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フィリップ・カーン、CD-ROM、その他(月刊ASCII 1989年6月号4) [月刊アスキー廃棄(スクラップ)]

ASCII EXPRESSのスクラップ。

Borland International社の社長,フィリップ・カーン氏のインタビュー記事をスクラップする。
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 Borland International社の社長,フィリップ・カーン氏が来日した。同社は,Turbo PascalやTurbo Cなどのプログラミング言語シリーズ,ParadoxやQuatoro,Sidekickなどのビジネスアプリケーションソフトで有名なソフトハウス。今回の来日は,(株)ポーランドジャパンの設立に伴ったものである.
――現在のBorland社の規模は?
フィ:従業員数は約550人です。昨年度の売り上げは8200万ドルでした.我々は,25種類の商品をラインナップしていますが,売り上げ中で大きな割合を占めている商品は,Turbo Pascal,Turbo C,Paradox,Quatoro,Sidekickなどです.
 今回,日本にボーランドジャパンを設立したわけですが,すでに100%出資の子会社がフランスとイギリスにあり,現地企業との合弁会社がドイツやオーストラリア、ニュージーランド,マウイにあります。その中で、日本は我々にとって最も重要な市場です.

――新製品を出す予定は?
フィ:我々は,実際の製品を出す前に「事前発表」は行いません.製品を出荷するときに初めて発表するというのが,我が社の方針なのです.たとえばParadoxは,発表した当日に出荷しました.この業界においては非常に特殊な例だと思います。
 事前発表を行うことで,自分達を窮地に追い込んでいる会社が数多くあります。事前発表された通りのスケジュールで製品を出荷できなかった場合には,その会社は信用を失ってしまい,マーケットシェアも失ってしまうことでしょう.ご存じのように,Lotus社やAshton-Tate社はこれで苦境に立たされています.

――現在アメリカでは,MCAとEISAが対立していますが,ソフトウェアメーカーとしてどう思われますか?
フィ:私自身は,基本的にはどちらが業界の標準になろうと関係ないと思っています。将来的には,ATバスとMCAバスの2つが標準になるでしょう.EISAは難しいですね。1年ほど出遅れたという感じです。
 ですが,ソフトハウスは,それほどバスのことを重要視していません。我々はMCAが標準になるだろうと思ってはいますが,それはハードメーカー側の問題ですからね。この先,MCAよりさらにコンパクトなバスも出てくることでしょう.

――ハードの進歩に対してソフトが追いつかないと言われますが?
フィ:ハードウェアの開発は,非常に早いスピードで進められており,ソフトウェアが遅れをとっているのは事実です.しかし,本来ソフトウェアというのはそういうものなのです。新しいチップを使って新しいコンピュータを開発するのは6カ月ほどでできますが,対応するOSを開発するにはそれから約2年かかります。我々がソフトウェアをアップグレードできるのはさらに3~4年後ということになります.それが自然なのです.
 ハードウェアのデザインは,正確に予期できる科学の世界です。しかし,ソフトウェアのデザインは,まだ科学とはいえません.いつも何か予期できないことが起こります。言い換えれば,非常に人間的なものなのです.

――WindowsやOS/2については,どう思いますか?
フィ:ご存じの通り,我が社はOS/2用のビジネスアプリケーションを作った最初の会社です。OS/2には真剣に取り組んでいます.Windowsにはそれほど高い優先順位を置いていません.
 私は,OS/2がMS-DOSに取って代わるとは思っていません.将来,2つのOSは共存していくことでしょう.MS-DOSがインストールされているマシンは全世界で2000万台以上といわれ,これからもほとんどのユーザーがMS-DOSを使っていくことになるのは間違いありません。OS/2はMS-DOSの限界以上のパワーを必要とするマーケットで伸びていくと思います。特に,32bitコンピュータでは,1991年までに業界の主流になると予測しています。MS-DOSはローエンドの環境として生き残るでしょう.

