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特集「モトローラ88000ファミリ」(月刊ASCII 1988年9月号8) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

特集記事のスクラップ5回目は「モトローラ88000ファミリ」

このCPUは
ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情
で黒歴史CPUだと散々こき下ろされている。
業界に痕跡を残して消えたメーカー ミニコン開発に奮闘したData General
「市場の変化への対応が遅れたうえ
MotorolaのCPUを採用する最悪の決断を下す 」
「またUNIX市場に対しては1989年にAViiONというUNIXベースの製品ラインを投入するが、こともあろうにこのAViiONはMotorolaの88000を採用するという最悪の決断をしてしまう。」

インテルのx86に対抗するために 開発されたプロセッサーPowerPC
「その一方でMotorolaが出したMC88000はあまりに「アレ」過ぎた。その後継のMC88100(*1)はだいぶマシになったわけだが、もともとの着手が遅れたうえに、ほとんど新設計に近いくらいに設計のやり直しがあったためにやはり登場が遅れた。 」

残念ながら下記の本は読んでない。
失敗したCPUだけを集めた、世界に類のないCPU本 人気連載「忘れ去られたCPU黒歴史」の書籍が10日に発売!
「書籍限定の書き下ろしとして、次世代Macintoshに採用されなかった幻のモトローラ製CPU「MC88000」シリーズを掲載。今のMacはインテルCPUを採用しているが、それ以前の「Power Macintosh」が誕生する前、MC68000シリーズとPowerPCシリーズの狭間に消えたCPUの話が読めるのは本書だけです!(たぶん)」
以下この号の記事をスクラップする。

ASCII1988(09)c12モトローラ88000_あおり_W520.jpg
シリコンの中のスーパーミニコン
 今年4月に発表された88000ファミリは,一説にはかなり以前から存在していたというモトローラの戦略的な製品である.
 同社はすでに32bitマイクロプロセッサとして,68020と68030を持っており,1989年には68030の33MHz、および40MHzのものを,1990年には68040の出荷を予定している.88000ファミリは,この68000ファミリと共存させながら,より高速,高機能なプロセッサとして育てていくという.また,88000の特徴は,マルチプロセシングやフォルトトレラントシステムへの対応が容易であるなどの拡張性の高さにある.フォルトトレラントとは,2つ以上のプロセッサのバス出力をマッチングしながら動作させるなどにより,信頼性の向上をねらうものである.これらを生かしたより高度なシステムには88000ファミリ,すでにあるソフトウェア資産との互換性を重視する場合には68000ファミリという位置づけとなるだろう.
 また,現在のものは20MHzであるが,年内には25MHz,1989年半ばには33MHzのものを出荷予定であるほか,Data General社と共同でECL版を開発する.これは,1991年の出荷が予定されており,MMU,キャッシュコントローラなども1チップ内に取り込むもので,実に100MIPSのパ・フォーマンスが期待されるという.
 RISCチップとして見た場合,88000は命令数で51種とSPARCの89種よりも少ないものの,トランジスタ数ではかなり多めの16万5000個を集積している.これは,浮動小数点演算ユニットをチップ内に持っていることもあるが,高速化や高信頼性のためのさまざまな機構が組み込まれていることによるものである.汎用レジスタの数も32個とRISCとしては少なく,むしろ,スーパーミニコンやスーパーコンピュータの手法を取り込んでいる点が特徴のようだ。

