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特集「インテル80386,80386SX」(月刊ASCII 1988年9月号10) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事のスクラップ7回目は「インテル80386,80386SX」
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80386アーキテクチャの展開
 内部,外部ともフル32bitのアーキテクチャを採用し,1985年に登場した80386は,単に高速な8086として利用されるケースが少なくなかったが,昨年から今年にかけて,その事情は大きく変化しはじめている.
 1つには,80386本来のパワーを十分に引き出すことのできるオペレーティングシステムやソフトウェアが登場してきたことがあげられる.具体的には,MS-WINDOWS/386やUNIX System V/386,あるいは各種のDOS Extenderと呼ばれるソフトがあげられる.もう1つには,80386自身の動作クロックの高速化や82385キャッシュコントローラをはじめとするペリフェラルチップの充実によって,ワステーションやミニコンといった,ハイパフォーマンスを要求する分野のニーズに応えられるようになってきた.
 80386ベースのワークステーションとしては,今年春に発表されたサンマイクロのSun-386iなどがある.サンマイクロは,現在,AT&Tと共同でUNIX System Vの新バージョンを開発中であるが,これは,統合化UNIXともEnhanced UNIXとも呼ばれるもので,AT&TのSystem Vと4.2BSDを継承するSun OS,さらには、MicrosoftのXENIXを包括的に統合していくものという.このUNIXは,ABIといってプロセッサごとにバイナリ形式を規定しているのが特徴の1つとなっているが,サンマイクロとAT&Tでは,Sun-4に採用されたSPARCとともに80386についてのABIをいち早く規定した.
 ABIについては、モトローラとAT&Tの間で,68000ファミリや88000ファミリについての契約がかわされているが,68000ファミリの独壇場ともいえる状況だったワークステーションの世界に,80386が影を落しはじめたという印象を与える.インテルでは,今年の末から来年にかけて,非常にパフォーマンスの高い80386アーキテクチャの製品を発表するとしているなど,さらに高度な応用分野での利用も可能になるとしている.

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PC-9801RAが登場して使ってみるとMS-DOS上のソフトが軽快に動いた。今まで人間を待たせていたソフトが待たせなくなった。最後まで悪いと感じたカーソルの動き、カーソルを動かしていき画面がスクロールしているとき、ダラダラとスクロールするようなことはなくなった。キーを離すと瞬時に停止するようになった。それまでは「コンパイラで書くな。ここはアセンブラで書けよ!」と腹が立っていた。
80386の-パフォーマンス
 32bitプロセッサによって,パーソナル環境においてもマルチタスキングやネットワークを生かしたシステムが容易に実現できるようになってきている.MS-WINDOWS/386,VM/386といった仮想モニタを利用することで,従来のMS-DOSアプリケーションをそのままマルチタスク処理でき,かつリーズナブルなパフォーマンスで使用できる.また,80386をベースにしたUNIX上からは,Merge386,VP/ixといったシステムソフトウェアを介して,MS-DOSを1つのタスクとして起動できる(Sun-386iでは,DOSWindowと呼ぶウィンドウ内でMS-DOSのアプリケーションを実行できるとともに,ATバスも備えている:写真3).
 もっとも,これらのほとんどは80386の持つバーチャル86モードと呼ばれる機能を利用したものである.アプリケーションプログラムの80386CPUへの対応は,まだ,これからという状況である.現状のMS-DOS環境では,8088/8086CPUのコードで書かれたものとならざるをえないわけである.もっとも,米国ではアプリケーションプログラムにも80386を想定したものが登場しはじめている.
 BORLAND INTERNATIONALEのデータベースソフトウェアであるParadox386では,処理によってはParadox Ver.1.0に比較して約5倍ものパフォーマンスを発揮するという.80386の命令セット,レジスタセットを使ってリコンパイルすることで,演算処理を中心に高速化が期待できる.とくに,もっとも実用的な数値データを扱うlongの整数が,16bitの場合とは比較にならないほど効率化するという.
 80386の需要は急速に伸びており、なかなか入手しにくいという声も聞く.インテルでは,現在2つある工場に加えニュ-メキシコとオレゴンでも生産を開始し,市場の要求に応えていくとしている.また,インテルは、今年4月に80386の組み込み型プロセッサ80376を,6月には外部バスを16bitにした80386SXを発表した.次に80386SXについて紹介する.