――日本ではIBMPCが主流ではありませんが…
フィ:日電のPC-9800が日本でたいへんな成功を収めていることは知っています。しかし,日電のマシンはIBM PCとそれほどかけ離れたマシンではありません。グラフィック処理の仕方やメモリマップは多少違いますが,大きく考えればそんなに違ってはいません。また,プレゼンテーションマネージャを使えば,アーキテクチャが違う機種でも同じソフトウェアを動かすことができるようになるでしょうから,IBM PCと非互換でも問題はないでしょう.
 我々にとって,標準がなんであっても構わないのです.我々の基本的な考え方は,業界のどの標準でもそれがユーザーにとって使いやすいものであれば支援するということです.ユーザーにどのマシンを買うか決めてもらい,その数が十分になったときソフトウェアを作るのです。ハードウェア戦争に関わることは一切しません。

Philip Kahn:フランス生まれ.フランスにて,数学のPh.Dを取得.1983年に渡米,Borland Internationalを設立した。最初の製品であるTurbo Pascalが大ヒットとなり,現在の同社の基礎を築く。
フィリップ・カーンの予想は外れていた。「将来的には,ATバスとMCAバスの2つが標準になるでしょう」にはならなかったし、「OS/2には真剣に取り組んでいます.Windowsにはそれほど高い優先順位を置いていません.」はOS/2の成功を予想していたからの発言だと思われる。Lotus社やAshton-Tate社は新製品発表で苦境に立たされていたのか。難しいものだ。

第4回CD-ROMコンファレンスの記事をスクラップする。
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 米Microsoft社主催の「第4回CD-ROMコンファレンス」が,3月28日から3日間,南カリフォルニアのアナハイムで開催された.今年で4回目をむかえた同コンファレンスは,「Seeing is Believing(見ることは信じること)」をテーマに,出展社60社,来場者2000人以上が参加した.
■BillGatesが考えるCD-ROMのビジョン
 開会時に講演したMicrosoft社のBillGates会長は,1989年をCD-ROMアプリケーションの開発元年として位置付けたうえで,(1) 高性能なプラットフォームの開発,(2) 細部の規格統一,(3) CD-ROMプレーヤの生産規模の拡大,(4) 業界をリードするような開発会社の出現――が今後の鍵になると語った。そして,多少のリスクを負ってでも,今からCD-ROMに投資しなければ将来の成功はつかめない点を強調。サードパーティのCD-ROM市場参入をうながした.
■IBM社がマルチメディア市場に参入
 今回の最大の目玉は,IBM社がマルチメディア市場へ正式参入すると発表したこと.その内容は,(1) CD-ROMとインタラクティブ・マルチメディア関連のハードウェアとアプリケーション開発を行う,(2) Intel社とDVIを推進していくことで正式合意し,デジタルビデオ技術の開発を積極的に推進していく――という2点。この発表の背景には,IBM社,Intel社,Microsoft社というパーソナルコンピュータ業界の“ビッグ3”が,マルチメディア分野でも覇権を握ろうという狙いがある.
 これまで同社は,教育関連部門でHyperCardライクなマルチメディア・オーサリングツール「Link Way」などを開発・発表しているが,今回の市場参入にともなって,本格的なマルチメディア・システムの開発が期待される.

■ソニー,Philips,MicrosoftがCD-ROM XAを発表
 もう1つの話題は,ソニー,Philips社,Microsoft社の3社が発表した規格「CD-ROM XA」.同規格は,CD-ROM Yellow Book(CD-ROMの規格書)を拡張し,ADPCMオーディオ機能(インターリーブ・フォーマット)を付加したもので,音と画像の同時再生を可能にする.
 ソニーは,同規格に対応するスターターキット「CRD-200K」を発表した。これは,IBM PC/AT用のADPCMボードを中心にしており,同規格に基づいたアプリケーション開発を支援するもの。キットの内訳は、(1) CD-ROMXAインターフェイスボード「XA-1」,(2) ケーブル「CDU-510/520」,(3) CD-ROM XAサンプルディスク,(4) MS-DOS CD-ROM Extentions Ver.2.10とデバイスドライバ――という構成で、価格は3000ドルを予定している.
 Microsoft社は,同規格に対応するCD-ROM Extention Ver.2.10を発表。4月からメーカーを中心にOEM販売を開始する.Ver.2.10は,MS-DOS Ver.4.0とMS-Networksもサポートしている.

