモリのアクセスについては,バーストモードと呼ばれる連続領域の読み書きの機能を持っている.これによって,一般にいわれる「RISCチップは高速なキャッシュが必須である」という要件を解消しているといえる点は大きな特徴である.
 高性能なワークステーションでは,Am29000ファミリのすべてのデバイスを使用することで最大限のパフォーマンスを引き出すことができるし,DRAMやVRAMしかない簡単なシステムでも,容易に12~15MIPSの性能を発揮できる.YARK Systems社がMacintoshII用に発売している“McCRAY"というAm29000ボードは、キャッシュを搭載することなく,17MIPSのパフォーマンスを実現しているという.
 AMDによれば,現在の16MHz,20MHz,25MHzのバージョンでは,キャッシュの効果はそれほど大きくはないとのことである.

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キャッシュを付けたのに効果がないとはこれ如何に。

Am29000のアーキテクチャ
 RISCの基本的な手法にAMDが第2世代RISCとするいくつもの機能を追加したものが,Am29000の考え方である.
■大容量のスタックキャッシュ
 レジスタは,他のどのRISCプロセッサよりも多く,192個もある.これらは,64個のグローバルレジスタと128個のローカルレジスタに分けられ,ローカルレジスタはレジスタスタックポインタの間接アドレスで参照される.これらを含むレジスタファイルは,SPARCと同様,2つの読み取りポートと1つの書き込みポートを持つ.また,SPARCのレジスタウィンドウと同様のスタックキャッシュ的な動作により,プロシジャ呼び出しにともなうオーバーヘッドを軽減する(図1).さらには,ローカルレジスタを16個ずつのバンクに分けて,マルチタスク処理でのタスク切り替えにともなう,レジスタのセーブ/リストアが不用となるなどの配慮がなされている.
■ブランチターゲットキャッシュ
 これは,遅延分岐だけでは,分岐命令によるパイプラインの乱れを防げないことに対処するもので,分岐先の4命令を32ケースまで保持する.分岐先の番地がこのキャッシュにヒットすれば,その段階でただちにパイプラインを充填できる.これにより,一般的な演算処理で30%程度のパフォーマンスの向上が見込まれるという.
 また,ノーアドレッシングモードと呼ばれる考え方は,すべての外部アドレスをレジスタ間接で行うというもので,ロード/ストア命令でのアドレス計算による1サイクルを不用にしている.さらに,ロード/ストア命令は,他の命令の実行とオーバーラップすることができる.ロードの結果が,次の命令で必要とされる場合には、レジスタをバイパスして直接実行ユニットにわたされる.これは,演算結果についても行われ,フォワーディングと呼ばれる.
■高速なバスアーキテクチャ
 アドレスバス,命令バス,データバスの3バスチャネルからなっているが,バーストモードと呼ばれるアクセスプロトコルでは,非常に高速な転送が可能である.これは,命令の読み込みのような連続した領域のアクセスについて,最初にアクセスするアドレスを出力したあとは,命令(またはデータ)のリクエストの信号だけを出力するという方式である.
 こうした高速のデータ転送の能力は,通信プロセッサなどの用途にも適しているだろう.異機種間の通信を想定して,ワード内のバイトオーダを1つのコントロールビットで変更できるようになっているなどの点も面白い.
 Am29000は,1.2μCMOSプロセスで,20万8000個ものトランジスタを集積している.これは,MMUを内蔵していることにもよるが,むしろCISCに近い部品数である.シンプルなため容易に新しい半導体技術を導入できるというRISCのメリットの1つは,当てはまらないかもしれない.もっとも,同社では,1998年末頃に40MHz,1990年末頃に50MHz版を提供できるとしており,さらにアーキテクチャを拡張した製品ラインの開発も予定しているという.

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良く分からないがRISCらしくないRISCということか。

コラム記事をスクラップする。
制御機器からワークステーションもねらう
日本AMD(株) 中島 裕
 Am29000は,現在入手可能な32bitMPUとしては最高性能である17MIPSの処理能力を持つ25MHz版が販売されており,さらに20MIPSを発揮する30MHz版のサンプル配布も行われている.AMDでは,このAm29000を次世代の32bitマイクロプロセッサの標準品に育てたいと考え,販売戦略を立てている.
 単に高性能なだけでなく,コストパフォーマンスの点でも他のMPUに比較して,数段よくなっていることが,Am29000の特徴である.これは,高速で高価なメモリを付けることなく,安価なDRAMでも,チップ内のパイプラインにウェイト(アイドルサイクル)が入りにくくなっていることによるところが大きい.
 高性能で,低コストなシステムを作ることができることから,LBP(レーザービームプリンタ),グラフィックコントローラ,高速通信コントローラ,リアルタイム制御装置などの埋め込み式の制御機器に理想的なMPUに仕上がっている.AMDでは,埋め込み式制御機器分野の市場はとくに大きく,今後も需要は急速に伸びていくと見ており,この分野での32bitプロセッサのトップシェアをねらっている.考えている.
 一方,ワークステーションなどの汎用CPUとしての応用は,Am29000にとって,戦略的に重要な分野となる.Am29000ファミリはワークステーションなどに必要な機能はすべてサポートしており,UNIXなどの汎用オペレーティングシステム,ABIをはじめとする標準化など,必要なものをすべて揃える.制御機器に比べて少ない量しか需要がないワークステーション市場だけをねらったRISCプロセッサとは異なり,Am29000では,ワークステーションに応用された場合の宣伝効果やソフトウェア製品の充実を波及効果として期待できる.また,ワークステーションのCPUとしてAm29000を採用した場合,グラフィックス,ネットワーク,I/0などの各部分にも同じAm29000をコントローラとして使えるため,ソフトウェアの互換性,開発ツールの共用化ができるどの効率化も実現できる.
インタビューにあるとおり組み込み用途「LBP(レーザービームプリンタ),グラフィックコントローラ,高速通信コントローラ,リアルタイム制御装置」などなら数も出る。性能が良いと評価されたCPUなのに経営者のせいでダメになったということでは、このような技術的な記事を読んでも想像することはできない。未来予測は困難だということになる。しかしAMDがお客に嫌われるような会社だったとは残念なことだ。

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