88000のアーキテクチャ
 88000の標準的な構成は,MC88100CPUに2つのMC88200CMMUをつなげた3チップ構成である.データバスと命令バスは分離されており,これらが2個のMC88200CMMUに対応する.すなわち,1つがデータ用,もう1つが命令用のキャッシュとなる.これらは,それぞれ最大4つまで接続できるようになっており,合計128Kbytesのキャッシュを用意できることになる.データバスと命令バスを分離した方式は,ハーバードスタイルアーキテクチャと呼ばれるもので,データと命令フェッチでのバスの競合が起きない(図1).
CPU内に4つの実行ユニット
 さらに特徴的なのは、CPU内に4つの実行ユニットがあり,それぞれが並列に動作しうる点である.これは,図2に示すように整数演算,浮動小数点演算,デ-タアクセス,命令アクセスの4つからなる.たとえば,SPARCなどの従来のプロセッサでは、浮動小数点演算については複数サイクルを必要としたが,88000では1サイクルでこれを受け付け,次の命令に移ることができる.4つの実行ユニットの同期と整合性のために,レジスタスコアボードという機構が採用されている.このスコアボードもサイモア・クレイによってCDC7600で最初に採用された方式であり,汎用プロセッサとしては斬新な設計となっている.これとパイプラインの組み合わせにより,88000では,チップ内で最大11個の命令を同時に実行可能である。いうまでもなく,これらのキャパシティを十分に引き出すには,相応の最適化コンパイラが必要となる.
 また,実行ユニットをさらに6個まで追加することも可能である.これは特殊機能ユニットと呼ばれるもので,将来的には,顧客,ニーズごとにAI分野用ユニットや高速演算ユニットなどを追加できるものとしている.
マルチプロセッサ化などに対応
 キャッシュとMMUからなるMC88200CMMUは,一般的な4Kbytesのページのほかに,512Kbytesのブロックによるメモリ管理機能を持つ.アドレス変換とキャッシュアクセスは並行化されており、柔軟で高速なメモリアクセスが可能となっている。
 また,MC88200CMMUには,マルチプロセッサシステムで,他のプロセッサとの間で整合性をとるためのスヌープとよばれる機能が用意されている.スヌープとは,現在キャッシュにある番地が他のプロセッサによって更新されていないか監視し、もし更新されている場合には,正しく更新された後のデータが読み取れるようにするものである.

 88000は,その高速性もあるが,浮動小数点演算ユニットをCPUに内蔵したことと,そして,キャッシュとMMUも同時に用意した点が大きなポイントとなる.これは,そのままこのプロセッサを使ってシステムを作る場合の開発工数に影響してくるはずである.また,完成したシステムのコストと消費電力の低減にも貢献するだろう.
 さらにモトローラでは,88000を搭載したプロセッサボードであるHYPERmoduleの発売をアナウンスしている.これは,特殊な省スペースパッケージを使用したMC88100CPUを最大4個,MC88200CMMUを最大8個まで搭載したもので,各種分野でハイパフォーマンスなマルチプロセシング環境を提供できるという.
 88000がRISC分野において,68000ファミリがそうであるような標準CPUとしての役割を演ずるためには,最適化コンパイラをはじめとするソフトウェア環境が鍵を握りそうである.

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コラム記事をスクラップする。
より高度なアプリケーションに応える汎用プロセッサ
日本モトローラ(株) 新島 淳
 マイクロプロセッサの性格は,その機能,性能,価格などにより方向づけられる.M68000ファミリは、ワークステーションなどのCPUとして以外に,通信制御,画像処理,NC工作機械,娯楽用機器などの広範囲のアプリケーションに使用されているが,この点では,M88000ファミリも,アプリケーションを限定しない汎用プロセッサである.
 M88000ファミリとM68000ファミリの相違は,それらがねらっている性能レンジにある.MC88100,MC88200プロセシングノードは、MC68020に対して,同一動作クロックにおいて約4倍の性能を提供する.また,浮動小数点演算能力は,MC68881の約10倍である.この性能により,M88000ファミリは,従来,ビットスライスデバイスなどによる専用プロセッサを使用せざるをえなかった高速システムに対して,汎用プロセッサの利用を可能にする.
 また,MC88100,MC88200プロセシングノードは,メモリ共有型マルチプロセッサシステムを効率よく構成することを前提に設計されている.たとえば,4CPU構成時の期待性能は,シングルCPU時の約3倍である.マルチプロセッサシステムをコンパクトにサポートできるように,最大4CPU(MC88100×4,MC88200×8)を約22×9cmのプリント基板に実装したHYPERmoduleを来年度から販売する予定である.
 M88000ファミリの標準オペレーティングシステムは,M68000ファミリ同様UNIX System Vであり,リリース3.1を来年初めから供給開始する予定である.M68000ファミリ用のリリース3.1も同時期に供給開始となる予定である.このリリース3.1は,各ファミリ内でのオブジェクトレベルの互換性を保つための,BCS(Binary Compatibility Standard)対応のものとなる.ABIの対応は,1990年,リリース4においてサポートされる予定である.
 M88000ファミリも,M68000ファミリと同様,アーキテクチャの強化とクロック速度の向上によって機能を向上させ続けていくことになる.

この記事ではモトローラの88000が失敗したことについては、読み取れなかった。
未来を予測することはかなり難しいというべきか、雑誌の記事は基本提灯持ちで信頼性に乏しいと評価するべきか。
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