■来年にはPS/2用DVIボードが登場
 過去2回のコンファレンスで大きな話題を集めたDVIは,昨年までGE/RCA社の規格製品だったが,今年は,DVI技術を開発部門ごと買収したIntel社が開発状況を発表した。前述のように,IBM社との共同開発に合意した同社は,1990年にPS/2用DVIボードを開発する予定だ.
 DVIは,現在約30社がベータテストとプロトタイプ・アプリケーションの開発を進めている。そのうち,数社のプロトタイプは,同社のブースに展示されていた.しかし,DVIの最大の機能である画像データのリアルタイム圧縮+再生などを生かした機器はなかった.
 IBM社との提携と同時に、同社はDVI開発システム「Pro750」を発表した。従来の7枚組のDVIボードセットをPC/ATクローンにバンドルしたシステムは,7月から2万1500ドルで販売する.
 さらに,7枚組のボードセットは,1990年第2四半期をめどに2枚に圧縮し,1990年後半にはチップセットとして単体でも供給を可能にする計画だ。チップセットの価格は,25~50ドル程度になるという.DVIが開発途上の技術であることは,Intel社の発表中にアニメ画像が動かなくなるというハプニングで証明されたが(?),Microsoft社のBill Gates会長とソニーの土井利忠取締役の評価に微妙な違いがあることも気にかかる.Gates会長は,CD-ROMの動画処理はDVIが本命と決めているが,土井取締役は「動画処理はシンメトリーコーディングを用いた,(DVIより)もっとスッキリしたもの」と定義して,慎重な姿勢を明確にしている。現段階では、DVIが動画処理の最有力候補であることに間違いはなさそうだが,ほかに有力な手法が登場する可能性もある.どちらにしても,Intel社のDVIチップセットが販売される頃には明確な評価が出ているだろう.

■Selling is Believing CD-Iは空中分解か?
 ソニーとPhilips社が,第1回コンファレンスから中心になって進めたきたCD-Iは,事実上の無期延期プロジェクトになった.両社による開発計画の発表もなく,数社のサードパーティが,Philips社が先に発表したCD-Iプロトタイプを展示していただけである。
 CD-Iは,68000CPUとOS-9をベースにしたコンシューマ製品という位置付けにあるが,(1) 各社の利権が入り込みコスト的に無理があった,(2) 仕様が開発者の自由度をあまり認めなかった,(3) CD-Iマシンやツールなどの開発が遅れた――などが無期延期の理由としてあげられる.ただし,ソニーは,あくまでCD-ROM XAをCD-Iへの第1ステップと位置付けて,CD-Iを完全に放棄していない点は興味深い。
 一方,日本電気とハドソンが参考出品したPC-Engineは,米国販売の正式発表こそなかったものの,ゲーム,教育,エンターテインメントの各界から大きな注目を集めた。昨年12月以降,わずか3本のCD-ROMタイトルしか発表されていないにもかかわらず10万台のCD-ROMユニットを販売したという実績は,米国関係者に衝撃的な事実として受け止められている.たとえば,CD-Iタイトルの開発会社として設立されたTigerMedia社は,PC-Engineのタイトル開発に方向転換する可能性を示唆している。また、大手音楽出版会社や子供向けTV番組制作会社が,PC-Engine用CD-ROMタイトルの開発に意欲を見せているという噂もあり,米国への本格進出が各方面から期待されている.
 そのほかの日本メーカーでは,富士通がFM TOWNSを参考出品した。80386CPU(16MHz),CD-ROMドライブ標準搭載,強力なスプライト機能などに注目するCD-ROM開発業者も多い。ただ,同マシンは,IBMPCやそのクローン製品と比較されがちだ.スプライト機能を除くと,実質的な部分では現状のIBMクローンと同等か,それ以下の仕様であるため,今後どこまで競合できるのかを疑問視する意見も多い。