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80386はこの頃は高速な8086としての利用しかされていないような状態だが、それだけでも価値があった。速いは正義であった。

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80386の外部バスを16bitにした
 80386SXは,80386のアーキテクチャをベースに,16bitの外部データバスと24bitの外部アドレスバスを装備している.このため,チップそのものが100ピンのPQFP(Plastic Quad Flat Package)で非常にコンパクトなものとなっており,サーフェイスマウント(表面実装)が容易である.また,バスサイズが16bitとなったことで,ボードのスペース効率が大幅に向上するだけでなく,配線,実装のコストも削減できる.16bitのシステムコストで32bitプロセッサを使えるというのが,インテルのうたい文句である.
 80386SXは,8086/80286の膨大なソフトウェア資産をそのまま活用できるというだけでなく,80386用ソフトウェアとの互換性も完全に保たれている.なお,動作クロックは、16MHzとなっている(80386は25MHz版がある).
 そのため,IBM PC,PS/2,PC-9801シリーズをはじめとする,多くのMS-DOS,OS/2ベースのパーソナルコンピュータのCPUとして利用することができる.とくに,CHMOSの採用による低消費電力とパッケージサイズ,および16bitバスによるホームファクタの改善により,ラップトップまたはトランスポータブルマシンでの利用に向いているという.
 インテルでは,1992年にはパーソナルコンピュータ全体の20~25%がラップトトップ型のマシンとなると予想しており,低価格とともに,こうしたニーズをも配慮したものである.
 すでに80386SXを採用したマシンを登場させているCOMPAQ社は,年内にもこれを搭載したラップトップマシンを発表する予定といわれる.また,現在,20社以上のメーカーが,この80386SXの採用を検討中といわれる.
32bitアーキテクチャ標準へのステップ
 内部的に80386とほとんど同じアーキテクチャを持つ80386SXは,外部バスが16bitである点で80286と比較できる.しかし,バスのアドレッシングは,80386に近いものとなっている.この設計は,80286の方式よりもメモリのアクセススピードに対する要求がきびしくない.80386SXは100nsのDRAMを0ウェイトで使用できる.
 また,80386SXは,高速数値演算プロセッサとして80387SX,82706ビデオグラフィックコントローラほかの各種ペリフェラルが用意されている.さらに,インテルでは,80386SXと併用するマイクロチャネルアーキテクチャのペリフェラルも提供するとしている.
 80386SXは,現実的なニーズに対応することで生まれたプロセッサである.インテルは,先にも述べたように今年末から来年にかけて,より高性能なプロセッサを発表するとしているとともに,1992~1993年には,80386と100%の互換性を持つ,まったく新しい製品を準備しているともいう.80386SXは,80386ファミリでもっともローエンドなシステムを担当するという.
 また,80386SXは,今後3~4年の間にチップそのもののコストを低く抑えることができるようになり,80286とリプレ-スされることになることも予想される.そのようになった場合,ビジネス,およびホームコンピュータの標準機は,いずれも32bitプロセッサを積むことになる.

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散々インテルの営業戦略に文句を言ってきたが、今こうしてスクラップしながら思うことはインテルの戦略が妥当だったんだと思えるようになっている。新たなCPUの開発には莫大な金がかかり、後に黒歴史と言われる失敗もするのだから経営的な体力が必要だ。だから、386SXのように開発経費を節約して新製品として売り出し、利益を上げるのは必要だった。



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