■Apple社はHyperCard環境の整備ツールを発表
 昨年から引き続いて,HyperCard環境を中心にCD-ROMアプリケーション開発をサポートするApple社は,「HyperSource ToolKit」と「HyperCard CD Audio ToolKit」を発表した.両ツールは,MacintoshシリーズのHyperCard用CD-ROMスタックの開発を支援するもので,前者はグラフィックス,後者はサウンドをHyperCardに組み込むツール。これらは同社に買収されたAPDAが販売する


 今年に限らず,CD-ROMコンファレンスには,音楽,映画関係のプロデューサー,グラフィックアーティスト,教育関係者などコンピュータ以外の分野から多種多様な人種が集まる。彼らは,CD-ROMやマルチメディアをパーソナルコンピュータの延長としてよりも、あくまで自分の仕事の延長として,その可能性を探るために来ている。コンピュータグラフィックスの第一人者,Robert Abelもその1人だ。彼は今回,「Giernica Project」を発表した。スペイン動乱を描いたピカソの大作「ゲルニカ」を,その時代背景やピカソ自身のコメントなどをもとにして,ライブビデオとハイパーテキストの手法を駆使してまとめたもので,高い完成度は注目に値する.
 IBM社の市場参入,DVI技術をめぐる提携,CD-ROM XAの発表など,IBM/Intel/Microsoftの3極構造が浮き彫りにされたマルチメディア業界だが,本当の意味でマルチメディア市場をユーザーのものにするのは,Robert Abelのような人間たちなのかもしれない。

(ザイロンコーポレーション代表 脇山 弘敏)
CD-Iについての記述があった。「各社の利権が入り込み」だったのか。過去記事を読むと無くなるべくして無くなったのかと思う。

その他のハードウェア等(月刊ASCII 1987年8月号4) ソニー,フィリップスがCD-Iの機能仕様作成

次世代デスクトップと…(月刊ASCII 1987年8月号7) CD-ROM Syndrome 

Gary Kildallインタビュー(月刊ASCII 1987年11月号13) CD-lは,まだリスキーなビジネス

特集CD MEDIA第1回 その2(月刊ASCII 1988年3月号7) CD MEDIA CD+Computerでひらける世界 「ただし,CDIシステム自体が具体化していない以上,それを発展させた規格という動きはありえないとして,多くのメ-カーは当初,CD-VIに対して冷やかな態度をとっていた.ところが,あまりにも動かないCDIにしびれを切らして,実現の検討を開始するメーカーも現れたというウワサである.」

特集CD MEDIA 第2回 その2(月刊ASCII 1988年4月号8) CDIとそのソフトウェア

「PC-Engineは,米国販売の正式発表こそなかったものの,ゲーム,教育,エンターテインメントの各界から大きな注目を集めた」というのは覚えていなかった。スクラップしていくと忘れていた記憶が呼び覚まされる。

間組,トロン電脳ビルの建築構想を発表
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「構想」、「計画」実現しなかった匂いがする単語がある。

日本語入力コンソーシアムが設立
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ASCIIは色々なところに手を出したというか口を出していたんだということがわかる。

Apple,ウィンドウソフトをめぐる裁判に勝訴
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ウィンドウ表示タイプのソフトはAppleの特許ということか。Microsoftはどう解決したのか。覚えていない。

NIF,パソコン通信からポケットベルへ配信
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私もポケベルを持っていたが、このサービスが使い物になるとは思わなかった。誰が一体送るというのか。

日本IBM,筑波大で1万人のメールシステムを実験
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インターネットが無い時代はこうして実験をしながらメールシステムを発展させていった。

住友と協和,ホームバンキングの試行を開始
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世帯数が50世帯で端末がメガドライブを使うとはなんとチープな実験だろうか。最初はこんなもんだ。

日本通信衛星,JC-SAT1のサービスを開始
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衛星放送の準備はこの頃から始まっていた。

小惑星,地球とニアミス
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危ないことだ。いつ地球に小惑星が衝突しないとも限らないが、今では監視が強力になったので早めに分かるはずだ。だが、どうしたら災害を防げるかは分からない。「核ミサイルによる迎撃は簡単ではない」とわざわざ言及しなければならないことが時代を感じさせる。

コミュニケーションTOKYOというものが開催されていた。
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写真をスクラップする。
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